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財前家創設パーティ ①

 ユキと正式にお付き合いをすることになった。

 あれよあれよという間に婚約の話も進んでいき、外堀が埋められてるようでちょっと嬉しく感じる。


「まぁ、付き合ったって俺は俺だしな」


 という感じで、今でも普通に話していたりする。

 告白した分、キスされたこととかも別に普通じゃねという感覚になってきていてフラッシュバックすることもなくなっていた。告白パワーってすげえ。


 ただ、婚約したことを周りに知られると面倒だというユキの意向もあり、婚約したことは隠さないが、あまり言いふらさないようにということだ。

 ユキ自身に群がるコバエは自分で何とかするという。コバエて。


 で、今現在。

 財前家の創立記念パーティに呼ばれていた。俺はドレスを身にまとう。


「俺テーブルマナーとかよくわからんけど大丈夫?」

「うーん、まぁ大丈夫だと思う。幸村もどうせ近くにいるしね」

「だな。ユキなら助けてくれるだろ」


 と、車の中で千智ちゃんと話しているとパーティ会場についたのだった。

 道彦さんたちももちろん招待されているので、万家全員がそれぞれ指定された席に着く。目の前のテーブルには料理が置かれ、ものすごくいい匂いが鼻をくすぐる。

 俺たちもだいぶ早めに来たとはいえど、もう結構会場入りしている人が多い。知らない人ばかりだ。


「あら、あなた方も呼ばれていたんですね」

「ん? ああ、これはこれは伊佐波さん。どうもー。お招きされました~」

「ふん」


 そりゃそうか。

 ユキ曰く、ユキの父と伊佐波の父が仲良くしているから呼ばれているのは当たり前か……。会いたくなかったけど。

 伊佐波は相変わらず、見定めるかのような目で俺らの姿を眺め、ふんっと鼻で笑っていた。伊佐波もこの席らしく、なんだかとても嫌な雰囲気。

 というか、ここら辺の席は俺らと同世代くらいの子どもしかいない。子供は子供だけで席をまとめたってことなんだろうか。


「ん? おぉ、千智、音子、来てたのか」

「あ、ユキ。うわかっけえ」

「似合うだろ?」


 ユキは紺色のスーツに身を包んでいた。

 

「幸村様、本日はお招きいただきありがとうございます」

「おう。楽しんでいけよ」

「幸村様。お招きいただき感謝でございますわ」

「……千智。お前のその口調はちょっとむず痒いからやめろ」

「ユキ……村様。本日はお招き……」

「なんか調子狂うなお前ら」


 ユキが困ったように苦笑いを浮かべていた。

 ユキは俺の隣に座る。ユキと千智ちゃんと他愛もない雑談を交わしていると、ステージに誰かが立っていた。

 ユキとそっくり。ユキを少し厳しい顔にしたらああなるって感じの顔をしている。


「あれユキの父さん?」

「ん? ああ。音子は何気に初めてか見るの」


 なるほど。

 確かに厳しそうな父だ。とても逆らえそうにはない。


「ああ見えて優しいんだ。俺が昔嫌がっていたのは俺の祖父だ。今はもう死んじゃっていねえけどな」

「あ、そうなんだ」


 顔だけ厳しいのか……。


「信繁様はいつ見てもダンディな方でいらっしゃいますわね。ね、幸村様」

「……そうか?」


 俺らが会話していると伊佐波さんが横から入ってくる。

 混ざりたい……とは考えてなさそうだ。多分俺と会話しているのが気に食わなかったんだろう。


 ユキとの会話も途切れ、ユキの父さんの話を聞く。

 話の内容はというと、会社の創設された経緯とか形式的なものばかりだった。だがしかし。


『こんな私の息子にね、息子自身が婚約者を見つけてきたんです』


 と、ぶっこんできた。

 ユキが壇上に呼ばれて、そして……。


『私の息子、財前 幸村。そして、その婚約者となった万 音子さんです。どうか温かい目で見守ってやってください』


 と、紹介された。

 こんな風に紹介されるのめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!?









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