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スピリチュアル女

 俺の彼女を名乗る人物が現れたという。


「ねぇ、彼女いたの? いたんなら彼女さんにちょっと申し訳ないんだけど……」

「いや……彼女いない歴が年齢だから俺……」


 女の子とは普通に話していたほうだ。だが、恋愛まで行くとなると話は変わり、良い人なんだけどちょっとといわれるのが俺だった。

 だから女友達はいても彼女はいない、そんな人生を今まで歩んでいた。

 だからこそ、彼女と名乗る人物がちょっと不気味すぎる。


「え、お姉ちゃん彼女いなかったの? じゃああの人誰……?」

「わからん……。とりあえず俺の彼女を名乗るやつが来たら気を付けておけよ」

「いや、今家におるんやけど……」

「えっ」


 俺は家の中に入ると、見知らぬ女の子が座っていた。

 ずずーっと紅茶を一人優雅に飲んでいる可憐な女の子。俺の彼女……ではないがどこか見覚えがある雰囲気だった。


「来ましたね、音助さん」

「えっ?」

「ふふっ、女の子になったところで私の目はごまかせませんよ」


 なんで俺が女になってること知ってんだ?

 俺は頭を精いっぱいフル回転させ、目の前の人物を思い出そうとする。が、なかなか思い出せない。だがどこかで会ったような記憶はある。


「ふふ。まさか女性になっているとは。中学時代はあんなにやさしくしてくれたあなたが」

「中学時代……? アーーーっ! お前か、スピリチュアル女!」

「ふふ」

「スピリチュアル女?」

「自分には幽霊や人の魂が見えるとかのたまってた女だよ! 中学んとき俺以外はみんな不気味がって話そうともしてなかったんだけど……」

「あなただけは話してくれた……。それがたまらなく嬉しかったの」


 スピリチュアル女、名前は烏鷺うろ あきら

 オカルトが大好きでそういうものを見るとのたまっていたオカルトスピリチュアル女。俺は当時はそんなの全く信じていなかったし、差別するのもどうかと思っていたので俺は普通に話していた記憶がある。今はちょっと怖いけど。


「あなたの彼女になりたいと常々思っていたわ。でも……高校は別々になってしまった。大学も……だからこそ、ほかの女狐にとられないように彼女を名乗ることにしたの」

「犯行理由が怖すぎる……。というか俺がよく音助だってわかったな……」

「私は人の魂が見えるの。あなたの魂は音助さんのように澄んだ魂。ほかの魂が同居してるのがむかつくけど……」


 こわっ……。

 千智ちゃんも思わず声を失っていた。


「ふふっ、でも女の子になったって変わらないわ。私と愛をはぐくみましょう? あなたは男の子なんだから私と愛をね……」

「えっ、あっ……」

「だ、ダメ! 今音子は女の子なんだから!」

「でももともとは男性だったのよ。まだ精神は男性……。そこを考える必要もあるのではなくて?」

「うぅ……」

「さぁ、こちらへいらっしゃい。音助くんならなんでもしていいよ。私はありのままの音助くんを受け入れてあげる」


 と、両手を広げて誘うような笑いを浮かべて手招く烏鷺。

 なんだろう。いきなり修羅場が始まったような感じ。俺としては心がまだ男だからというのはあるが……。


「あの、正直言うと今のお前怖いから嫌だ……」

「ふふ。照れ隠し?」

「マジで怖いんですけど……」


 ちょっとどころかかなり怖い。

 たしかにこれは子供のころ関わってたら不気味で関わりたくない人物だ。余計に悪化してる気がする。小さい頃の俺なんで優しくしたんだよ。


「そう。でも私は諦めないわ。音助くん、いつでも私のところに来ていいんだからね。これ、連絡先だから」


 そういって烏鷺は立ち上がり、つかつかと出て行ってしまった。


「な、なんなのあの子……。怖い……」

「あのまままじで成長してんの怖いな……。大人になったら変わると思ってたんだけど」


 












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