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キャバリア・スラップスティック  作者: シベリウスP
暗黒領域・魔王決戦編
160/171

Tournament160 The Demon King’s Army hunting:3(魔王軍を狩ろう!その3)

魔王自ら率いる軍が『勇士の軍団』遊撃部隊への攻撃準備を整えているとき、遊撃部隊からマロンが消えた。

ダイはそれでも徹底抗戦を決意する。果たして戦闘の結果はいかに?

【前回のあらすじ】


アルケー率いる魔軍は遂に『霧の湿原』に陣取る『勇士の軍団』と戦端を開いた。

次々に襲い掛かる魔軍を撃退していた『勇士の軍団』だが、シールの戦死で流れが変わり、『勇士の軍団』本隊は、魔軍をせん滅しながらも壊滅してしまった。


     ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


 『勇士の軍団』本隊が『霧の湿原』で激闘を展開していた頃、そこから50マイル(この世界で約93キロ)離れた『瘴気の密林』出口にも、戦雲が立ち込めていた。


「……オデッシア、本当に『勇士の軍団』遊撃部隊にジン・クロウがいるのだろうな?」


 大地に波打つようにして設置された柵や土塁、見えないが塹壕の類もあるだろう……ダイ・アクーニンが急ごしらえで造り上げた、しかし見るからに堅固そうな陣地を望見して、銀色の髪を持つ男がつぶやく。


「アルケー・クロウ様がそう仰ったのでしょう? でしたら間違いはないと思うよ?」


 横に立つ女性がそう言うが、男はまだ首を傾げている。


「……確かにこれは魔族が持つ魔力の波動だ。しかし、俺が知るジンの魔力とは少し違う……クン・バハ、お前はどう思う? ジンの魔力はアルケー・クロウ様にそっくりなんだが、この魔力は少し濁っているんだ」


 すると、スキンヘッドでたくましい肉体を持つ男性が、鋭い視線を陣地に向けたまま答えた。


「魔王様、ここだけの話、俺様はアルケー・クロウ様に対し、心底信頼が置けないのです。魔王様がまだ実体を持たれていないとき、マイティ・クロウを俺様たちが止めるのを邪魔されました。

 一度は全員がアルケー様に倒されているんです。しかも、遊撃部隊の指揮官はアルケー様とも関係がある元精霊王のマロン・デヴァステータで、その配下には勝つためには手段を選ばない智謀の士、ダイ・アクーニンもいます。

 この魔力が、創られた魔力だったとしてもおかしくはありません」


 クン・バハが不満と共に不安を漏らすと、魔王はうなずいて、


「ふむ、お前の不満はよく解る。が、あの対応はアルケー様が後々のことを思われてのことだ。我々はアルケー様が生み出され、アルケー様が立てた『掟』のもと、アルケー様が望まれる未来のために動いている。そのことだけは忘れないようにな」


 そう、静かにクン・バハ……いや、その場にいる三人に言い聞かせるように言った。


「分かりました、不満は忘れます。しかし、不安の方はそうはいきません」


 クン・バハがそう言うと、魔王は翠色の瞳をもう一人、金髪碧眼の男性に向けて言う。


「ファルカロス、お前はあの陣内を探索できるか? この魔力の源を探し、ジンがこの陣内にいるかどうかを確認してほしいが?」


 すると、ファルカロスは首を横に振り、


「……探索するまでもないこと。私はあの陣内にジン・クロウはいないと断言します。マロンやダイの性格を考えたら、ジンは今頃魔王様の心臓に向かっているに違いありません」


 そうはっきりと言い切った。

 魔王は少し考えていたが、


「……では、こいつらは放っておいてジンを叩きに行くか。その方が手っ取り早くていいと思うが?」


 そう言うと、ファルカロスは首を横に振る。


「魔王様、ジンもさることながら、マロンがいることをお忘れなく。ジンに手間取れば、マロンと挟撃を受けることになります。

 ここは、遊撃部隊……というよりマロンを釘付けにする必要がございます」


「それは一理あるな。では、攻めるか」


 魔王はそう言うと、マントの下から左腕を出して陣地へと伸ばす。


「マロンをいぶりだすにはちょうどいいだろう。『崩壊コラープス』」


 魔王の左手から赤黒い魔力が線になって陣地へと延びる。一瞬後には目の前に広がる陣地はことごとく破壊され、残骸と死体であふれるはずだった。しかし、


「むっ!?」「えっ!?」「おうっ!?」


 魔王を除く三人は、驚愕の声を上げる。魔王の魔力は、一瞬幻影となって現れた森林に吸い込まれるように消えてしまったからだ。


「……」


 魔王は左手を戻し、ぎゅっと握りしめると、


「……マロンは四神を追放されたと聞いていたが、まだ魔力はたいしたものだ。確かに、こいつを放置してジンと戦えば不利を招くだろう。

 ここは俺が指揮を執る。お前たちは我が心臓を守れ。ジンが現れたらお前たちで処分してもいい」


 そう、冷え冷えとした声で言う。三人は平伏し、


「分かりました。我ら『魔王親衛隊』にお任せを」


 ファルカロスが答えると、三人一斉に姿を消した。


「さて、我が連隊長たちよ」


 魔王がそう呼ぶと、トロール、サラマンダー、レプティリアンの3種族の長が前に進み出て来た。


「いよいよ決戦ですか? だが、精霊王がどうしてここに?『誓約』では精霊覇王を除いた精霊王たちは『決戦の荒野』から2百マイル以内には入れなかったのではないですか?」


 レプティリアンの女性が訊くと、魔王はフンと鼻で笑って答える。


「マロン・デヴァステータは7千年前に精霊王位をはく奪されている。こうなることを見越して『摂理の調律者(プロノイア)』がそうしたのかは分からんが、とにかく『誓約』には違反していない。文句は言えないな、サーペンター」


「だが、だまし討ちされたような気は拭えませんな」


 身体中を炎で包んだ男が不満を述べると、


「……そうかもしれん。だが、俺も奴らに対して真実を告げていないところがある。お互いさまってことだ。気にするな、ヘルファイア」


 そう宥めるように言うと、トロールの男に向かって命令する。


「さて、ではマロンやダイ・アクーニンとやらと遊んでやるか。第1陣はフォッデン、お前に任せる。

 ただ、これはあくまで探りを入れるための攻撃だ、本気で掛かるな。相手の配置や罠、そしてダイとやらの力量を見極めるためのものだ。

 分かったら、すぐに掛かってくれ」


「……委細承知しました。では」


 フォッデンはそう言うと、自分の部隊に戻り、攻撃準備を始めた。



「……マロン様がいないって、そりゃ一体全体どういうことだ!?」


 遊撃部隊の本営……陣地南側の高地にある……では、遊撃軍団を束ねる勇士、スコッチ・カッパーがダイからの報告を受けて困惑していた。


「ぼくにも判らない。とにかく朝にはいなくなっていた。何か考えがあって陣を離れる場合、今までは事前に話があったけれど、今回は何も聞いていない」


 ダイも困惑の表情を浮かべている。無理もない、この陣地は魔王を相手にする前提で、『魔王の魔力攻撃を防ぐ』ことを主眼に構築されている。その仕組みにはダイやマロンの魔力が大きく関わっているのだ。下手をすれば陣地を放棄して、勝てる見込みの少ない野戦を挑むしか、無為に壊滅するのを避ける手段がなくなる。


「……幸い、マロン様の『芽生えの歌』は発動状態を保ったままになっている。だから、いよいよ白兵戦になるまではぼくが予想するような戦闘の流れになるだろう。

 だが、その後が問題だ。仮に魔王でなくても『魔王親衛隊』の奴らが陣内に侵入してきた場合、マロン様が居ると居ないとでは戦い方を変える必要があるんだ」


 ダイが親指の爪を噛みながら言う。その仕草に、どことなく子どもっぽさを感じたスコッチは、太いため息をつきながら言った。


「はあっ……とにかく、マロン様がいない前提で戦いを進めなきゃならんな。やはり、白兵戦になったら不利と思うか?」


「いや、魔王や『魔王親衛隊』さえ陣地の中に入れなければ、魔物の類は確実に仕留められる『死地』を準備しているから問題ない。こうなったら、魔王や親衛隊の気を陣地から逸らすしかないか……」


 ダイはそう言いながら立ち上がると、スコッチに言った。


「ぼくはコアと打ち合わせがあるから、前進陣地に移るよ。もし、何か相談事があったら転移魔法陣でぼくのところに来るといい」


「おいおい、ダイ。みんながお前みたいに転移魔法陣を使えるなんて思うんじゃないぞ?

 自慢じゃないが、俺は魔法攻撃も防御も、術式はそんなに知らないんだからな」


「……エレメントが開いても、普通の人間ならばそんなところじゃないか? 分かった、ここに転移魔法陣を開いておくから、何かあったらこれを使ってぼくのところへ来てくれ」


 ダイはそう言って転移魔法陣で前進陣地へと移動する。ドンピシャリ、本部がある曲輪に姿を現した彼は、そのまま目の前にある天幕に向かって歩き、開いている入口から中に声をかけた。


「コア、ぼくだ。ちょっと話ができないか?」


「ああ、ダイかい? 大丈夫だ、入っておいでよ」


 コアの返事を聞いてダイが中に入ると、


「どうしたんだい? 魔王の軍団の動向が分かったのかい?」


 コアが椅子を勧めながらそう訊いてきた。


 ダイは椅子の腰を下ろしながら、首を振って答える。


「いや、魔王の軍については昨日話したとおりだ。ただ、今朝方からマロンさんの姿が見えない。ここに来ちゃいないか?」


「マロンさん? いや、今朝どころか昨日も見ちゃいないね。いつものように、どこかで悪さをしているんじゃないかい?」


 ダイの問いに、コアはキョトンとして言う。


「そうかもしれないが、今までマロン様は単独行動をとられる前には、必ずぼくたちのうちの誰かに事前にそう言っていた。だが、今日に限って何も聞いていないんだ。ちょっと悪い予感もしている……」


「……仮に、何か不測の事態に陥ったとしてもだよ? マロンさんは元精霊王だからそんなに心配することはないって。

 それより、マロンさんが抜けた穴をどうやって埋めるかの指示をするためだろう? あたいのところに来たのは?」


 コアがそう言うと、ダイは心配そうな顔色はそのままだが、『軍師』の顔に戻って言う。


「まあ、そのとおりだ。コアは本部から旗は受け取ったか?」


「ああ、5百本ほど受け取ったよ。それを使うんだね?」


 コアが訊くと、ダイはうなずいて指示を出した。


「君はこの陣地に旗の半数を立て並べて、すぐに『埋伏陣地』に移動してくれないか?」


「それはいいんだけどさ、この陣地はどうするんだい? ただで魔王にくれてやるなんて言わないよな?」


 先鋒として魔王の軍を叩き潰すつもりだったコアは、ダイの『後退命令』に等しい指示に不満の色を現して訊く。


「この陣地は、魔王軍を一時的に食い止める偽陣地にするんだ。もちろんタダでくれてやるつもりなんてさらさらないさ。

 この陣地には、『遊撃軍団』と『猟兵軍団』から『偽存在ドッペル』を派遣してもらうんだ。マロン様がいないとなると、思いのほか魔法防御が早く破られる可能性が高いからね。できるだけ魔王軍から時間を奪いたい」


 ダイの答えに、コアは苦笑して言う。


「ふふふ、ダイらしいな。で、この偽陣地に引っ掛かっている魔王軍を背後や翼側から襲えってことだね?」


「ご明察! で、君はその後『埋伏陣地』に残りの旗を立て並べ、僕が赤い旗を振ったらシロヴィンの第2曲輪に、白い旗を振ったら『埋伏陣地』に入ってくれ。

 もし君を第2曲輪に入れる場合、『埋伏陣地』には『偽存在』を配置するからね。

 ただし、どちらの旗も振らない場合は『埋伏陣地』で戦況を静観していてくれ」


「旗が振られたら出撃。帰還先は赤い旗なら『第2曲輪』、白い旗なら『埋伏陣地』だね? 分かったよ」


 コアはダイの指示を繰り返して、間違いがないかを確認する。


「うん。魔王が自身で攻め寄せたら、赤い旗を振るさ。だけど、敵将が思い切りのいい奴だったら、白い旗を振るだろうね」


 ダイはニヤニヤしながら言う。それを見てコアもニコッと笑って言った。


「はっは~ん♪ あんたのその笑いが出るなら、今度の戦いも勝ちそうだねぇ。『無敗のダイ』神話に新たなページを付け加えてやるさ」


 そう言っていると、コアが放っていた索敵隊が戻って来たらしい。天幕の外で声がした。


「コア様、索敵隊の報告です。『トロール部隊がこちらに向かう。数は2千』以上です」


 コアは立ち上がると、外でこちらを見ている副官に笑って命令した。


「マロン様からいただいた旗の半数を陣地周辺に立て並べな。それが済んだら、『埋伏陣地』に移動するんだ」


 ダイは、コアの命令を聞いた後、微笑しながら立ち上がって言った。


「コア、無茶はするな。君には『魔王』との戦いの時に全力を発揮してもらいたいから、ここはいつもの半分程度の力で戦ってくれ」


 するとコアは、背中の大剣の鞘を触りながら笑って答えた。


「ああ、あんたの一世一代の戦いって奴、あたしも自分の眼で見てみたいからね」


   ★ ★ ★ ★ ★


「フォッデン様、『勇士の軍団』遊撃部隊の陣地まであと1マイルです」


 進撃を続けるトロール連隊では、主将のフォッデンが報告を受けてうなずいた。


「陣地の構成は判るか?」


「はい、街道を塞ぐように北から南へと階段状の陣地を造っています。恐らく、敵の主郭は南側の高台上にあるものと思われます。

 前面には3重の堀と土塁を備えた前進陣地があり、2百ほどの旗が翻っていますので、奴らもやる気満々と見ました」


 副官が敵情報告をまとめたものを説明すると、フォッデンはきな臭い顔をして訊き返す。


「戦意旺盛というんだな? 本陣地と前進陣地の他に、伏兵はいないだろうな?」


「敵は2千5百、うち5百は騎士団です。金で雇われた連中でしょうから、この騎士団が前進陣地を守っているんでしょうね。

 敵の本陣地は、街道で南北に分断されていますから、北に『猟兵軍団』、南に『遊撃軍団』が配置されていると見て、ほぼ間違いなないかと。それ以上戦力を分散するようなバカな真似はしないでしょう」


 副官の意見は、常識的に考えたら当然帰結するものだった。だが、フォッデンがそれでもその見方に釈然としないものを覚えたのは、


(……遊撃部隊にはダイ・アクーニンという規格外の戦術家がいるという話を聞いている。

 そんな男が、通り一遍の配置で3倍の我々を迎え撃つだろうか?)


 という思いからだった。


「ジン・クロウがこの陣に居ないのであれば、そんなに本気を出す必要はないが、少なくとも遊撃部隊がここから動けなくなる程度には叩く必要がある。まずは第4大隊で前方の前進陣地に攻撃を仕掛けてみろ」


 フォッデンが攻撃命令を下すと、第4大隊は連隊本部の横をすり抜けて前線へと進出して行った。


「本部も前進する。第1大隊と第2大隊は本部と共に前進し、第4大隊の攻撃を支援する。第3大隊は密かに敵陣の北側に回り込め」


 こうして、『勇士の軍団』遊撃部隊と魔王直々に指揮する魔王軍の戦いが始まった。


 ダイは、主郭でトロール部隊の動きを見ていたが、


「ふむ、こっちの戦い方を見たいってわけだな。北曲輪に伝令だ『北方からの奇襲に注意せよ』。それと軍団長殿、ぼくに騎兵百騎を預けていただけませんか?」


 そう伝令を出すと、スコッチ軍団長に頼み込んだ。


「……前進陣地はまだ捨てないのか?」


 スコッチが尋ねると、ダイはうなずいて、


「あそこを捨てるのは、魔王が前線に姿を現してからです。魔王を引きずり出すため、ちょっとトロールの奴らと遊んできます」


 そう答え、急いで出撃準備を整える。


 ダイが第2曲輪の陣門に来てみると、騎馬百騎がくつわを並べて待っていた。ダイは自らも馬上の人になると、百騎の騎兵に言い渡した。


「今回は敵の陣形を乱すのが目的だ。よってこちらから無理して相手に突っ掛かって行かなくてもいい。目の前に立ちふさがる敵だけを相手にして、ただ駆けに駆けて主郭の陣門を目指すんだ」


 応っ!


 ダイは、百騎の応答を聞くと、弓を手挟みながら馬に鞭をくれた。



 前進陣地を攻めたトロール連隊第4大隊は、3重の濠と土塁に苦戦していた。


 実はここにはすでにコア隊5百人は居らず、『遊撃軍団』の将兵や『猟兵軍団』の魔獣ハンターたちの『偽存在ドッペル』が詰めていたのだが、『偽存在』の中には武器を使えるものも結構いたことと、飛び道具が交戦の主役になったことでトロールたちも現実の将兵ではないことを見抜けなかった。

 そのため、トロールたちの攻撃は無効だが前進陣地から飛んでくる矢はトロールたちを傷付けるという一方的な戦闘になったのである。


 そこにダイの百騎が側面から襲い掛かったため、この時点で第4大隊長がダイの矢で戦死したほか、3百人ほどの犠牲を払ったにもかかわらず、前進陣地の占領はおろか濠や土塁を越えることすらできずに撤退の憂き目にあった。


 また、北方から側面陽動を狙って近付いていた第3大隊も、『猟兵軍団』の魔獣ハンターたちの格好の餌食になり、こちらも2百の死体を遺棄して撤退してしまった。


 一方で、ダイの騎兵突撃はわずかに3騎の騎兵を失っただけで、前哨戦は『勇士の軍団』遊撃部隊が制した。


 この緒戦の結果は、魔王軍側に大きな影響を与えた。フォッデンは情けなくも敗走してきた両大隊の惨状を見て、指揮官を失った第4大隊を解隊し、その将兵たちを第3大隊に編入した。

 本来ならフォッデンは、この段階で攻撃行動をいったん中断し、魔王や友軍の到着を待つはずだった。


 しかし、いくら威力偵察を兼ねた攻撃だといっても、1個大隊に匹敵する損害を受けて黙って下がったのでは、今後の魔軍内での評価も気になるし、何より将兵の士気低下が懸念される……そう考えたフォッデンは、陣頭指揮で前進陣地を潰すことに決めた。


「攻撃は続行する。目的は敵前進陣地の占領、又は完全な破壊だ。部署は第1大隊が東正面から、第2大隊は4個中隊で北から敵陣を攻撃せよ。

 第3大隊は敵本陣地からの救援攻撃を阻止する。第2大隊の1個中隊は連隊本部と共に予備となる。いいな?」


 フォッデンは口頭で各大隊長に指示を下した後、連隊を挙げて前進し始めた。


 その様子を見ていたダイは、


「ふうーん、下がらないのか。では、トロール連隊の命運も尽きたな。今度はコアに活躍してもらうか」


 そうつぶやき、主郭から白い旗を振った。


「……白い旗が振られたね。今度はあたいの出番って訳だ」


 『埋伏陣地』でトロール連隊の第1次攻撃を静観していたコアは、主郭に翻る白い旗を見て勇躍する。


「よし、あたいたちが出るからには、敵がたとえトロールだろうと、魔王だろうと目にもの見せてやるよ! 野郎ども、覚悟はいいかい!?」


 コアが部下の中隊長たちにはっぱをかけると、彼らは一様に鋭い視線を『前進陣地』に送ってうなずく。そこでコアはいいことを思い付いた。


「今度はここに帰って来るんだよな。だったら、まだ旗は立てずにいな。陣門から出たらいったん街道へと向かう。第2曲輪からの救援と思わせるんだ」


 コアのこの措置が、魔軍のサラマンダー・レプティリアン連合の攻撃時に思わぬ偉効を発揮することになる。



 フォッデンの第1次攻撃第2波が始まった。魔軍は連隊長フォッデンの意向どおり、第1大隊5百人が正面から、第2大隊4百人が北から攻撃を始め、第3大隊5百人は第2大隊の北西に位置して主陣地からの突出攻撃に備えた。


 第1大隊の北東に、連隊本部と第2大隊第10中隊と共に2百人で布陣したフォッデンの意識は、街道から行われるだろう主陣地からの援護攻撃に集中していた。


 主郭の高台から戦況を傍観しているダイの眼に、『埋伏陣地』を出て街道に向かって行軍するコア隊5百人の姿が映る。


 それを見て、ダイは再び騎兵隊での奇襲を企てた。


(トロール軍の意識は、コア隊に集中している。さっきの戦闘と同じく、街道沿いに出撃してくることを予想してそれを遮るように部隊を配置しているのがその証拠だ。

 ということは、逆から陣風のように襲い掛かれれば……)


 そんな考えが閃いたダイは、再びスコッチに、


「軍団長殿、もう一遍出ます!」


 そう叫び、急いで騎兵隊の所に駆け付けた。


「軍師殿、また出ますか?」


 騎兵隊長がそう訊くと、ダイは馬に鞍を置きながらうなずき、


「うん。今度は敵の本部が出てきている。それを狙う」


 そう言うと馬にひらりとまたがり、


「敵将の首をもらいに行く。全員一塊になって素早く行動しろ。前を遮る者だけを叩き、その首は討ち捨てにせよ!」


 そう命令して、百騎の先頭に立って主郭南側の陣門から秘かに出撃した。


 その頃、フォッデン連隊は第1波と同じように『前進陣地』の『偽存在ドッペル』に悩まされていた。


 『偽存在』は、生命力と魔力の波動を持つ。そのため、はた目から見ればそこにその人物がいるようにしか見えない。もちろん、術者の力量の違いから、『ただそこに居る』ようなものから『本人同様に考え、動くことができる』ものまで様々だ。


 ただ運がいいことに、『勇士の軍団』に選ばれるほどの者たちなので、かなり上級な『偽存在』を操れる者が多く、『前進陣地』に配置された『偽存在』のうち3百ほどは実際の兵士のように陣地防衛に力を発揮した。

 ある者は矢を放ち、ある者は弩弓を操作しと、寄せ来るトロールたちを片っ端から狙い撃ちしているのだ。


 そのため、攻撃開始からわずか30分で、主攻撃を担当した第1大隊は2人の中隊長を含む150人を失っており、北の助攻を担当した第2大隊も、あっという間に3人の中隊長を含む3百人が動かなくなっていた。


「フォッデン様、助攻部隊は壊滅しています! 今、別れの挨拶が入りました!」


 戦況いかにと戦場を見つめるフォッデンのもとに、第2大隊から衝撃的な報告が届いたのはその時だった。


「第2大隊が? どういうことだ? クラメルは連隊きっての戦上手ではないか!?」


 驚いたフォッデンが、副官の差し出す連絡用紙をひったくるようにして文面を読む。確かにそれは、さよならの連絡であった。


『北曲輪からの狙撃を受け中隊長3人戦死。大隊長以下百人は、敵の逆襲部隊5百に攻められつつあり。連隊の万歳を祈念す。第2大隊長クラメル』


「第3大隊は何をしている!? アルム大隊は敵の逆襲を迎撃するために配置したはずだ!」


 そう叫んだフォッデンは、その興奮のまま出撃を令した。


「俺も出るぞ! 第2大隊を救い、第3大隊と共に敵主陣地へ攻撃を仕掛ける。準備急げ!」


 フォッデンの連隊旗が慌ただしく動き始めた。陣形を組むのももどかしく、フォッデンは連隊本部を連れて陣地を動き出す。


 ダイの騎兵隊がフォッデンを急襲したのは、その時だった。行軍を始めて間もなく、不意に最後尾が乱れて喚声が上がるのを聞いたフォッデンは、眉をひそめて副官に訊く。


「何事だ? まさか怖気づいた奴らが敵前逃亡とか企てているんじゃないだろうな?」


 副官は後ろを振り向いて、


「いえ、そんな感じではありませんが……」


 言いよどんでいたが、いきなり顔色を変えて、


「フォッデン様! 敵襲ですっ!」


 立ち止まり、剣を抜き放ちながらそう叫ぶ。


「敵襲だと!? 主陣地からの逆襲部隊は第2大隊を攻めているんじゃないのか!?」


 フォッデンも振り向いて、大剣を抜き放ちながら吼える。


 その時、ごちゃごちゃしていた後備の隊列がぱっかり割れ、そこから怒涛のように騎兵がこちらに向かって驀進して来た。


「来れる軍は何者だ! 俺は魔王様の配下、トロール連隊長フォッデンだ!」


 フォッデンの名乗りに、先頭を走る馬から金髪碧眼の青年が立ち上がり、弓を引き絞りながら名乗りを上げる。


「ぼくはドッカーノ村騎士団所属で『遊撃軍団』軍師を務めるダイ・アクーニンだ。フォッデンの首を受け取りに推参した!」


「大きな口をたたくな小僧! 貴様こそ魔王様への手土産としてくれるわ!」


 ダイの名乗りにフォッデンが言い返した瞬間、


 ヒュンッ!


 ダイが矢を放つ。魔力が乗った矢は紫紺の糸を引いてフォッデンへと飛翔した。


「そんなへろへろ矢など……ぐおっ!?」

 バアアンッ! バシュンッ!


 フォッデンは目を剝いた。大剣で矢を弾こうとしたのだが、矢は大剣を貫通してフォッデンの左肩を爆砕したのだ。


「ぼくの矢は止められなかったようだね」


 シュンッ! ボシュンッ!

「ごぼっ!」


 ダイの二の矢はフォッデンの喉笛を貫き、首と胴を離れ離れにした。



「よぉーし、幸先はいいぞ!」


 魔王の軍団の先鋒、トロール連隊を壊滅させ、『遊撃軍団』と『猟兵軍団』の意気は上がった。両軍団を統率するスコッチは、上機嫌で部隊の将兵に勝利の美酒を振舞った。


 トロール連隊は、連隊長フォッデン以下4人の大隊長全員と、20人のうち19人の中隊長、そして兵員2千のうち1千8百以上を失って文字どおり全滅した。3割失って壊滅、5割失ったら全滅と言われる陸戦において、9割以上を失ったのだ。


「……だが、まだまだだ。部下の連隊長など、何人討ち取ったとしても魔王はさほど痛痒は感じないだろう。やはり、魔王自身を討ち取らないと……」


 ダイは、第2曲輪で行われた酒宴でも、コアやシロヴィンにそう話していたという。


 一方で、フォッデンの戦死と連隊の全滅を聞いた魔王側では、


「……やるじゃないかマロン・デヴァステータ」


 魔王は不敵な笑いを浮かべていたという。


 一方で、フォッデンという盟友を失ったサーペンターやヘルファイアは、


「次は私たちをお送りください! フォッデンの仇を取ります!」


 二人で打ち揃って魔王に懇願していた。


 魔王は薄笑いを浮かべながら、二人の鬼気迫る顔を眺めていたが、


「……俺の出番を無くすつもりで掛かれよ? 負けたら死あるのみだぞ?」


 低い声でそう言って、二人の出撃を許可した。


「ありがとうございます!」

「もとより、主将スコッチ、軍師ダイ、そしてマロン・デヴァステータの首を取らねば帰って来るつもりはございません!」


 二人はそう言って魔王の前を辞し、レプティリアン連隊2千、サラマンダー連隊2千を率いて、『勇士の軍団』遊撃部隊殲滅に出陣した。


   ★ ★ ★ ★ ★


「フォッデンを討ち取ったのは、ダイ・アクーニンとかいう魔戦士だそうよ。生き残ったトロールに聞いた限りでは、優男だけどかなり魔力も強かったらしいわ」


 『勇士の軍団・遊撃部隊』の陣地を望見する丘に着いた両連隊は、一旦そこを占拠して陣地を構築する。


 ここが後方兵站の拠点となるとともに、万一攻撃陣地の保持が難しくなった時の避退陣地でもあった。当然、当座必要以外の物品や兵糧などはここに集積されている。


 陣地構築時に見つけたフォッデン連隊の敗残兵4・50人から、いろいろな話を聞いたサーペンターは、ヘルファイアとの合同作戦会議でそんな情報を伝えた。


「ダイ・アクーニンは、寡兵で大軍を破って来た男だ。オレが知っているだけでも、マジツエー帝国の1個師団2万を2千の山賊連合で全滅させている。

 魔力に優れたマロン・デヴァステータ、作戦に優れたダイ・アクーニン。この二人は、『伝説の英雄』に匹敵する難敵だな。どちらが先に当たる?」


 ヘルファイアが訊くと、サーペンターは瞼のない目を向けて言う。


「アタシたちはさ、ずいぶんとフォッデンには世話になったんだよ。今の領域だってフォッデンが後ろ盾になってくれたから手に入れることができたしね。

 だから今回ばかりはアタシを先鋒にしてくれないかい?」


 腕組みをしてそれを聞いていたヘルファイアは、目を開けると


「……お前の気持ちは解る。だが、フォッデンに世話になったのはオレたちも同じだ。

 それにお前は今、冷静さを欠いている。いつものお前らしくないから心配だ。

 先鋒はやはり、オレに任せてもらおう」


 そう、サーペンターの願いをはねつけた。


「アタシが冷静さを欠いているだって!? そんなことはないさ! ヘルファイア、アタシだって今度ばかりはアンタに先鋒を譲るわけにはいかないんだ。

 フォッデンの轍を踏まないよう、十分に作戦を練って掛かるから、アタシにぜひ先鋒をやらせておくれよ!」


 諦めきれないサーペンターは、そう言って強硬に主張する。


(……いかんな。これ以上ここで話し合っても平行線だ。それに言い争いをすればするほどサーペンターの感情を悪くする。この女は結構根に持つタイプだから、最悪、戦闘時に支障が出ないとも限らない。そうなっては困る……)


 ヘルファイアはそう考えて、不本意ではあるが二人の間に後腐れがないような方法を提案した。


「……分かった。お前はオレに譲る気はない。オレもお前に譲る気はない。どちらもフォッデンに世話になったことは変わりないから、ここは恨みっこなしで()()で決めよう」


 サーペンターもいい加減言い合いにはうんざりしていたところなので、ヘルファイアの提案に同意した。


「分かったわ。これでアタシが先鋒を引いても、文句は言わないでよ?」

「ああ、そん時ゃオレも文句は言わないぜ。それが運命って奴だろうからな」


 そう言いながらヘルファイアはクジを作り、サーペンターがそれを引く。彼女は見事に『先』を引き当てた。


「やった! これでフォッデンの仇を取ってやれる。悪いねヘルファイア、じゃ、あたしが先に掛からせてもらうよ?」


 サーペンターが喜色満面で言うとヘルファイアは残念そうに首を振り、


「仕方ない、武人の約束だからな。だがサーペンター、オレたちも後詰で出らせてもらうぜ? それくらいはいいだろう?」


 そう心配を顔に表して言う。


 だが、サーペンターはその申し出をはっきりと拒絶した。


「いや、ノーサンキューさ。一緒に出陣したら、あんたは約束を守るつもりでも、逸る部下の抜け駆けを止められないだろう?

 もしも出るとしても、アタシたちが敵陣に掛かってから出てきてほしい。もしも苦戦した時の救援まで受けないって訳じゃないからね」


 ヘルファイアはしばらくサーペンターの目を見ていたが、ため息と共に答えた。


「分かった、そうしよう。ただサーペンター、何度も言うが冷静に判断して進退を決めてくれよ?」

「そこは心配要らないよ。アタシたちの得意な方法で、奴らの度肝を抜いてやるから」


 サーペンターはすでに何か腹案があるのか、自信満々にそう言って出陣した。



「サーペンター様、相手には元精霊王やかなり戦上手な魔導士が付いていると聞きます。

 それに敵陣を観察しましたが、かなり大掛かりで防備も堅いようです。どうやって攻めますか?」


 遊撃部隊の陣地に向かう途中、副官や大隊長たちを見晴らしのいい場所に集めたサーペンターは、そう言った大隊長たちの声を聞いて、陣地を見て言う。


「確かに奴らの陣地の縄張りは見事だよ。街道を取り込んで、そこを北と南の曲輪で思うさま狙撃できるようにしている。

 その街道へのアプローチ上には前進陣地もこさえてあるし、その他の部分も堀は深いし柵も土塁も頑丈だ。落とすとしたら地下から行くか、相手が思ってもいない場所から行くしかないね」


 大隊長たちはうなずく。話によればトロールのフォッデンは、こういった陣地を攻める時の教科書どおり、矢戦を仕掛けてその援護下に柵を引き倒し堀を埋める……という戦い方だったそうだが、準備も資材も不足していたため一敗地に塗れた。


「アタシたちだって準備は万全じゃない。準備に時間を掛けられるなら、地下坑道戦を選びたいが、そんな資材もない。

 だからアタシは、アタシたちレプティリアンが得意とするやり方で奇襲を仕掛けることにした」


 そう言うと、ある一角を指さした。それは陣地の南側、主郭がある高台だった。


「アタシたちは潜水が得意だ。それに登攀だって人間たちには真似できないほどの能力を持っている。そこを生かしてあの陣地の主郭……心臓に一撃を与える。

 連隊を挙げて陣地南翼が依託している湖を進み、あの崖をよじ登る。幸い、崖には柵も堀もない。ただ、上部からの攻撃には弱いが、そこは奇襲で補う」


 つまり、湖を潜水して対岸の崖を登り、一気に主郭に攻め込んでスコッチやダイ、マロンの首を狙おうというのだ。


 本来なら中隊規模、せいぜい大隊規模の決死隊や潜入部隊を飛び込ませて、内部から陣門を開き、外にいる本隊を引き入れるという戦い方をするのが一般的だが、勝負を急いだのか、あるいは自分たちの能力に自信があるのか、サーペンターは全軍で飛び込むことを選んだ。


「サーペンター様、この作戦は奇襲が成立しないと意味がありません。それに、必ずスコッチたちがいる場所に飛び込むことが前提です。

 私たちが湖に入る前に、ヘルファイア様にお願いして陽動攻撃を東正面にかけていただくことはできませんか?」


 先任大隊長と参謀、そして副官までが、サーペンターに意見を具申してきた。


 ここにきて、サーペンターに迷いが生じた。


 最初は、湖に面した側に柵も堀もないのを見て、


(奴らも、まさか湖を渡って断崖を登るような経路で攻撃を仕掛けるはずがないと油断しているんだね)


 至極簡単にそう思った彼女だったが、精霊王だった人物や知略縦横の噂も高い人物たちが、そんな油断をするはずがないと思えてきたのだ。


 それに、崖からは登攀面が丸見えだったことも不安を募らせた要素の一つだった。


(……ヘルファイアに陽動を依頼しても、敵の目を欺けなければ同じ結果に終わるだろう。

 だとしたら、心理的に相手の不意を打つしかないわね)


 サーペンターはそう考えて、一旦部隊を敵の東正面……奇しくもフォッデンが最初に陣を敷いた所……に向けた。



 陣地進入した後、サーペンターは参謀や副官、大隊長たちを帷幕に集めた。最初説明した動きと実際の動きが違っているので、自身の意図を説明するためだった。


「サーペンター様、ここに陣を敷いて今後はどうされるおつもりですか?」


 戸惑いの表情で訊いてきた大隊長たちに、サーペンターはうなずいて答えた。


「敵の陣地、特に南の主郭を再度観察して、アタシが説明した作戦を成功させるためには夜襲しかないと考えたのよ。

 とりあえず、第4大隊は本部の守りと予備兵力として控置し、第1大隊から第3大隊で車掛かりになって敵の前進陣地に攻撃を仕掛けて。損害が出そうになったらすぐ引いて、次の部隊に攻撃を引き継ぐこと。

 1時間ほど攻撃を続けたら、一旦ここに戻って来るのよ」


 こうして、レプティリアン連隊は、前進陣地に攻撃を仕掛けるが、損害を受けそうになったら下がって次の大隊が攻撃を続行する、という動きを繰り返した。


 ダイは第2次攻撃隊として掛かって来たのがレプティリアンの部隊であること、前進陣地を攻撃する様子が、いかにも気の無いものだったため、


(ははぁん、奴らは別の経路での攻撃を考えているな。地下からだろうか、それとも思わぬ方向からの攻撃だろうか?)


 と、サーペンターの奇襲意図を見抜いていた。


「……ただ、どこから来るのかがはっきりしないんだよなぁ……」


 司令部で漏らしたつぶやきを聞いて、スコッチがニヤリと笑って言う。


「お、我が軍師殿でも見通せないものがあるのかな?」


「ぼくは別に神でも精霊王でもありませんからね。そりゃ判断に迷うこともありますよ」


 そう言うダイに、スコッチは軽い調子で、


「レプティリアンたちがどこに夜襲を考えているか、だろ? そんなの決まっているさ」


 そう言う。ダイは驚いた顔で訊く。


「え!? 軍団長殿には、奴らの考えが読めるんですか?」


 意外そうな顔をするダイに、スコッチは苦笑しながら、


「おいおい、お前は天才かもしれないが、マイティ・クロウ様と一緒に戦った経験者だぞ俺は。経験と年の功を馬鹿にするもんじゃない。


 まず、今攻撃してきているが、これは完全に陽動だ。俺たちの目を通常の攻略手法に向けさせるためのな。その証拠に奴らは真剣に戦っちゃいない。そりゃあそうだろう、この後、全軍で夜襲を仕掛けるのなら、単なる陽動で必要以上の損害を出す必要もないからな」


 そう言うと、ダイもうなずく。


「で、『通常の攻略手法』以外の方法となると、坑道戦を挑むか、夜襲で急襲して来るかだな。

 まず坑道戦の線だが、これはない。なぜなら奴らは掘削のための道具を持っちゃいないし、それを準備する時間もなかったはずだ。


 ま、仮に坑道を掘っているとしてもだ、ダイ、お前はそのことを最初っから考慮に入れて、最初の堀をかなり深くした上に水を引き入れているじゃないか。だから敵さんが溺れ死ぬことを心配してやるだけで、こっちには何も心配は要らない」


 そう言うと、にこりと笑うダイに、スコッチは続けて言った。


「だから、敵さんはお前さんが考えているとおり、湖を渡って南の絶壁を登り、直接()()に乗り込んでくるはずだ。奴らは泳ぎや登攀を得意とするし、こっちはこんな所からの攻撃があるはずないと防御設備を省略している。


 おまけに、突っ込んだ先には俺やお前さんといった遊撃部隊の幹部がいる。俺が敵さんの指揮官ならそうする。ここを狙わなきゃ嘘だぜ」


 ダイはすっかり感心して、肩をすくめて言う。


「凄いですね。やはり一級の戦士の経験もバカにはできません。ぼくも同じ読みでした」


 スコッチは破顔一笑して言う。


「そうかい、これで俺ら老兵を見直してくれると嬉しいぜ」


 ダイは面食らったような顔で慌てて言う。


「いえ、今まで別にスコッチさんたちをバカにしていたわけじゃありません」


「それは解っているさ。俺やガン・スミスも節穴じゃねえ。ただな、もちっと肩の力を抜いて俺たちを信用してくれってことだ。で、どうするね?」


 スコッチが笑って言うと、ダイは悲しそうな顔で笑い、対策を聞かれたらいつもの冷たい表情に戻って答えた。


「水の中を来るんでしょう? じゃ、ぼく一人で十分です」



 その夜、月が沈んだ深更、サーペンターは陣地のかがり火を残したまま、全軍を率いて湖に向かった。


「かがり火を焚いているから、アタシたちは陣地で眠っているって思ってるだろうよ。さあ、今からが敵討ちの本番だ。静かに水に入り、音を立てずに泳ぐんだ。


 崖下に取りついたら、中隊長は速やかに部下を掌握して、大隊ごとに登攀するんだ。登攀順序は早く部下を掌握した大隊からでいい。行くよ!」


 湖畔で最後の打ち合わせをしたレプティリアン連隊は、次々と湖に入って行く。入水場所から最も登攀しやすいと目星をつけた個所までは、直線距離で約5百ヤード。彼女たちなら5分で泳ぎ切る。


 そして最後の兵士が岸から百ヤードに達した時、突然連隊全員が湖に引き込まれるように湖面から消えた。中には驚いて、


「あっ!」

「なぜだ、身体が重くなった!?」


 という声を上げた者もいたが、ほとんどは無言で、しかし驚愕の形相でバタバタと手足を動かし必死に水をかきながら、湖に沈んでいく。そして将兵が消えた所には、あちこちで水面が揺れ、気泡が沸き上がっている。


 やがて、だんだんと気泡が消え、水面に静寂が戻る。レプティリアン連隊は遂にただの一人も、二度と水面に浮かび上がっては来なかった。


 レプティリアン連隊が湖で壊滅するのを、主郭の崖から眺めている人物がいた。

 茶髪の男は、碧眼を水面ではなくもう一人の金髪の青年に向けている。


 青年は、必死に水をかくレプティリアンたちを冷たい目で見ていたが、最後の気泡が消えた時、静かに言った。


()()は終わりましたよ。軍団長殿」


 するとスコッチはダイの肩をたたきながら優しく言った。


「お疲れさん。2千に近い敵将兵一人一人にピンポイントで魔法をかけ、重力を操作するとはな。たいした奴だぜお前さんはよ。

 明日は仲間が攻めてくるだろうな。その時に備えて、少し眠るといい。必要なら、酒をかっ喰らってもいいぞ?」


 ダイは、スコッチの言葉に空を見上げてつぶやいた。


「はぁ……『重力の恩恵(フルコントロール)』にこんな使い方があるなんて。ぼくが気付いちまったのが、奴らの運の尽きだったな」


   ★ ★ ★ ★ ★


「ふん、音もなく壊滅……か」


 魔王は、フォッデンのトロール部隊に続き、サーペンターのレプティリアン部隊全員の亡骸が湖に浮かんでいることを知らされても、特段の怒りを見せなかった。


「……やはり、マロン・デヴァステータが相手では俺が出るしかないかな」


 そう言って椅子から立ち上がった魔王だが、不意に白髪でラピスラズリのような瞳を持つ少女の来訪を受けた。


「魔王バーボン、ジン・クロウの処置は済んだかしら?」


 魔王は、その苦み走った顔をほころばせると、慇懃にお辞儀をして答える。


「これは『摂理の超越者(エピメイア)』様。ジンならそろそろ我が魔王親衛隊が捉えた頃です。俺も少し遊びが過ぎたようですので、急いで遊撃部隊を壊滅させてから、ジンのもとに向かいます」


 するとエピメイアは不機嫌な顔になり、


「なぜあなた自身がジンに当たらないのですか!? ジンを甘く見ているんでは?」


 そう詰問口調になる。魔王は薄く笑って答えた。


「最初は自身で当たるつもりでしたが、こちらの部隊にはマロン・デヴァステータがいると聞きまして。俺の攻撃も確かにマロンの魔力に阻まれましたから、俺はマロンを倒すことにしたんです」


 するとエピメイアは、度し難いものを見るように魔王を見下げ、


「何をたわけたことを。()()()()()()()()()()()()()()。今、アルケー・クロウに捜索させている最中です。ただの魔力の残滓に騙され、2日も時間を無駄にしてどうしますか!?

 さっさとジン・クロウの方に向かいなさい!」


 エピメイアがそう吐き捨てて姿を消すと、魔王は少しの間虚空を睨みつけていた。


「……マロンはいない、だと? では我が魔軍は、人間風情に後れを取ったというのか?」


 そうつぶやいた魔王の身体を、青黒い魔力が覆う。冷たい目は刺すように空中の一点を見つめ、唇には薄い笑みが浮かんでいた。


「バカにしおって人間どもが! 俺が思い知らせてやる……」


 魔王はそんなつぶやきと共に虚空に融け込むようにして消えた。



 こちらはサラマンダー連隊である。連隊長ヘルファイアは、サーペンターから


『わがレプティリアン連帯は夜襲で敵陣に斬り込む予定。5点(午前4時)頃、我が陣地に進入を求む』


 と連絡を受けたため、サーペンターの依頼どおり次の日の午前4時、レプティリアン連隊が構築した陣地に入った。


「……敵の陣地に異変が起こったら知らせよ」


 当番兵にそう言い残して帷幕に入ったヘルファイアだが、それから2時間経っても、朝日が昇っても敵陣内で騒ぎが起こる様子がないことから、


「……サーペンターの攻撃は失敗したに違いない。しかしそれにしたって、ここに引き返して来ないのは何故だ?」


 まさかレプティリアン連隊が全滅したとは露ほども思っていないヘルファイアは、


「サーペンターの連隊が近くにいるはずだ。探して収容せよ」


 と、第2大隊と第4大隊を湖の方面に捜索に出した。湖の方面へと向かわせたのは、仮にサーペンター連隊が敵陣を攻撃して陣内に留まっているのならば戦闘が継続しているはずだが、遊撃部隊の陣地は森閑として静まり返っていたからである。


 だが、それによってレプティリアン連隊の全滅が明らかになった。第2・第4大隊はできるだけの遺骸を収容して戻って来たが、死因は全員溺死だった。


(……陸上と同じくらい水中戦が得意なサーペンターの部隊が全員溺死? 一体何があったというんだ)


 ヘルファイアも想定外の事態に動揺したが、さすがに戦慣れした魔戦士である、すぐにレプティリアン連隊の将兵を魔力視覚で視て、


(……『闇』の魔力が残っている。ということは湖の上で全員が同時に魔法攻撃を受けたということか。しかし、2千人もの将兵を一度に攻撃できる者といえばマロン・デヴァステータかダイ・アクーニンしかいない。マロンは元木々の精霊王だから『闇』の魔力は持たないはずだ。とすると、サーペンターたちは人間風情にやられたのか?)


 そう考えて、ヘルファイアは激しく首を横に振る。感情的には認めたくないが、彼の頭脳は、


(いや、『やられたのか』ではなく、『やられた』のだ。それは認めねばならない……)


 そう結論付けていた。


「だとすると、俺がすべきなのはただ一つ、ダイ・アクーニンの処断だな」


 ヘルファイアはギラギラした目を前進陣地に注ぐ。まずはあの陣地を排除しなければ、どこを攻撃しようと自分の連隊の側背を晒すことになる。


「今から敵陣の攻略に掛かる。第1大隊を主攻撃隊とし、第2大隊が魔弾で援護せよ。

 第3大隊は敵主陣地からの攻撃に備え、第4大隊は予備とする」


 こうして、魔王直率の魔軍連隊最後の兵力であるサラマンダー連隊の攻撃が始まった。


 サラマンダー連隊には、今まで攻撃に掛かった連隊と大きく違うところがあった。それは『炎の魔弾』を各人が放つことができ、いわゆる長距離魔法攻撃の手段を十分に持っていたことである。


 そのため、今まで『前進陣地』で偉功を立てて来た『偽存在ドッペル』があまり役に立たなかった。魔弾が着弾し魔力を拡散させると、どんな精巧な『偽存在』も消えてしまうのである。


 サラマンダー連隊第1大隊は、第2大隊の濃密な魔弾の援護下に突撃を繰り返し、遂に前進陣地の占領に成功した。


 その時、主郭で赤い旗が振られ、それを合図に『埋伏陣地』にいたコア隊5百人が出撃し、ヘルファイアがいる連隊本部を奇襲した。コアは西側にある陣門から出ると、北に大きく迂回し、ヘルファイアの後ろから攻撃を仕掛けたのだ。完全なる奇襲だった。


「あたいはドッカーノ村騎士団所属のダイ・アクーニンの仲間でコア・クトー。あんたがこの部隊の指揮官かい? 尋常に勝負しな!」


 コアは大剣を構えると、『火』のエレメントを発動する。火焔のような魔力がコアの身体と大剣を包み込んだ。


「面白い、人間が我ら魔族にどこまで対抗できるかな? 俺は魔王様麾下のサラマンダー連隊長ズィーベン・ヘルファイアだっ!」


 ドムッ!


 ヘルファイアは名乗りと共に魔弾を発射してコアをけん制する。だがコアは突進しながら大剣を盾にして魔弾を弾く。


「その程度の攻撃じゃ、あたいは仕留められねえぜ!」


 ブンッ、ガキイインッ!


 コアの大剣を止めたヘルファイアは、


「俺の炎に耐えられるか?『煉獄の業火(ヘルファイア)』っ!」

 バフンッ!

「ぐっ!」


 コアは、ヘルファイアへの奥義ともいえる火焔攻撃を、自らの身体を包む火焔を増大させることで何とか防いだ。


「やっ!」

「応っ!」

 ビュンッ!


 コアは大剣を思い切り押して、ヘルファイアを突き飛ばす。ただ惜しくは、その瞬間に放った斬撃は紙一重でヘルファイアにかわされていた。


「思ったよりやるな、お嬢ちゃん」


 ヘルファイアが大剣を構え直しながら言うと、コアも、


「あったり前だ。何度もマジツエー帝国の探索隊に傭兵隊長として参加したことがあるからな。お嬢ちゃんだからって舐めるなよ?」


 そう言いながら突進する。


 ヘルファイアは、そんなコアを見て魔力を最大にまで引き上げた。


 ドウンッ!


 ヘルファイアの身体を覆った炎は青白い光を放っている。そして、緋色の瞳でコアを睨みつけながら言った。


「なるほど、では仲間の恨みも込めて、貴様を地獄に送ろう」


 ヘルファイアが言い終わらぬうちに、コアが斬りかかる。


「やあああっ!」

 ぶううんっ!


 ヘルファイアは、慌てもせず魔力をコアに叩きつけた。


「『煉獄の業火』っ!」

 ボフンッ! ガキーンッ!

「ぐあああっ!?」


 コアは呻き声を上げて後ろへ飛び下がる。彼女の身体を覆った魔力は、ヘルファイアの『煉獄の業火』があまりに高温のため、吹き飛ばされてしまっていた。もちろんコア自身も、あちこちに酷いやけどを負っていた。


「……く、あたいの大剣が……」


 コアは、自分の大剣が中ほどで折られているのに気付き、力尽きたように膝を折る。それを見たヘルファイアは、勝利の雄たけびと共に大剣を振り上げた。


「コア・クトーか。貴様の名は覚えておくぞ。わが生涯で出会ったもっとも勇敢で無謀な女傑としてな!」


 その時、前進陣地で大爆発が起こった。


 グワアアーンッ!


 耳をつんざく轟音と、地上にあるものは何でも吹き飛ばすような爆風が、一瞬にして二人を包んだ。


 ドスッ!

「うぐっ!?」


 ヘルファイアは、突然自分の胸に熱いものが差し込まれ、口腔に生暖かいものがあふれるのを感じた。


「へっ、最後の最後で気を散らせたな。あんたも、あんたの部下たちも、ここで終わりさ」

「き、貴様……自分の部下までも……ぐあああっ!」


 コアは、突き刺した大剣をひねると、サッと身体を離す。ヘルファイアは心臓を斬り裂かれ、白目を剥いて仰向けに倒れた。


「……へへっ、もう目が見えねえや。ごめんなダイ、最後まで付き合ってやれなくて」


 そうつぶやくコアの口から鮮血が流れ出る。コアは満足そうな微笑を浮かべたまま、ゆっくりとひざを折り、うつぶせに倒れた。



「何だ、あの爆発は!?」


 一方、スコッチとダイは、前進陣地が突然爆裂するのを見て、急いで主郭から兵を率いて第2曲輪に降りて来た。


「ダイ、お前さんは前進陣地に爆薬でも仕掛けたのか?」


 スコッチが青い顔で聞くと、ダイもまた同じような顔色で、


「いや、あそこには何も仕掛けはない。もし仕掛けたのなら、コアが工夫したんだろう」


 そう答えた後、


「とにかくコアの部隊を助けたい。軍団長殿、シロヴィンの第3大隊を連れて行っていいか?」


 そう訊く。スコッチはうなずいた。


「シロヴィン、部下を整列させろ! 今からコアの第2大隊を収容する」


 ダイが馬に乗って近付くと、青いを通り越して白い顔色をしていたシロヴィンは、ほっと溜息をついて、


「分かったよダイちゃん。コアちゃんが無事だといいね」


 そう言いながら部下を呼集するために走り出そうとした時である。


 パン、パアアン、パーンッ!


 突然、北曲輪から、狙撃魔杖の発射音が響いた。それも1発や2発ではない、少なくとも小隊規模での一斉射撃だ。それがどんどんと激しくなる。


「何だ? 敵か!?」


 スコッチやダイが、狙撃目標と思しき方向に視線を向ける。そして二人とも絶句した。


 そこには、紫紺の魔力に覆われた人物が、銀色の髪を揺らしながら宙に浮いていた。その緋色の瞳は怪しい輝きを放っている。


 パン、パパン、パーンっ!


 相変わらず一斉射撃は止まないが、その魔弾は1発たりともその人物にかすりもしなかった。


「……俺を倒したい、だと?」


 その人物は、ブリザードのような声でそう言う。決して大きい声ではなく、感情を押し殺したような声だったが、戦場の喧騒の中でも、全員の耳にはっきりと聞こえた。


「……人間風情が、思い上がりおって……」


 その人物は、静かな怒りを溜めるように、押し殺した声でそう言いながら左手を上げる。


「……我は祈る、摂理の向こうに至るために。我は求む、命の秘密を知る術を。我は願う、虚影の空に真実の星が輝かんことを……」


 その声と呪文を聞いた時、ダイは叫んだ。


「奴が魔王だっ!」


 その瞬間、魔王は呪文詠唱を終えた。


「……すべて塵と消えよ。『深淵の励起(エクスプロージョン)』」


 魔王の身体が真っ白い光を放つ。ダイは無意識に魔法を発動させていた。


「『重力の恩恵(フルコントロール)』っ!」


 ダイは、重力異常の壁を自身の周囲に張り巡らせる。魔王の魔力に耐えられるかは賭けのようなものだったが、何もしないで敵の手にかかることを嫌うダイが咄嗟に取った行動だった。


「くそっ、魔王めっ!」

「ダイちゃああんっ!」


 どこかで、スコッチとシロヴィンの声が聞こえた。


 ……どれだけの時間が過ぎたのだろう。気が付くと、ダイは一面の荒野にぽつねんと立ち尽くしていた。


(……ぼくは、助かったのか?)


 ゆっくりと周囲を見回す。そこはすべてのものが超高温で焼き尽くされ、吹き飛ばされた大地だった。


 周りには誰もいない。2千人いた『勇士の軍団』遊撃部隊は、まるで最初からそんなものは存在していなかったかのように、部隊の面影を残すものは何一つとして残っていなかった。


 ただ、恐らく熱で蒸発したのだろう、主郭を置いていた南の高台が、どろりとした溶岩が固まったように、辛うじて残っているだけだ。南翼を託していた湖はすっかり干上がっていた。


「……コア、シロヴィン……スコッチさん……ガン・スミスさん……」


 ダイは仲間や部隊の指揮官の名をつぶやく。まるでそうすれば、風が呪文を運び、みんなの姿を見せてくれるかのように……。


 だが、それが叶わぬことだとダイは知っていた。


 茫然と立ち尽くしていたダイは、不意に強力な魔力を感じて振り向く。金髪で長身、黒いフード付きマントを着て、手には水晶玉のような法器を持った女性が立っていた。


「……あんたは?」


 ダイがそう話しかけたのは、その女性から悪い感情を感じなかったからだろう。女性は想像より優しい声でダイに呼びかけた。


「魔王を憎む者よ、お前はわれと共に『約束の地』を目指すべきだ」


   (魔王軍を狩ろう! 終わり)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

『勇士の軍団』は、本隊に続いて『遊撃軍団』や『猟兵軍団』も全滅してしまいました。

コアやシロヴィン、スコッチなどを失ったダイが、今後どんな動きをするのか興味深いですね。

そして、マロンはどこに行ったのか、アルケーの真意はどこにあるのか、そう言った疑問も浮かびますが、物語が進めば自ずと明らかになるでしょう(たぶん)。

では、次回もお楽しみに。

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

【主な登場人物紹介】

■ドッカーノ村騎士団

♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。

♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。

♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。

♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。『右鳳軍団』に先行し、ジンと合流を果たした。

♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。

♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。

♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在ジンたちとは別に『先遣隊』を率いて行動中。

♤ダイ・アクーニン 28歳 賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。魔王を目の敵にし、傭兵隊長だったコア・クトーや錬金術師のシロヴィン・ボルドーとともに先遣隊に加わった。現在、マロンと行動中。

♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形エランドール。ジンの魔力マナで再起動し、新たに仲間となった。

■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』

♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン 21歳 アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。

♤ウォッカ・イエスタデイ 21歳 ド・ヴァンのギルド副官。オーガの一族出身である。無口で生真面目。戦闘が三度の飯より好き。オーガの戦士長、スピリタスの息子。『左龍軍団』と共にド・ヴァンのもとに合流した。

♡マディラ・トゥデイ 20歳 ド・ヴァンのギルド事務長。金髪碧眼で美男子のような見た目の女の子。生真面目だが考えることはエグい。狙撃魔杖の2丁遣い。

♡ソルティ・ドッグ 21歳 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。黒髪と黒い瞳がエキゾチックな感じを醸し出している。調査・探索が得意。

♤テキーラ・トゥモロウ 年齢不詳 謎の組織から身分を隠して『ドラゴン・シン』に入団した謎の男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。現在、ド・ヴァンの許可のもと、『暗黒領域』で単独行動をしている。

♤ブルー・ハワイ 25歳『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。金髪碧眼で観察力と記憶力に優れる。変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。

♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。

■退場した仲間たち

♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。

♡ウォーラ・ララ ジンの魔力マナで再起動した自律的魔人形エランドール。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。

♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。

♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体ホムンクルスであることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまったが、マーリンの秘薬『諸刃の韻律』によって命は救われた。現在、視力を失いマーリンの許にいる。

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