5 嘘つきの真実
テストおわったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
そして短いいいいいいい!!!!!!!!
「……っ、」
ずきぃん。
遂に強くなったその痛み。一気に流れ込んでくる大量の情報に、アリスの目の前は真っ暗になった。
目の前をぐるぐると廻る数々の風景、会話。まるで一つの紙芝居を見ているように、次々とみているものが変わる。春から夏、夏から秋、秋から冬。見ている景色も次々と高くなる。きっと成長しているんだろう。幼稚園の遊具、三輪車、新しいランドセル、入学式の看板、クラス表、黒板消し、友達……、優しく微笑みかけてくれる、姉さん。
「なに、これ……っ!」
今までとは比べ物にならないほどの痛みに耐えかね、絞り出したような声が出てくる。
駄目、まだ、まだ思い出したくない――っ。
「えと、あと、アリス?」
心の中で叫んだつもりだったはずだが、思わず声に出ていたようだ。混乱した様子のエシルがアリスの額の汗をぬぐった。
「やだ、やだよぅ姉さん。私はまだここに居たいの。思い出したくない、思い出したくない! 助け、助けてエシ、」
「アリスっ!」
ぴたり。
手をふらふらと揺らしていたアリスの手首をつかみ、今度は前からきつく抱きしめた。自分の何もかもが相手に伝わる様に。相手の痛みが自分に少しでも移る様に。
ふる、と小さく震えてから腕の中のアリスは息を整える。過呼吸の一歩手前だったようだ。
「アリス、ここに居るよ。俺はここ。だから落ち着いて?」
「エシル、」
「俺ね、ずっと『アリス』が好きだった。遊びの対象、って言う理由だったけど、どうせ俺は捨てられるんだなって思ったらなんでもよくなった。アビとかアットとかが彼女たちを殺した時もあったけど、すごく腹が立った。『アリス』は俺のモノだって、所有物なんだって、そう思ってた。……でも、違うって思ったんだ。侯爵夫人に会って、一緒に少ない時間を過ごして。言葉じゃうまく表現できないけど、俺にはみんながいるんだって。だから彼女たちにこだわらなくてもいいんじゃないかって。……でもね、アリス。これだけは言わせて。アビはまだとらわれている。そして俺はもう吹っ切れた」
はあ、とため息をつくエシル。その脳裏に浮かぶのは一人の友人の姿。
……お前も、いつかはここにたどり着くといいんだけどなぁ。まあ、アリスに負担掛けるならむしろ言わなくてオッケーだけど。
「……アリス。死なないでね」
「…………は?」
きょとんと二つの瞳を丸くして聞き返す。そんな彼女に小さく笑いかけてから、
「アリス、好きだけど……嫌いだよ――」
好きだから、言わない。
今回のサブタイトル、かっこよくないですか!?←
すみませんふざけました




