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説明をさせてくれ!

 俺は落ち着きを取り戻し、話を聞いてみることにした。


「まず私は(よろず)家の万 道彦という。よろしく頼む」

「よ、よろしく頼んます……」

「私は万 千智(ちさと)でーす! よろしくね!」

「えと……榎田 音助です……」


 万……。どこかで聞いたことがあるような。

 俺は聞いたことある名前を思い出そうとしながら道彦さんの話を聞いてみる。


「まず、君を轢いてしまいすまなかった」

「あ……いや……」


 俺はそういうこと聞きたいわけじゃなくて。


「まずその身体はうちの娘のクローンなのだ」

「……クローン?」

「ああ。小さい頃娘の遺伝子を採取しクローンとして作っていた」

「……なにそのSFみたいなやつ」


 娘のクローン? 俺はその千智ちゃんのクローンになったってこと?

 

「そのクローンに君の脳を移植した。脳は無事だったから一か八かだったのだが」

「えと……じゃあ俺が千智ちゃんにそっくりなのは俺がその子のクローンに……」

「お恥ずかしながら……」


 そんなことできるんだ……。

 俺が千智ちゃんとそっくりなのは元々千智ちゃんの遺伝子でできたものだから。なんかこう聞くとめちゃくちゃ気持ち悪いな。


「だからってクローンに俺の脳を移植って……生命倫理として破綻してんだろ……」

「……すまない」

「いや、まぁもうそれは一旦受け入れるとして……。俺はどうなんの? このまま病院に幽閉?」

「いや、通常生活を送れるようにサポートする」

「あ、そうなの? よかったぁ。俺バンドしてるからこのまま幽閉されたらメンバーに……って大学いけなくね?これ……」

「あぁ。君の身体の年齢は娘と同じ16歳の高校二年生なのだ」


 高校生……! 俺と年齢差はほとんどないけど……。


「だから君も高校生に戻ってもらう」

「うせやろ」

「榎田 音助という男の子は事故で死んだ。君は今から千智の双子の妹として過ごしてもらうことになる」

「うせやろ?」

「本当にすまない……。ただ、名前は俺ではなく君につけてほしい。自分の名前を」

「いやいやいや、ちょっと待たんかい! バリバリ話進んでるけど俺ひとっつも納得できてねえよ!? 俺のバンド生活は!? 売れなくてもアニメのOP一つは任せてもらえるようなバンドになりたかった俺の夢は!?」

「すまない……」

「すまないだけで済まそうとしてんのなんだよあんた!?」


 それだけで乗り切れると思うなよ!

 俺じゃなきゃガチギレもんだろ。いや、まぁこうやってどんな形であれ生き返ったのは儲けもん……儲けもんかこれ。


 まぁいい。

 名前か。万……。


「はぁ……。じゃあ名前は万 音子(ねこ)でいいよ」

「音子……。承知した。君は今から万 音子だ」


 ということになった。

 俺の今後はどうなるんだろ……。俺のバンドメンバーとか大学とか親とかいろいろ心配なものもあるが……。

 とりあえずそれは道彦さんがいろいろしてくれるんだろ。


 俺はとりあえず現実逃避として眠ることにした。

 どうか悪い夢でありますように。









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