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犯人になる条件

 文化祭の準備は着々と進んでいく。

 というかみんなそういうことに慣れているのか、あれよこれよという間にメニューなども決まっていった。

 俺はロング丈のメイド服を着て、ユキ相手に接客の練習をしているところ。


「幸村様。お疲れでしょう。コーヒーをお持ちいたしました」

「ああ、ありがとう……」


 ユキはずっとサロンにこもりきりだった。

 サロンにこもってる理由は単純で、以前俺を襲わせた犯人を捜すため。特徴はわかってはいないが、女子ということは確実らしい。


「外部生……とかじゃないよね?」

「違うだろうな。あの男がお前を襲ったデメリットを受け入れることができるようなメリットを提示できる相手だろう。外部生にそれが可能だとは思わん。外部生は試験の結果が良ければ入れるから……。それに、お前を襲ったのは金銭的に余裕のある内部生だ。内部生と外部生は軋轢があるから、素直に外部生の言うことを聞くかもわからん……。弱みを握られてたら別だが、外部生に言うことを聞かせられるほどの弱みを握られるわけもないだろう」


 となると犯人は内部生……。そしてメリットを提示できる相手ということか。


「内部生相手にメリットを提示出来たり、弱みを握れることができるのは数が少ない。しかも女子生徒だ。かなり絞られる」

「んー、たしかに家柄でも結構差があるし……」

「それに、あの男は最後まで真犯人を言おうとしなかった。あんなことをしでかす奴に仲間意識があるとは到底思えん。相手は言ってはならないということなんだろう。それぐらい格式が高い相手」

「となると……学園長の娘とか?」

「右京先輩ももちろん犯人の候補にはなりうるな。あとは……万 千智も犯人になりうる」

「千智ちゃん? ないない」

「あくまで可能性だ。俺も千智の人となりは最低限知っているからそんなことしないと断言はできるが……。あくまでそれは俺個人の思い込み。可能性としてはないわけじゃない。条件にも見事に合致する」


 万家って相当デカい家柄なんだなぁ。

 でもたしかに、感情抜きにして考えてみたら条件には見事に合致する。格式が高く、メリットを提示出来たりするであろう家柄。

 俺としては千智ちゃんは犯人じゃないとは思っているが……。もし仮に、千智ちゃんが犯人だった場合なぜやったのかは知りたい。


「そうしたらヴィットーリアだって合致する……よな」

「ああ。合致はする。だからまだこれといった確証が持てない。今あげた奴ら以外にもまだまだ候補はいるからな」


 個人を特定できる材料が少なすぎるからここまでが限界か。


「まぁ……女装した男子生徒という可能性もなくはないが、見られてるとは思わんだろうしそこまで警戒はしないだろうということで可能性からは除外しているが……。もしそうだったらもっと犯人が増えるな」

「犯人を特定できる証拠が欲しいねそうなると」


 今のところ、頼りになっているのはヴィットーリアの証言のみだ。

 ただ、ヴィットーリアも容疑者に浮上している以上、まるっと全部鵜呑みにしづらいというのがむず痒いところ。ヴィットーリアが犯人なら嘘の特徴だって伝えることができるしな。女子生徒かどうかも怪しくなるが……。

 まぁ、ヴィットーリアが犯人なら行きつかせないために男子生徒と嘘つくだろうしないか。

 それに、男子生徒が俺を襲うメリットなんてそれこそ俺と付き合いたかったのにユキと付き合ったからという腹いせだからすぐばれるだろう。感情に身をゆだねた犯罪はだいたいすぐにばれる。


「……あの、私ちょっと会議室使いたいんですけどよろしいですか」

「ん? あぁ、すまない。俺らはもう使わないから使っていいぞ」


 と、複数の女子生徒がユキに伺っていた。

 ユキはコーヒーを一気に飲み干し、会議室を俺と一緒に後にする。


「ま、今日は帰ろう。落ち着くまで俺と一緒に帰ろう、音子」

「そのほうがいいかも……」


 怖いし。








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