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第11話 魔法学園の受験⑤

クイズです!俺が模擬戦を行う日はいつでしょう?



10

0!


正解は…今日でした!


はい。危うく遅刻するところでしたよ。

ランドリックに「そういえばいつ模擬戦に行くの?」と言われなかったら遅刻どころか欠席だっただろう。

つくづく俺も良い友に恵まれたかもしれない。


ということで、これから戦いが始まります。


「カ、カチマです…よろしく…」


今俺に話した男の子が俺の対戦相手だ。ちょっと気弱そうな雰囲気がある。

魔法使いで、今までスキルを使わずに全勝しているらしい。腕が鳴るぜ。

といっても俺には魔法もスキルも意味がないんだけどね。


「では、始め」


その瞬間、カチマの強い()が解放された。

まるで歴戦の戦士のような重い圧だ。

しかし俺はそれを穏やかな笑みで受け流す。というかこの圧も魔法?というか魔力由来のものなので俺には全く効かないのだ。


それにしてもこれほど重い圧を隠すとは、驚いた。


「僕の圧に耐えるなんて…やるね」


そしてカチマは何やらブツブツ呟き始めた。

もしかしてこれは詠唱?

珍しい。今まで見た人はかなりの大声で詠唱していた。

それってよく考えたら敵に、これからこの魔法を撃ちますよ、と教えているようなものなのか。

確かに戦いでそんなことをしたら負けるだろう。


俺も思った――こいつ、やるな。


と、そのときめっちゃデカい火の玉が飛んできた。

とりあえず『アンチ』で消す。

あとはテキトーに魔法障壁の詠唱をするだけ。

こうすれば俺の権能も疑われないと気付いたのは戦いの直前なのはご愛嬌で。


カチマも訝しんでいる。

しかしすぐに気持ちを切り替えたようで、またブツブツ呟いていた。

よ~く見ると彼、病んでるように見えなくもない……なんでもない。


今度は大きな水の玉が飛んできた。

これは『アンチ』だと違和感があるだろうし、素直に避けるとしよう。


次に飛んできたのは石…というのもおこがましい程巨大な()だ。

これも俺は華麗に避けた。


この流れで次に飛んでくるのは風だろ!と予想したのでテキトーにブツブツ言って魔法障壁を展開したふりをした。


案の定、風だった…とはならない。


カチマが放ったのは雷属性の魔法だったのだ!

雷属性は応用属性の一つだ。習得するにはかなりの努力と歳月を要するらしい。

それを彼は習得していた。


雷属性は俺にとって一番厄介である。

俺は魔力の位置が朧げにわかるのだ。

空間属性は魔力の移動がそれほど速くはないので、早々に無効化できる。

無属性もしかり。


しかし雷属性はそもそも魔力の移動が速いので、無効化する前に当たる可能性もあるのだ。


まあ、それでも――


「俺には通じないんだけどね」


そして雷は消えた。

これにはカチマも驚いたようだ。



実は『アンチ』は永続的(●●●)に発動させることもできる。

例えば……俺の周りで常に発動させ続けるとか、だ。



「今度は俺の番だ!」


そういって俺は隠していたナイフサイズの木刀を出した。

俺は力を出すならパンチの方が強いのだが、武器を使うメリットもある。

そっちの方が応用が利く。


拒否(アンチ)流・拒斬(離れろ)


その直後、俺が振った木刀から不可視の攻撃が飛んだ。

それはカチマのすぐ横を通り過ぎた。

しかしカチマは気づいたようで、驚きと同時に僅かに動揺した表情を見せた。

もし彼が勝ちにこだわるならここでスキルを使うはずだ。


「降参する」


とカチマが言った。

少し間が空いた。


「しょ、勝負あり。勝者、アル・フォン・ジェトラル!」


俺…否。俺たちは近づいた。


「GG!」

「良い戦いだったよ!」


ん?

GGってこの世界にはないの…?(震え声)

※GG…good gameの頭文字を取った略


「その…今のGGって…?」

「気にするな」


これさえ異世界では通じないのか――と俺は密かに嘆いたのだった。



     *   *



この勝負の行方は瞬く間に学園内の生徒の間で広まった。


「無敗のカチマがやられたって!?」

「ああ、噂だから信憑性は低いが、噂にしては広まりすぎている。なにより、その場にいた人全員と本人がそれを認めてるんだ」

「マジかよ…あのカチマが…」


どうやら彼は一回も負けたことがないことでとても有名らしい。

戦いのプロでさえ勝つかどうか分からないほどだと言われているようだ。

そして話は『誰が負かしたのか』に変わっていく。


――そいつは追放された無名の強い騎士だとか。確かに見た目は子供だけど、実はかなり年を取ってるんだよ。

――いやいや、今までずっと修行を続けていたんだろうさ。ようやく頭角を現したってところかな。

――みんな見当違いなことを言うなよ。中身はきっと化け物だぜ。


どんどん変な方向へ妄想が発展していくのをとめる人は誰もいない。

彼らは娯楽に飢えていたのだろう。

いかに非現実的であろうと、荒唐無稽であろうと、妄想は加速する。


実はその人は転生者で、たった今「誰か噂でもしてるのかな?」とクシャミをしたということはもちろん誰も知らない。


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