14 鬼ごっこでもやりましょうか
キラキラと、光を反射して銀色の髪が光った。いつも被っている灰色のフードがふわりと揺れ、端正な彼の顔が垣間見える。手に持った拳銃は普段見たことのない黒色で、鈍く輝いている。
ゆっくりと顔をあげると、長めの前髪に半分隠された真っ赤な瞳と視線が絡む。まるで全身の力を吸い取られた様に動けないでいると、彼の手の黒い銃口がこちらを睨んだ。
何もできない私に短く舌打ちをして、アットが腕を引っ張る。その瞬間、発砲音と文字通り目と鼻の先に黒い線が通り、アットの頬を少し削り壁に落ち着いた。
「…………アット、」
あまりに突然の出来度とに目を丸くして暫く間抜け面をキープしていると、頬から流れ足した少量の血を拭ったアットが振り向いた。珍しく焦りの表情をさらけ出している顔の横にある、彼の手にはめられた白い手袋には、黒く淀んだ血が線を引いている。
「……アリス、オアを呼んで来い」
「わ、分かった!」
壁に寄り掛かっていた手を離し、弾かれる様に部屋のドアに向かう。その足に向かって二発、銃弾が突っ込んできた。あ、足元見ててよかったぁ……!
反射で悲鳴をあげながらジャンプしてセーフだったものの、気が付かなかったらと思うと冷や汗が流れる。それにしても……このままじゃ私、部屋から出れないんじゃない? アビの狙いは明らかに私よね……。
相変わらず私を睨みつけている拳銃を目を細めて見ながら、声をかけてみる。
「アビ、ねぇどうしたの? 何だか今迄の貴方と全く違うじゃない」
「…………」
「ちょ、何か答えてよ」
まったく表情を変えないアビの顔をついに睨みつける。思わず嫌悪の感情を乗せてしまったその視線に、顔を顰めた……気がする。
「兎に角、アビが変わったのは昨日のウェーン様の一言でしょう? それにしても……貴方、本当に『白ウサギ』なのね。そして私は『アリス』。…………いいわ。それじゃあ鬼ごっこをしましょう。楽しい鬼ごっこをね。…………殺されてたまるもんですか!!」
後半の大声に、明らかに動揺した。ぴくりと眉が動いたわよね。見逃してなんかいないのよ。
「バーカバーカ、アビのバーカ! 仕事馬鹿、女王様馬鹿、キス下手!」
心の底から叫び、前かがみになって逃げる。とりあえず拳銃はアット達に任せるとしよう。こればかりは気合でどうにかなる問題じゃない。
ふわりと揺れるスカートに気もくれず、転がる様に部屋を出る。アットとアルクの妨害も入ってか、幸いにも今は体のどこにも穴が開いていない。部屋出る前に転んでタイツ破けたけど、そんなもの損傷の中には入らない。
「……何なのよっ、この状況ーっ!」
叫びながら廊下を全力疾走。一回に降りるための怪談が妙に遠い。かつん、かつんと言う自分の靴音を酸素不足になりつつある頭でボーっと反響させながら、左右に流れる景色を視界に入れずに走る。ああ、この後どこに行こう……。
ようやくたどり着いた階段の手すりに少し寄り掛かり考える。部屋では大惨事が起きているんだろうな……。使用人さんたち大丈夫なのかな……。オアは何処にいるんだろう……。
寝不足の瞼が重い。これはきっと睫毛が急激に生え始めたせいだと思い直して、手すりから手を離し一歩足を踏み出す。それでも体は欲に従順なようで。力なくその場に、倒れるようにしてしゃがみ込む。眠気に気が付かない位必死だったのかよ、と薄くなる意識の中一人ツッコミしてみる。
……駄目だ、眠い……。
テスト前です
という訳でいっぱいストックを作ろうとか思ったものの今の所これしかかけていない不思議←
最早一日一回更新じゃない((殴
しかもペンタブ使ってるし←
すみませんすみません
次回作は異世界トリップ(短編の連載バージョン)か同じアリスモチーフで残酷描写目立つものか考えてます
どっちもプロットと登場人物、そしてキャラデザしてあると言う準備万端な状態ww
「生徒会の敵になりました」は……凍結する予定です
私の身勝手ですみません><
という訳で、ストックができたらまたテスト期間中にお会いしましょう!
ちなみにテストは12日までです!




