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ぼくの大事なセンパイ  作者: ふしきの
ぼくの大好きなセンパイ
3/31

なつかれてうざそうな顔で寝る

 50ccの初期モンキーを乗り回してもいっこうに目立たない。それが機械科。

「馴染む」

 という、圧倒的安心感がそこにはあった。



 が、実際は、

「センパイ、すげえ安心感があります」

 と、警察学校の土日申請外泊で突如として入り浸るようになった後輩のほうがうざい。まあ、こいつの人懐っこさは雨の日の犬並みだと思っている。自分が見たことも拾ったこともないが。

 やけにおんぶおばけをしてくる以外は外がないので家の中でもガン無視している。

 うちにはテレビもないし。

 エロ本もこの前捨てたっきり新しいものはない。

 ただしこいつが来ると臭い。

 臭い上に暑苦しいのだ。


 部屋の松脂の臭がとか、ミシン油や、調味料類が充満するのとわけが違う。あのすえた、高校の部室の黴の臭いと男子独特のズボンからくる臭いだ。

「臭い、とっとと風呂に浸かって来い」

 換気。

 洗濯機投入。

 ファン最大。


 その後、外風で風邪をひいて高熱。

「ぼくが、外泊届け出しててよかったです」

 それがおんぶおばけに戻るというルーチン。

「センパイ、ファンヒーター買いましょうよ」

「アンペアが落ちる」

「ストーブ買いましょうよ」

「灯油臭いのが嫌いだし、おれの愛車でポリタンクの買物なんかできねえよ」

「ぼくが運びますから」

「うぜえ」

「……ごめんなさい」

「専門棟に通いだしたら家をあけることも多い。お前だって、春になったらストーブなんかつかわねえだろ、ここ以外で」

「でも、雪っすよ」

「そっか、冷えるのぉ」

「今日は一段と寒いっすね」

 同じ雪を見ている。

 窓ガラスが外気温度の差で白く曇りだした。

 それでも長いこと外を見ていた気がする。

「寒くないっすか」

「足が冷てえ以外は温いよ。あと、ねみぃからおれ寝るわ」

「人間ヨギボーは止めてください。体重! 体重乗せないで。お、重い」

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