第三話:ディープグリーン・ザ・ヘル
暗い部屋に一台のパソコンの画面の光が浮かびあがる。
その画面には、Ultimatewarに関する掲示板が映し出されている。
HIR「なあ、あの噂、知ってるかUltimatewarで気づいたら敗北
しているって都市伝説?」
KIYOSI「しってるけどーあんなのただの噂ジャン、そんなことあるわけ
ないジャン。」
BRシャーク「ほかのゲームだったらただの都市伝説だと思うけどよー、
Ultimatewarなら何でもありじゃね?」
HIR「だよなー、そういやーこの前の対戦でも似たようなことがあったくない?」
KIYOSI「あったあった、あれ無様だったジャン、確かぁー鬼畜王Dと
戦場のアオザメのやつ?あれマジ、ウケルくない?」
HIR「あーあれホント傑作だよなー前線に攻撃力を集中させてオラオラ的な
突撃してたら後方の補給、乗っ取られその補給物資で攻められて降伏
宣言しても無視で嬲り殺されたあのあほな奴、あれじゃー戦場のアホ
ザメって感じだよなー。」
KIYOSI「ぷぷっ、ウケルー。」
BRシャーク「誰が、アホザメだぁ、こらぁー舐めてんのかぁー!!」
HIR「マジで、ぼこられたご本人様、登場ー!!」
KIYOSI「ねぇねぇ、あんな無様なやられ方して、どんな気分…ぷぷっ」
BLシャーク「うるせー、そんなことより誰との対戦でそんな噂が流れたんだ?」
HIR「あれー、話題すり替えたよー…まあいいか、確か四天王の silverコマンド…」
自室でパソコンを眺めるめがねを掛けた短髪の高校生、院照李 進(16歳)が
ノートパソコンを開きUltimatewarを起動した。
院「さて、そろそろ時間だ、始めるとするか。」
そういうと院照李は、パソコンにUltimatewarの画面にして不敵な
笑みを浮かべる。
院(心)「 silverコマンドとやり合ったら、気づいたら敗北してるとか噂に
なっているがただ頭の弱い馬鹿共がこのゲームのセオリーも判ら
ないで馬鹿な戦略立てて負けただけにすぎない。
まあ、僕みたいな全国模試トップでエリート街道突っ走ってる
人間には、そんな下等生物の思いつきを、戦略とは言わないけどね。」
院照李は、偵察機を、五機放った。
院(心)「このゲームは、索敵が鍵を握る、索敵をくまなくすることで拠点の
位置はもちろん地形や天候を知ることで相手の出方やスタイルが
おのずと判る。
まあ他の馬鹿共は、どうせ索敵を怠って負けただけだろ。」
院照李のパソコンの画面に索敵完了の文字が表示され索敵率100%と
表示される。
院「おっ、もう済んだか、しかも一機も撃墜されてない。」
院(心)「索敵を完璧な精度で行い、その情報から全てを導き出す。
情報を多く持つ者こそ勝者へと至る。
これが、80番台、情報の貴公子呼ばれる僕の基本戦略、
フューチャービジョン!!索敵が、100%完了の時点で
最早僕の勝利は揺るがっ…」
院照李は、目を疑った。
院「なんだっ…これは、拠点は、おろか森しか写ってないだと…どういう
ことなんだ森に罠を仕掛けているとしても偵察機の金属探知のレーダ
ーに引っかかるはず、なのに何の反応もない上、赤外線センサーに人
の反応もない…いや、落ち着くんだ僕はエリートなんだ、まだ手はある
さ、向こうも偵察機を飛ばしてくるはずだその偵察機を鹵獲して情報
を入手すればいいことじゃないかっ。」
だが、院照李の思惑は、はずれ偵察機の一つも飛んでこなかった。
院「どっ、どういうことなんだ、偵察すらしてこないだと、情報とは、
このゲームでの勝利を大きく左右するファクターだというのに
それすら放棄するだとっ。」
院(心)「くっ、ここまで、自ら動くことを放棄した戦いなんて見た
事がない、そしてこちらは情報を何一つ手に入れられてない。
こうなったら罠かもしれないがごく少数の部隊を送って
少しでも情報を入手しなければ。」
院照李は、部隊を編成して森に送った。
当然、ゲリラ戦になる可能性や地雷などの罠が仕掛けられていることを
考慮して金属などを探知するセンサー類を装備させた。
院「少数での偵察を繰り返せば、少しづつでも情報が集まるはずだ。
それに少数だからもし部隊になにかあった場合でも損害は、
少なく済む。
さて、選ばれし頭脳を持つ僕をここまでコケにしたんだ貴様の
策略を丸裸にしてやるよ。」
パソコン画面に院照李が森に進行してくる様子がなぜか、偵察も行って
いない silverコマンドのパソコンに映し出されていた。
silverコマンドは、口元しか映し出されておらずその口元は、
笑みを浮かべていた。
S「ほぉーっ、なかなか慎重な子じゃのぉー、じゃが果たして
情報を持ち帰ることができるかのぉー?」
森の中を院照李の部隊が進んでいく、部隊からは絶えず情報が
送られてくる。
院「絶えず情報がリアルタイムで送られてくるこの状況なら、もし、
戦闘になってもそこからこちらにヒントとなる情報が流れてく
るはず…」
次の瞬間、部隊から連絡が途絶え、全滅と表示された。
院「なっ、何が起きたんだ?…こっちは、罠などにも警戒してセンサー類
を装備させたんだぞ、それなのになぜなんだっ、いったいどんな手ぇ
使いやがったんだっ。」
silverコマンドの口元が映し出される。
S「ふぉふぉふぉっ、青いのー、いくらセンサー類を装備させたところで反応
するとは限らんからのぉー、まあ普通のゲリラ戦するもんには、有効じゃろ
うがそんなもんは、ワシには、通用せぬよ。」
silverコマンドの口元は、三日月のようにつり上がり笑みを浮かべる。
院「糞が糞が糞がぁーっ、この僕をコケにしやがってぇー、僕は、選ばれた
存在なんだっ、こんなまねしてただじゃ、済まさないからなっ!!」
院照李は、パソコンを操作して、今度は偵察目的ではなく確実に仕留めるための
89式装甲戦闘車や強力な重火器を装備させた歩兵、で構成された部隊を三つ
作りさらに航空勢力にF-15を導入した。
院「姿を見せない卑怯者がぁー、炙り出してやるっ!!」
広大に広がる森に、三つの部隊は、それぞれ違う方向から入って行き、森の上空
には、F-15が飛び回る。
silverコマンドの口元が映し出される。
S「最近の子は、忍耐力がないのぉー、少しいたぶっただけで情報を集めること
よりごり押しな作戦に切り替えるたぁーのぉー、まあ警戒のために航空勢力
で地上の部隊を警護する念入りさはなかなかなものよ。
じゃがワシは、兵士を使うことなく送り込んだ部隊を混乱の渦に引きずり
込んで見せようぞ。」
院照李の部隊の一つが89式装甲戦闘車を先頭に警戒しながら進軍していく
前方にも後方にも異常らしき物の反応は、なく部隊の左右側面の木々に敵兵士
の気配もなかった。
だが、先頭の89式戦闘車は、いきなり地面に穴が開き奈落の底に落ちるか
のごとく落下した。
院「なっ、おっ落とし穴だとっ、こんなでかい落とし穴、空洞になっているのに
センサー類が反応しないだとっ、いったいどんなトリック使ったっていうんだ
…いや今はそれどころじゃないっ、この状況で奴がこちらに何もしないはずが
ないっ左右側面の木々に兵士が潜んでいるはずだっ、そいつらを引きずり出し
てやるっ!!」
院照李は、戦闘車が入れない木々の生い茂る中に兵士たちを投入し始めた。
S「ワシの思惑通りの展開になって来たのぉー、ほぼワシの勝ちできまりじゃの。」
院照李の投入した歩兵が次々と罠に掛かり倒れる。
ある者は、地面に張っていた植物繊維の糸に触れて木で出来たボウガンが起動し
木製の矢で射抜かれ、またある者は、ハエ取り草みたいな左右同時に木の杭が
並んだ板ではさみ死んだ。
院「なんなんだよっ、僕の兵士は、最新の兵器で武装してるのにっ、なのに
そんな石器時代の罠で僕の部隊がやられてんだよっ、意味わかんねーよっ。」
S「敵を倒すのに強い武器なぞいらんっ、的確に原始的な罠でも配置すれば
どんなに最新の兵器で武装してようが所詮は人間、簡単にしかも低予算で
始末できるんじぁ。
しかも原始的な罠には金属は使われてないからのぉーセンサーが反応
せんのじゃ。
しかも落とし穴の上には、レーダーで反応できないようレーダーを阻害
するシートをかぶせとるからでかい穴もみつからんのじゃ。」
院「畜生、このままじゃ地の利のない僕が一方的にやられてしまう。
しかもこのままだとこっちの兵力が削られるだけで終わってしまう。
こうなったら残存兵力を回収して拠点に戻すかっ!!」
院照李は、生存している兵士を罠で動けなくなってない89式装甲戦闘車に
回収する指示を出した。
院「まあいい、奴がどのような戦闘スタイルか判っただけでも儲けものだ。
こちらも兵力はまだまだ余裕がある。
それに森ごと焼き払えば小ざかしい罠など問題ない、兵士が戻り次第、
航空勢力で爆撃開始だ。」
S「よしよしいい子じゃ、壊さずにおいた 89式装甲戦闘車で兵士を
回収しはじめたのぉーそろそろ仕上げじゃの。」
silverコマンドは、院照李に向けてメッセージを打ち始めた。
そのころ院照李は、拠点に戻った兵士を再編成しようとしていた。
院「さて、爆撃機の準備をと…ん?」
院照李のUltimatewarの画面にsilverコマンドからメッセージ
が届いていた。
そこには、{これ以上戦っても私の勝利は揺るがない、降伏せよ、
それ以上の要求はしない。}と書かれていた。
院「何わけのわからないこといってんだ?、どう考えても勝利がゆるがない
のは僕のほうだっ、森を焼夷弾で焼き尽くせばゲリラ野郎なんて消し炭
だっ、まあ自分が不利になったからいかにも自分が優位な立場にいるよ
うに見せかけているだけだろう。
まさかそんなセコイ手を使って今まで四天王に君臨してたのかよっ、
まあこれから僕が四天王だけどねっ。」
院照李は、silverコマンドに、{僕の勝利は揺るがない、寝言は寝て言え}
とメッセージを送った。
院照李は、兵士の再編を始めるが二人の兵士が、なかなか指定した編成部隊
に来ない。
院「パソコンの処理が追いついてないのか?」
と思っていたらsilverコマンドからメッセージが届き
{では、死んでもらうかのぉー}と書かれていた。
院「なに、ほざいてんだこいつ、低レベルな頭脳な奴は、考えてることが
判らん…」
次の瞬間、画面に指揮官死亡と出て敗戦の文字が浮かぶ。
院「おいっ、嘘…だろ、何なんだ何が起きてこの僕が負けたっていうんだ
、僕は選ばれし頭脳を持つ男だぞっ、こんな罠しか使わない卑劣な奴
にこの僕がっっっ、きえぇぇぇー。」
院照李は、奇声を上げ机のパソコンなどにあたりちらし最後には、泡を吐いて
失神した。
S「折角、降伏を勧めたのにのぉー、やはり近頃の子は、机の上での勉強
ばかりで、実践がたりてないのぉー、まあ人生経験が少ないから仕方
ないかの。」
silverコマンドの全体が映る。
S「その程度じゃーこの、85歳の老いぼれを倒すのは無理じゃの。」
{silverコマンドこと相模 銀二、85歳、名前的な意味でも年齢的な
意味でもsilver}
相(心)「もう、ワシが降伏勧告を送った時点で勝負はついていたんじゃ、
ワシの目論見道理、壊さないでおいた89式装甲戦闘車で兵士
を回収しはじめた時に、罠に掛かって死んだ兵士の装備と軍服
を奪い、負傷兵を装った二名の兵士を回収にきた89式装甲戦
闘車に潜り込ませ保険に89式装甲戦闘車の底に兵士をしがみつ
かせ拠点にまで運んでもらった、後は、指揮官を撃ち殺したら
作戦終了じゃ。」
相模のパソコンに、使用兵士6人、損害0、指揮官レベルSSSクラスと
表示される。
相「最小限の兵力で、勝利を掴む。ワシの基本戦術、銀二式制圧術の前では、
小童ごときじゃワシを倒せぬよ。」
燻し銀の男と言った表情でドヤ顔を決める相模、次の瞬間、後ろの引き戸が
勢いよく開かれ、婆さんが入ってくる。
相「ばっ、ばば婆さんっ!!」
婆「おじいさんっ、夕食の準備が出来ましたよって何度も何度も呼んでいます
のにどうして返事すらしてくれないんですかねぇー?」
婆さんは、にこやかな表情ではあるが発せられる殺気が銀二を恐怖させる。
相「まっ、まっとくれ婆さんやっ、ワシもわざと返事をしなかったわけじゃない
んじゃよっ、ただ、対局のほうに集中しすぎて気づかなかっただけでっ…」
婆「まあ今回は、許してあげますけど…次は、ないですからね。返事はっ?」
婆さんの冷たい視線が、銀二の精神を串刺しにする。
相「yes,mam!!」
Ultimatewarの世界では、最強の指揮官、だが家では、婆さんが
相模銀二にとっての最恐の指揮官なのであった。
強者たちの戦いはまだまだ続く。




