青春だねえ
俺は八重津と一緒にユキの家に向かう。
「というかさ、幸村が何で休んでるか知ってるんでしょ?」
「えっ?」
「昨日、万家の車が幸村の家に停まっているのを見たからね」
あーなるほど。
万家の車が在ったからなにか知ってるんじゃないかと推測したのか。いやまぁ、知らないわけはないんだけど……言っていいものなんだろうか。
まぁ、八重津は話してみてわかったが言いふらすような奴じゃないしいいか。
「最近、千智ちゃんと親がぎくしゃくしててさ」
「そうなの? 結構仲いいと思ってたけど」
「いろいろあってねぇ……。それで親にめちゃくちゃ怒っちゃって帰りづらくなってユキの家にいたんだよ」
「まぁ、千智ちゃんが頼るんだったら幸村だろうからね」
「それで……そこでウイスキーボンボン食べちゃったらしく酔っぱらっちゃって」
「酒弱いんだ」
「それでユキの家で大暴れして一部屋壊滅状態」
そういうと八重津は笑っていた。
意外とアグレッシブなんだねって笑っていたが笑い事じゃないんだよな。千智ちゃんが思い悩んで酒の力が助けに入っちゃったからああなっちゃったわけだし。
八重津の車がユキの家に入っていく。車から降りて、ユキの家に入るとユキが来たのかと出迎えてくれた。そして昨日のことを八重津に話したよと告げて八重津を現場まで連れていく。
少しは整理されたようだが、まだガラス片とか落ちてるかもしれないから気を付けろと忠告を受けた。
「うわー、ひっどいねこれ」
「まぁな。千智はこれ気にしてるから揶揄うんじゃないぞ」
「わかってるって。それより幸村」
「なんだよ」
「音子ちゃんと付き合うことにしたんだ」
「えっ!?」
「えっ?」
とんでもないこと言いだしやがった。
八重津はにやりと笑っていた。
「な、なな、なななな、なんで、だ?」
「可愛いから?」
「ま、ままま、まあ、か、可愛い、が、なんで……」
「性格もいいし」
動揺を隠せてない。
寄りにもよっていたずら好きな性格なの八重津よ。悪い笑み……。
「ね、音子ちゃん」
「えっ?」
「恥ずかしがらないでいいんだよ」
と、八重津はそのまま顔を近づけてきた。
その時、八重津の頬にグーパンチが飛んでくる。
「だ、ダメだ! たとえ剣でも音子はダメだ!」
「マジでぶつなよ! 冗談だって! ねぇ音助さん!」
「そうだよユキ。冗談」
「そ、そうか冗談か……やっていい冗談と悪い冗談が……って音助? お前なんでそれを……」
「今日教えてもらったんだよ。僕としても音助さんにはちょっと助けてもらったことあるからね」
殴られた頬をおさえながら立ち上がる八重津。
「そうなのか?」
「そう。教えた。っていうか確証をもって音助って言われた」
「そうか……。お前ってそういうの得意だもんな。探偵とか向いてるよお前は」
「僕もそう思う」
まぁ推理力もあるし、ねちっこそうだし。
なんて思ってると見透かしたように笑ってくるから顔に浮かべないでおこう……。
「にしてもガラス片が散らばってるかもっていう部屋で殴り飛ばすなよな」
「お前が悪い冗談を言うのが悪いだろ」
「暴力振るうほうが悪いよね? 将来DV夫になるぞ」
「お前に対してしか振るわないっての」
「えっ、僕だけ特別……?」
「男のきゅんは気持ち悪いからやめろ」
「あっ、今の発言ライン越え! ちゃんと配慮しないと!」
「うるせえ! そんな配慮ばっかしてたら面白くねーだろうがよ!」
と、俺の目の前で男友達のやり取りを見せられていた。俺もこういうやり取りしてたなー。高校の時は馬鹿なこと言ったり友達をおちょくってからかったりしたもんだ。
懐かしいな。
「っていうかお前何しに来たんだよ。邪魔しに来たなら帰れよ!」
「お前が風邪ひいてるかもしれないと思ったからだよ! 十中八九違うと思ってたけど!」
「わかってんじゃねえか!」
「馬鹿は風邪ひかないっていうしね!」
「誰が馬鹿だ!」
「青春だねぇ……」
お兄さん君たちの青春がまぶしいよ。
”あまり歳変わらないよね”
うるさい。




