4 白ウサギ
ぱあん。
耳元で大きな破裂音がして、私は思わず耳を塞いだ。アビの拳銃には消音機能がないみたいだ。隣を見ると、青い顔をしてアビを見ているイグの姿。……この人、本当に騎士なのかな……?
「っわっと!」
悲鳴のような声が聞こえてエシルのほうを見る。間一髪のところで避けたらしく、背後の壁に黒い鉛玉がめり込んでいた。誰一人掠らなかった……。奇跡だ……。
しかし、隣で「ああ、何で避けてしまったんでしょうか……」と残念がっているアビに、エシルの持っていた拳銃が向けられた。怒っているのか、耳はぴくぴくと動いていて、いつも通りシニカルに曲げられている口の端が少し痙攣している。それでも焦点はきっちりこちらに向けられていた。
「……何で貴方がいるのかなぁ……」
「それはこちらの台詞ですよ」
対抗するように、かちゃりと音を立てて手の中の回転式拳銃を握りなおしたアビは、眉を顰めてエシルを睨みつけた。後ろの子供達はびくりと肩を竦めたが、エシルはそんなのお構いなしのように冷静だ。
「…………はあ、残念だねアリス、折角のデートなのに」
ため息混じりに呟いたその言葉を、彼の無駄に長い真っ白な耳は拾ったらしい。「……デート……?」とこちらを向く。おい、フードに隠れて聞き取りにくいはずだぞ。どんだけ聴覚鋭いんだよ。
兎に角、妙な誤解をされそうなので勢いよく首を振り、誘拐されたと説明する。上から不満そうな声が聞こえたけど、無視だ無視。
「成るほど、誘拐されたんですか。……殺す」
何故か嫉妬の色を瞳に湛えたアビは、ぱん、ぱんと有り得ない速さで二発連射。あれ、連射って出来るのかこの銃。
その二本の線を笑って余裕そうにかわしたエシルは、大声で叫んだ。
「嫉妬ですか、『白ウサギ』さんっ!」
「煩いですよ、『チェシャ猫』っ!」
もう一回引き金を引くも、エシルに掠りもしない。珍しく取り乱しているようだ。
「……ねえイグ。何かアビ焦ってない?」
「……いつもの事ですよ」
にやりと意味深に笑ったイグは、目の前で飛び交う銃弾を見て苦笑をして、まだ持っていた荷物を降ろす。それから腰についた長剣を確認して、近くの建物に手を着く。
「な、何してるの……?」
壁をよじ登ろうとしているイグに恐る恐る訊いてみる。気が狂ってしまったのか、それともアビとエシルに頭が犯されたか。それにしても登り方が結構下手だ。一個目の屋根に登る前に、アビの拳銃の弾が切れたぞ。
「がんばっているところ悪いんだけどさ……、何、してるの?」
「ぼ、僕は獣耳を持っているキャラクターじゃないんですよ! 壁がよじ登れなくて当然じゃないですか! 何なら帽子屋さんも呼んできましょうか? デーダムだって登れませんよ」
つまり、彼は壁を登っているようだ。
「何の為に?」
「猫さんの背後にいる男の子達が危ないと思ったからです。嗚呼そうだ、アリスは白ウサギさんと猫さんを止めてください。きっと貴女以外の人では止められません」
くい、と顎で二人の方向を指したイグは、そのまま壁を登っていく。え、この二人を止めるとか絶対無理。
それでも流れ弾が通行人に当たらないという確立は低い。私自身も危険だけど、何とか止めないと。とりあえずアビの裾でも引っ張ろう。
そうと決まれば決行。出来るだけ姿勢を低くしてアビの元へ。弾が髪に掠ったけど気のせいだと思っておこう。うん、知らないふりが一番。
ようやく目の前に彼のフードが現れた。灰色のフードからは硝煙の匂いがこびり付いている。思わず手が止まったけど、何とか裾を引っ張る。うっとおしそうに振り払われたので、もう一回。今度は彼の名前を呼ぶ。
「……アビっ!」
ぱんっ。
大きく、一回引き金を引いて、アビは信じられない目でこちらを向いてきた。大きく見開かれた瞳は動揺が渦巻いている。
「……あ、りす……」
はい、pcがぶっ壊れた星野です
直るまで二週間はかかるらしいです。あはは終わった
じゃあ今回は何で書いているんだというと、pcです
家にあった古いpcを使っています
……正直に言います、使いにくいですこのpc
三点リーダ(…)は二回変換を押さなくちゃ出てこないんですよ!?
というわけで更新はまばらになると思います←
さてさて、話は変わって
今 日 か ら 夏 休 み で す !
さまーばけーしょん!!
pcをやりまくります、はい←
いい事といやなことが見事に重なった今週……
もう何も起こらないように;;
そうだなぁ、ピンクの変態猫に会わないように←
皆さんも変質者には気をつけてくださいねー




