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Do you love Alice?   作者: _(:D ゆあ 」∠)_
Ⅶ――Alice おもいだす
46/67

4 誘拐癖ってそう簡単に治らないようです


 喉から搾り出したようなかすれた声に、アルクの独り言が途切れた。ようやく事情を察したのか、さっきまでぴくぴくと楽しげに動いていた耳がたらりと下がる。


「……死んでもらうね」

「いや、ちょっまて、話そう、話して円満に解決しよう、な?」

「君のすっかすかな頭で何、解決できるとか思ってるの? 馬っ鹿じゃないの?」

「オレは馬鹿じゃねぇぇぇぇ! 勝手に思い込むんじゃねぇ!」

「うわあ、馬鹿でナルシストって何、本格的にキレるよ?」

「二つとも違うって! 馬鹿じゃねえしナルシストなんて寧ろお前のほうじゃなぇかよっ! やーいやーい、ナルシスト猫ー」

「…………死ね」


 殺気を帯びた瞳でぎら、とアルクを睨んでから、ナイフを持ったまま飛翔する。ナイフの先は確実にアルクの喉を狙っており、太陽の光を反射してきらちと宝石のように白く光る。

 ぶん、と思い切り振り下ろされたナイフから間一髪で逃げ出し、アルクは私の後ろに避難してきた。……って、嘘ぉッ!? このままじゃ私にまで被害が及ぶじゃないのっ!


(わり)ぃ、アリス……今のあいつじゃ反撃しようにも出来ないから……」


 ふわふわの可愛らしい耳をしゅん、と萎め謝ってくる彼に、私はノックアウトされた。何よこの可愛い生物っ! お、怒れない……。

 こくこくと頷くと、私達にふっと影が被さった。


「アリス……死んじゃうよ? 危ないから退いてね?」


 黒い笑みを顔に浮かべたエシル。今にでも振り下ろそうと構えているナイフが妙に目に付く。

 流石に殺されると思った私は、冷や汗を垂らしながら腕を前に突き出し、説得を試みる。


「お、落ち着いてエシル! その、そこまで怒ることないんじゃないのかしら? そう、そうよ逆に私は言ってくれて嬉しかったわ」

「アリスと俺の感性は違っているみたいだね」

「ちょっと待って何その解釈! 勝手に解決させられちゃったわよ私の反論!」


 ちょっとアリス黙っててよ、と溜息をつきながら振り下ろされるナイフを、涙で滲む視界で何とか確認できたとき、がつ、と言う大きな音が部屋に響いた。


「……アリスを殺すのは、僕の仕事ですよ」


 はあ、と溜息を吐きながら、エシルの背中を銃身で殴りつけた格好のアビが呟く。気のせいだろうか、陶器のような白い頬にはうっすらと赤みが差していて、額には控えめに汗が浮かんでいる。灰色のフードから、右側だけ白いウサ耳がたらりと垂れている。仕事でもしていたのだろうか、鼻筋にちょこんと銀縁の眼鏡が乗っかっている。

 アビ? と背後のアルクが呟いたとき、エシルの体がずるり、と崩れ落ちた。私の胸に乗っかってくる彼の頭。……正直言って、重い。


「って言うか、まさかこいつ、し、死ん……」

「平気ですよ。気絶しているだけです」


 彼の腕をつかみ、ぐいっと持ち上げたアビは、そのままエシルをベッドの上に乱暴に乗せる……いや、投げる。


「……挨拶が遅れました。こんにちは、お久しぶりですアリス」


 眼鏡をはずし、ポケットに入れたアビが笑顔で声をかける。「え、ええ……」と私が曖昧に返事をしたのを確認してから、今度はアットのほうを振り向き、小さく会釈をした。


「お久しぶりですね、帽子屋――いや、アット」

「そうだな」

「元気にしていましたか?」

「ああ。おかげさまでな」


 二人の短い会話をぼんやりと聞いていると、私の腰に手が回され、そのまま強い力で引っ張りあげられる。いきなりの出来事で「きゃっ?」と悲鳴を上げると、背後で「わわ、ごめん」と言う、申し訳なさそうな声が聞こえた。

 そのまま優しく立ち上がると、「怪我はないか?」と訊かれる。


「大丈夫よ、アルク。ありがとう」


 どうやら私を立ち上がらせてくれたらしい。得意そうな顔でへへ、と笑うアルク。


「……さて、こうして久しぶりにアットと会えたのはいいですが、残念ながら僕にはやることがあるんですよね」


 やんわりと、アットに差し出された茶葉を手で断ってから、アビは私のほうを見る。


「……え?」

「……めんどくさいですが、来てもらいます」

「ちょっ、待って、ディーとダムは?」

「あの二人は危機を察して一足先に城に戻りました。奴らから事情を聞いてここにきましたから」


 成るほど、だから来たのか……って、きゃぁっ!?

 納得がいった様に頷いていると、突然ふわりと体が持ち上がった。背中とひざの後ろに腕が当たっている。……成るほど、アビもようやくお姫様抱っこを習得したのか。うんうん、成長したねぇ……じゃなくて!


「ちょっ、どこに連れて行くんだ馬鹿ぁっ! え、嘘でしょ待って、ここ四階飛び降りようとしないで死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ止めろぉっー!」


 叫んでも無駄。軽やかに窓から飛び降りたアビに、私は思いつく限りの悪口を彼に投げつけた。


「いい加減誘拐癖を治せ、今夜のご飯ウサギ鍋にしてやるぞぉっ!」



明日アマ○ンでペンタブを注文、

14日は友達と東京、

15、16日は群馬に旅行です!


ひぁー、楽しみだけど更新できなさそうです……

っていうかpcはいつ帰ってくるんでしょうか……

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