当たり前のように会話できてるんだけど何?
「ついに私の正体を知っちゃったね……」
と、開口一番なんか変なことを言い出す百花ちゃん。
なんで当たり前のように話せてるんだろうか。以前はこんな頻繁に出てこなかったというか会わなかったって言うのに。
やはりそういう認識があると出てきやすくなるんだろうか。
「ふっふっふ。私は本当に妹だったのですよ音助さん」
「何当たり前のように俺と会話してるんだお前は」
「だって音助さんは私だし私は音助さんだから」
「理由になってねえ……」
カラオケをひとしきり楽しんだ後、帰って寝たらこうだよ。
俺これちゃんと寝てる扱いになってる? 脳が覚醒状態になってるから明晰夢を見るのはあまりよくないという話を聞いたことがあるんだけども。
「音助さんが私の存在に気づいたのが大きいかなぁ。私も一応、存在とはしているみたいだし? 幽霊なのかよくわからないけどなんか音助さんの中にいるんだよねぇ」
「怖いよ……」
「そんな怖がらないでよー傷ついちゃう。悪霊ってわけじゃないんだしいいじゃん? 私は表に出れないみたいだし」
「不思議なもんだな」
「音助さんの烏鷺さん?って人もすごいね。私がいるのを見抜いてたし」
そういや魂が二つ同居してるとかなんちゃら言ってたような……。
うーむ。本当にあいつは魂とかそういうのが見えてるのだろうか。この世にはわからないことだらけでちょっと怖いよ……。
「……百花ちゃんはさ」
「なぁに?」
「俺が中に入ってて嫌じゃない? 俺男だし……」
「……自身が男だと思ってる人が女の子になってどぎまぎするシチュエーションってよくない? TSものだとありきたりだけどそのありきたりがいいっていうか」
「何を言ってるんだ?」
「音子だと思ってるのに男友達が急にかっこよく見えてきちゃって俺は男、俺は男って言い聞かせるけど恋する気持ちには逆らえなくて……”今の俺は女の子”って最終的に認めて恋仲になっていく関係ってTSものしかできなくない?」
「何を言ってるんだお前は」
「それを私の体でみれるなんて超お得じゃない?」
何を言ってるんだ?
「っていうかなんでそんなオタクっぽいシチュエーションが……」
「まだ意識とかあったころにひたすらそういうジャンルを読み漁ってたから……」
「えぇ……」
「私はもう立派なオタクなのですよ。ふふん」
威張ることじゃないと思うけど。
「まぁ、私の中に入っててもいいよ! 音助さん優しいし。でもさぁ、もうちょっと私の体でえっちぃことしていいんだよ? なにもしないからちょっと私に魅力がないのかって不安で……」
「……俺が起きてるとき意識とかあるの?」
「視界とかはなんとなくわかるよ? 同じ景色を見てるわけだし」
「……」
猶更できねえよ!
百花ちゃんがいるってわかった以上そういうことするのにもっと罪悪感湧いてくるし、こうやって話せる以上もうできないっていうの!
世の中の男の子はばれないように自家発電とかしてんのにさ!
「遠慮させていただきます……」
「えーっ! 私の体で喘ぐ音助さんが見たいのに!」
「嫌だよ! っていうかお前なんでそういう方面も詳しいんだよ! 箱入りお嬢様だしR18ものはお前の年齢じゃ見れねえだろ!?」
「年齢確認がないのって便利だよね」
こいつ年齢を詐称してみてやがったな……?
「私は千智みたいにおしとやかでもしっかり者でもないからね。ふふん。私が生きてたら千智は私を見てうわぁってドン引きしてただろうよ」
「それ自覚あるんだ」
「千智はこういうのあまり見てなさそうだし疎いでしょ」
「確かにそういうの見てる様子はないな……」
千智ちゃんの趣味とか知らないし。
「……ねぇ、起きたら私と入れ替わったシチュエーションみたいな演技しない?」
「なんで?」
「ドッキリっていうの? そういうの好きでしょ?」
「まぁ嫌いじゃないけどさすがにそれは人としてダメじゃない?」
「そお? あ、っていうかそろそろ目覚めそう。んじゃ、また明日……ってえ?」
目の前から百花ちゃんが消えた。
その瞬間、俺の視界がどんどん開けていく。が、体があまり動かない。というか動かせない。
「あれ? 私のほうの意識が出てきちゃった?」
……えっ?




