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見えない殺人者

作者: 春那 創

 そうだよ。俺が殺したんだ。

殺り方は簡単さ。後ろから首に手を回して思いきり力を込めた。ほとんど抵抗もされずに崩れ落とせた。それから動かなくなった奴の顔を思いきり蹴飛ばした。もし、生きてたらまずいから保険のキックさ。余りにも拍子抜けだった。意図も簡単に人間って死ぬもんだなと思った。大した計画も立てず、凶器もない、あったのは殺意だ。


 え?計画も立てずによく人を殺せたなって?

その質問の意図するところはどこだ?殺人の成功か?沸いて出た殺意の事か?


 その質問の意味がどうであれ、間抜けだとしか思えないな、お前らは。呆れるよ。ちゃーんと人の話を聞いてるか?俺は理解力の乏しい奴が大嫌いなんだ。あまり長い時間喋ることを許されてないんだから、一字一句聞き漏らすなよ。


 人間は簡単に死ぬ、って言っただろうが。例え向かい合っていようと、不意に殴りかかれば重傷は免れない。狙うのは勿論急所。目ん玉とか首とか、顔周りなら相手はよろけるさ。そこで壁や床に強くぶつけるような打撃を与えてやるんだ。昏倒した相手に追撃を緩めることはせず、殴って蹴り続けろ。そうしたら死んでるさ。自分も痛いが相手はもっと痛かったんだ。だって死んでるからな。人間を殺すってのは痛いもんだ。体だって、心だって痛い。


 それを一時的にでも麻痺させるのが、殺意。圧倒的な殺意。殺意は少しじゃ駄目。そんなものは誰にだってあるさ。何がきっかけだって有るものさ。いつのまにか抱いた殺意が、ある日なにかをきっかけに爆発する。緻密な計画を立ててるような殺意は爆発とは言えない。テンションが上がっちゃってるだけさ。まだ自分の事を考える余裕がある。いかにバレないようにするんじゃぁないんだ。ただ相手を殺したい、それだけなんだ。殺意ってやつは。


 あぁ、そうそう。俺が奴を殺してどうかした、って話の続きだけど、本当すぐ死んじゃったからさ、暇だったんで奴で遊んだよ。すぐに逃げなきゃ!とかアリバイをつくろう!何て事は思わなかったね。死んでたとはいえ、それは多分って事だから、胸に手を当てたり、呼吸してるか見たりしてみたよ。心臓マッサージとかね。何となく面白くないか?生きてるかどうかの確認方法や蘇生術が、死んでるかどうかの確認になってるって。


 そうやって奴の死亡を完全に確認したあと、それでも何か不安でね。見た目はただの寝ている人だから、起き上がってくるんじゃあないか、という不安。それを拭うために首を切断した。そうすりゃ万が一にも起き上がる心配は無いからな。可能性は人間の希望だから。それをスパッと両断してやった。いやー、首に包丁をあてがったときが一番緊張したなぁ。一発で、バサッといきたいじゃん?何回も降り下ろすと怨恨による犯行だとか、猟奇的な殺人って思われそうで。現場に落ちて…る?

た?と思うけど、包丁に細工して重し付けたりしたのはその為。まぁ、わかってると思うけど。


 そして執行。気持ちよくはいかなかったが一刀両断できたのは良かった。手が痛かった。包丁が床にものすごい勢いでぶつかったからな。ビリビリしたよ。


 んー…で、まぁ終わりかな。一仕事終えたー!さぁ帰るぞー!って気持ちになったから帰った。


 俺はまだ捕まるわけにはいかないから。まだまだ殺したいやつはいる。

 そいつらは、これを聞いてるお前かもしれない。色々な奴を殺したいから。


 まぁ、そういうこと。じゃあ次の奴、殺しに行きます。つっても特に計画はないよ。帰宅途中に気に障った奴を殺るかもしれないし、家族や同僚、恋人だって殺るかもしれない。


 俺だって分かんない。大体気づけば殺っちゃってるから。いつか、治ったりするのかねぇ、この癖は。


 あー、かなり長くなっちゃったな。今回はこの辺にして、じゃあねー。





ブヅッ


ジーーーーーーー…………





「……以上です。」

「やはり、三日前の事件と同一犯か。」

「いえ、一概にそうとは言いきれません。」

「…何故だ?」

「死体の一部の損壊状況や、犯行の手口、現場に犯行の状況や、自分勝手な理論を録音したカセットテープを置いていく、といった状況は酷似しています。しかし、前回の事件の録音テープと種類が違う事と、声質に若干の相違が感じられます。」

「模倣犯か?」

「…それも考えにくいかも知れません。前回の事件は報道こそあったものの、事件の詳しい状況はマスコミには伝えてありませんから。」

「難しいな…。ここまで似ている事件でありながら関連を見出だすことが出来ないなんて。」

「…そうでもありませんよ。」

「どういう事だ?」

「模倣犯の線さえ消えれば、テープの種類が違うことや、声質の若干の違いなんかどうってことはないでしょう。」

「…どういう事だ?」

「我々、警察関係者なら同一犯であり得るという事ですよ。」

「!!」



「例えば、私にだって可能です。」



思い付くまま下書きもなく書きました。

完成した作品や途中の作品を

読み返して思うのですが、


自分の作品は

テーマをはっきりと自分の中で決めて書いてるので、


そのテーマが分からなかったら

なんじゃこれ

ってなることが多いです。



今回のテーマは

「殺意は見えない」


でした。

…まぁテーマも解りづらいですけど。



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― 新着の感想 ―
[良い点]  人間の狂気を上手く書けていると思います。分かりづらくなんてないですよ。 [一言]  受験勉強で疲れ、短編読みたいなという事で来ました。テーマは重いものですが、その重さを読者にあまり感じさ…
2014/08/09 10:11 退会済み
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