「魔法学」の歴史的に主要な論争(元素説・作用説、魔法奇跡論争)
魔法概論
魔法にはどのような分類があるかについて、主たるものとして「四元素説」と「作用説」が存在する。以下、その概要について解説する。
四元素説
四元素説は、従来から存在する通説であって、魔法の発動後に現れる現象に着目した分類法を言う。
四元素説では、主に火、水、地、風の4つの元素を分類を用い、火を発現させるものを火魔法、水を発生・変化させる魔法を水魔法などと魔法を分類する。
これに対して、作用説は、その魔法が発現する際の現実への作用に着目する学説である。
例えば、作用説では、火を発現させると言う結果のために、どのような現実への作用を生じさせたかによって魔法を分類する。
摩擦によって火を発生させる場合には動魔法、発熱によって火を発生させるには熱魔法、などと言った、発生の原理に基づいて魔法を分類する。
主たるものとして位置エネルギーを利用する動魔法、熱エネルギーを利用する熱魔法、電気エネルギーなどを利用する電気魔法などが挙げられている。
作用説は当初多くの学者に批判された学説であり、魔法の定義に反する分類法であるや、そのような不可視の作用では分類のしようがないと言った、証明の不可能性に基づいて批判されてきた。
しかし、これを魔法科学という分野に発展させる事によって、多くの問題を解決したのが、ローマン・ルシウス・イワーノヴィチである。
彼は作用説を基として魔術不能の人物が小規模の魔法を用いる事が出来ると言及し、魔法を科学的に分析する事によって、この精度はより正確になると考えた。
そこで、彼は魔法の解明と法陣術の術式の類型化を行い、法陣術に関する魔法科学と作用説の有用性を提唱した。
また、彼はこれを魔法生物にも応用できると考え、魔法生物学を生物学の一分野として確立させた。
彼の諸所の果実は魔法学全般に少なからぬ影響を与え、現在では、法陣術では作用説を用いる事が有用であるとするのが通説とされ、さらに魔法生物の生態研究に関して作用説を基に人間の魔法にも応用する試みが始まっている。
魔法奇跡論争
魔法奇跡論争とは、神の恩寵である奇跡を魔法の一類型とする奇跡魔法説派と、奇跡は神の恩寵であってあくまで魔法とは異なる超越的な作用であるとする奇跡恩寵説派との間で起こった深刻な論争である。殺人騒動さえ起きる大規模な対立は、魔法学史における最も重大な事件として今も語り継がれている。
事の発端は魔法の定義付けを行ったことによって、魔法とは奇跡を内包する概念であるという可能性が浮上した事にあった。その結果魔法学を神学級の学問に昇華させようと考えた大学連盟が結託し、奇跡魔法説を主張したのである。
当初これに反発したのは托鉢修道会をはじめとした、大学付近に常在する都市教会であった。彼らは大学への誹謗活動を開始し、司教座教会に直訴する事で問題が拡大し、大学側の人々を曳き馬の刑に処する事で終結した。
しかし、権力の中枢が教会から国家に移ると、魔法奇跡論争が再発するようになる。国家にとって、奇跡が魔法であったならば奇跡の再現が可能であるという解釈がなされるため、その方が都合が良かったのである。
そこで、教会と国家の全面対決が発生する。魔法学者率いる奇跡魔法論者が、神学者を中心とした奇跡恩寵論者と徹底的な論争を行った。
論争の中で、双方の中から相互の主張を取り入れるような学説も生じることとなる。例えば奇跡は魔法であるが、神域の恩寵に変わりはないという奇跡大魔法説や、神域の御技を奇跡と呼び、人の為せる技を魔法と呼ぶのだという包括説が登場する。
結局、この問題は未だに解決の糸口を見せないまま継続する。というのも、神学の衰退に応じて大学側がこの問題を取り上げる必要性を失い、論争が燻るままで徐々に熱を失ってしまったからである。奇跡魔法説を取ろうと、奇跡恩寵説を取ろうと、本質的には何ら変化がない事が分かってしまうと、このような論争を繰り広げるものは完全にいなくなってしまった。




