異世界
いつも見ているはずの景色が
全然違うものに見えた
ふわふわと綿菓子みたいに甘いわけでも
ふわふわと雲みたいに重さが無くて
ふわふわと漂うようで
そこにいるだけ
虚ろになるのは景色か
それとも・・・。
雪の輪舞~異世界~
-スノー・ロンド-
窓から外を見ると
いつもと違う光景が広がっていた
ただ、静かな闇と雪の白さだけの
モノクロの世界が
フィルターをかけたみたいにぼやけている
霧が出てるんだ・・・
気付いたのはボ~っと見つめてから
どれくらいが過ぎた頃かな?
いつも見慣れたはずの景色が
まったく違う感じがして
不思議と笑みがこぼれてしまった
叶わない願いだけど
思っちゃいけない事かもしれないけど
この霧の夜を歩きたい
そう思ってしまった
だから、出てみようと思う
窓を開けて、屋根から地面へ
帰りのことは心配ないから
部屋着にコートをかぶっただけで大丈夫かな
いつも見慣れた街路樹も街頭も
どこか霞んでいて
何かやっぱり不思議
道の先を見ると
その先はまっしろ
雪の白じゃない、別のまっしろ
じ~っと見ているとドキドキしてきた
何かに出会うんじゃないかなってドキドキよりも
別の自分になってしまうんじゃないかなってドキドキ
怖くなったわけじゃないけど
あたしは閉じていた瞳を開けてしまった
「あっ、帰ってきちゃった・・・」
「残念だったな~、もう少し居ても良かったのに」
「でも、なんかホッとしてる・・・、変なの~」
布団の中でトクンと鼓動がはねた、それは何時もと違って・・・