表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくの大事なセンパイ  作者: ふしきの
ぼくの大好きなセンパイ
1/31

センパイとぼく

 中学の時に、初恋だと思っていたのがクラブのセンパイだったので、3年生の最終投稿日に初めて告白しようと頑張りすぎた。


 花束とか持っているからかなりビビられたし。

 鼻声と裏声で喉の奥が痺れるぐらいヒリヒリしていた。

 何よりめちゃくちゃ寒いのに顔が火が出るぐらい熱かったのを今でも覚えている。


 センパイは、最後まで告白を聞いてくれた。

 ぼくは最後には泣いていたので、収まるまで待ってくれる余裕も持っていた。

 だって、その日、数十年ぶりの寒波らしかったのを後で知ったほど、目も開けられないのにぼくとセンパイはガン見しあっていたから。



 花束はシオシオになっていた。

「花は嬉しい」

 そう言って持ちやすいように花の茎を半分に折っていた。でも捨てないで持って帰ってくれた。

後で花束買うの恥ずかしくてと思い出したときに「だから一番無難に仏花かよ」そりゃ、花屋の婆も「ええ子じゃねえ」と言うだろうと思い出してもんどり打ってしまった。

「センパイが好きです。センパイにずっとついていきます」

 も、告白というとあれだが、「ありがとな。お前……死ぬ気で頑張ればそこそこいいところ行けるんじゃねえの」との返事だった。

 肩透かしのまま帰るのが嫌だったのでなんとかすがりつきたい。いや、抱きつきたいというか証拠がほしかったんだと思う。


「キスしてください! 」

 は、新雪の雪に体が埋まった。

 殴られると思ったら、足払いされていたのだ。

 ぼんやりと頬をつたう涙が冷たくなっていく様子を肌で感じるのが面白くてずっと曇天の空を見ていた。

「さっさと帰れ。バカが」

 センパイが体を起こしてくれた。

 腰が垂直の時におでこに柔らかいものが当たった気がする。

「お前の勇気に、これで勘弁してやる」

 クソ熱い珈琲缶を投げつけられて出血を貰いつつ握ったぼくと去っていくセンパイの後ろ姿。

 最後の思い出。

 べこべこの珈琲缶は今も大事に持っている。


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ