第二話:鬼畜の美学
朝のファミレスでチャラそうな茶髪ロン毛でシルバーアクセでコーディネート
している男がスマホを操作してスマホから決闘状を送信する。
送信するのを見届けたチャラ男の連れの弟分の弘が興奮しながらチャラ男に話
しかける。
弘「光実さん、ついに光実さんの伝説が始まるっスね。」
光実がしたり顔で答える。
光「あったりめーっつーの、むしろ遅すぎーって感じ。
まあ国内勝率ランク1000番台の俺様が挑んでも軽く四天王くらい
捻れたけどよー、でも俺様ってもしもの時のリスクも計算に入れて
確実に勝利するためにあえて900番台になるまで待たってわけよ。」
弘がはしゃぎながら光実を担ぐ。
弘「国内3000万いるプレイヤーの中で1000番台ってことだけでもスゲーのに
たった数日で900番台なんて光実さんマジ、リスペクトっスよ!」
光「おめーは、幸運なやつだぜ!!なんたってこれから俺様が覇者になる瞬間に
立ち会えるんだからよ。
しっかり俺、光実 豊こと「戦場のアオザメ」(通り名)の勇姿を眼に
焼き付けて俺様の勇姿をネットで拡散ヨロシクー♪。」
弘が自分胸を叩き得意げに答えた。
弘「もちろんっスよ!戦局も事細かに俺のココロに刻み付けるっスよ。」
同時刻、幼稚園で外で子供達が遊んでいるが一人のくせっ毛の男の子が人に
見られそうにない場所でスマホを操作して届いた決闘状を確認していた。
「たかが900番台の分際で俺に挑んでくるとは、随分舐められたものだ。
カス風情が身の程を教えてやる。」
幼稚園の先生が男の子を呼びに来る。
先生「さとるくーん、休み時間終わりだよ。おへやに戻ってお絵かきの
用意してね。」
さ「ハーイ。」
さ(心)「俺の名前は、才谷 悟 御歳4才。見た目はただの園児だが
世界でトップクラスの頭脳を持ちUltimatewar の世界で
四天王なんて呼ばれている。
そんな俺のことを他のプレイヤー は、『鬼畜王D』
と呼んでいる。
ん?なぜ、トップクラスの頭脳の持ち主の俺がこんなところ
で平凡な園児なんかやってるかって?
確かに俺の頭脳なら海外の大学に進学したりテレビなどに出演
したりなど多くの道がある。
だがそちらに進むと同年代の奴らにとって近寄り難い存在とな
ってしまって今後の円滑な人間関係を築くのが厄介になっちまう。
それにガキの頃にちやほやされると大概落ちぶれる奴が多い。
ゆえに心身の成長を考え今は、無垢で愛らしい園児を全力で演じ
てやるぜ!たとえどんなに周りのガキの脳みその程度が低くて
イライラしてもな!!」
そんなことを考えながら悟が愛らし園児を演じていると昼食の時間になり教室
でお弁当を食べる準備を園児達がわいわい言いながら始めた。
悟(心)「対戦開始時刻は13:00時からか、さてどんな戦法で虐殺してやろう
か考えるだけで楽しみで仕方ないぜ。」
凶悪な顔で舌なめずりする悟、そんな悟の様子に気づき悟の友達(下僕)の
三浦君が声をかけてきた。
三浦「悟くん…どうしたの?」
悟「えっ、ううん、何でもないよ。ただ今日ボクのお弁当ハンバーグだから
楽しみなーって」
三浦「ハンバーグいいな~。僕なんか嫌いなピーマンがお弁当に入ってるから
どうしよう残すとママに怒られちゃうし。」
悟「じゃあこうするのはどう?ボクのハンバーグ半分とピーマンをとりかえっ
こするってのは♪」
三浦「えっ、いいの?」
悟「うん。ボク、デザートもあるから大丈夫だよ。でも今回だけだからね次から
ピーマン食べれるようになってね。」
三浦「ありがとう♪今度悟くんのすきなものがあったらあげるね。」
悟「うん♪」
悟(心)「さて俺のデザートちゃん(戦場の青鮫)は、俺をどこまで楽しませて
くれるかな?ホント楽しみで仕方ないぜクックック。」
又も凶悪な園児とは思えない表情でほくそ笑む悟だった。
微笑ましいランチタイムを過ごし遂に決戦の時が来た。
光実と弘は、ファミレスの席で自分達の栄光を確信しテンション、アゲアゲの
状態でスタンバイしている。
弘「時間スね光実さん!」
光実「ああ、遂に俺様が天下を取る時がきたぜ。四天王の一角だか鬼畜王だか
言われてるがそんなもん俺様には、カンケーねーよ。
その四天王の座から引きずり落としてくれるぜ!」
同時刻、悟は、ゲームをしているのが見つからないように幼稚園の運動場の砂場
付近にある滑り台の柱に身を潜めている。
悟の正面には塀があり正面から人が来ることはなく少し背後を注意すればいい
状態でスタンバイしている。
悟「さあ、お待ちかねの食後のデザートタイムだ。」
スマホの画面に開戦の文字が出ると同時にほら貝の笛の音が響く。
悟「まずは偵察開始と。(無人偵察機をとばす。)更に拠点の周りの森に拠点を
円で囲むように兵士を配置と、これで地上の敵が進行してきてレーダーなど
に反応がなくても兵士からの報告で全方位すぐ気付ける問題は。」
画面に索70%完了索敵続行不可の文字が出た。
悟「偵察機は破壊されたが索敵70パーセント完了しているなら問題ない。
拠点の周りは森か、その森を抜けると平原が広がってるって感じかな、
さてどんな戦法で来るかな。」
森から勢いよく何かが平原に飛び出し、同時に森上空からも飛来してきた。
悟「ふーん、なるほどね。」
光実が弘にといかける。
光「おめー戦いに必要なものはなんだと思う。」
弘「えっ...やっぱ火力っスかね~?敵の戦力も削げるし威圧もできるっス
からねー!」
光「ああ、おめーの考えは、半分は正解だ。だが半分は、間違いだ。」
弘「えっ!なんでなんっスか?」
光「確かに火力は重要だけどよー、その火力を運用するのにどれだけのコスト
と人員が必要になる?」
弘「あっ、マジっスねー!大火力の武器は、数揃えるのも使用する弾薬もかなりの
コストもかかるし物によっては運用するのにも普通の兵器よりも多くの兵士が
必要っスねー。」
光「気付いたか、それに連続使用に向いてなかったり固定してないと使えない奴が
多いから隙ができちまう。」
光「だからよ俺様は考えたのさ、どうすれば隙を作らず威圧もできるかをよー。
そして気付いたのさ、進軍するスピードこそが鍵だとな。」
悟「敵の拠点に高速で攻め込むために火力の高い主力戦車でなく 移動速度の
速い機動戦闘車で攻防のバランスに優れた魚鱗の陣で進行。
上空からの敵や数キロ先の索敵は強力なレーダーなどを備えた攻撃ヘリ
AH-64Dアパッチ・ロングボウで攻防を行い残りの残存非威力を機動戦闘車
で殲滅し進軍速度の速さで敵に立て直す時間を与えず威圧もできる。
といったところか。」
光「まあ相手の拠点に攻め込む時には燃料や弾薬が尽きちまうがその頃には、
後方から支援物資が届くから問題ねぇ」
光「これぞ俺様が編み出した進軍術、青鮫稲妻突撃!
(Blue shark lightning attack) 俺様の進軍、
止めれるもんなら止めてみろや!」
悟「ふーん、ただの勢いだけのカスかと思ったけどそこそこ脳みそ使ってる
みたいだね。
じゃあこんなのはどうかな?」
悟が画面を操作して戦闘機を敵の拠点に向け出撃させる。
だがその戦闘機は、とても最新兵器に勝てる確立が低すぎるものだった。
光「おいおいこんな時代遅れの骨董品(F-100スーパーセイバー)で拠点攻撃
ってイカれてんのかコイツ?…待てよ…はなから拠点攻撃が目的じゃねえ
なら…後方で輸送している支援物資がねらいかっ!さあせるかよっ」
悟「おっ、気づいたみたいだね。旧世代の戦闘機と言っても音速は出るよ。
迎撃の準備してるみたいだけど守りきれるかな?」
光実の補給部隊が迎撃体勢に入る。
まさにその時、他の園児たちがサッカーをしていて思い切り蹴られたボールが
悟の正面の塀に炸裂。
その兆弾が悟の顔面に炸裂した。
悟「のぎゃー!!」
衝撃で悟の手からスマホが吹っ飛び悟転倒。頭を押さえながら起き上がる。
悟「いっつつ、まさかリアルで流れ玉に当たるとはな。」
サッカーボールを蹴った園児が声を掛ける。
園児「悟、大丈夫?けがしなかった。」
悟「うん、ボクは大丈夫だよ。」
園児「ごめんね。」
悟「いいよ。わざとじゃないんだし仕方ないよ。」
悟(心)「そんなことより早く戦況の確認をしないと。」
スマホを操作しようとする悟だがスマホがないことに気づく。
悟(心)「おい、マジかよ、スマホどこだよ早く見つけて次の指示
出さないと…」
左右を見回しスマホを探す悟。
砂場の園児が作った砂山のトンネルの手前に落ちているのを見つける。
悟(心)「あった。助かったこれですぐ戦況確認と指示がだせる。…ん。」
園児たちが水の入ったバケツを持ってきた。
園児「これからトンネルに水を流すぞーこれがうまくいけば僕たちの水路の
完成だぁー。」
園児2「ちゃんと流れるかドキドキだね。」
悟凄まじい形相で叫ぶ
悟「ぎょのおおおおおー!!」
悟(心)「やめてーー!俺のスマホは、防水じゃねー!そんな量の水ぶちまけ
られたら確実に死亡しちまう!」
園児「それでは、お待ちかね入水開始といっちゃおー」
悟「させるかー!」その場から走り出す悟。
悟(心)「Shit!この速さでは俺のスマホが確実に水没しちまう
…考えるんだ…今まで得た知識を活用すれば突破口があるはずだ
…あっ!そう言えば古武術の本で見た体の倒れる力を利用する歩法、
無足を利用すれば…いやまだ足りないそれだけではまだスピードが
足りない…他にもナンバ走りとかいう右手、右足を同時に動かすこ
とで体をねじらず効率よく走る方法があると聞いたことが…この2
つの歩法を合わせれば…でもやったことないが…だがこの状況を
打開するには、この方法にすがるしかねぇー!やってやらあああぁ!」
ナレーション:そして悟は知識で得たことを自身の体に実行するのであった。
悟「加速うううぅ!」園児の速度とは思えないスピードで加速する!
悟「目標まで残り5メートル!4…3…2…」
園児「にゅうすいかいしぃー」
悟「させるかあああぁ!」
悟飛ぶ!
瞬時にスマホを片手に取り回転しながら着地!
悟(心)「ぜぇぜぇ…なんとか守りきったぜ…さぁて戦況は、…あーあ全部
撃墜されちゃったか…でもパイロットたちは全員無事なんだよね」
と悟は園児とは思えない邪悪な笑みを浮かべた。
光実と弘は、自分達の勝利を確信しはしゃぎまくっていた。
弘「光実さんマジすげースっ!残り30km切ったっスよ!」
自分のことのように喜ぶ舎弟。
戦闘ヘリと機動戦闘車が森の中に潜んでいる悟の歩兵に砲撃、悟の歩兵は、
RPG放ち応戦しながらもどんどん森の中に後退していく。
光「あったりめぇだろ!まあ弾薬も尽きる頃だが鬼畜王の爆撃で多少、
補給部隊が混乱があったがこっちに向かってるから問題ねーよ!
俺様の勝ちだな鬼畜王D!これで俺様が四天王だあああ!」
悟は自信の兵士が後退していってる中、動揺することなく不気味なくらい
落ち着いていた。
悟「ふぅん…こんなところまで攻め込んだんだぁ…ほんとすごいよ…
褒めてあげるよ…でも…後ろから補給部隊が来てるけどね…
それってほんとに君の味方かな?」
さっきより歪んだ邪悪な笑みに変貌する
そのころ光実は、滝の如く冷や汗を流しながら混乱していた。
光「ど…どういうこった!?なんで…なんで物資を要求しているのに
補給部隊は物資を渡さないんだ!?バグか?バグなのか?」
弘「はっ、…光実さんもしかしたら!」
悟「はなから拠点への攻撃も補給部隊への爆撃もブラフなんだけどねぇ…
本当の目的はさぁ…ボクの特殊部隊を補給部隊の元まで届けること
だったんだけどねぇ」
弘「はなから攻撃が目的じゃなかったんすよ!後方の補給部隊に爆撃を
しかけ混乱させるのもブラフで戦闘機で兵士を運ぶのが奴の本当の
目的だったんすよ!
しかも運んでたのが乗っ取りや鹵獲専門の特殊部隊だったら!」
光「ま…まさか!攻撃ではなく乗っ取りが目的だっただとっ!!」
青ざめる光実
悟(心)「さて、これからが本当のデザートタイムのはじまり
だぁぁぁあ!!!」
悟達の部隊が一斉に動き出し前方の森と後方の平原地帯から光実の部隊
に容赦なく襲いかかる!
光「くっそおおお!弾が切れて歩兵ごときになぶり殺されちまう!」
弘「やっ、やっべーっスよ!後方の奴の部隊が奪い取った支援物資で
攻撃を仕掛けてきてるっス!」
悟「はぁい、詰んだ」
悟はもう楽しすぎてぶきみな笑い声を上げていた。
光「このままじゃ全軍皆殺しにされちまう!こうなったら降伏宣言で
相手の条件を飲めばっ…」
※降伏宣言 相手の条件、兵士、補給物資などをある程度渡せば降伏
を認めるシステム
弘「光実さん!奴がなんで『鬼畜王』って呼ばれるか忘れたんすか!
そんなもん全て無視して虐殺をまるで楽しむかのようなプレイス
タイルから『鬼畜王』ってあだ名がついたんスよ!」
青ざめる光実と対照的な狂気的な笑いを浮かべる悟
光「やめてえぇー!殺さないでええぇっ!」
悟「さぁ…いい夢いっぱい見ただろ…これが俺のミミックジェノサイド
・モデル1(擬態式大量虐殺術・壱式)だ…」
悟「さぁ兵糧攻めでじわじわ死んで行くがいい!…ん!?」
スマホのバッテリー残量残り10%を切っていた
悟「ぬああああにいいい!リアルで俺が兵糧攻めされてるだとォォォ!
(電池的な意味で)ヤバイ…今すぐ充電できるとこを探さないと…」
悟(心)「教室には、先公がいるから見つかっちまう。
…となると廊下の掃除道具入れのとこにあるコンセントなら
掃除用具入れが死角になって見つかりにくい…。」
廊下の掃除用具へと急ぐ悟。
悟(心)「よし、ちょうどみんな外に遊びに出ていて人気がない!」
コンセントに充電用プラグを差し込もうとしたその時、園長先生が現れる。
園長「あれ、悟くん?どうしたんだいこんなとこでしゃがみこんで?」
悟(心)「マズイ、何か園児ならでわの良い言い訳をしなければっ。」
悟「あのねー見たことないムシさんがいたからつかまえてたの。」
悟(心)「頼む、詮索してくんなよぉぉぉ」
園長「そうかね、でも、虫さんも生きているから後で逃がして
あげるんだよ。」
悟「はーい」
去っていく園長先生
悟(心)「ふぅーなんとか切り抜けた、どうなるかと思ったぜ…」
プラグをスマホに差し込んで充電が開始される。
悟(心)「さてと現在制圧率99パーセントかそれもそうか前線に
物資をつぎ込んでたから拠点に一方的な攻撃に耐える
ほどの物資がなかったんだね。」
画面に敵指揮官撃破の文字が出た。
制圧完了の文字が出てゲームは、終了した。
弘(心)「べぇーマジやべーよ。
この眼に伝説を刻むはずが一方的な虐殺シーンを刻ん
じまったよ…こんなのネットで拡散したら…」
光「おい…。」
弘「はいっっ」
光「おめーは何も見なかったそうだよなぁ?」
弘「は、はいっ!なにもみていないっス。」
光「そうだよなぁ見てないよなぁー。
もしオメェーの空想であることないことネットに書き込ん
だら…分かってんだろーなー?」
光実の持っているグラスが砕ける。
弘(心)「ギャーーー拡散したら俺自身が第二のグラスに
なっちゃうよーーーー。」
悟「本当、脳みその足らない奴だ自分の編み出した策が破られない保証
などないのに破られた時の第二、第三の策を用意していないなんて
頭に生ゴミでも詰まってるのかなー? 受精卵からやり直せ
チ○カスが!!」
悟の背後から先生が近寄ってくる。そして悟の背後で立ち止まった。
先生「こらっ悟くん。スマートフォンなんて持って来たらダメでしょっ。」
悟(心)「見つかっちまったか・・・これで見つからずにゲームを終える
というプランが詰んだな…だがそんなことは想定内。
俺の第二プラン…それはっ。」
悟は目を潤ませながら子犬がションボリしたような顔をしてこう言った。
悟「ぐぉめぇんなさーーーい。」
悟(心)「俺の年齢的特徴を活かしたあどけない泣きそうな顔で押し切り
うやむやにする!!」
先生(心)「うっ、そっ、そんな顔されたら怒れなくなっちゃうじゃない…」
先生「こっ、今度から持って来ちゃダメよ。わかった?」
悟「はぁーい」
先生が去っていく
悟「へっ、ちょろいもんだぜ…。」
強者達の熱き戦いはまだまだ続く。




