Tournament161 The Demon King hunting:1(魔王を狩ろう!その1:VS魔王親衛隊オデッシア)
『約束の地』を目指すジンたちの前に、『魔王親衛隊』が現れた。『ドラゴン・シン』を全滅させた『魔王親衛隊』3人と、ド・ヴァンをはじめ『ドラゴン・シン』幹部団員との戦いが始まる。
【前回のあらすじ】
マロンが消えた遊撃部隊は、ダイの活躍により3個連隊の攻撃を跳ね返すが、魔王直々の攻撃により遊撃部隊は全滅してしまった。
しかし、生き残ったダイは、謎の女と『約束の地』を目指すことになる。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『勇士の軍団』本隊と遊撃部隊が激闘を繰り広げる前、僕たち『騎士団』と『ドラゴン・シン』は、アントンさんとドーラさんの手引きによって密かに『決戦の荒野』に入っていた。
ここは、見渡す限りの荒野だ。川なんかなく、木々の姿も見えない。ただ、こんな環境でも生きていける草が、本当にまばらに生えているだけだ。
そして数十マイル先には断崖絶壁があり、その上で巨大な風の壁がまるで台風のように立ち上がっているのが見えた。
「……あれが、隻眼の賢者スリング様の『風の魔障壁』ですね。
さすがにあれだけの魔法を使える人物は、両大陸中を探しても数えるほどしかいないでしょうね」
ラムさんが緋色の瞳を持つ目をすがめて、感嘆したように言う。
「……確かにそう思うが、ジン、何かおかしくないか?」
同じく『風の魔障壁』を見つめていたワインが、形のいいあごに細い指を添えて言う。
僕には、ワインの違和感がすぐに分かった。
「……魔王は実体を持った。そして自身で軍を率いて『勇士の軍団』と戦っている。なのにスリング様の『風の魔障壁』があるのはおかしい……そういうことだろ、ワイン?」
僕が言うとワインはうなずいたが、何やら言いにくそうにしている。
「……つまり、魔王はスリング様の魔力を手に入れたってことになるわね。
魔王自身の能力が如何ほどなのかは知らないけれど、少なくともスリング様を超えるのは間違いないところね」
言いにくそうにしているワインに代わって、ジンジャーさんがそうつぶやく。それを聞いて、僕は
(……だとしたら、『運命の背反者』と同じくらいの強さと考えなきゃいけないな。『テモフモフの遺産』たちなんか、足元にも及ばないってことか……)
そう考えて唇をかみしめる。
『テモフモフの遺産』たちは、自律的魔人形であり、その全員を倒すか仲間にした代償に、僕の『騎士団』は4人もの優秀な仲間たちを失っていた。
(もうこれ以上、誰も失いたくない。そしてみんなで魔王を倒し、『摂理の黄昏』を止めるんだ)
僕は無意識に両手を握りしめていた。
「ジン、そんなに気を張らないでも大丈夫だよ? 約束したでしょ? アタシはジンの許可なしには、絶対ジンより先には死なないって。ジンの魔力、『約束の地』に近付くにつれて強くなっているし、みんなで力を合わせれば、きっと魔王だって倒せるよ」
僕の様子を見て、シェリーが手を握り小声でそう言ってくれる。不思議とシェリーの声を聞いて、落ち着きを取り戻す僕がいた。
「……いずれにしても、だ」
僕たちの護衛として共同作戦を行う騎士団『ドラゴン・シン』の団長、オー・ド・ヴィー・ド・ヴァンさんが、『風の魔障壁』を見つめながら言う。
「ボクたちはあの中に突入して、魔王の心臓を止めなければならない。早く『約束の地』に行かないと、『勇士の軍団』が苦戦しそうだ」
「しかし、『決戦の荒野』にはもっと魔物がうじゃうじゃいるかと思っていましたが、案に相違して魔物の魔力さえ感じませんね? 全員、魔王に召集されているわけでもないでしょうに」
ド・ヴァンさんの隣を進む、ちょっと見少年のようなエルフ族の女性が、ド・ヴァンさんに疑問をぶつける。確かに僕もその疑問は感じていた。『約束の地』が空になっているのならともかく、魔王の存在を確かなものにする心臓を守っているはずの魔物が1体も見当たらないのはどうしてだろう?
「……前回、21年前の『魔王の降臨』では、魔軍は魔王の指示の下、両大陸のあちこちで暴れました。今回もそのための軍を編成するため、魔物はどこかに集められているのではないでしょうか?」
これもド・ヴァンさんの隣を進む、身長は優に2メートルを超えた、ガタイのいいオーガ族の若者が言う。
「マディラの疑問はもっともだけど、ウォッカの言うようにわざわざ『決戦の荒野』以外の場所に集める必要はあるのかな? 私は、この場に魔物を集めて訓練すれば、『約束の地』の防衛にも役立つし、そっちの方が合理的だと思うけど。ブルーもそう思うでしょ?」
うねるような黒髪を持つ女性がそう言うと、金髪の男性が
「まあ、そこはソルティの考えに同意するよ。となると、魔王はあえてこの場から魔物を退避させているか、魔物の数そのものが減っているか、魔王以外の誰かの意思が働いているか……そんなところでしょうか?」
ブルーさんがそう答えると、黒いマントに身を包んだ、ペストマスクの男性がくぐもった声で、しかしはっきりと言い切った。
「……罠だ」
「? どういうこと、テキーラ?」
テキーラさんの言葉を聞きとがめたマディラさんが訊くと、テキーラさんは物憂げに首を振って答えた。
「ここの魔物は、ウォッカの言うとおり別の場所に集められている。魔力視覚が使えるなら視てみろ。魔物たちの魔力の流れが一様に東に向いている。
恐らく、アルケー・クロウかエピメイアが魔王に指示して、第2梯団の準備は『決戦の荒野』以外で行わせているんだろう」
そう言われて、僕は急いで魔力視覚を発動する。なるほど、さまざまな魔力のエレメント……それはすべてが魔族の魔力を示していた……が、東に向かって移動したことを示していた。
「それで、『罠』っていうのはどういうことだいテキーラ。君のことだからある程度の証拠はつかんでいるんだろう?」
ド・ヴァンさんが切れ長の目を細めて訊く。テキーラさんはうなずくと、僕たちが向かう方向を指さして答えた。
「もちろん、ジン殿をここで倒すための『罠』だ。その証拠はもうすぐ判る……もっとも、ジン殿のお仲間でもアイリス殿、そしてアントン殿とドーラ殿は気付いているはずだがな」
その瞬間、僕たちの周囲で恐ろしいほど強力な魔力が開放された。
ドドウウンッ!
それは地響きを伴うほどすさまじい魔力の開放だった。吹き上がる魔力の柱は天に沖するほどで、辺りにはもうもうと土煙が立ち込めた。
そんな中でも『ドラゴン・シン』はすぐさま戦闘隊形に移行したし、僕の団でもアントンさんとドーラさん、ラムさんとアイリスさんは前方に出て僕を中心に半円形の陣を張る。シェリーとチャチャちゃんは後ろでそれぞれ弓と狙撃魔杖を構えた。
そしてワインは僕の右側で槍の鞘を払い、ジンジャーさんは左側で左手に法器を構えた。
やがて土煙が晴れるにつれ、その向こうに3人の人物が立っているのが見えて来た。まだ詳細は見えないが、3人とも恐るべき魔力を迸らせている。
僕が見たところ、彼らの魔力は元水の精霊王だったアクア・ラングや、復活した大賢人マークスマン、そして火の精霊王候補だったフェン・ヴェルファイアを超えていた。
「……すごい魔力だ。これが魔王直属の部下か……」
ド・ヴァンさんを守るウォッカさんが、大剣を構えながら言う。マディラさんもブルーさんも、目の前の3人の魔力に気を呑まれていた。
しかし、ド・ヴァンさんとテキーラさんは、少なくとも表面上は動揺したところを見せなかった。
「……うむ、『魔王親衛隊』か。やはり出てきやがったな……」
アントンさんがそうつぶやくのが聞こえる。その時、薄くなった土煙を割って、3人が僕たちの前20ヤードの所まで歩を進めてきた。
そいつらは、向かって左から金髪碧眼の男性、亜麻色の髪に碧眼を持つ少女、そしてスキンヘッドで筋肉もりもりマッチョマンな男性だった。
「伝説の英雄ジン・クロウよ、お初にお目にかかる。私たちは魔王様をお守りする『魔王親衛隊』だ。私の名はファルカロス、魔王様の命令によりその命を頂戴する」
金髪の男がそう言いながら両手をコートのような服のポケットから取り出す。左手には輪の中に球体がはまった法器を持っていた。
「ぼくはオデッシア。同じく『魔王親衛隊』の一人だよ♪ キミがジン・クロウかい? へー、結構強そうだね? 戦うのが楽しみだよ♡」
続いて、手槍の鞘を払いながら、亜麻色の髪の少女がそう言って笑う。
最後に、筋骨隆々たる男性が、大剣を抜き放ちながら自己紹介する。
「俺様は『魔王親衛隊』のメンバー、クン・バハ。マイティ・クロウとどちらが強いか、俺様が貴様の実力を見てやる」
いずれ劣らぬ戦士たちだった。
(これは、『テモフモフの遺産』たちすら問題にならない強さだ。父さんはこんな奴らと戦ったうえで魔王の心臓にたどり着いたのか……)
僕は3人を見てその強さに震えが来そうだった。しかし
(いや、父マイティ・クロウにできたことが、僕にできないはずがない……僕は大丈夫だ)
そう自らを奮い立たせながら、僕は『払暁の神剣』を抜き放った。すでに剣は風の魔力を集め、翠色の光を放っている。
「僕がドッカーノ村騎士団団長、ジン・ライムだ。僕は誰が相手でも、一度は話し合いでの紛争解決を呼び掛けているが、君たちとは話し合いの余地はなさそうだな」
僕はラムさんとアイリスさんに守られながら前に出て、3人にそう呼びかける。この後敵が攻撃を仕掛けて来るか、話し合い拒絶の意思表示をしたら戦闘が始まる。僕は魔力発動の準備を終えた。
しかし案に相違して、ファルカロスと名乗った優男は、薄く笑みをたたえて答えた。
「なるほど、初手から魔力を叩きつけて来たマイティ・クロウよりは紳士的ですね。
では私たちの要望を申し上げましょう。私たちが提示する条件は、あなた方が武器を収めて『暗黒領域』から出て行くことです。『暗黒領域』外なら、あなた方がどれだけ魔軍を叩こうと文句は言いません」
「そうそう♪ ぼくたちだって好きでキミたちをやっつけたいわけじゃないんだから、ファルカロスの言うことを聞いておとなしく出て行ってくれないかなぁ?」
オデッシアと名乗る少女は、槍をステッキのように振り回しながら言う。
「二度は言わん。それとも俺様たちの実力を見ないと決断できないか?」
クン・バハと名乗るマッチョマンは刺すような瞳で、3人を取り囲むように展開を始めた『ドラゴン・シン』を睨みながら言う。
僕は、ゆっくりとド・ヴァンさんを振り返った。もしド・ヴァンさんが先制攻撃を考えているとしても、このタイミングで行うべきではないと思ったからだ。
ド・ヴァンさんほどの人物なら肌で感じているだろうが、一触即発のこの状況で騎士団を展開した場合、誰か一人でも緊張に堪えられなくなって暴発したら元も子もなくなる。
僕の視線を受けて、ド・ヴァンさんもそのことに気付いたのだろう、彼は慌てて左右のマディラさんやウォッカさんに何事かを耳打ちする。ウォッカさんたちはそれを受けて
「まだだ! 武器を下ろせっ!」
そう叫んだ……ここからボタンの掛け違えが始まった。
『ドラゴン・シン』の団員に、ウォッカさんの言葉がどう聞こえたのか、今となっては判らない。ただはっきりしていることは、それを合図に『ドラゴン・シン』が3人へ攻撃を開始したことだ。
「止めろーっ! まだ攻撃命令は出していないぞーっ!」
この時のド・ヴァンさんの悔しそうな、焦ったような、悲しそうな、そして怒ったような表情を僕は忘れることができない。
殺到してくる『ドラゴン・シン』の団員5百人を冷ややかな目で眺めながら、ファルカロスは鋭く命令した。
「……愚かな。オデッシア、クン・バハ、団長たちは殺すな!」
「わかったぁ♪」
「承知」
オデッシアとクン・バハは、冷酷な笑いを浮かべながらそう答えると、ファルカロスの右側はオデッシアが、左側はクン・バハが迎え撃った。
だがそれは、『戦闘』というよりも『虐殺』に近かった。勝負はほんの数十秒で決したからだ。『ドラゴン・シン』の団員は誰一人として二人に攻撃できなかったし、二人の攻撃を避けることも、受けることもできなかった。そして誰一人として生き残ることはできなかった。
「まだまだだね」
バリバリバリーッ!
オデッシアが槍を一振りすると、目も眩むような紫電が空を走り、攻め寄せて来た団員は一人残らず感電して焼け焦げた炭に変わった。
「我が『行の姿』を見よ!」
クン・バハの方は、4本の腕を持つ姿に変わり、それぞれの腕が操る雷と炎が、寄せてくる団員を一人残らず物言わぬ物体に変えてしまった。
★ ★ ★ ★ ★
僕は目の前で繰り広げられている殺戮を、ただ茫然と眺めていたが、ハッと気づいて振り返る。ド・ヴァンさんはどんな気持ちでこの光景を見ているのだろうか。
「ド・ヴァンさん」
「……」
僕はド・ヴァンさんを見た。いや、ワインも、シェリーも、そしてジンジャーさんやチャチャちゃんも、みんながド・ヴァンさんたちを見た。
ブルーさんとソルティさんは、蒼白な顔で仲間の団員がやられるのを見ていたが、その拳は固く握られ、震えていた。
マディラさんは、同じく蒼白な顔で茫然として、暴れまわる二人をただ眺めていた。
ウォッカさんは、赤黒い顔で大剣を握りしめ、怒りに身を震わせていた。
そしてド・ヴァンさんは、顔を伏せて肩を震わせていた。彼がその時どんな表情をしていたのかは、長い前髪に隠れて見えなかった。
やがて『ドラゴン・シン』が全滅すると、ファルカロスは気の毒そうな顔をして、言い訳がましく言った。
「……少しやり過ぎたようだ。だが、団長殿の本意ではなかったことは分かっている。
こちらとしても不本意な出来事だったが、彼我の実力差は十分認識していただいたことだろう。『暗黒領域』から出て行っていただけないだろうか?」
すると、ド・ヴァンさんは顔を上げて、僕にはっきりと言った。
「団長くん。この3人はボクたちに任せて、先に進みたまえ」
その一言に、ド・ヴァンさんの気持ちのすべて、決意のすべてが籠っていた。
僕は、長い彼との付き合いで、ド・ヴァンさんの決意を翻すことはできないと悟った。そして、恐らくこれが彼との永遠の別れになることも……。
「早く行きたまえ! 間に合わなくなるぞ!」
ド・ヴァンさんがこれほど感情を剥きつけにするのを見たのは、これが最初で最後だった。僕は大きくうなずいて、ド・ヴァンさんに言った。
「分かりました。でも、貴君との友情の証として、僕の団員を貴団に移籍させます」
そう言うと、僕はド・ヴァンさんが何か言うより早く、二人の団員に命令を下した。
「アントンさん、ドーラさん。今まで僕の騎士団の力になってもらって感謝する。今を以て君たちにはドッカーノ村騎士団から『ドラゴン・シン』への移籍を命じる。オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン団長の指揮下で、これまで以上の働きを見せてくれ」
すると、アントンさんは槍をしごきながら笑って言った。
「承知しました。この3人とはいささか因縁がありましてね? それにこの3人を倒せば、魔王に王手をかけたも同然です。ジン団長の転属命令、ドーラと共に謹んでお受けします」
「賢者マーリンから受けた依頼は『ジン・ライム殿の力になってくれ』というもの。この3人を倒せば、マーリンからの依頼を達成したも同然ですからね。後からまたお会いしましょう、ジン団長」
ドーラさんも肩にかけた弓を外しながら微笑む。
「お願いします。ドッカーノ村騎士団は先に進むぞ!」
僕はそう叫ぶと、ワインやシェリー、ラムさんやアイリスさん、チャチャちゃんやジンジャーさんを率いて『約束の地』へと駆け出した。僕たちは二度と後ろを振り向かなかった。だってそこでこれから行われる戦いは、『ドラゴン・シン』の名誉を賭けた、ド・ヴァンさんたちの戦いだったから。
「ジン・クロウを逃がすなっ!」
駆け出したジンたちを見て、ファルカロスが慌てて命令を下す。オデッシアとクン・バハがそれに応じて駆け出そうとしたとき、
「明鏡止水!」
ズバンッ!
「おおっ!?」
クン・バハがド・ヴァンの一撃を受けて立ち止まる。
「久しいなファルカロス。ブルーノのことは覚えているか?」
「むっ!?」
ファルカロスは、喉笛を狙って突き出されたアントンの槍を、間一髪でかわして、目を見開く。
「貴様、ドン・ペリーのホムンクルス!」
「おう、覚えていてくれたか。じゃ、俺には貴様の『身体拡散』は効かないことも忘れちゃいないだろうな。おとなしくド・ヴァン団長たちと勝負しな」
オデッシアは、ドーラの矢に両足を吹き飛ばされ、地面にすっ転げた。
「お待ちなさい!」
バフンッ!
「わわわわ!」
オデッシアは超回復能力を持っているため、あっという間に両脚は復元したが、そのたった数秒でドーラはオデッシアに追い付いていた。
「さ、戻って勝負してもらいましょうか。さもないと、何度だってその首を吹っ飛ばして差し上げますよ?」
オデッシアはドーラをすごい目で睨んだが、矢の先に渦巻く魔力を見て、
「分かったよぉ。勝負すりゃいいんだろ、勝負すりゃぁ……」
ぶつぶつ言いながら、ド・ヴァンやファルカロスが待つ場所へと戻って来た。
ファルカロスは、目の前に並んだド・ヴァンをはじめとする『ドラゴン・シン』幹部団員を見て、理解しがたいものを見るように首を振って言う。
「……君たちはジン・クロウとは何の関わり合いもないはずだ。なのにどうしてジン・クロウを先に行かせ、勝負が分かり切った戦いを挑むのだ?」
ド・ヴァンは碧眼に冷たい光をたたえて言う。
「一つ訂正させてもらおう。ボクは団長くんに大きな恩義がある。そしてボクは団長くんと永遠の友情を誓った騎士だ。その二つだけでも、貴様に挑む十分すぎる理由になる」
黙っているファルカロスに、ド・ヴァンはさらに畳みかけた。
「そして、貴様は我が誉れ高い『ドラゴン・シン』の団員を無慈悲に皆殺しにした。きっかけはこちらに非があったとはいえ、ボクも、副官も、事務長も攻撃中止を叫んでいた。
実力差があると自負しているのなら、のぼせ上ってしまった班長クラスの団員を数人倒すだけでよく、貴様たちにはそれができたはずだ。
それをしなかったのは、我が『ドラゴン・シン』への明確な挑戦であり、それを受けねば騎士の精神に悖る。そしてこの戦いには団長くんは関係ない。だから彼には先に行ってもらった。彼にはもっと大事な任務が控えているからね」
ド・ヴァンの言葉を聞き終えたファルカロスは、後悔の念を眉宇に滲ませて首を振る。
「やはりやり過ぎてしまったことがいけなかったか。彼我の実力差をお見せして戦意を削ごうとしたことが裏目に出るとはな……。
致し方ない、君の言い分や我らに挑む理由は十分に理解した。正々堂々、尋常な勝負を行おう。オデッシア、クン・バハ、いいな?」
「まぁ、やり過ぎたのがいけないって言うんなら、ぼくにも非はあるからね。いいよ、やっちゃおうよ♪」
「団員を殺されたのが気にくわないというのなら、すぐに団員たちのもとへ送って差し上げよう。優しい団長さんたちだな」
オデッシアとクン・バハがそう言うと、ファルカロスは二人をたしなめた。
「止めないか二人とも。団長殿たちを無用に煽るような物言いは止せ。戦士の品格を疑われるぞ。
我らは『魔王親衛隊』、魔王様をお守りするだけでなく、全魔族の師表たる存在であるべきだ」
そう叱りつけると、ド・ヴァンの方を向いて軽く頭を下げる。
「オデッシアとクン・バハの非礼は私が謝罪する。名乗りを上げたうえで戦いに及ぼう。
我らはすでに名乗った、貴団も名乗るがいい」
ファルカロスの勧めに、ド・ヴァンはアントンたちを見て笑って言った。
「アントン殿、団長としての最初の命令だ。『ドラゴン・シン』では、何でも在団期間が浅い者からすることになっている。だから君たちから名乗りを上げたまえ」
アントンはうなずくと、槍を立てて名乗った。
「俺とドーラのことは、貴様たちの方がよく知っているだろう? アントン・シエイエスだ。ブルーノの無念を晴らせる日が来るとは思ってもいなかったぜ」
ドーラも、弓を携えて名乗る。
「賢者マーリンに生み出され、その命を受けて『暗黒領域』を旅していたドーラ・シエイエス。ジン団長のためにあなたたちと戦うのは、戦士冥利に尽きるわね」
次に、この7人より少し後ろに立っていたテキーラが、すっと前に出て来て名乗った。
「……『ドラゴン・シン』のテキーラ・トゥモロウと名乗っていたが、貴様ら相手なら本名を名乗っていいだろう……」
ペストマスクの下でぼそぼそそう言ったテキーラは、迷うことなくマスクを外した。金髪碧眼で苦み走った若い男の顔がそこにあった。
それを見て、ファルカロスは、
「き、貴様は……まさか……」
そう言って絶句する。テキーラはファルカロスの動揺をあざ笑って、
「俺の本名はテキーラ・マッケンロウ。父はマイティ・クロウの異母兄コニャックだ。貴様らは親父の仇でもある。俺は貴様らを倒すためだけに生きて来たんだ。覚悟することだな」
そう言うと、ド・ヴァンはうなずいて言った。
「そういうことか。だから君は、『暗黒領域』の奥深く突進することにこだわっていたんだね?」
「まぁそうだ。ではソルティ殿、名乗りの流れをぶった切って済まなかったな」
テキーラがそう言うと、オデッシアに正対していたソルティは、笑いながら弓を肩から外して、
「何かテキーラにいい所を持って行かれちゃったようね? 私は『ドラゴン・シン』先鋒隊長、ソルティ・ドッグよ」
そう名乗りを上げて、ブルーを見た。
続いて、その隣に立っているブルーが、剣を抜き放ちながら名乗る。
「おれは『ドラゴン・シン』遊撃隊長のブルー・ハワイ」
そして、ド・ヴァンに向かって右側の端に立っているウォッカが、大剣を肩に担いで名乗った。
「俺は『ドラゴン・シン』副官兼護衛隊長、ウォッカ・イエスタデイ。ついでに言うと、オーガ侯国の後嗣だ。団の名誉のため、必ず貴様らの首を団員たちの霊に捧げてやる」
そして、ド・ヴァンの右隣にいるマディラが、両方の腰に差している狙撃魔杖のグリップに手をかけながら名乗った。
「ワタシは『ドラゴン・シン』事務長のマディラ・トゥデイ。やり過ぎたことを後悔させてあげるわ」
そして最後に、ド・ヴァンが双剣を構えながら名乗った。
「ボクが両大陸でも隠れのない1級騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター、オー・ド・ヴィー・ド・ヴァンだ。お互いに正々堂々の勝負をしようじゃないか」
ド・ヴァンの名乗りを合図にしたように、『ドラゴン・シン』と『魔王親衛隊』の激闘の幕が切って落とされた。
戦闘は、ド・ヴァンとアントンがファルカロスを、マディラとソルティ、テキーラがオデッシアを、ウォッカとブルーとドーラがクン・バハを相手にして行われた。
「ド・ヴァン殿、こいつは『身体拡散』といって、自分を分子レベルにまで分解する魔法を持っている。だから通り一遍の攻撃では傷を与えられないぞ」
アントンがファルカロスの特技をド・ヴァンに注意する。
同じように、オデッシアを相手にするマディラとソルティには、
「オデッシアは超回復を持つ。それに魔力を雷に変えたり、ゴーレムを召喚したりするぞ」
テキーラがそう能力を暴露する。
そしてクン・バハについては、
「そらそら、表面硬化能力を見せてごらんなさいな」
バシュンッ! カーンッ!
ドーラが攻撃をしながら、クン・バハの能力を実際に引き出して、ウォッカとブルーに見せている。
(くっ、よりにもよって私たちの能力を把握している奴が敵の中にいるなんて)
ファルカロスは空間規定能力で罠を仕掛けながら、ド・ヴァンの攻撃を避ける。
「やっ!」
ビュビュンッ!
「くそっ!」
怒りに燃えたド・ヴァンの攻撃は鋭かった。もともと戦闘センスと戦技ではジンをはるかに超えていたド・ヴァンである。彼の攻撃をかわしたり、いなしたりしながら空間規定を行い、あるいは魔弾などで牽制するなどという芸当は、ファルカロスだからこそできたのであって、普通の魔族だったら勝負にもならなかったろう。
「……これは驚いた。人間風情と侮っていたが、君は格別に強い。まるでマイティ・クロウと戦っているようだよ」
ファルカロスはそう言うと、法器を右手に持ち替えた。
「だが、君は魔戦士に毛が生えた程度の実力しか持たない。それを私が証明して差し上げよう。『幻獣召喚』っ!」
「むっ!?」
ド・ヴァンの周囲に次元の穴が開き、そこから幾匹もの翼を持った蛇が現れる。蛇たちは赤い舌をチロチロさせながら、ド・ヴァンの周囲を飛び回り始めた。
「ド・ヴァン団長、毒の噴射に注意してください!」
アントンはそう言いながらファルカロスに突き掛かる。
「ちっ! 君も案外としつこいな?」
ファルカロスは、鋭い突きをかわすと、
「君は後で勝負して差し上げるので、今は少しおとなしくしてくれないか?」
アントンのいる空間を切り取ろうとした。
「その手は食わないよ」
アントンが間一髪でその空間から抜け出した時、
「いや、私の方が一枚上手だったようだね。『消える箱庭』!」
「うおっ!?」
アントンを、自分の創った世界に引きずり込んだ。
「明鏡止水っ!」
ジャンッ!
「おおっ!」
その一瞬の隙をついて、ド・ヴァンの奥義が繰り出された。
★ ★ ★ ★ ★
「それにしてもキミ、女の子同士の戦いに一人だけ男の人が交じるなんて、ちょっと無粋だとは思わないかな?」
オデッシアは、次々と繰り出されるテキーラの攻撃を、槍で防ぎながら言う。
「接近戦が得意なのは俺だけだ。仕方ないとあきらめろ」
テキーラも、魔力で作った長剣を操りながら言う。
ドムドムドムッ!
「わっと! だから飛び道具を使う人は嫌いなんだよなぁ。ぼくのリズムが狂っちゃうっていうかさぁ~」
マディラの狙撃魔杖をかわしながら、オデッシアはぼやく。
「さっきからぼやいてばかりじゃない。真面目に戦う気があるのかしら?」
ヒュンッ!
ソルティが矢を放ったが、オデッシアはその矢を簡単に受け止めて、
「あぁ~あ、ツマンナイなぁ~」
そう言いながら矢に魔力を込める。
ドシュシュン!
「魔弾だってフツーだし」
小声で言いながら、魔力が籠った矢でマディラの弾を弾き飛ばす。
パパパンッ!
「むっ!?」
ジャリンッ!
マディラの狙撃に合わせて攻撃しようとしていたテキーラは、オデッシアが魔弾を弾いた時に発生した電界が魔力の剣を防いだのを見て瞠目する。
(ふむ……オデッシアか。不真面目そうに見えて、恐らくそれは擬態だな)
そう考えたテキーラは、オデッシアの槍の間合いから外れる。それを見て、オデッシアは不満そうに頬を膨らませた。
「おやぁ、どうしたんだい? キミだけがぼくとダンスを楽しんでくれていたのに、もう疲れちゃったのかい?」
オデッシアの言葉に、ソルティがかみついた。
「何その言い草!? 私とマディラは敵じゃないって言うの!?」
するとオデッシアは、ソルティとマディラを一瞥して、
「ぼくはね、遠巻きに指をくわえて見ているだけのギャラリーにはキョーミないんだよね。
どうしても遊びたいって言うのなら……」
そう言うと碧眼を光らせ、黄土色の魔力を迸らせる。
「いい玩具をあげよう。『魔神任務』!」
ズドドンッ!
「わっ!?」「何っ!?」
魔力は黄色い雷となって、ソルティとマディラ、それぞれの目の前の地面で炸裂した。
オデッシアは冷たい目で二人を見下して、
「ぼくの玩具、結構退屈しのぎになるよ? 君たちはそれで遊ぶといいさ。アハハハ!」
そう哄笑する。
その笑いが響く中、マディラたちの目の前では地面から太い腕が突き出し……
「ソルティ、あいつ何かを召喚したわよ。気を付けて!」
「分かってる! そっちも気を付けて!」
……二人が見ている前で、腕が、頭が、胸が、地面からせり出し、遂には10メートルほどのゴーレムが出現した。
「ちっ! どうせ土の魔力で固めた泥人形でしょう!? 喰らいなさいっ!」
ドムドムドムドムッ!
ガガガガッ!
マディラは数メートル先に突っ立つゴーレムに、両手の狙撃魔杖の照準を合わせ、息もつかせぬ連射を浴びせた。
だが、すべての魔弾を弾いたゴーレムは、それでスイッチが入ったかのように首を回し、マディラを見つけると身体の向きを変えて前進し始めた。マディラは、ゴーレムの無機質な目と目が合った時、軽い眩暈と激しい悪寒に襲われた。
「よ、寄るな。寄るなあっ!」
マディラは、表情を変えずにゆっくりと迫って来るゴーレムに不気味なものを感じて、数メートルも跳び下がりながら魔弾を詰め替える。
「来ないでええっ!」
ドンドンドンドンッ!
マディラは狂ったように叫びながら狙撃魔杖を連射する。しかし、どれだけの魔弾を浴びようと、ゴーレムは決して止まらなかった。
(うそ……なんで?……なんでワタシ動けないの?……)
マディラは、恐怖で目を見開き、身体を震わせながらそう思う。自分でも強いとは思っていないマディラだったが、ド・ヴァンと共に騎士団を結成して数年。その間それなりに死線を潜って来た彼女である。攻撃もしてこない相手に恐怖を感じるなど、それも動けなくなるほどの恐怖を感じるなど信じられなかったのだ。
ゴーレムはマディラの数メートル先で止まった。彼女を見下ろす目には何の感情も籠っていなかった。そして、ゴーレムはゆっくりと拳を振り上げる。その拳が振り下ろされる先、それは自分に違いなく、マディラには無残に叩き潰された自身の幻影さえ見えていた。
(……いや……いや……いやあああっ!)
マディラは目を見開いたまま、心の中で絶叫する。そして彼女は、その頭上からゴーレムの拳が容赦なく降って来るのを見ていた。
『君がマディラ・トゥデイさんだね? ボクはマイケル・ヤマダ。アルクニー公国トナーリマーチで騎士団を立ち上げたいんだが、君に協力してもらえないかな?』
エルフの一族であるマディラは、早くから父母の商売の関係で『エルフの里』を離れ、トオクニアール王国の首都フィーゲルベルクで暮らしていた。
幼い頃から利発だったマディラは、何にでも興味を示す好奇心旺盛な少女でもあった。そんな彼女は、10歳にして当代一と言われるフィーゲルベルクのカレッジに通い、13歳で魔法学や博物学を修めて卒業した。
そして卒業と同時に、父の経営する商店で働き始め、1年後には経営の相談に乗るまでになっていた。
マイケル・ヤマダことド・ヴァンと彼女が出会ったのは、彼女が14歳の時だった。
『……どうしてワタシなんですか?』
マディラは不思議そうに、目の前に立つ金髪碧眼の少年を見て訊く。その頃のマディラは、一部に名を知られ始めていたとはいえ、見た目にはおとなしい少女に過ぎない。
だが、ド・ヴァンはキラキラした目で、
『ボクは今までの騎士団とは一線を画した騎士団を創りたいんだ。世の中の役に立つには武力だけではだめだ。もっと広い視野を持って、楽しいことに関われるような騎士団、それがボクの考える騎士団だ。君ならボクのこんな夢を理解してくれるだろうと思った』
そう理想を追いかけるド・ヴァンに、いつの間にか共感してしまったマディラだった。
マディラは『ドラゴン・シン』入団後は、ウォッカ、ソルティと並ぶド・ヴァンの側近として活躍した。ウォッカが『武力』の代表、ソルティが『交渉』の代表としてその力を発揮したように、マディラも『文治』、つまり団の経営や政戦略の方面でド・ヴァンを支え続けて来たのだ。
彼女の知略が光ったのは、何と言ってもリンゴーク公国で起こった『マーイータケ一揆』の時だろう。一揆に公国内部の人間が関与していることを見抜いて、レミー・マタンを殺さずに別人として生かすことを献策したのは彼女だったのである。
(……アタシ、団長のおかげですごく楽しい時間を過ごせたなぁ。この想いも告げず、お礼も言わずじまいになっちゃった……)
思い出に浸るマディラのすぐそこまで、ゴーレムの拳は迫っていた。
「くそっ! なんで、なんで効かないのよ!『土』のエレメントは『風』のエレメントに弱いんじゃなかったの!?」
ボヒュンッ!
ソルティは『風の拡散魔法』を乗せた矢を叩き込みながらも、一向に歩みを止めないゴーレムから逃げまどっていた。
(相手は『魔王親衛隊』、単にゴーレムを召喚しただけでなく、何か別の魔法を使っているのかも知れないわ)
そう思うソルティだが、それがどんな魔法なのかはまったく見当が付かない。だからこそ逃げることで時間を稼ぎ、そのヒントを探っていたのである。
「……でも、逃げ切ることはできないみたいね。結構あいつってば、移動速度も速いし……。こうなったらマディラと合流して、彼女の知恵を借りた方がいいかも……」
弓を引き絞りながらそうつぶやくソルティの耳に、ズドドーン! という重苦しい地響きが聞こえた。そちらを見ると、マディラが相手をしていたゴーレムが、地面から手を離しゆっくりと立ち上がるところだった。そしてそのゴーレムは、ゆっくりと地面にめり込んでいき、やがてその姿を消した。
(……どういうこと? マディラがあいつを倒したの? でもそれじゃマディラの姿がどこにも見えないのは何故?……まさか、マディラはやられた!?)
「はっ!」
バシュンッ!
ソルティは我に返り、ゴーレムの手が自分に伸びてきているのを見て戦慄する。思わず矢を放つとともに、一散に駆け出してゴーレムから距離を取る。
(オデッシアのゴーレムはただ動き回って追いかけて来るだけ。遠距離攻撃はしてこないし、そんな武器も持っていない。だから10メートル以上離れていれば大丈夫のはず)
ソルティは振り返ると再び弓を構え、矢を放つ。魔力の乗った矢は正確に狙ったところに命中し炸裂するが、ゴーレムには全く効かないようだ。
(眉間、目、鼻、口、喉、首、鳩尾、急所……どこも人間なら一撃で動けなくなる場所なのに、全く効かないということは、あいつの魔力の核は体内にあるのかもしれない。
でも、それをむき出しにするためには表面を削らないといけないのに、傷一つ付かない……まったくの手詰まりだわね)
やがて最後の矢を放ったソルティは、悔しそうにつぶやく。
「……こうした想定外の事態への対処能力を買われてド・ヴァン様からスカウトされたって言うのに、ザマぁないわね……」
ソルティ・ドッグは、ド・ヴァンと同じアルクニー公国トナーリマーチに生まれた。父はド・ヴァンの父ミヒャエルの友人でもあり、ミヒャエルの商会で番頭も務めていた。
そのため、ド・ヴァンとソルティは幼い頃から相手の存在を知っていた。ジンとシェリーほどではないが、それに近い関係性だったと言える。
そんな彼女は、頭脳も身体能力も小さい頃から際立っていた。それは、才能と努力の結晶でもあるが、彼女自身が、
『マイケルの隣にいて恥ずかしくない女になりたい』
と強く思った結果でもある。ただ、彼女がそれほど努力したその動機として、彼女の容姿が関係していないとは言えない。
彼女の母は、アロハ群島の生まれである。彼女の父が商会の責任者として赴任した時に現地で見染めた女性だった。
そのためソルティは他の女性と違い、浅黒い肌と、うねるような黒髪を持って生まれた。そのことが彼女の生涯のコンプレックスとなった。
(自分は他の女性と比べて、肌は白くないし、髪も輝くような色じゃない。だからマイケルの隣に相応しいと認められるためには、自分の内面を磨くしかない)
だから彼女の努力を支えたのは、劣等感だったとも言える。
そんな彼女がド・ヴァンに傾倒するようになったのは、彼女が15歳の時だった。実はド・ヴァンが騎士団を立ち上げようと考えた時、最初にそれを打ち明けて相談したのが彼女だったのだ。
『え? 騎士団、ですか? でもマイケルはミヒャエル様の後を継がれるんじゃないんですか?』
驚いたソルティが思わずそう言うと、ド・ヴァンはニコニコしながら、
『まあ、いずれはそうだろうけれどね。
ただ、母上からも言われたんだが、ボクはいろいろな世界を見てみたい。それも、御曹司という立場を離れたところでいろいろな人と交流してみたいんだ。
で、できれば楽しいことができて、それが人助けにつながれば言うことはない。
その目標達成のためには、騎士団を立ち上げて団長になるのが一番手っ取り早いって思ってさ』
そう答えた。
『あのさ、マイケル。解っていると思うけど、立場を離れたらマイケル自身の魅力や能力だけが頼りなんだよ? そりゃあ、私から見たら、マイケルは十分に才能もあるし、魅力的だとは思うけど、知っている人間のひいき目ってものが入っているだろうし……』
心配したソルティがそう言うと、ド・ヴァンは真剣な目でうなずいて言った。
『ありがとう。君ほどの才能を持って、努力を怠らない人間だ、ボクは君の人を見る目を信じている。
だから君がボクのことをそう評価してくれるなら、まったくの他人も同じように評価してくれるだろう』
ソルティは顔を背けて訊く。
『あ、ありがとう。そんなこと言ってくれるのはマイケルだけだよ。それで、私に何をしてほしいの?』
『君の眼で見て、ボクの騎士団の幹部に相応しい人物を推薦してほしい。腕っぷしが強い者と、頭が切れる人物だ。もちろん、君にも幹部団員として加入してほしい。期待しているよ、ソルティ』
笑顔でそう言うド・ヴァンに、ソルティはすっかりほれ込み、やがてマディラとウォッカ、そしてブルーを推薦することになる。
(団長の夢はまだ叶っちゃいない。団長には夢を叶えて、ジン団長と共に平穏を取り戻した世界で笑っていてほしい。私はそんな団長の姿が見たい)
「……そのためには、生き抜かなきゃ。生き抜くために、こいつの弱点を見つけなきゃ」
ソルティは意を決した。恐らくマディラは死んでいる。だからこのまま一人で逃げ回ってもらちが明かず、弓を失った自分がいずれは敗れるのは火を見るよりも明らかだ。
それより、できるだけのことをして死中に活を求めるしかない。
「我、破邪のため力を尽くすことを天に誓う!『新生風域』!」
ソルティの周囲に翠色の空間が広がる。その空間は清浄で、一番外側は一見するとガラスのようであった。この空間に入れば、すべての魔力は少しずつ拡散を起こし、やがては尽きてしまう。
ソルティは、その空間を最大まで広げ、ゴーレムを翠の風の壁に招き入れた。
すると、ゴーレムの動きが明らかに緩慢になる。
(やはりこいつの魔力の核は体内にあるのね。今からその核を穿り出してあげるわ)
「食らえっ!『竜如風刃』!」
バババンッ! ゴキッ!
ソルティの風の刃は、今度こそゴーレムにダメージを与えた。人間でいえば眉間と鳩尾に当たる部分に命中した風の刃は、その部分に大きな亀裂を入れた。
「いける!『竜如風刃』!」
バババーンッ! バシ、バシッ!
再び命中した風の刃は、ゴーレムの表面を深く抉った。そして、眉間と鳩尾に当たる部分に生じた亀裂からは、その奥に黄土色に光る球体があることをはっきりと視認できた。
「あれだ、あの核を潰せば。『ドラゴ』……」
ソルティが三度、風の刃を発動しようとしたとき、突然ゴーレムが素早く手を動かしてきた。ソルティはとっさのことでもあり、魔法の発動途中でもあったため、逃げることができなかった。
「……『ドラゴンブレイド』っ! がはっ!」
ブシュッ、ブリュリュッ!
バンバンバンッ!
ソルティの風の刃は、鳩尾にあるゴーレムの核を打ち砕いた。しかし、その直前、ゴーレムは捕まえたソルティの首から下を握り潰した。
ゴーレムは砂となって崩れ去り、後には光のない目を見開き、口や鼻から血を噴き出したソルティの骸が転がっていた。
★ ★ ★ ★ ★
「さてと、目障りなギャラリーは、これでいなくなるだろうね」
オデッシアは両手を腰に当てると、テキーラの方を向いてニコッと笑う。
「ゴーレムの召喚か。その他には何を召喚できるんだ?」
テキーラは左手に創った魔力の剣を消すと、両手をマントの中に隠して訊く。
オデッシアは、ふんと鼻を鳴らし、
「別に何でもいいけどさ、ゴーレムが便利なんだよ。肩に乗れば移動も楽だし、頑丈でたいていのものは踏み潰せるし」
そう言うと、冷え冷えとした視線に変えてテキーラに催促する。
「……でさ、キミはもう踊れるんだろう? レディが待っているのに、いつまでもお預けを食わせるのは紳士としてどうなのかな?」
テキーラは碧眼を細めると、ゆっくりと呼吸をして魔力を整える。
(……マディラもソルティも勝ち目はないだろうな。とすると、私がこいつに引導を渡すしかない。ちっ、魔王とも戦いたいのだが、私の手で父の仇を取るのは諦めるしかないか)
テキーラは『この一戦』にすべてを賭ける決心をした。
オデッシアを倒して生き延びさえすれば、たとえ魔力が残り少なくなっても、ジンの側にいるジンジャーことキュラソーに希望を託して援護に回ることができる。
(私は、こいつを、倒す!)
テキーラの様子を見ていたオデッシアは、ぺろりと舌を出して
「……うふふ♡ やっとぼくと踊ってくれるんだね? それにしてもいい魔力だね、ひょっとして君は、マイティ・クロウの関係者かな?」
そう言いながら、身体中を青く輝かせ始めた。亜麻色の髪が電荷を帯びてふわりと膨らむ。周囲にはパシッ、パシッと弾けるような放電の光が明滅している。
「では行くよ? この高揚感がとても堪らないんだぁ♪」
そう言った途端、オデッシアは消えた。
シュンッ! バリバリバリーッ!
「……」
テキーラは前に跳びながら振り返り、左手を伸ばして電撃をシールドする。左手の分厚い手袋が焦げ、白い煙を噴き上げる。
「よく避けたね? それにぼくの攻撃を読んでいたみたいだね。褒めてあげるよ」
オデッシアは上機嫌でそう言うと、いきなり距離を詰めて来た。
だがテキーラは慌てず、自身の周囲に『風の浸透』で瘴気の膜を張り巡らせた。
バフンッ!
オデッシアの電荷を帯びた槍は、瘴気に触れると火花を散らして異臭を放つ。
「瘴気を操るなんて、正気かい? いったいキミは何者だい?」
異臭に表情を歪めながら、オデッシアは跳び下がる。
「興を削がれた。君には玩具で遊んでいる方がお似合いさ。『魔神任務』っ!」
オデッシアは黄色い雷を放ってゴーレムを召喚する。だが、テキーラはこの術式をオデッシアが使うのを待っていた。
「オデッシア、貴様はしゃべりすぎだ。『蜘蛛の微笑』っ」
ガガンッ!
テキーラの魔力は青黒い糸となって、ゴーレムを幾重にも絡め捕り始めた。ゴーレムは糸を引きちぎろうとするが、魔力の糸はしっかりと巻き付いて行動の自由を奪っていく。
やがてゴーレムは、まるで繭にくるまれたように魔力の糸の中に隠れてしまった。
「ゴーレムを呪縛してどうするつもりだい? ぼくは痛くもかゆくもないんだけど?」
小馬鹿にした口ぶりでオデッシアはそう言うと、テキーラの胸板を突き通すような勢いで槍を繰り出してくる。
「『風の呪縛』」
バンッ!
「うぇっ!?」
テキーラの魔法が乗った長剣は、オデッシアの槍を吸いつけて離さない。長剣に向かって魔力と共に風が集まり、その風圧と魔力の圧力に逆らって槍を外すだけの力はオデッシアにはなかった。
「は、放せよ! どうせ引っ付くなら(自主規制)しようじゃないか?」
少しテンパり気味にオデッシアが言うと、
「だから貴様はしゃべりすぎなんだ」
ズバンッ!
テキーラは左手に創り出した魔力の剣で、オデッシアの首を刎ねた。
「いやぁん、イっちゃうじゃないのぉ♡」
オデッシアの首は宙を舞いながら、そんなセリフを吐く。そして胴体の方は槍から手を離し、首をつかむと元の位置に押し当てた。
「……まぁ、貴様に超回復能力があることは知っていたから、さほど驚きはしないが、それでもたいしたものだな」
テキーラが感心したように言うと、オデッシアは紅潮した頬を両手で押さえ、恥ずかしそうなそぶりを見せて言う。
「あぁん♡ やっぱり首を刎ねられる瞬間のエクスタシーは最高だわぁん♡ おまけにぼくを魔力で拘束したうえでなんて、初めての経験だったよ♪
それにしても君って見た目に違わずSなんだね? もっとぼくを苛めてくれるんだろう? 期待しているよ♡」
そう言うオデッシアは、再び身体中を電荷で覆いつくす。その量は先ほどの比ではなかった。空間そのものが電荷を帯びたように、20メートルは離れているテキーラですら肌にピリ付きを覚え、髪が逆立っていた。
「……ふん、気に入ってもらえて何よりだ」
テキーラはそう言った瞬間、サッと振り返って剣を横薙ぎにする。
ジャンッ! パリパリパリッ!
「良く判ったね。君とは身体の相性だけでなく、戦闘の相性も良さそうだ♪」
後ろに回り込んでいたオデッシアは、テキーラの剣を弾くと共に
シュンッ!
ピシャーンッ!
目にも止まらむ神速の突きを放ってくる。
「む……」
ズバアァンッ!
テキーラは体を開くことでその突きを外し、摺り上げるようにした剣でオデッシアの右の脾腹から左の肩口までを存分に斬り裂いた。
「おおうんっ♡ さいこうーっ♡」
オデッシアは、野太い声を上げるが、その顔には恍惚とした表情が浮かんでいた。
「うるさいんだ、何度も言わせるな」
バスンッ!
テキーラは、オデッシアの伸びきった首に剣を走らせる。あっという間に傷を回復したオデッシアの胴体は、落ちていく首を何とかつかむと、また元の位置に戻した。
それを見ながらテキーラは、一瞬視界が歪むのを意識し、
(私も瘴気の影響が感じられてきた。そろそろ決着を付けるべきだな)
そう考えていた。
一方で、オデッシアの方も、少しばかりの違和感を覚え始めていた。
(おかしい、傷の治りがいつもより遅い……)
そう感じたのは、二度目に斬首された後だった。いつもなら、首は元の位置に戻った瞬間につながるため、すぐに攻撃や防御の体勢に移れた。
しかし、今回に限っては、一瞬隙を見せたテキーラに飛び掛かろうとした時、1秒ほど身体が動かなかったのだ。
(……あの遅延がなければ、テキーラの心臓を刺し貫けていたはずだ。いったいぼく、どうしちゃったんだろう?)
その時オデッシアは、テキーラの周囲に渦を巻く瘴気を見て、不意に息苦しさと肺が灼けるような感覚に襲われた。
(そうか! テキーラの瘴気に当てられたんだ!)
そう結論付けたオデッシアは、同時に
「……だったら、テキーラ自身も自分の瘴気の影響を受けているはずだ。ぼくもちょっと疲れたし、決めてあげようかなぁ。ジンがテキーラ以上のテクニシャンだったらいいけどなぁ……」
そうつぶやくと、槍に電荷を込め始めた。
(……ふっ、オデッシアめ、今度で決める気だな……)
テキーラは胸を押さえながら、横目でオデッシアの様子を見ていたが、彼女の髪が青く輝き始めるのを見てにんまりとした。
(いいぞ、そうやってどんどん魔力を使うといい。貴様の魔力は『蜘蛛の微笑』によってゴーレム経由で私がいただいているのだからな)
テキーラは、ゴーレムが召喚される時に魔力の供給源を魔力視覚で探った。そして眉間の魔力の核はオデッシアそのものにつながっている……というより、オデッシアの本体であることが分かった。
(眉間にある『魔力の核』は、ゴーレムの鳩尾にある『核』でゴーレムを動かしている。
そして眉間の『核』はオデッシアの頭部に魔力で繋がって、オデッシアを動かしている。
つまりゴーレムは目晦ましの盾。少女の身体は単なる感覚器官。だからゴーレムの眉間にある『核』……オデッシアの本体を叩くには、魔力を吸い取ることが根本的な攻略法だ)
テキーラが見るところ、オデッシアにも瘴気の影響が出始めている。ということは、魔力の繭にくるまれたゴーレムの防御力も下がっているはずで、オデッシアの攻撃に対して適切なカウンターを加えられれば、『魔力の核』は繭の中でむき出しになるはずだった。
(繭の中には瘴気が満ちている。ゴーレムの外郭が崩れた瞬間、『魔力の核』は汚染が始まり、オデッシアの超回復能力はそこで失われる)
「……さて、オデッシア。勝負と行こうか」
テキーラはそうつぶやいて『風の浸透』を解除する。オデッシアから見たら魔力の枯渇によって術式が解けたような唐突な解除だった。
「ふふん♪ 魔力が少なくなったんだね? ぼくも忙しい身体だ、ここで終わらせてもらうよ?」
オデッシアは電荷の乗った槍を構え、それこそ電光のようにテキーラに突き掛かる。テキーラは地面に片膝をつき、肩で息をしている。
「完全にもらったよ♡」
ザシュッ!
「な!?」
バチバチバチイイィッ!
勝利を確信していたオデッシアの口から、驚きの声が漏れる。オデッシアの槍は地面に突き立っていたが、わずかに身をよじらせたテキーラがそのけら首をつかみ、彼女を鋭い目で見つめていたからだ。
槍をつかんだテキーラの手袋が、迸る火花で焦げていく。だがテキーラはそんな事にはまったく興味がないようにつかんだ力を緩めない。
「お、お前、わざと術式を解除して?」
オデッシアがそう言った瞬間、テキーラは魔力を全開にした。
「あばよ、オデッシア。『黒になれ』」
「がっ!?」
テキーラの碧眼が怪しく輝く。その瞳に、オデッシアの視線は魅入られたように離せなくなっていた。オデッシアの身体が細かく震え、魔力がじわじわと、しかし止めようもなく漏れ出していく。
「あ、あああ、あああああ……」
いつの間にか、オデッシアを包んでいた魔力は消えていた。
いつの間にか、ゴーレムを包む『蜘蛛の微笑』が解けだし、バラバラになったゴーレムを露出させ始めていた。
そしていつの間にか、ゴーレムの頭と胸にある光の玉が、テキーラの青黒い魔力に包まれ始めていた。
「ぼくは……ぼくは……」
テキーラを見つめたまま、オデッシアは戸惑いの表情で何か言おうとした。それにテキーラは薄く笑って魔力の剣を創り出し、
「……もうしゃべるな。摂理へ還れ」
ズバンッ! ブシャアアァァッ!
そう言ってオデッシアの首を刎ねる。首の付け根から真っ赤な血と、赤黒い魔力が噴出した。
テキーラは立ち上がると、ゴーレムの残骸へと歩いていき、
「貴様には復活はない。永遠に眠れ」
そうつぶやきながら、『魔力の核』を剣で叩き斬った。
パリィィィンッ!
乾いた音を立てて砕けた『魔力の核』は、そのままチリとなって風の中に消えていった。
テキーラはホッとため息をつき、がっくりと片膝をつく。しばらくそうしていたテキーラだが、やがてゆっくりと周囲を見回すと、唇を噛んでつぶやく。
「……団長やウォッカが残りの『魔王親衛隊』を抑えているうちに、ジン殿の所に行かねばな……今なら、まだ間に合うはずだ……」
そう言いながら、テキーラはゆっくりと立ち上がった。
(魔王を狩ろう!その2に続く)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
『魔王親衛隊』が出てきました。彼らの能力については、一度アルケー・クロウとの戦いで描写していますが、今度は『本気の戦い』ということで、結構頭を悩ませました。
その第1戦であるオデッシアとの勝負はテキーラが決めましたが、マディラ、ソルティと有能な二人がここで犠牲になってしまいました。
この後のクン・バハ、ファルカロスとの戦いは、どんな結果になるのでしょうか?
次回もお楽しみに。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
【主な登場人物紹介】
■ドッカーノ村騎士団
♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。
♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。
♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。
♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。『右鳳軍団』に先行し、ジンと合流を果たした。
♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。
♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。
♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在ジンたちとは別に『先遣隊』を率いて行動中。
♤ダイ・アクーニン 28歳 賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。魔王を目の敵にしているが、魔王の攻撃で傭兵隊長だったコア・クトーや錬金術師のシロヴィン・ボルドーを失った。
♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形。ジンの魔力で再起動し、新たに仲間となった。
■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』
♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン 21歳 アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。
♤ウォッカ・イエスタデイ 21歳 ド・ヴァンのギルド副官。オーガの一族出身である。無口で生真面目。戦闘が三度の飯より好き。オーガの戦士長、スピリタスの息子。現在、『左龍軍団』と共にジンとの合流を目指している。
♡マディラ・トゥデイ 20歳 ド・ヴァンのギルド事務長。金髪碧眼で美男子のような見た目の女の子。生真面目だが考えることはエグい。狙撃魔杖の2丁遣い。
♡ソルティ・ドッグ 21歳 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。黒髪と黒い瞳がエキゾチックな感じを醸し出している。調査・探索が得意。
♤テキーラ・トゥモロウ 年齢不詳 謎の組織から身分を隠して『ドラゴン・シン』に入団した謎の男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。現在、ド・ヴァンの許可のもと、『暗黒領域』で単独行動をしている。
♤ブルー・ハワイ 25歳『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。金髪碧眼で観察力と記憶力に優れる。変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。
♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。
■退場した仲間たち
♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。
♡ウォーラ・ララ ジンの魔力で再起動した自律的魔人形。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。
♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。
♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体であることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまったが、マーリンの秘薬『諸刃の韻律』によって命は救われた。現在、視力を失いマーリンの許にいる。




