6 Excuse Me?
携帯投稿の為短いです
いつか改稿するかも……
「理不尽」
胸に当てられた人差し指を叩き、呟く。エシルに八つ当たりしても意味はないと分かっているのに、睨んでしまう。
「……だよね」
苦笑して、肩を竦める。
「俺だって思うもん。幸せになれないのはこのせいだ、って」
いつもの笑みを浮かべて、腰に手を回してきた。そっと、割れ物に触れるような手。
「……だから、アリスだけは囚われないで。アリスはアリスなんだよ」
「エシルだって」
彼はエシル。『チェシャ猫』である前にエシルなんだ。
「その言葉、アビに聴かせたいよ」
「……え…………?」
思わず彼の顔を見たとき、こつんと靴の音がした。ば、とエシルを剥がす。不満そうな声がしたのは気のせいだ。
「って、アビ?」
「……なんでまた会うんですかね……。まさか、ストーキングしているんですか?」
明らかに嫌そうな顔。眉間には深い皺が刻まれている。
反論しようとした時、アビがじっとどこかを睨んでいるのに気がついた。視線を辿ると、エシルに行き着いた。
「……まあ、貴方とじっくり話すのは久しぶりなので、殴っておきましょう」
真顔で拳を振り上げたアビ。多分本気だ。そのまま勢いをつけてエシル目掛けて落とす。
「っちょ、何々まさか本気!?」
はい勿論と頷く。
「酷いよアビぃ」
言葉とは裏腹に、余裕そうな表情で避ける。すか、と宙を裂いた拳は、勢いを止めずに再びエシルの鳩尾へ。それも余裕で避けたエシルは、舌打ちをしたアビの手首をつかみ、ぐりっと捻る。
「痛……っ」
顔をしかめて動きを止めたアビ。それを満足そうに眺めて、手を離した。
「はあ、無駄に因縁つけないでほしいなぁ……」
「つけていません。ただ目障りなだけです」
捻られた手首をさすりながら睨む。よっぽど痛かったのか、目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「全く、酷いなぁ……」
ニヤニヤとシニカルに笑う。その様子をじとっと見て、「貴方は、自分の命日を今日にしたいみたいですね」と言って拳銃を取り出す。
「死んでください」
「ごめん、無理」
自分もナイフを取り出して、構える。……この二人、安全な解決法は思い浮かばないのか。話し合いとか。
最初は苦笑いをしていたものの、本気で殺し合っているようなので、止めておこう。
「……はい、ストップ!」
間に割り込み、怒鳴る。「当てますよ」「どいて、アリス」と言う声に挟まれたけど、無視。
「……何があったのか知らないけど、兎に角和解しなさい」
「無理です」
「……だって」
即答したアビに、不満そうなエシル。どうやらその気はないみたいだ。
「じゃあ教えて。二人の間に何があったのか」




