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千智ちゃんってめんどくさい ①

「っつぅー……」


 ボクシングが終わり、家に帰る。

 殴られたところが痛む。青あざもできていて、やっぱりやめとけばよかったかなと後悔していた。家に帰ると。


「どうしたのその怪我!? いじめられたんですか!?」

「あっ、いや……」


 香織さんがものすごく心配そうに声を上げた。

 そして、あれよあれよという間に手当てみたいなことをしていた。ガーゼで青く痣になった場所を保護し、回復を待つ。

 慣れないボクシングだから殴られたところが痣になってるのかな。ヘッドギアとか何もつけなかったし八重ちゃんものすっごくパワー強かったし……。


 腕にも痣ができていて、包帯をぐるぐる巻きにされる。


「やはりいじめられてるのですね……」

「いや、いじめられてはないです……」


 俺は今日やってきたことを順々に説明したのだった。

 ボクシングで本気で撃ち合って出来た傷ということで納得してもらう。どうやらこういうスポーツには理解があるようで、怪我がつきものだと言っていた。

 

「ところで千智ちゃんはまだ帰ってきてないんですか?」

「一緒じゃないの?」

「はい」

「じゃあまだ帰ってきてないですね……。最近、帰ってくるの遅くなってる気がするんですよ千智」

「あー……」


 まだ受け入れられないんだろうな。百花ちゃんのこと。

 ものすごく怒っていたようだし、まだ許せてないのかも。だから帰りを遅くするという子供じみた対抗策を使っているに違いない。


「なにかあったの? 千智と喧嘩でもしましたか?」

「俺……私とじゃないですけど……」

「……道彦さんと?」

「……道彦さんたちが百花ちゃんのことずっとひた隠しにしていたことにまだ怒ってるようで」

「それですか……。それにまだ怒っていると。最近、話してくれなくなりましたからね。それが原因で……」


 香織さんはほほえましいように笑っていた。

 でも、香織さんも百花ちゃんの事は知っていたんだよな。百花ちゃんが勝手に出てきたときに涙を流して抱き合っていたし。

 その点でいえば同罪ということにはなりそうなものだが……。まぁ、多分それ含めて千智ちゃんは今の万家に不満と疑問を抱いているんだろう。だが自分がまだ何もできない子供だとも理解していて動けていないんだろうな。


 こう、なんか関わってくると理解してしまう。年頃の女の子の面倒くささ……。千智ちゃんの面倒くささ……。そこもちょっとかわいいけど。

 

”ピリリリリリリリ”


 と、電話の音が突如として鳴り響いた。

 香織さんがごめんねと一言謝りを入れ、電話に出ると驚いたような声を出していた。そして、はい、はいと言ってすぐに行きますと言っていた。

 道彦さんか千智ちゃんに何かあったんだろうか……?


「千智迎えに行ってきます!」

「なんかあったんですか!?」

「その……今手が付けられない状態らしく……」

「お、俺も行きます!」


 手が付けられないって……事故にあって手が付けられないとか!?

 それは心配過ぎる! どこにいるかは知らないけど千智ちゃんの身に何かがあったに違いない!










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