ディザスター
ー翔目線ー
華凛ちゃんは僕に向けて手を開き何かをつぶやいた。
『ヒーリング』
俺はもう死ぬのか。なんかよくわかんないことを言っている重傷者二名に囲まれて。
思い残すことはたくさんあるがもうこの際どうでもいいか。せめていうのであれば、、、いや、この際どうでもいいか。
華凛ちゃんの詠唱?が終わった後、俺の体と華凛ちゃんの手の間には緑色の小さな粒のようなものが飛び交っていた。
そこで俺はあることに気づく。身体から痛みが消えていた。なんか死ぬ寸前って何も感じなくなるんだったっけか?これで苦しくなく死ねるか。ていうか恋、もう少し悲しんでくれてもいいんじゃないかな?幼馴染の死に際に涙一つないのはどうかと思うよ。
「・・・恋、華凛ちゃん・・・をよろしくな」
俺は最後の力をふり絞り言葉を放つ。
「早く立てよ」
は?いやいくらなんでもさ、確かにいじったりするのは好きだったよ?少しは嫌な思い出もあるかも知れないけどさ、「早く立てよ」はさすがにやばくないかな?
「ごめんね、翔君。初級じゃさすがに完全回復はしないか」
そういえば、いつの間にか血が止まっていたな。あれ?もしかして治癒魔術をしてもらえたのか?
その瞬間修司は意識を取り戻し、ある部屋へと入っていく。
「追おう!」
恋は俺たちにそう言うと全速力で修司を追った。
俺は華凜ちゃんの手を引き、恋のあとを追おうとしたが、手を横に伸ばしたときには10mは前にいた。俺は切り替えて、二人を追う。
廊下は長かった。いや、長かったのではない。長く感じたのだ。たしかに俺はさっき死んだはず。この世のものではない力に生き返らせてもらった。かと言って、気持ちは回復しない。どこかなくなったような感覚に襲われ、走る足を止める。もう一度死んでしまうのではないだろうか。二人は不思議な力を持っている。華凜ちゃんが魔術を使えるのは知っていた。けどなんで恋まで使えるんだよ。別に嫉妬しているわけではない。今のままではおいていかれる気がして怖いのだ。俺もなにか力があれば・・・
「やめろ!」
恋の声で俺は夢から覚めた。三人のいる部屋に少し遅れて到着する。
その部屋はただ広いだけの何もない部屋だった。
入口付近に俺、恋、華凜ちゃんが並び、中心に修司が立って、何かを唱えていた。
ー恋目線ー
修司は部屋の中心で何かを唱えていた。
僕は一瞬でそれが何なのかわかった。召喚魔術だ。
修司の足元には召喚用の魔法陣があった。
前に華凛に聞いた話だと、魔法陣が大きければ大きいほど強力なモノが裏の世界から召喚されるようだ。
ー数日前ー
「おばあちゃんに聞いた話なんだけどね、この世界には主に回復、召喚、攻撃、防御、捕虜の5つ魔法があるんだって。その中で一人ひとり得意なやつがあるんだけど、ほとんどの人間は気づかずに死んじゃうんだ・・・」
「それでね!私は回復魔法が一番得意なんだ!」
「僕って何が一番なんだろ・・・」
「恋は、多分攻撃だね!」
「攻撃・・・」
「攻撃は5つの中で一番種類が多い魔術なんだ!」
「本当に?!」
「うん!だから結構使える人少ないんだよ」
「そうなの?」
「何を使えるかは、生まれたときに決まるんだけど、防御、回復、攻撃、捕虜、召喚の順番で難しくて使える人が少ないんだ。」
「召喚が一番難しいんだ・・・」
「一体だけでも地球を滅ぼせる可能性があるからね」
「そんなに?!」
「一回使うだけで魔力を使い切っちゃうんだ。だから日本に十人いるかいないかだね」
「魔力ってどのくらいあるかわかるの?」
「わかるよ!恋は・・・」
急に華凛が青ざめた顔をしていた。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
僕は気になったが、あまり深掘りするのはやめようと思う。
ー今ー
「修司さん!詠唱を止めてください!」
「”!(#&’$’(”&$!(#”)!’#」
「あなたの体内から永遠に魔力がなくなってしまいますよ!」
「・・・」
僕がそう言うと先程まで青く光っていた魔法陣の光が消えた。詠唱をキャンセルしたんだ。
と思った瞬間、魔法陣の上に、カイブツが現れた。
赤い肌、左側に3本、右側に3本、頭の上に1本、計7本の腕、3つの頭、4本の翼、4mはある身体、本物のカイブツがそこにいた。その男が口を開いた。
「我が名はぅ、ディザスターの一人ぅ火災のフレアだぅ!」
そう、まさかのハムボだったのだ。




