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キャバリア・スラップスティック  作者: シベリウスP
摂理の黄昏編
167/170

Tournament167 Universe hunting:2(世界を狩ろう!その2:VSエピメイア)

エピメイアはジンとマロンを各個撃破する作戦に出た。エピメイアの『箱庭』に閉じ込められたジンたち『騎士団』だが脱出。遂にエピメイアVSジン、アルケー、マロンによる決戦が本格化する。

【前回のあらすじ】


魔王を倒して魔剣を奪い、『破壊者』として覚醒しかけているジン。だが、精霊覇王エレクラが差し向けた賢者マーリンの手によってシェリーが復活し、魔王形態は解除された。

そしてジンは、復帰した賢者スナイプ、合流したマロンやアルケー・クロウと共に、エピメイアとの戦いに臨むことになる。


   ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


 ズバウウウンッ!


 何物も地上に残ることを許さないほどの烈風と、空気すら焼き尽くすほどの高温の熱波が、僕たちに至近距離から襲い掛かった。


 やがて、爆風が巻き上げた砂塵が吹き払われ、焼け焦げた地表が露わになる。だが、『運命の背反者(エピメイア)』は深海のような瞳で僕たちを見据えていた。


「……エレクラの魔法だけではありませんね?『深淵の魔力』、ジン・クロウがその第一発現者だったのですか……納得しました」


 『大地の守護(ホルストケッセル)』に包まれた僕たちを見て……正確には僕を見て、エピメイアはそうつぶやく。そして、


「覚悟しろ、エピメイアっ!」

 バシュンッ!


 隙を突いてアルケーが空間規定魔法で攻撃を仕掛けるが、エピメイアはするりとそれをかわし、


「私の世界に来てもらいましょうか。『箱庭の風景(ロスト・ホライズン)』!」


 僕たちを彼女の『箱庭』に引きずり込んだ。


「むっ!?」


 僕は周囲を見て唇をかむ。ここにはシェリー、ラムさん、チャチャちゃん、アイリスさん、そしてエレーナ姉さま……つまりドッカーノ村騎士団しかおらず、マロン様やアルケー・クロウとは離れ離れにされていたのだ。


(……アルケーとの連携を恐れているのか。やはりマロン様が言うとおり、エピメイアの死命を制するには、僕とアルケーが協力する必要があるってことだな)


 僕がそう考えていると、


「ジン・クロウ。あなたと言う人物はよくも、いつも私の邪魔をしてくれましたね? 今日こそはその恨みを晴らします!」


 エピメイアが現れて、僕に斬りかかって来る。その攻撃手段を見て、僕はそれが彼女の『偽存在ドッペル』だと見破った。


「……ラムさん、アイリスさん、こいつはエピメイアの『偽存在』だ。周囲を見張れ!

援護攻撃はシェリー、チャチャちゃん、それにエレーナ姉さまにお願いします!」


「分かった!」「任せて!」


 ラムさんとシェリーが答える。幸い、みんなの『大地の守護(ホルストケッセル)』は切れていない。僕は魔剣パラグラムを抜くと、偽エピメイアに斬りかかって行った。


「ふん、『払暁の神剣』を失った英雄は、もはや英雄ではないわ!」


 魔力の剣を振りかぶって偽エピメイアが叫ぶ。僕はその剣先をかわしながら、魔剣をエピメイアに叩き込んだ。


 ズバムッ!

「うむっ!」

 ズドオオーンッ!


 やはりと言うか、偽エピメイアは斬られた瞬間に瘴気を発しながら爆発する。だが、『大地の守護』は『大地の護り(ラントケッセル)』の上位シールドで、精霊覇王エレクラ様の最強シールドだ。物理的な衝撃はもちろん、魔弾や瘴気のようなものすら通しはしない。つまり、このシールドに対しては貫通攻撃は効かないのだ。


「ふむ、さすが『深淵の魔力』の第一覚醒者ですね。だが、偽存在はいくらでも作れます。アルケーを倒すまで、せいぜい楽しく遊んでいなさい」


 次の偽エピメイアが現れて、僕にせせら笑いながら攻撃を仕掛けて来た。


(……マロン様の見立てどおり、エピメイアは僕とアルケーが力を合わせないと倒せないのなら、この状況はマズいな……。何とかこの『箱庭』を解除する方法を考えないと)


 僕は偽エピメイアを適当にあしらいながら、そう考えて周囲を見回した。



「くっ! エピメイアめ、アルケーとジン様を分離して各個撃破し、脅威をなくそうというわけですね」


 マロンは、自分とアルケーが引き込まれた空間に、ドッカーノ村騎士団の姿がないことを見て取ると、すぐに空間の結節を探し始めた。エピメイアがアルケーを倒す前に、何としてもジンとの共闘を実現させねばならない。


「……マロン、エピメイアは俺が牽制する。雑音は気にせず結節を探してくれ」


 アルケーは、一時期は仲間として真理の探究を共にしたマロンが、何を考えているかすぐに分かった。そして法器を右手に乗せて待っていると、案の定、エピメイアが姿を現す。


「……俺とジン・クロウを分離するということは、やはり貴様は『深淵の魔力』を恐れているな?『摂理の二柱』とも言われていた貴様が、何をそんなに恐れている?」


 アルケーがそう問いかけると、エピメイアは幼いが美しい顔を歪めて、


「……なるほど。お前もジン・クロウも、そしてマロンも、まだ『深淵の魔力』の持つ意味を完全に理解していないのね。

 では、それを理解する前に、偽の伝承者であるお前から消滅させてあげます!『禁じられた遊び(ロスト・ワード)』!」


 エピメイアの身体が空色に淡く光る。同時に、マロンが魔法を使った。


「我が魔力よ、かの魔力を糧に、『芽生えの歌』を口ずさみ、息吹を感じて空を目指せ!」


 すると、マロンとアルケーの周囲に翠色の光を放つ草花が現れ、エピメイアの魔法を遮断する。


「……精霊王位を剝奪されても、7千年の時を経ても、お前の魔力は変わらないようですね。マロン、どうしてあの時、私を裏切ったのですか?」


 身体を覆った魔力はそのままに、右手を前に出してエピメイアが尋ねる。


 マロンは、新緑のような髪の毛を魔力で膨らませて答える。


「摂理の書き換えには、魔族の魔力に近い力が必要だと分かったから……かしら?『魔族の掟』に、『魔族は摂理の最後の1ピース』という条項があるけど、それは真実だと分かったから……これで答えになるかしら?」


「魔族は摂理を超越しないけれど、『深淵の魔力』は摂理を超越する可能性があるわ。そんな魔力を持つ魔族の存在こそが、摂理の不完全性の証の一つと思わない?……マロンの言葉では、その掟はそのまま摂理が不完全であることを証明するものよ?」


 エピメイアの反論に、マロンは首を横に振った。


「エピメイア、摂理は今の一見不完全な形で完全なの。そして、完全な形であってはいけないの。だから、『深淵の魔力』があり、それを扱う『繋ぐ者』あるいは『摂理の破壊者』がいるの。永遠は、流転を含むべきなの」


 マロンの言葉を、腕を組んで聞いていたエピメイアは、ゆっくりと腕組みを解くと、


「……『深淵の魔力』は摂理を超える可能性がある。その証拠を見せてあげましょうか」


 そう言って再び魔力を開放する。エピメイアの身体を覆う魔力が膨れ上がり、その光の球は一瞬にしてアルケーとマロンを飲み込んだ。


「今度はかわせないわよ。『禁じられた遊び(ロスト・ワード)』!」

「うっ!?」

「きゃっ!?」


 エピメイアの魔法を受けたマロンとアルケーは、叫びながらも後ろへ跳ぶ。それが二人の命を救った。


 ビュンッ!


 先ほどまでアルケーがいた空間を、エピメイアの魔弾が通り過ぎる。いつの間にかエピメイアは横に移動していたため、そのままその場に居たら魔弾はアルケーの胸とマロンの頭部を貫通していただろう。


「さあ、魔力を封じられたお前たちが、私を相手にどう戦うか、見せてもらうわね?」


 そう言うと、エピメイアはにこりと笑って二人に斬りかかって来た。



 一方で、


「……『摂理の二柱』の魔力を内側から見るのは初めてだけれど、さすがに素晴らしいわ。編み上げの結節が見えないし、何より空間の仕切り自体が生きているみたい」


 『箱庭の風景』の魔力を解析しているエレーナ・ライムは、感心したようにつぶやく。彼女はジンの命令で、術式を解くための結節を探しているのだ。


「くうっ! ちょこちょこ動き回らないでほしいわ!」

 ドシュンッ!


 シェリーが偽エピメイアを弓で攻撃するが、火の魔力を乗せた矢は1本も当たらない。


 いや、シェリーには風の魔力が残っているため、火矢は空中で派手に爆裂して、矢じりの破片や魔力をまき散らすが、それすら偽エピメイアはやすやすと避けてしまう。


 ドムドムドムドムドムッ!


 シェリーの横ではチャチャが、弾速と速射性に勝る狙撃魔杖を連射するが、正確無比のエイム力を持つチャチャですら、偽エピメイアに命中させることはできなかった。


「ふん、弓や狙撃魔杖など、私にとっては児戯に等しいわ」


「やあっ!」

「やっ!」

 シャリンッ、カチィィンッ!


 アイリスとラムが、突進する偽エピメイアに攻撃を仕掛けるが、アイリスの槍もラムの長剣も、偽エピメイアに弾かれてしまう。


「ジン・クロウ、今度こそ命はもらったわ!」

 シュッ! バスンッ!


 疾風のような速さで間合いを詰めて来た偽エピメイアが、電光のような斬撃を放つ。だが、ジンの斬撃はそれよりも速く偽エピメイアの胸元を真一文字に斬り裂いた。


 ズドゥム!


 斬られた偽エピメイアは爆裂して、周囲に瘴気の雲を作る。すでにこの『箱庭』の中には、十数個の瘴気の雲が浮かんでいた。


「くそっ、偽エピメイアのやつ、ジン様以外は敵ではないって動きをしやがる。なんとかここを出ないとじり貧になってしまうな」


 ラムの声には焦燥感がにじみ出ている。今のところ、襲い来るのはエピメイアの偽存在だけだが、シェリーやチャチャの遠距離攻撃に多くを期待できない今、近接戦闘を得意とするラムとアイリスしか、有効な迎撃ができる団員がいない。


 もちろん、魔法を制限されているドッペルは、ジンには全く刃が立たない。それでも、ジンの魔力や体力は少しずつ削られていくのだ。


「とにかく、スナイプ様が結節を見つけるまでの間、偽エピメイアを倒し続けるしかない。アイリス、気を抜くなよ!?」


「はい、もちろんですラム様。ご主人様は守り抜きますっ!」


 ラムとアイリスは声を掛け合いながら、十何体目かの偽エピメイアに突進して行った。


 一方で、


(……置き撃ちを得意とするチャチャちゃんの弾が1発も当たらないということは、エピメイアが先を見越しているか、エピメイアの反射神経がとてつもなくいいか、その両方かだわね……)


 そう考えたシェリーは、チャチャのところに駆けて行って、


「チャチャちゃん、魔弾バレットにショットシェルはないの?」


 そう訊く。チャチャはうなずいたが、当惑した面持ちで答える。


「持っていますが、ショットシェルは弾速も遅いし、威力も低いし、射程も短いから、高速で動くエピメイアの狙撃には向きませんが?」


「うん、だからアタシと連携しよう」


 シェリーがそう言うと、チャチャはポカンとした。狙撃魔杖が発射する魔弾より遥かに遅い矢で、どうやってエピメイアに命中させるつもりなのかと思っている顔だった。


 しかし、シェリーが真剣な顔で、


「狙撃が上手いチャチャちゃんの弾を避けるってことは、エピメイアは魔力で弾や矢の弾道を予測していると思うの。だからアタシがわざとずれた方向に放つから、エピメイアが矢の方向に回避するよう射撃してほしいの」


 そう説明すると、チャチャはすぐさまシェリーの意図を汲んで、


「分かりました、副団長。うまく行くといいですね♪」


 そう笑顔で答えた。


 シェリーも微笑んで、


「うん、お願いね?」


 そう言って、エピメイアの進行方向とは少し離れた場所に矢を放つ。


「任せて、シェリーお姉さま!」

 ドムドムドムドム、ドムッ!


 チャチャはシェリーの矢が飛んで行く方向を見ながら、偽エピメイアに魔弾を放つ。今度の魔弾はスラッグではなくショットシェルなので、途中で弾けて小さな魔力の粒が花開くように偽エピメイアに襲い掛かった。


「ふん、何発撃っても同じだと、まだ分からないのかしら?」


 偽エピメイアが憫笑を浮かべた時、


「行けーっ!『火龍の投網(ドラゴンブレス)』っ!」


 チャチャの叫びと共に、魔弾がパッと花開き、炎の投網となって偽エピメイアを捕捉しようと迫って来た。


「チッ! 弾種を変えましたね?」


 偽エピメイアは炎の網をかいくぐるように動くが、その先々で炎の網が広がる。


「厄介な弾を持っているのものですね? はっ!?」

 バアアンッ!


 偽エピメイアは、目の前で炸裂したシェリーの『烈火の突風(フレイムヴィンド)』に吹き飛ばされた。

 その時、エレーナ・ライムが叫んだ。


「あったわジンくん! これからこの空間を解除するわ!」


   ★ ★ ★ ★ ★


 別の『箱庭空間』では、魔力の発動を禁じられたマロンとアルケー・クロウが、本物のエピメイアに追い詰められていた。


「やっ!」

「むんっ!」

 ヒュンッ! ジャリンッ!


 アルケーはマロンをかばいながら、隙を見て攻撃をかけるが、悉くエピメイアのシールドに阻まれる。


 エピメイアの魔法、『禁じられた遊び(ロスト・ワード)』は、相手の魔力発動を強制的に阻止するものだ。おかげでアルケーもマロンも、魔法を使った攻撃や防御、そして回復などができない状態である。


 魔力は魔力でないと止められない、通常の剣では魔力で作った剣の斬撃は受け止められない。そして『禁じられた遊び』によって術式発動を禁じられたアルケーには、剣に魔力を込められない……だからこそもう一つの理由があって、エピメイアは魔力で作った剣で二人に襲い掛かっているのだ。


 だが、たった一つ弱点があった。それは、この術式は『相手の身体の中にある魔力を消すものではない』ということだ。それに気づいたアルケーは、


(術式として発現できなくても、魔力を伝播させることはできるのではないか?)


 そう考えて腰の剣を抜き放ち、それに自身の魔力を込める。アルケーの剣は青紫の魔力に包まれた。


「……やはり。これでむざむざと倒されはしないだろう」


 自身の考えが間違っていなかったことを確認したアルケーは、


「マロン、俺があいつを牽制している間に、魔法が使えるように何とかしろ! お前、精霊王だったんだから、そのくらいできるだろう!?」


 後ろ手にかばいながらマロンを急かす。


 しかしマロンは、


「この空間自体が『禁じられた遊び』に満ちているから、ここに居る限り術式は使えないわ。この空間を出ないとダメなの!」


 絶望したような声でアルケーに言い返す。


(……ということは、『禁じられた遊び』は奴の規定した空間内でないと発動できないのかもしれないな。だからエピメイアは、いつも相手を『箱庭の風景』で閉じ込めているのか?)


「二人でお話ししている暇はないわよ!?」

 ヒュンッ! ヂイイィィン!

「ふっ……」


 エピメイアはかみ合った剣の向こうで、薄く笑うとアルケーに言う。


「さっき私が言ったことを覚えているかしら?」

「さっき?……『深淵の魔力』は摂理を超える可能性があるということか? それがどうした?」


 アルケーがエピメイアを睨みながら訊くと、エピメイアは満足そうにうなずいて、


「あら感心、覚えていたのね? 私の『禁じられた遊び』は、相手を摂理上魔力を持たない生物の状態にするものよ。この意味、解るかしら?」


 そう問いかける。


(摂理上、魔力を持たない生物の状態にする?……だが、俺の剣にはちゃんと魔法が伝播している。それの何がおかしい?)


 アルケーはいぶかしんだが、『木々の魔力』を封じられているマロンには、エピメイアが言うことの意味が分かった。


「……本来、『なかったもの』にされている魔力が、アルケーの場合、剣に伝播している。

 つまりあなたは、『深淵の魔力』は『禁じられた遊び』でも禁じることができない魔力だと言いたいのね?」


 マロンが言うと、エピメイアは口元をほころばせてうなずく。


「さすがはマロンね。あなたの魔力は摂理に従って、あなたの身体の中でおとなしくしているけれど、アルケーの魔力の一部はそうじゃない。

 だからさっき言ったとおり、『深淵の魔力』は摂理を超える可能性があるのよ。摂理に従わせる私の術式を無視する魔力だもの……やっ!」

「うをっ!?」

「きゃっ!」


 押し負けたアルケーがマロンにぶつかり、マロンが地面に転倒する。


 エピメイアは、アルケーを乱暴に押しのけた後、剣を構えて言った。


「だからその魔力は、この世界にあってはいけないもの。あっていいとすれば、摂理を管理する私かプロノイア(お姉さま)が持つべきもの」


 アルケーは、マロンに手を貸して立たせながら言う。


「……お前の場合は、自分が摂理を超えるために使いたいんだろう? 何せお前は、この世界の摂理を『完全に』したいんだからな?」


「……でもエピメイア、7千年前にも聞きましたが、どういった状態になれば、摂理が『完全』であると言えるのでしょうか?」


 マロンが訊くと、エピメイアは鼻で笑って答えた。


「マロン、それは7千年前に何度も話して聞かせたでしょう?」

「……やはり、あなたはずっと、『永遠』を求めているのでしょうか?」


 エピメイアは、遠い目をしてマロンに笑いかけた。


「……そうね。覚えているかしら? あなた方が私に刃向かう前に話したことを」



 7千年前……それはマロンがまだ木々の精霊王だった時の話だ。先代の精霊王キャロットから精霊王位を引き継いだマロンは、『メロン・ソーダ』と名乗って人間世界で農耕に関する知恵を精力的に普及していた。


 その時、人間にしてはものを知りすぎている少年、アルケー・クロウと出会った。


 この出会いは、アルケーを生み出したエピメイアが仕組んだものであったが、マロンもアルケーもまったくそれに気付かず、互いに相手を気に入った。


 ただし、アルケーの方は純粋にメロンという少女を好きになったのだが、マロンの方はアルケーに対し、『繋ぐ者』なのではないかとの疑問を持ったためである。もし、『繋ぐ者』が現れたのなら、それは『摂理の黄昏』の予兆であり、他の精霊王たちに知らせるべき事項だったからだ。


 結局、マロンはアルケーのことを調べ、彼が何者かによって『練成された』存在であることを突き止めた。しかし、それを精霊覇王エレクラや親友のウェンディに告げる前に、エピメイアのもとを訪れたのが間違いだった。


 マロンとしては、その頃までは『運命の供与者』として姉プロノイアに劣らぬ崇敬を集めていたエピメイアに、アルケーの処遇……マロンは彼をどうにかして『普通の人間』として過ごさせてやりたかったのだ……を相談するつもりだった。


(『摂理の二柱』であるエピメイア様なら、彼が『繋ぐ者』だとしても、『摂理の黄昏』を止める方法をご存じに違いない。いえ、本当に『摂理の黄昏』が来るのなら、アルケーは必要な人材ではないでしょうか?)


 マロンはそう言った気持ちで、エピメイアを彼女の『異界』に訪ねた。


「……話は分かりました。私もその少年に興味がありますし、お姉(プロノイア)様にお話しする前に確認しておいた方がいいと思います。

 その少年はヘンジャーの開墾地にいるのですね? 近々会いに行ってみましょう。その時はマロン、あなたにも立ち会いをお願いするわね?」


 話を聞いたエピメイアは、ラピスラズリのような瞳に優しさをたたえてそう言った。そのことでマロンはすっかり安心しきっていたのだ。


 だが、アルケーに会いに来たエピメイアは、アルケーにかけていた制約を解き、マロンもろとも自身の隠れ家へと連れ去ってしまった。以降、マロンはエレクラたち四神に会うこともなくなり、プロノイアから精霊王位を剝奪されてしまったのだ。


 エピメイアは、マロンの持つ精霊王としての役割……癒しの力を持つ豊穣神であるとともに、生命力を侵奪する死神の役割に注目していた。

 そして、摂理の持つ『不完全さ』をアルケーと共に解明し、新たな摂理を組み上げることが、彼女ならできると信じていた。


 マロンは、そう言った話をアルケーから聞き、自身も『生命の循環』の神秘を解明したいと思っていたため、アルケーに協力することにした。一つは、アルケーに惹かれている自分を自覚したからかもしれない。



「しかし、意外だったな」


 エピメイアのもとでアルケーと暮らし始めてしばらく経った頃、議論の合間にアルケーがふとつぶやいた。


「何が意外だったのかしら? わたくしがここに留まったこと?」


 マロンが言うと、アルケーは破顔一笑してうなずく。


「君は本当に頭がいい。まさにそのとおりさ。エピメイア様から騙されてここに連れて来られた挙句、精霊王位まで剥奪されたのに、俺やエピメイア様を恨むでもなく『摂理の不完全性』の解明に力を貸してくれることを、俺は意外だと言ったんだ」


 マロンはにこりともしないで答える。


「精霊王位を剥奪されたから、帰る場所がなくなっただけよ。それに、エピメイア様と本気で戦って勝てる見込みなんてまずないし。わたくしは無駄なことはしない主義です」


「それにしては、議論するとかなり深いところまで考えているよね? 君がもともと学究肌なのは知っているが、いやいや残った者には見えないな。

 何か別の目標があるんじゃないか? 君をして、精霊王位よりも大事だと思えるような何かがさ?」


 アルケーが緋色の瞳で真剣に訊く。マロンは仏頂面のまま答えた。


「そうね、そのとおりよ。わたくしはキャロット様の後を襲って精霊王位に就かせていただいたけれど、種から芽を出し、茎をのばして葉をつけ、やがて花を咲かせて、種子が実ると枯れてしまう、そんな植物たちを見ていて疑問に感じたの。


 なぜ、繰り返すのか、『繰り返し』こそが生きとし生けるものならば、何故永遠に生きることはいけないのか、そして、そのような『循環する命』であることを、最初の生命たちはどうして選んだか……そんな疑問があったからかしら、ここに残ったのは」


「……ふーん。君には『永遠』は『いけないこと』のように見えたんだね? どうしてだろう?」


「いけないとは言っていないわ、ただ不思議なだけ。家だって、古くなった部材をどんどん取り換えていけば、ずっと使えるでしょう?

 それなのに、生物ってどうしてずっと生きて行くことはできないのかなって。最初の生命が循環を選んだのか、それとも生命って循環するものだと最初から決まっていたのか、どっちだろうって」


 マロンが寂しそうに話す。アルケーはそんなマロンに、優しく言った。


「何でも『終わり』を見るのは哀しいし、寂しいよな。だからこそ、エピメイア様は永遠が成立する摂理を望んでいるんだと思うよ?」


「『永遠』って、『不変』とは違うと思うの。『不変』が規定する世界は、きっと退屈だわ。もっとも、それが摂理なら、『退屈』も感じないんでしょうけどね」


 マロンはそう言いながら、ハッと気が付いた。今までどうして気付かなかったのか不思議だった。


(『永遠に変わり続けること……』って、今の摂理そのものじゃないかしら? え、だとしたら、摂理って不完全なものじゃないってことかしら?)


 同じようなことは、アルケーも気が付いた。


(今の摂理は、『永遠に変わり続けろ……』と言っているのかもしれない。『不変』を望むのは、取り残されるのが怖いという気持ちの表れじゃないか?……だったら……)


「……マロン、俺はちょっと考え事をする」


 アルケーが当惑したような顔で言うと、マロンは満面の笑みで答えた。


「あら奇遇ね。わたくしもちょっと考えをまとめたいと思ったところなの」



「……だからわたくしは、エピメイアが言う、『真実の月』を『虚影の空』に昇らせることはできないと思ったんです」


 マロンがそう言うと、エピメイアはうなずいて


「そうね、私もあなた方から封印された後、ずっと考え続けました。

 『真実の月』は『虚空ヌル』が持つ本質。そして『虚空』からの写像がこの世界で、この世界は『虚影の空』しか持たない。


 虚影は消すことができます。でも真実は消せない。真実は『虚空』から取り出せない……より正確に言えば『取り出してはいけない』のです。

 それを取り出すためには、摂理を超える因子ファクターが必要で、それこそが『深淵の魔力』だと気付きました」


 そう言うと、アルケーを見て笑って言った。


「あなたに『深淵の魔力』が発現したのは、私にとって幸いでした。あなたの素材であるジン・クロウから、『深淵の魔力』を扱う力も引き継いでいるなんてね」


 その言葉を聞いて、アルケー・クロウは眉をひそめた。


「待て、どういうことだ? ジン・クロウの『深淵の魔力』は、俺の血を引いているからこそ発現したんじゃないのか?」


 するとエピメイアは、少し驚いた顔をして、


「何を言っているの? 私があなたを錬成する時に使った素材は、ジン・クロウから搾り取ったものなのよ?『魔族の祖』と言われて何か勘違いしていたんじゃないの?

 なぜジン・クロウが『魔族の貴公子』と呼ばれているのか、そしてなぜ、ジン・クロウは自分より古くから存在する魔族に『掟』を適用できるのかを、考えたことはあるのかしら?」


 アルケーは信じられない思いで振り向いて、マロンに尋ねる。


「マロン。君は俺が人工生命体ホムンクルスだと最初に気付いた。俺の素材について何か知っていないか?」


 するとマロンは、気の毒そうに答えた。


「わたくしはキャロット様の計らいで、ジン様と一緒に7千年前の世界へと飛ばされたことがあります。その時、ジン様は一時エピメイアに監禁されました。場所は、あなたも知っているあの洞窟です」


 その時、エピメイアは笑って言った。


「うふふ、そういうことだから、私に『深淵の魔力』を引き継がせてくれないかしら?」


 そう言った後、急にエピメイアは当惑の表情で言った。


「えっ!? 私の『箱庭の風景(ロスト・ホライズン)』を? 一体誰を犠牲にして、私の術式を無効に?」


   ★ ★ ★ ★ ★


「あったわジンくん! これからこの空間を解除するわ!」


 エレーナ姉さまの声が、エピメイアの規定空間に響いた。さすがは賢者スナイプと呼ばれ、一時は『四方賢者』まで務めた才媛だ。僕が見てもさっぱりな空間結節や魔法の編み込み方を、こんな短時間で解析するなんて。しかも相手は『摂理の二柱』と言われていた四神の上位存在のうちの一人だ。


「何か手伝えることはありますか?」


 僕たちがエレーナ姉さまに近寄って尋ねると、彼女はニコニコ笑いながら、


「シェリーちゃん、ラムさん、チャチャちゃん、それにアイリスさん、エピメイアとの戦いはこれからよ。私の見立てではアルケーとの戦いはないと思うけど、場合によっては戦いが起こる可能性もゼロではないわ。()()()()()()()()()()


 そう言う。なぜか悪い予感がした。

 シェリーやラムさんも、同じように感じたのだろう、


「スナイプ様、何言ってるんですか? アタシたちなんかよりスナイプ様の方がよっぽどジンの役に立つじゃないですか。早くエピメイアをやっつけちゃいましょう!」


「そうです、魔王を倒した今、エピメイアを封印すれば『摂理の黄昏』は止められます。

 みんなで平和に暮らせるときはそこまで来てるんです。一緒に頑張りましょう!」


 そう、エレーナ姉さまに言う。まるでエレーナ姉さまが建ててしまった死亡フラグをへし折りたいというように。


 けれどエレーナ姉さまはそんな二人の声が聞こえないように、


「ジンくん。恐らくエピメイアの全力発揮のトリガーは、この魔法で対象者を閉じ込めることだろうと思うの。だから、空間規定魔法には気を付けて。

 それと、仮にこの魔法に囚われてしまった場合は、ジンくんの持つ『深淵の魔力』が脱出のためのカギになると思うわ、忘れないでね?」


 そう言うと、ゆっくりと右手を上げる。


「エレーナ姉さま!」


 僕は叫び、エレーナ姉さまの魔力発動を止めようとしたが、


「D’e quintos arubareta, siene saruvatos om innguram ici, L’quplle ‘est vanita……」

「いかんっ! 風魔法の奥義『終焉を呼ぶ陣風(ラスト・フィナーレ)』の呪文ですっ! ジン様、こっちへ!」


 エレーナ姉さまの呪文を聞いたラムさんが、血相を変えて僕に飛びつき、無理やり僕をエレーナ姉さまのいる所から引き離す。


「何々、何なの?」


 シェリーは、慌ててチャチャちゃんとアイリスさんを連れて、僕たちを追ってきた。

 僕はエレーナ姉さまの顔を見た。真剣な顔で呪文を唱える姉さまの顔は、今まで見た中で一番美しかった。


「……Asumosu de la Dekeito Wendi Blossom alle Explosion!」


 エレーナ姉さまの声が響く。一瞬、エレーナ姉さまと視線が絡み合ったと思った時、エレーナ姉さまははっきりと僕に対して笑いかけた。


「エレーナ姉さま……」

「風の精霊王よ、その正義をここに示し、破邪の風を以てこの牢獄を吹き払え!『終焉を呼ぶ陣風(ラスト・フィナーレ)』っ!」

 ズバアアンンッ!


 翠に光る風が一瞬でエレーナ姉さまのもとに集まり、物凄い爆風を生んだ。


「エレーナ姉さまああっ!」


 僕は絶叫しながら、エピメイアの空間が風の魔力によって粉々に砕け散るさまを見つめていた。



 エピメイアの空間は砕け散った。跡形もなく消えていた。

 そして、ついさっき僕に笑いかけてくれたエレーナ・ライム……僕の叔母と言われ続けていた姉……の姿もなかった。エレーナ姉さまを偲ぶ縁となるものすら、何一つ残っていなかった。僕たちの前には、『暗黒領域』の毒々しい色をした草木と、赤茶けた岩の転がる大地が広がっているだけだ。


 いや、その向こうに、さっきまで僕たちが閉じ込められていたのと同じ空間が横たわっていた。あそこにはマロン様とアルケー・クロウが閉じ込められているはずだ。


「……そして、エピメイアもあそこにいる……」


 僕はそうつぶやくと、魔剣パラグラムを抜いてエピメイアの規定空間に向けて歩き出す。知らぬ間に僕の身体は翠色のハローを放つ、黄金色の魔力に覆われていた。そして、紫紺の魔力が、まるで立ち上る煙のように僕の身体を取り巻いている。


「ジン……」


 シェリーが追って来て、心配そうに言う。僕は前を見たままシェリーに言った。


「大丈夫だ。怒りで我を忘れたりはしないから……」


 僕の声を聞いて、シェリーは立ち止まる。追ってきたラムさんやチャチャちゃんも、シェリーの顔を見てそこで立ち止まった。シェリーの顔は涙でくしゃくしゃになっていた。


「……ジン、なんでジンが、こんなつらい目ばっかり……」

「シェリー……」

「シェリーお姉さま……」


 そんな3人を見つつ、アイリスさんはほろ苦い顔をして


「……うちはご主人様のお側に参ります。それが自律的魔人形エランドールの務めですので……」


 そう言って、槍を右手に僕の後を追って来た。


 僕はもう、エピメイアの規定空間まであと数歩まで近付いていた。そしてその空間の目の前で立ち止まると、結節なんて関係なく、魔剣パラグラムを空間に突き刺した。


 ドスッ!


 空間のくせに、まるで地面に突き刺したかのような手応えを感じた。


「D’e quintos arubareta, siene saruvatos om innguram ici, L’quplle ‘est vanita.Asumosa de le Dekeitocaesar Erekurah Rock’est alles。土の精霊覇王エレクラよ、盤石のごとき正義への揺ぎ無き信念をもって、不義に満ちた者の編みしこの空間を破砕せしめよ! ステージ5『大地の審判(スーパープルーム)』で!」


 大地の攻撃魔法奥義を完全詠唱でお見舞いした。


 ズゴゴゴゴ……


 魔剣パラグラムを通じて、空間が振動しているのが分かる。僕自身も今まで感じたことがないほどの激烈さで、土の魔力が空間に集結していくのが分かった。


 ゴゴゴゴゴゴ……


 恐ろしいほどの魔力の集積だ。これだけの魔力が一度に炸裂すれば、小さな都市くらいは一撃で消し飛ぶだろう。みんなに『大地の守護』を付与していてよかった。


「みんな、姿勢を低くしろっ!」


 僕が叫び、すぐ横まで来ていたアイリスさんがガバッと身を伏せるのを見た瞬間だった。


 ズドバアアアンッ!


 空間が一瞬光り、そして轟音と共に空間を切り分けていた次元の壁が吹き飛んだ。



「……ジン様の魔力だわ……」


 エピメイアの『箱庭の風景』に捕まっているマロンは、すぐ前で剣を構えているアルケー・クロウにしか聞こえないような声でつぶやく。


 アルケーも小さくうなずくと、


「……かなり強力な魔法を使ってくるみたいだな。まともに受けて俺たちは大丈夫か?」


 そう訊き返す。


 だが、答えたのはマロンではなくエピメイアだった。


「……これはエレクラの術式ですね。恐らくは奥義『大地の審判(スーパープルーム)』を完全詠唱で叩き込んでくるのでしょう。四神に愛でられし『伝説の英雄』が『摂理の破壊者』になるのは、運命の皮肉でしょうか?」


 そう言うと、自身とマロン、アルケーに対してシールドを付与した。

 その瞬間、空間が膨張し、まばゆい光と共に内部から炸裂した。


「……これが、エレクラの術式の完全詠唱……私の空間規定は、もっと堅固かと思っていましたが……」


 シールドに包まれて立つエピメイアに、アルケーがマロンを支え起こしながら訊く。


「なぜ俺たちを助けた?」


 エピメイアは、冷たい声で訊く。


「マロンはどうしたんです? シールドが裂けでもしましたか?」


「いや、爆風でひっくり返っただけだ。それより、なぜ俺たちを助けた? あのままにしておけば、俺たちは今の術式で木っ端微塵だったはずだ。

 お前が目の上の瘤にしている俺たちを、手も汚さずに始末できるはずだったと思うが?」


 重ねて訊くアルケーに、エピメイアは上機嫌で答える。


「あなたたちは……まぁ、ジンもそうなんだけれど、自分の手で始末したかったからよ。それに、あなたとジン・クロウの『深淵の魔力』の違いを見てみたいしね?」


 そして、視線をジンの方に向けて笑う。


「よく私の『箱庭の風景』から抜け出しましたね? あの術式は、誰かの命を捧げないと解けないようになっています。誰を犠牲にしましたか?」


 ジンが黙ってエピメイアの方へ歩き出す。それをアルケー・クロウが止めた。


「待て、ジン・クロウ。軽々しく近づくな。俺たちと共闘する約束はどうした?」


 ジンは立ち止まると、緋色の瞳をアルケーに向けて言った。


「……そうだったな。俺一人ででも片付けられる奴だと思ったから、つい逸ってしまった」


 そう言っているところに、アイリスが追い付いてきた。ラムとシェリーとチャチャは50ヤードほど後ろにいて、今合流のために走り出したところだった。


「まあ、まずは雑魚から始末しましょうか」


 エピメイアはそう言うと、アイリスに顔を向けて瞳を光らせる。


「あっ!?」


 アイリスは一声叫ぶと、いきなりガシャンっと音を立てて地面に崩れ落ちた。


「アイリスさん、どうした!?」


 ジンが抱え起こすが、重力対抗装置が壊れたのか、機械本来の重さになっていた。髪の色も白くなり、眼を覗き込んでも虚ろなままだ。どこかの回路がやられたか、マナを強制的に発散させられたか……とにかく早急な戦線復帰は不可能と思われた。


 ジンがアイリスを抱えているとき、


「ふん、あなた方にはこれをお見舞いいたしましょう」


 エピメイアはそう言うと、駆けて来るシェリーたちに向かって無造作に魔弾を放つ。


 バシュッ!

「攻撃だ、散開しろ!」


 ラムはそう叫びながら、チャチャを抱えて左へ、シェリーは両手に短剣を構えながら右へと避けた。


 ズドゥムッ!


 魔弾の着弾音と地響きで、ジンは顔を上げる。そしてその瞬間を見た。


「チャチャ、ここから援護してくれ。『雷楔転移スパークムーヴ』っ!」


「邪魔よ」

 ドムッ! チュイーンッ!

「あうっ!?」


 チャチャを下ろし、瞬間移動を狙ったラムを魔弾が捉えた。ラムはどこに被弾したのかは分からないが、妙な声を上げて後ろに吹っ飛ばされる。


「あっ、ラムさんっ!」


 チャチャは無意識にラムの方へ駆け寄った。


 エピメイアは駆けて来るシェリーを見ると、ニヤリと笑って、


「ふふっ、『乙女』はまだその時じゃありませんよ?」


 そう言いながら、『箱庭の風景(ロスト・ホライズン)』を発動した。



「ああっ! 消えちゃった!」


 シェリーは、目の前でジンやマロン、アルケー・クロウがエピメイアとともに消えるのを見て、思わず叫んでしまった。


「さっきのと違う。さっきのはこの場に規定空間を展開したのに、今度はいなくなるなんて……あ、あれは!?」


 シェリーは、地面に誰かが倒れ込んでいるのを見つけて、一散に駆け寄る。そこに伸びていたのは、深紅のメイド服を着た少女、アイリスだった。


「うそ、やられちゃったの? アンタ、ジンを襲ったくせに、仲間になって活躍もしないで壊れちゃうなんて、そんなこと許されないんだから!」


 シェリーは悪態をつきながら、サッとアイリスを観察する。どこにも傷はない。服も破れていない。ということは内部機構の故障か、マナの発散だろうと思われた。


「シェ、副団長!」


 そこに、チャチャが駆け寄って来て、アイリスを見て固まる。シェリーはわざと明るい声で、


「壊れたわけじゃないみたい。きっとマナを発散させられたんだと思うわ。ところでラムは?」


 シェリーが訊くと、チャチャはハッと思い出したように、


「ラムさんが魔弾を被弾しました。意識不明です!」


 チャチャの報告に、シェリーは青くなる。


「何ですって!? 外傷は? 息はしてる?」


 矢継ぎ早に訊かれ、チャチャは慌てて首を横に振る。


「す、すみません。シェリーお姉さまが心配で、突進されているのが見えて、急いで援護しに来ましたので確認していません」


「分かった、行ってみよう」


 シェリーはそう言って、チャチャと共にラムが倒れているところに駆けつける。なるほどラムは大の字になって伸びていた。革製の鎧は胸部左側が焦げて、完全に穴が開いていたが、不思議なことに鎖帷子や戦袍には穴が開いていなかった。


「ラム、ラム、死んじゃった?」


 シェリーがそう言いながら、ラムの頬をピタピタと叩く。するとラムがぱっちりと目を開け、


「おのれエピメイアっ! ぐあっ!?」


 ガバッと跳ね起きると、すぐに胸を押さえてうずくまる。


「だ、大丈夫?」


 シェリーが訊くと、ラムは顔を上げて、


「す、すまない。不覚を取った。魔弾は斬り払ったつもりだったが、剣が折れるのが一瞬早かった。おかげで肋骨を数本持って行かれたみたいだ。

 まあ、剣が間に合わなければ、今頃私は冷たくなっていただろうがな」


 そう言うと、剣先3分の1ほどが無くなった長剣に目をやる。至近距離から放たれた魔弾を、背中から抜いた長剣で受け止めたのだ。剣が折れなければ、エピメイアに斬りかかれただろう。


「ジン様は?」


 顔を歪めて訊くラムに、痛みではなく顔をしかめたシェリーは、


「……エピメイアに連れていかれちゃった。マロンさんやアルケーって奴も一緒だから、心配は要らないとは思うけど……」


 『心配要らない』と言うくせに、すごく心配している顔だった。


「……スナイプ様、今度こそいなくなってしまわれたな……」


 ラムがそう言うと、三人は黙りこくったままうつむいてしまった。


   ★ ★ ★ ★ ★


「さて、ジン・クロウ。あなたとの決着を付ける時が来ました」


 白い髪をなびかせて、エピメイアが僕に笑いかける。青く薄い布を無造作に身体に巻き付け、腰には銀の太いベルトを巻いている。さっきまでと違うのは、そのベルトには剣が吊られ、手には三又の鉾が握られていることだ。


「……『組織ウニタルム』はお前が作ったんだよな?『浄化計画』もお前の考えだったのか?」


 僕が訊くと、エピメイアはクスリと笑って答える。


「いくつか間違いを訂正しておくわね?

 まず、『組織』を作ったのはウェルム・ラクリマエという魔導士よ。本名は知らないわ。

 彼がブルーノ・マラーと名乗るホムンクルスの仲間と作った『組織』の、『魔族と人間の融和』という理念に共鳴して協力関係を結んだのが、風の精霊王ウェンディ・リメンよ」


 そうか、ウェンディは最初から『人間と魔族の調和』を目指していたんだ。だったら彼女が僕にあれほど好意的だったのがうなずける。


「私は、ウェンディの縁を使って『組織』に手下を潜り込ませた。彼女たちは有能で、あっという間に『組織』は私の手に落ちたわ。

 おかげで火の精霊王フェン・レイや水の精霊王アクア・ラングも私たちの活動を支援することになった」


 恐らくその頃が、『エピメイア』の『組織』としての最盛期だっただろう。


 そこまで話して、今まで過去を振り返って懐かしむようだったエピメイアの表情が、険しいものに変わった。


「……けれど、あなたが現れた。

 最初はあなたのことを単に『20年前の英雄の息子』としてしか見ていないかった私は、『盟主様』や『組織』に対して疑念を抱くようになっていたウェンディを、あなたの監視役に任命した。

 今思えば、これが失策だったわね。ウェンディとフェンの管轄区域を入れ替えておけばよかった……」


 忌々しげに言うエピメイアだった。


「あなたのおかげで、どれだけ私の計画が狂ったと思う!?

 テモフモフの自律的魔人形エランドールがあなたの許に逃げ込んだことで、『浄化作戦』用のエランドールや自動人形オートマタをすべて失い、テモフモフも処断せざるを得なかった。


 あなたを倒すために送り込んだキュラソー・クロウを返り討ちにしたのみならず後に仲間に引き入れ、リンゴーク公国を混乱させる計画も潰したし、マーイータケ一揆プッチの残党を利用したリンゴーク公国乗っ取り計画も破綻させられた。


 挙句の果ては、水の精霊王アクア・ラングとその部下たちまで全滅。

 そして、マジツエー帝国の領土割譲まで阻止……火の精霊王フェンを正気に戻してしまったし、カトル枢機卿まで全滅……」


 キリキリと音が聞こえるほど、エピメイアは歯ぎしりして


「これ以上、私の計画を邪魔させないわ!」


 そう叫んだ。


 僕は、エピメイアの激昂する様子を見て、かえって頭が冷えて来た。せっかくワインが命をつないでくれたエレーナ姉さま、その姉さまは、僕たちを助けるために自ら命を散らした……その思いが僕の感情を揺さぶっていたのだが、だんだんと冷静に、いや、冷酷になれたのだ。


「……それがどうした? これだけ世の中を乱し、罪のない人たちがどれだけ犠牲になったと思う? それはみんな、お前が振りかざす理想の実現のためなんだぞ?」


 僕が冷たい声で言うと、


「……エピメイア、俺は確かに摂理は不完全だと思っている。だがな、今は摂理が不完全なのは必然だとも思っているんだ。

 完全な摂理とは何だ?『真実の月』が輝く世界か? 真実のみがある世界は分かりやすいかもしれない。だが、窮屈だとは思わないか?


 この世界は『虚影の空』を映している。その写像が投影される瞬間に、俺たちには『運命』というカードが配られる。少なくとも、どれを選ぶかの自由意志は存在するわけだ。

 だが、真実のみの世界は違う。決められるのは『宿命』だ。生まれた瞬間、その最期が知らされて面白いと思うか?」


 アルケー・クロウもそう言いながら前に出て来た。


「アルケー、『宿命』は決まっても、その結果は物事が起こらない限り分かりません。どんな選択も必然になるだけです。人々は摩耗のない不変の世界を好きなだけ生きることになります。

 それとジン・クロウ。変革には犠牲はつきものです。私は魔族や魔力を持った存在だけが、『真実の月』を見る資格があると思っています」


 エピメイアは、氷のような表情で冷たく言い放った。


「……つまり、普通の人間や動物たちに生きる資格はないと?」


 僕はできるだけ静かに、しかし怒りを込めてエピメイアに問いかける。


「『真実の月』につながるためには、魔力やそれに類似した能力が必要です。真実を知れないものは、自分の存在が依って立つ基盤を知ることができないということ。

 基礎のない建物は、果たして堅牢だと言えるでしょうか?」


 僕は、それだけ聞けば十分だった。


「エピメイア、お前の言い分は分かった。もともと『摂理の二柱』でありながら、夢想を追いかけて摂理に挑戦するのを止めないと言うんだな?」


 僕は、魔剣パラグラムを握り直して言った。


「すでに魔王は倒れ、『魔王の降臨』はなくなったが、『摂理の黄昏』を止めないといけない。エピメイア、ここで消滅してもらう」



 ジンの言葉が戦闘開始を告げたが、エピメイアとアルケー・クロウはその言葉が終わらぬうちに動き始めていた。


漆黒ひかりはかくれる


 アルケーは隠形を使って姿を消し、


「『青と白の錯視(アンバランスタイム)』!」


 エピメイアは知覚を操る術式を展開する。エピメイアが数人に分裂したように見えるが、これはただ幻覚を見ているのか、存在するだけのダミーなのか、それとも『偽存在ドッペル』なのか判らない。全員が同じ格好、同じ魔力を持っているからだ。


「ジン・クロウ、覚悟せよ!」


 四方八方からエピメイアが襲い掛かって来る。


 その時、


「息吹を感じて空を目指せ、『芽生えの歌』を歌いつつ!」


 マロンの木々の魔法が展開され、僕の周囲では次々と翠色の淡い光を放つ植物が芽吹く。そして驚くほどのスピードで成長して、エピメイアたちを蔓で捕まえていく。


 魔法の蔓に捕まったエピメイアは、その瞬間にきらめく粒子になって姿を消していく。マロンのドレイン系の魔法だった。


新月つきはきえる


 どこかでアルケーの声がした。すると、


 ズババンッ!


 エピメイアが数体まとめて斬り裂かれる。何で斬り裂かれたのか、どっちの方向から何が飛んできたのか、ジンにはまったく見えなかった。


(アルケー・クロウも油断ならない術式を使うんだな)


 ジンがそう思った時、彼は背中に氷を当てられたような寒気を感じた。


「やっ!」

 ジャンッ! ガウンッ!


 振り向いたジンが、エピメイアの槍を跳ね上げるのと、別の方向から突き出された槍先が彼のシールドに弾かれるのが同時だった。


(二人いる!? いや、エピメイアはどう考えても一人だ。ではどうやって異方向からの同時攻撃ができるのだろう?)


 ジンは『風の楽譜(ウインドスコア)』に注意を向ける。この術式は、自分を中心に魔力の存在位置を探知する。それだけでなく、実体があるかないかまで知ることができる。


(……周囲のエピメイアはすべて実体!? とするとこの魔法は『偽存在』を創り出すものなのか……だったら)


「ステージ2、セクト1『大地の花弁(ラントボイメ)』っ!」

 ズバババンッ!


 ジンを中心に開いた12弁の花びらが、その方向から襲ってくるエピメイアを一人残らず粉砕する。だが、決定的なダメージを与えたという手応えはない。


「ジン・クロウ、影を追うな!」


 どこからかアルケーの声がする。そしてマロンが術式を展開しようとした時だった。


「萌え盛る今を高らかに笑え、『花萌える唱』の調べの中で! ぐっ!」

 ドズバンッ!


 マロンの身体から鮮血が噴き出す。


「マローンっ!!」


 アルケーが悲痛な叫びと共に、マロンの所へ駆け寄る。だが、マロンは痛手にめげずに踏みとどまり、


「こっちに来ないでっ!」


 そう叫ぶと、血のような空を振り仰ぎ、両手を天に差し上げ、


「花が散るのは種のため、『散り逝く詠』を謳うとき、命は芽生えの時を待つ『時待ちの詩』の詩のごとく……死は生へと循環する。『四つの季節(カトル・セゾン)』……」


 最後の術式を展開した。


 パアアッ……


 その時、マロンの身体を中心に、翠色の優しい光が周囲へと広がる。別に圧もなく、光と温かさの他は何も感じなかったが、


「くっ! マロン。キャロットの呪縛魔法をさらに洗練させていたかっ!」


 『青と白の錯視(アンバランスタイム)』で創り上げられた錯覚の世界は消え去り、エピメイアは巨大な蔓草の檻に閉じ込められていた。


「マロンっ!」

「マロン様っ!」


 アルケーとジンが、ふらふらと立っているマロンに駆け寄る。マロンは真っ青な顔で立ち尽くし、新緑のような服を真っ赤に染めていた。


「……ジン様……アルケー……」


 マロンはアルケーの顔を見ると、にこりと笑って彼の胸に倒れ掛かる。アルケーは血で汚れるのも厭わず、マロンをしっかりと抱きとめると、


「マロン、気をしっかり持て! すべてが終わった後は、俺と一緒にゆっくり過ごしたいと言っていたじゃないか!」


 そう耳元で言う。


 マロンはゆっくりと目を開けると、優しい目でアルケーを見て訊いた。


「……宿題……解けた?」

「宿題?」


 アルケーが訊き返すと、マロンはゆっくりとうなずき、


「前に言っていた、あなたが間違っていたこと……解った?……」


 そう静かに訊く。アルケーはマロンの眼を真っ直ぐ見つめてうなずいた。


 マロンは、それを見て微笑むとアルケーにつぶやいた。


「……本当のアルケー・クロウになって、わたくしを迎えに来て……お願い」


「分かった。マロン、約束する」


 アルケーの言葉を聞いて、マロンは満足したように微笑むと、ジンに視線を移し、


「ジン様……アルケー・クロウ……だったこと……思い……だし、て……」


 そう言って、アルケーの胸の中で息を引き取った。


   (世界を狩ろう!その3:VSエピメイア決着 に続く)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

賢者スナイプ、マロン・デヴァステータと、物語でも重要な役割を果たしてきたキャラクターが退場していきました。

もう終盤ですから仕方がないのかなぁと思いつつ、『この物語、結局どうなるんだ?』とか、『え、これってみんないなくなっちゃうんじゃないか?』とか、作者らしからぬことを考えているわけです。

最初は『行き当たりばったり』をモットーに書き始めた『キャバスラ』ですが、振り返るとなんかとても『スラップスティック』とは言い難いものになっているような? いや、作者の頭の中がまだカオスだから『スラップスティック』も間違いじゃないか。

次回もお楽しみに!

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

【主な登場人物紹介】

■ドッカーノ村騎士団

♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させてきた。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』。だが、ワインとシェリーの死によって、『繋ぐ者』ではなく『破壊者』として覚醒し始めている。

♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。魔王との決戦で、魔王の罠に嵌り殺されたが、マーリンの秘薬『諸刃の韻律』で復活している。

♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。『右鳳軍団』に先行し、ジンと合流を果たした。

♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。

♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形エランドール。ジンの魔力マナで再起動し、新たに仲間となった。

♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体ホムンクルスであることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまったが、マーリンの秘薬『諸刃の韻律』によって命は救われた。視力を失っていたが、ジンの魔力で取り戻した。

♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。現在『魔族の祖』アルケー・クロウと共にエピメイアと戦っている。

■退場した仲間たち(退場順)

♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトでジンの騎士団に加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。

♡ウォーラ・ララ ジンの魔力マナで再起動した自律的魔人形エランドール。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。

♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。ジンの騎士団に所属して『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。

♡マディラ・トゥデイ 騎士団『ドラゴン・シン』事務長。金髪碧眼で美男子のような女の子。『魔王親衛隊』のオデッシアが召喚したゴーレムに叩き潰された。享年20歳。

♡ソルティ・ドッグ 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。調査・探索が得意。『魔王親衛隊』のオデッシアが召喚したゴーレムに握り潰された。享年21歳。

♤ブルー・ハワイ 『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。記憶力と変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。魔王親衛隊クン・バハと対峙し善戦したが、隙を衝かれて敗死した。享年25歳。

♤ウォッカ・イエスタデイ 『ドラゴン・シン』の副官兼親衛隊長。オーガの戦士長、スピリタスの息子で無口・生真面目な性格。大陸武闘大会で3連覇を果たすほどの戦士だったが、魔王親衛隊クン・バハに止めを刺しつつも力尽きる。享年21歳。

♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。ジンと永遠の友情で結ばれ、魔王親衛隊隊長ファルカロスを倒したが力尽きた。享年21歳。

♡ジンジャー・エイル 本名キュラソー・マッケンロウ。ジンの命を狙ったが許されてドッカーノ村騎士団に所属し、『PTD4・幽霊』を倒す。魔王の眷属と化したエレノアに挑み勝利するが、同じく眷属になった賢者スリングに殺された。享年21歳。

♤テキーラ・トゥモロウ 『ドラゴン・シン』団員で本名テキーラ・マッケンロウ。父はバーボンの異母兄コニャックでジンジャーは実妹。魔王親衛隊オデッシアに止めを刺した後、ジンの許に急行し、魔王の眷属・賢者スリングと相討ちになって果てた。享年24歳。

♤ダイ・アクーニン ドッカーノ村騎士団所属。賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。仲間のコア・クトーやシロヴィン・ボルドーの仇を討つため魔王と戦い善戦するが力及ばず敗死した。作戦ミスで魔王を完全復活させてしまった。享年28歳。

♤ワイン・レッド ジンの幼馴染みでエルフ族。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。実は11年前に事故死していたが、父母の依頼でエレノアが復活させていたという秘密がある。復活したスリングたちを摂理に戻すマロンの魔法で、彼も摂理に戻ってしまった。享年18歳

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