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ぼくの大事なセンパイ  作者: ふしきの
ぼくの大好きなセンパイ
9/31

コンミタ

 二条さんの家は別格。

 お山一つが敷地内。

 

 そこに、ヒトツフタツミッツとお家騒動があるのもさもありなん。


「『名はいちひくいち』そのあざなは、よおくよおく考えて、軽くは申してはいけません。字とはあなたそのもの……」

 


「髪の毛のことを姑息に言うので煩いので剃りました。眉毛が、違うとかも先読みされそうなので剃りました。まつ毛が抜けないので仏壇のロウソクで燃やそうとしたら母に泣かれましたので、最終的にこうなりました」

「……」

 先生と生徒全員が眉までない怖い顔を見て、微動だにできない状態でホームルームが終わったという噂は、ぼくの低学年クラスにも遅れて聴こえたほど。

「あんな恐ろしい子見たことがない」

 担任の先生と副担任の先生と同学年の先生たちは全員辞表の書き方を検索したとかも聞いたような気がします。


 

「で、結果は最悪です」

「おれも同意見だ。お前が古典及び漢詩、そして現代文に至るまで、作品中のものがたりにおける寄り添いが欠落している回答にポイントがつくことはない」

「そうですね。今から遅いでしょうが、方向を変えましょう覚悟してください」

「だな、公式が得意で分析のポイントが付く記述式ならそれもありだ」

 中学生のおかっぱと、つるつる坊主が睨み合っている駅前の書店前のくだりはこれです。

「外国語の選択を変えましょう」

「文系科目は捨てて小論文一本化、理系科目の再編をさせよう」

「じゃ、そういうことで」

「承諾した」



 が、センパイの最初のカノジョじゃないの?

「ちげーよ。あれは、そうだな、いわば戦友ってやつだ」

 おかっぱのカノジョは面積と体積の初歩でつまづいていたときに、角砂糖と砂糖袋、長財布とセンパイの持っていたこぎたない巾着袋の目で見る変化で笑ったという。

「だからよ、パックチーズの六分の一が琵琶湖の大きさ」

 って、ところがツボったらしい。

「覚えてねえわ」


 ナオさんは、たぶん看護系だと思うが気がつくといない。

「元の鞘に戻ったんじゃね? 」

 とは言いうが、DVってものは怖いし。

「ま、本人の自覚が分かっているからこわいんだってよ。M男属性とマザコン男にはコリゴリだっていいいつつも、基本あの女、優しいからな」

「え」それ、やっちゃったのの、言葉。

「騙されやすいっていうか載せられやすいんだよ、外科だと、すぐにザクザク切るタイプなんだ。接骨医でグリグリしとけばよかったのに」

 なんか、なんかね。……聞かなきゃよかった。


「カノジョとか欲しいッスか? 」

「どうかな、一緒にいて楽なの? 楽しいとき一緒に笑っているっていいなぁ まあ、オレそういう質でもネエけど ガキの頃、老成って言われたのがスゲエショックでさ、ひねたガキに戻った時にハハオヤどもがスゲエ喜んで笑っていたの覚えてるわ。オレも振り回されやすいのかなぁ」

 ぼくは、どっとなった。

「なら、ぼくは、どうですか。ぼくは、役に立てますか。センパイ、今ならドーンできますよ。ほら、ぼく、夢あるって言ったじゃないっすか」

「交番の警察官? 」

「そうっす。ドーンって立ってて誰でも親切で誰でも尊敬されて、どこにでも駆けつけて、いさかいを割って入るほどの力が」

「は? 」

 今、僕にはある!



「やだ、ラブシーン」

「同性愛ってやっぱり生モノは苦手だわ」

「あたし平気、でも、ゴン太は渡さない」

「ゴンちゃんが、ドブスなあんたを相手するわけ無いでしょが。どけや」

 ナオさんと、横のビッチは誰です。

 で、後ろにいる美少女幼女は。

「なん? おかん」

 絶望的。

 なのをいいことにどさくさ紛れにキスして逃げようとして失敗したところです。


「過失責任」

 違う。

 故意だ。

 恋です。

 こいつはいつも童貞を免罪としていた。

 意図的だ。

 恋による重過失。

 うわあああああ。



「オレはひいじいちゃんの子なんだ。今ある当主におじさん言われるんだぞ。最悪じゃねえ。しかもじいさま俺のこと忘れて死んだ。ハハオヤ、あの人は」

 センパイ、もういいです。

 だから、そういうときは泣いていいです。

 ぼくが、もっと大きくなってもっと大きな体になって、いつか全部包める人になりたいです。

「悪い人は全部取り締まるから。 そしたらもっといい世の中になればいいね」


「そら(空)ぼくのなまえなにもないクウ』聖現はじいちゃんの名前……じいが生まれ変わったと言われたけれど、よく計算してみろ、種は明確だ。じじいの生きている期間との整合性、つまりは、自己の確立、ぼくは、ぼくのナスクリつけられようとしている神秘主義者よりも明確に新しい生き方を行きたい」



 

 寝かしといてやれと、布団が充てられている。


 いつもいつも。

 神童が悪童に変わっても、センパイはぶれない。

 当たり前に火の粉扱い。

 成績は高低差で担任が悲鳴を上げている。

 ぼくは、それを見ていた気がする。

 ずっと、ずっと立っているセンパイを見ていた気がする。

「センパイはなんで赤点とか補修とかないっすか。できちゃうんですか。ぼくが、馬鹿だからですか」

「いつも言っているだろ。オレは二回も同じテストをすることが大嫌いなんだって。しかも、オレは睡眠時間削れない体質なんだ。睡眠時間削るか赤点取るかだったら意地でも覚え込む。オレは、細けえことができねえし、カンニングすることができる器用な体質じゃねえんだよ」

 ぐすん。

「そういや、センパイって雑ですよね。綺麗好きなのに」

「なんで雑巾なんか縫うのか分からんからよ、こんなの適当で当てたらいいのに」

「四隅とバツは鉄則です」

「なんの美学だ」

 センパイは変にツボる。

 ぼくは変に笑う。



「寝てる」

「泣き落ち…」

「警察学校って脱落者も普通に多いだ。こいつは運動と座学の均等が取れる体質だけど、他の分野で不可がかかってんだろうな。まあ、大したやつだよコイツは」

 センパイは僕より背丈がちっこいのに大きいな。












 

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