短い時間
「春原。春原優。」
「はい!」
教授が出席確認のために名前を呼ぶのと俺が講義室に飛び込むのはほぼ同時だった。
呆れたように教授がいう。
「何してたんだ。お前遅いぞ……」
辺りからは笑い声が聞こえた。
「すみません……」
俺は軽く頭を下げて空いてる席を探した。
キョロキョロとしていると、部屋の真ん中ぐらいの席に榎本さんがいるのを見つけた。
ちょんと腰掛けて、俺に向かって手招きしている。
俺は迷わず隣に腰かけた。
「ごめんね。私のせいで……」
小さな声で榎本さんが話しかけてきた。
「いや、榎本さんは悪くないよ。俺が少しボーとしてたからさ」
「でも……」
「それより、榎本さんは間に合った?」
「ギリギリセーフ!着いてすぐチャイムなったよ」
「そっか榎本さんだけでも間に合って良かった」
俺は安心して微笑んだ。榎本さんも少し照れたようにほほえむ。
「はーい。ここ重要だからな、多分試験だすぞ」
教授の声に我に帰った二人は急いでシャーペンを手に取った。お互いの慌てぶりが何だか可笑しくて二人は顔を見合わせて小さく笑った。
そうやってこそこそと話したり筆談したりしながら午後の講義は終わった。
これからがメインなので簡潔にね(笑)




