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可愛くなりなさい

 俺は井達ともよく話すようになった。

 井達からおすすめされるアイドルのMVを見てみると確かに可愛いし歌がうまい。みんなきゃぴきゃぴしててすっごい可愛い。

 アイドルの趣味はいいでやんの……。井達は俺を完全に同類のオタクとみてる。間違ってはない。俺もアイドルに目を向けてないだけで音楽は好きだから……。


「んん~っ、ユキあれから犯人見つけられたのかな」


 俺は自分の部屋でパソコンでアイドルの動画を見ながら、ユキが犯人を見つけられたかどうかを考えていた。

 正直言って俺の証言では弱すぎるので普通に見つけられないと思う。あとでユキは見つけられなかったと謝ってくるかもな。律儀だし。

 実際閉じ込めてるところを誰も見てないだろうしな……。


「ま、休日くらいは考えなくてもいいだろ。音楽のMV漁って……」


 と、動画サイトの検索欄をクリックした時だった。


「音子! 買い物行くよ!」

「…………うっす」


 テンション高い千智ちゃんに買い物行くと言われてついていくことになった。

 車に乗り、運転手の方が運転し向かった先は若者が多い渋谷とか。どうやら千智ちゃんの目当ては服らしく、ものすごく高そうなデパートのアパレルショップに入っていった。


「ねぇねぇ、この服どう? 可愛い?」

「いいんじゃないですかね……」


 俺に服が可愛いとかどうとか聞いてもわからん。服に金をかけたことはないし……。良し悪しが分からんから可愛いというしかないでしょう。

 俺の返事に不満を持ったのか、千智ちゃんは不服そうな顔だった。

 だがしかし。


「……私が判断すればいいか。同じ顔がいるんだしね」

「ん?」


 ということで、なぜか俺が試着させられた。

 初スカートなんですけど……。スカートってこんな防御に心もとないの? これを履いて通学している子もいるってマジですか。

 桐羅は女性でもズボンだから助かってたのに。なんでこんなところでスカート……。


 こんな女々しい格好今までしたことないからちょっと恥ずかしい。


「お、俺が着る必要はないのに……」

「ふむふむ。あ、これ私に似合うな~。買いだね」

「聞いてます……?」

「いやぁ、同じ顔がいるってこういうこともできるから便利だねぇ~。あ、音子も服買ってあげる。何がいいかな~?」


 聞いてませんねこの人。


「音子もいい加減女の子の格好させたいし、普段着も一新させちゃうか」

「ちょっと待って、その短すぎるズボンなに!?」

「ホットパンツだよぉ。ちょーっとカジュアルすぎるかな? でもこういうの似合いそうだし、私がしないファッションをさせたいねえ」

「お、俺は別にTシャツとズボンでも……」

「それは私が許しません。私の見た目だから可愛くあって!」

「えぇ!?」


 千智ちゃんは次々と服を籠の中に入れていく。


「あ、あの、そんなに買ったらお金が」

「うち金だけはあるから」

「しまう場所も……」

「クローゼット用に一部屋あるから大丈夫。私と共有できるのも強みだよねー」


 抵抗むなしく俺が着る服もぽいぽいと買われていく。

 ま、まぁ着なければいいんだ。買ってもらって悪いけど俺は着ない……。


「前の服は処分しないとね。ボロボロだし普段着もなんていうか私に似合わないしね」

「え゛」

「全処分だよ! こうでもしないと着ないでしょ」

「ご慈悲を……」

「音子ももう女の子なんだから可愛くなりなさい!」

「なんでそこでキレられるの!? 俺一応男の子なんですけど! 女装趣味はないんですけど!?」

「……音子って枯れてるの? ふつうそういう願望持たない?」

「……枯れてはない、はず」

「私の体でえっちぃことするところも見てないし……。私に遠慮してるだけかもしれないけどそういうことしないの?」

「……しない」

「……ご老人?」


 いや、ただなんかそういう意欲がないっていうだけで……。


「じゃ、飛び切り可愛くなって自分に萌えさせるしかないね! 私でそういうことしてもいいから!」

「どういう許可なんですかそれは!?」


 するつもりないって! 戻れなくなりそうだから!

 いやもう音子には戻れないけど……。









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