mission、難問を解決せよ!
その日俺が追いかけなかった罰なのか
榎本さんは俺を避けるようになった気がする。
昼を一緒に食べることもなくなったし、もちろん一緒に学校に行くこともない。講義のときもことごとく俺を避け、座る席も隣に誰かがいる場所を選んで座っているように見えた。
俺はこの状況を改善する方法を知らない。
ちゃんと俺の気持ちを伝えなくてはいけないのだろうが、ここまで避けている雰囲気を出されてしまうとその勇気さえ出ない。
俺は小さくため息をつく。魔法みたいにパーとこの事態が解決しないだろうか。
…今日も外は静かに雪が降っていた。
榎本さんが俺を避けはじめて一週間がたった。
俺はもう半分投げやりで考えすぎた重いからだを引きずる様にして大学へと向かっていた。
本音を言ってしまえば、行きたくはなかった。また、榎本さんに避けられてしまうのだから。でも、そのことを理由にして休んでしまうと出席日数が足りず、単位が足りなくなってしまう可能性があった。大学は自由なので休もうと思えば毎日でも休める。だからこそ自分を甘やかすことができなかった。
あぁ前にここで榎本さんと話したなぁ
俺はバス停を見ながら考える。そのバス停に見覚えのある姿を見つけた。榎本さんだ。
あの日のように、いつものように…
俺は何度も心で念じる。そして、緊張して噛みそうになりながら、
「おはよう。榎本さん。」
声をかけた。
榎本さんの顔に一瞬笑顔が浮かんだ。しかし、それも一瞬の出来事で、素っ気ない表情へと変わってしまう。
「おはよう。」
「あのさ、この前のことなんだけど…」
俺は勇気を振り絞って話し始めた。
それを遮るように榎本さんが口を開いた。
「あぁバス遅いなぁ~今日は地下鉄で行こうかな」
いうなり、榎本さんが俺から逃げるように歩き出した。
「待って。」
俺は榎本さんの細い腕を掴んだ。
「何で、俺のこと避けるの?」
榎本さんは、むすっとした表情で俺を見返した。
「俺のこと嫌いになった?確かに頼りないし、男らしくないもんな」
「違う…そんなわけないじゃん。」
「じゃあ、どうして?」
「私が…私が誰かと仲良くしたいと思うなんて、迷惑なことだから。友達に言われたのにさ…また懲りずに仲良くしたいなんて思っちゃった」
榎本さんは泣き出しそうな顔でそう言った。
「迷惑かけてごめんなさい。もう声かけないので、私のことは気にしないでください。」
俺はまっすぐに彼女をみた。
「俺ね、あの時君に話しかけられて、嬉しかったんだ。女の子に慣れてない俺に声をかける娘がいるなんて思いにもよらなかったの」
彼女の表情が少しだけ和らいだ気がした。
「その娘にさ、無理矢理にデートさせられてさ。でもコレも嬉しくて、楽しくて。でも俺がその娘の手を掴もうとしたら、逃げっちゃったの。俺どうしていいか分からなくなった。」
俺は未だに握りしめていた榎本さんの腕を離した。彼女は逃げずにその場に立ち尽くしていた。
「ここからが俺が一週間悩んで出した答え。聞いてくれる?」
俺が榎本さんに聞くと彼女はコクリと頷いた。
「俺は、榎本さんの秘密ごときで榎本さんを避けたりしない。俺は、そんなこと気にしない。だからさ…」
俺は大きく息を吸い込んだ。
「俺と…友達になって下さい。」
榎本さんは笑い出しそうな泣き出しそうな複雑な顔になった。
肩痛いです。集中してキーボード打ち過ぎました(汗)




