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あなたがそうおっしゃったのに。  作者: 友坂 悠


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迎賓館。

 そこは王宮の敷地のすぐ隣に隣接している迎賓館。

 王宮の中にもそこそこ人が集まれる場所もあるけれど、通常国内の大きな催しや国家行事、外国からの賓客の歓迎式典などもこちらで開催されていた。

 今回の第二王子の婚約披露パーティーも、国際行事なみにこちらで大々的に開かれるわけだけれど……。


 貴族院の卒業パーティーもこちらで開かれるからか、大概の貴族でこちらに来たことのないものは居なかった、けれど。初等科しか出て居ないエーリカにとってみればこんな場所、一生来ることがない場所、と、そう認識していたのに。


 日中に開かれる祝宴も多いけれど、本日は夜会の形式をとっていた。

 夕暮れ時の薄暗くなっていく時間帯。多くの馬車が大通りをひしめき合う。


 白亜の大門を抜けさらにしばらく行ったあと、ジークハルトとエーリカの乗った馬車が止まった。

 馬車回しに停車したその黒塗りの馬車を数人の侍従達が出迎える。

 さっと先に降り立ったジークハルトがエーリカに手を差し伸べ、その手をとって真っ赤なベルベットの絨毯の上に足を下ろすと。

「さあ、行こう。私のかわいい奥様」

 そう耳元で囁くジーク。


(なんだか調子が狂います……)


 そんなふうに困惑して。なんとか彼にエスコートされながら廊下の真ん中を歩く。

 ふわふわな足もと。ヒールが歩きにくくてもつれそうになるのをなんとか抑えて、気をつけて歩くので精一杯なエーリカはそれだけで疲れてしまっていた。


 まともに歩くのもままならない。

 そんな女性は多分自分だけ。


 それが恥ずかしくてもっとちゃんと練習しておけばよかったと、世のご令嬢方はなんて努力をなさっているのだろうか、と。

 そんな反省や尊敬の念で頭の中がいっぱいになっていた。


 普段、ぺたんこ靴しか履いてなかったのがいけなかった。

 侯爵夫人やヴェネッサを見習って、お屋敷でもいつもちゃんとヒールの高い靴を履いて練習すればよかった、と、そう。

 メイドをしているときは動きやすいぺたんこ靴なのが当たり前で、貴族のお嬢様方はちゃんとヒールの高い靴を履いているって言うのを忘れていた。

 いや、結婚披露の宴の時にはちゃんと白いハイヒールを履いたのだ。

 まああのときはほとんどひな壇の上に居ただけで、ほとんど歩いてはいなかったのだけれど。


 そんな事をぐちぐち考えている間に会場についていた。

 大きく広いそこ。

 この迎賓館にはこうした広い会場がいくつかあるらしいけれど、ここはの中でも一番大きい場所で、五階建ての白亜の建物の最奥、ドーム状に広がる天井には無数のシャンデリアが設置されて、まるで昼間のような明るさで会場中を照らしていた。


 ジークハルトにエスコートされるまま、なんとかかんとかしゃなりしゃなりと歩くエーリカ。

 やっと少し歩くのにもなれてきたと思ったところで、国王夫妻、スタンフォード侯爵夫妻、そして、本日の主役、ナリス・ド・アルメルセデス第二王子とアナスターシア・スタンフォード侯爵令嬢の入場が告げられた。

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