まゆと茉由~9年の時を超えて~
ご覧頂きありがとうございます(*^^*)
初小説で至らぬ点が多いかと思いますがよかったら読んでください!
始まりはなんの前触れもなくやって来た。
「お疲れ様です!」そう挨拶していつも通り会社を出た
18時過ぎ暗くなった街をブラブラして海を眺めてた
20歳平凡な日々
高校を卒業して早くも2年が経つ。
高校を卒業して入った会社は合わないと感じてすぐに退職。
今の会社に再就職した。
やりたかった仕事をしているはずだった。
なんだろうこの心に穴が空いたような感覚は。
小さい頃何になりたかったんだっけ。
そんなことを考えながら毎日が流れていく。
この海が全部飲み込んでくれたらいいのに。。
いかんいかん。弱気になってるな。
頭を振り海をバックに家に向かった。
さて今日は何があったかな日課である日記をつけようとするが何も思い浮かばない。
ひとまずさっき考えてたことを書いてみた。
2016.4.17 平凡な………なんだろう
ここまで書き終えて隣のページを見ると文字が浮かんできた
2010.4.17 今日も1人これからもずっと一人で生きてくのかな。
「2010年?6年前の年号がなんでここに?」
消そうと思い消しゴムでなぞるが消えない。
疲れてるんだと思い日記を閉じて横になった。
中学の頃かぁ何してたんだっけな。
そんな思いを巡らせながら眠りに落ちた。
次の日もまた次の日も日記を書く度にその文字は現れた。
「どうなってんのこれ」
思わず日記を二度見した。
「あなたは誰?」そう書いてみた。
「私は伊藤 茉由。中学2年生」
「え!?」
思わず声を上げた。
日記にひとりでに文字に書かれるだけでもビックリなのに現れる文字は中学2年生の自分だというのだ。
「私は伊藤茉由。20歳。6年後のあなたです」
「やっぱりそうなんだ。」
「分かってたの?」思わず聞き返した。
「うん。なんとなくそうかなって。」
「そっか。」
ここでその日の会話は終わった。
それから毎日のように2人は日記でやり取りをした。
中学の先生の話。家族の話。小学校の時の話。
話の種は尽きなかった。
けれど茉由は14歳の自分に14歳以降の話はしなかった。
未来を知るのは好ましくないと思ったからだ。
そして時々14歳の自分に何か影響を与えたら今の自分がいなくなるんじゃないかと恐ろしくなった。
それでも毎日のように会話は続き気づくと春だった季節は12月の冬になり今がもうすぐ終わろうとしていた。
そんなある日こんな事が日記に書き込まれていた。
「もうすぐ今年が終わる。やっぱり年越しは嫌い。また歳をとって生きているのを実感しざるえないから」
一瞬目を背けそうになった。
6年前の自分と今の自分同じことを考えていたのだ。
自分自身どう考えていいのか分からないこの思いを不意打ちのように見るハメになった。
「あたしも同じことを考えてるよ」
そう書いた。
「嘘つき」
そう返ってきた。
「嘘じゃないよ」
慌ててそう書くもそれに追いつくような速さで殴り書きのような文字が現れた
「大人はこんなこと考えないでしょ。あたしのことどうせ鼻で笑ってるんでしょ」
そんなことは無いと思うも次から次へと文字が浮かび上がる
なんて声を掛けていいのか分からないままただ文字を読んでいった。
目の前にいるのは6年前の自分。
頑なに人の助けを求めず1人で生きていこうと決めていた自分
家でも学校でも居場所と呼べる場所がなくいつも心の拠り所を探してた自分
そして感情を押し殺しすぎて泣いてんのか笑ってんのか怒ってんのかわからなくなってた自分
そんなことを思いながら読んでいった。
「大丈夫。誰もあなたを嫌ってないから。そんなに自分を責めないで。そんなに感情を押し殺さないで。お願いだから。自分は1人だなんて。人を不幸にするだなんて思わないで。」
泣きながら書いた。
見てられなかった。
そこに飛んでいって抱きしめてやりたかった。
6年前の自分は嫌がると知りながらも書き続けた。
隣のページは相変わらず「嘘つき」と書かれていた。
「嘘じゃないよ」
嘘じゃないと分かってもらえないと知りながらも書いた。
わかって欲しかった。
ちゃんと仲間がいること。
1人じゃないこと
感情を出して表現すること
自分が出来ないことなのに書いた。
この子はあたしであたしはこの子だ。
そして最後こう書き足した。
「確かにあたしは大人だよ。でも出来ないこともたくさんある。だから周りの人にたくさん助けてもらってる。だからあたしも周りの人を助けようとしてる。悩みを言うのは怖いし心の中を晒すのは怖い。それはみんな同じだよ。」
きっと14歳のあたしには分からないだろう。でもいつかこんなことを言ってた人がいたなぁと思って頭の片隅に置いておいて欲しいと思った。
心の傷はずっとある。
どんなにカウンセリングを受けてもどんな励ましを受けても全部は取り除けないし深すぎる傷は取れない。
それは分かってる。
6年前の自分の傷は今の自分より深く今も傷が増えているこれだけは確実だなと思い、日記を見ると続きは書き込まれてなかった。
日記を閉じ布団の上に寝転んだ。
思わず6年間掛けてやったたどり着いた答えを書いてしまった。
書いて良かったのだろうか。
答えは出ぬまま眠りに落ちていった。
次の日の朝ノートを見ると「取り乱してしまってごめんなさい」と
書かれていた。
チラッと見て家を出た。
謝るのが精一杯なんだろうと思いながら過去の自分のことを考えていた。
本当にまだ何も知らない自分。
周りの子が当たり前のようにとっているコミュニケーションがうまく取れない自分。
もどかしかったのを覚えている。
その日もなんて声をかけていいのかわからず終わった。
次の日「'2016.12.28今年ももうすぐ終わる。また一つ歳を取る。また一つ成長出来たらそれでいいのかな」と書き込んだ。
よし!と言いながらも反応を待っていると返事が待ってましたとばかりに返ってきた。
「2010.12.28 向こうは前向きだ。自分は成長出来ているのかな」と返ってきた。
「成長出来てるのかな」だって。
今の私より君の方が圧倒的に成長幅は広いのになんて笑いながら「きっと出来ているよ。1年前できなかったこと。今出来ることを思い返してごらん」と書き込んだ。
「あ、ホントだ。たくさんある。
でもまだまだ普通の人には追いつけてない」
「成長はまゆちゃんのペースでいいんだよ。まゆちゃんのことはまゆちゃん自身にしかわからないことが沢山あるから」と書き込んだ。
すると元気になったらしく大好きな先生の話をしだした。
「単純だな」なんて思いつつも自分のことを振り返ってみた。
自分はこの言葉をかけられて何を思うのだろうか。
成長は続けてきたはずでも自分はどこに向かってるんだろう。
なりたかった夢、なりたかった自分。叶え方は考えてきた。
でも叶えたあとのことは考えたことがなかった。
「夢を叶えたあとまゆちゃんだったらどうする?」と書き込んでみた。
14歳の自分に聞くことではないと分かっていたしそもそも人に聞くことではないと思ったが筆が走っていた。
「んー。また次の夢とかステップに進めるように頑張るかな」
何ともヒョン抜けた答えだ
でもそれでいいような気がした。
なりたい職業にはついた。
そこからどこを目指すのか。
人を幸せにしたい。
軸を持っていればそれだけで生きていけるような気がした。
「ありがとう」
一言書き込みんだ。
12.31今年ももう終わる。
この日記も終わる。
隣のページには今年あったこと考えたことがびっしりと書かれていた。
自分は書くべきでないと思いただ眺めていた。
年が変わる直前23:55。
最後のページに「また会えたら会おう。6年先の未来でいつでも待ってます」
それだけ書いて日記を閉じた。
次の日日記に書き込んでみた。
何も起こらない。
まぁいっか。頑張ろ。
ずっと忘れてた自分を思い出させるためにきっと繋がってくれたんだな。
胸に想いだけおさめ家を出た。
またいつか会えますように。
そんな願いを空に唱えながら。