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第7話 上洛

俺にはもう何にもあらへん。


友情も、恋も、それに付随した人生の希望も。


俺は天皇の血を引いているはずやのに、あの家で生まれてしもうたせいで、人々から相応の扱いを受けてない。


そこで俺は考えた。俺が俺に相応しい人生を送るにはどないすればええ?


答えは一つや。皇室入りしかない。

いや、本来皇室にいるはずの人材やから皇室帰りと言うたほうがええんかな?


まあどっちでもええわ。

退勤後、原付をバイト先に置いたままにして、近鉄電車に乗った。

俺は京に上る。


橿原神宮前で近鉄京都線に乗り換え、竹田駅で地下鉄烏丸線に乗り換え、しばらくしたら丸太町で下車。

降りたらそこはもう皇居。

俺は皇居の内部へ繋がる入口へと向かった。

そこには皇居を警備する皇宮警察(都道府県警とは別の組織)が居った。


「通してください。俺は昔の天皇の血を引く二上樹(にじょういつき)……ちゃうな、二上宮(にじょうのみや)樹仁(いつひと)です」

「はあ、誰だか知りませんが、ここは関係者以外立ち入り禁止です」

「俺は関係者です。皇族なので」

「一般人が皇族を名乗るなんて不敬にも程がありますよ。これ以上入ろうとするんやったら不審者として警視庁(京都は首都やから警視庁が管轄しとる)呼びますよ」

「ほんなら力ずくで入ったるわ!」


俺はあの喧嘩の後、魔法図鑑を読み込んで魔法をいろいろ調べた。

そしたら、魔法が下手な俺にも唯一戦いで使えそうな魔法が見つかった。

それを今、発動する!


「あまねく自然よ……我が呼び声に応え……」


マナを集める!


マナを集める!


あれ……?集まらへん……


もしやこの場所……そもそもマナがない……?


アカンーーーーやらかしたーーーーーー!!!!


マナはマナの木の周辺にしかない!!!


こんなんただの痛いセリフ吐いただけの不審者やんか!


ほんまに恥ずかしすぎる。


俺は走ってその場を後にして、皇居の公園部分にある公衆トイレに駆け込んだ。


あーやっぱり俺は、どう足掻いても一般人なんやな。

どんなことも自分の思い通りにならへん。

これのどこが現人神や……と思おもたけど、よう考えたら昭和天皇も戦争に負けとる時点で神としての力は存在しないようなもんやんか。

ホンマモンの神やったら全て思い通りに事を進めることができたはずやし。


ほんなら天皇とは、神やから今も日本の頂点に降臨してはるのではなく、日本の象徴やから日本の頂点に君臨してはる言うことか?

そう考えたら象徴ですらない一般人の俺が、皇室という立場になれへんのは当然の事なのかもしれへんな。


この考えに至った時、全ての事が腑に落ちた。

俺は大阪府南河内郡太子町にある二上の家に生まれた以上、普通のハーフエルフとして数百年の人生を生きていくしかない。

それが辛いものであったとしても、俺は神ではないんやから、しゃあない。


『ねえ、お兄ちゃんは昭和天皇の人間宣言、信じてる?』

(かおり)はんに前に言われた言葉、今なら確信を持って答えられる。

天皇は地位を持っただけの人間や。

香はんは『答えが分かったらLINEして』と言うてはった。

俺は見つけ出した答えを、香はんのLINEに送った。


LINEを閉じた後、なんとなくTwitterを開いた。

不審者速報というアカウントのツイートが流れてきた。

『不審者速報 @fushinsha… 2分 ⋮

(京)上京区皇居1

皇居を警備する警察に話しかけ、不審な動きをした。6月16日16時頃 https…

「通してください。俺は昔の天皇の血を引く者です」

「あまねく自然よ……我が呼び声に応え……」』


このツイートは投稿して2分しか経ってへんのに、沢山のいいねとRTがされとった。

ツイートへの反応を見たら……めっちゃ笑われとった。

やめーや。俺は大阪人やから笑わせるのは好きやけど、笑われるのは嫌いなんや。


あーもう恥ずかしい。ほな帰ろ。

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