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Do you love Alice?   作者: _(:D ゆあ 」∠)_
Ⅴ――Cheshire Cat 好き、時々紅
30/67

6 Cat bad red

流血シーンあり><

苦手な方はバックですー!




それでもいいと言う心の広い方のみ、観覧ください↓



 おどおど伸ばした俺の手の先をがしりと強く掴み、口をパクパクと動かす。ナイフの刺さった胸が上下し、その度にどくどくと血が流れる。


「たすけ、……て、ぁ…………、ぃたい……」


 カラカラな声で俺に助けを求める。とにかく止血をしなければ。

 急いで上着を脱いだ俺は、それを胸に優しく当てる。じゅわりと白い布に紅が広がった。


「待っててアリス、今助けを……」


 ドアの方に駆けより、固く冷たいドアノブを掴んだ。背後では、虫の息のアリスが小さな呼吸の音を鳴らす。まだ生きているが、すぐに手当てをしなければ間に合わないだろう。

 だけど――、誰を呼ぶ? この国は裁判はあるが、警察と言う、罪人を捕まえる仕事のキャラクターはいない。しかも、怪我の手当ては殆ど自分たちで行うため、病院や医者と言うものは少ない。俺もこのまま自分で彼女の手当てをすることが一番だが……、アビの方が安心だ。手先が器用だし、しょっちゅう女王様やイグ達の怪我の手当てをしていると訊いた。

 そうと決まれば早く行動だ。アリスの方を振り向き、声をかける。


「アリス、アビを呼んで来るからちょっと待ってて。少しの間だから。ほんの一、二分だから……」


 本気でダッシュをすればそれしかかからないはずだ。窓からお城が見えたし、足には自信がある。

 後はアリスの生命力だ。幸いナイフは深く刺さっていないし、肺にも突入していない。残る危険は出血の多さ。こうしている間にもどくどくと真っ赤な血が出続けている。


「行ってくるね」

「待って……」


 くるりと素早く踵を返した俺を、弱弱しい声が呼び止める。ドアノブをつかんだ手を反射的に離し、彼女の方を見る。


「どうしたの?」

「『白ウサギ』さんは……、呼ばないで………………。……私の立場が、……なくなっちゃう……かほっ!」


 端にタラりと血を流したその口で、あくまでも自分の位置を守ろうとしている。急き込んで、ルージュの引かれた口から吐き出す紅を見て悦を感じる俺がいる。


 ――いっそのこと、止めを刺しちゃおうぜ。


 そんな事、許されるはずはない。


 ――大丈夫だよ、お前は『チェシャ猫』だぜ? 気まぐれで自由で残酷な青年じゃないか。アリスを導き、時に惑わし、そして殺す。『ハートの女王』様だって言っていたじゃないか。


 駄目だ。駄目だそんな事許されるわけがない。


 ――何をそんなに拒んでいる? いいじゃないか、ずっと、ずぅーっと殺したかったんだろう?


「……早く、…………ぁび以外の……、人を………………」


 気が付くと、腕が震えていた。がちがちと歯が鳴り、目線が床の血溜りから逸らせない。頭には直接、優しく惑わすような俺の声が響いている。駄目だ。声に惑わされたら駄目だ。その甘いハスキーボイスは、何かを壊してしまうから。


「……ねこ、……さん……!」

「――〝黙れよ″」


 腕が伸びた。掌の方が重いと思ったら、そこに腰についていたはずのナイフが乗っかっていた。それは一直線にアリスの腕に伸びて、ナイフが刺さっていない方の腕に付き立てる。勢いよく振り下ろしたせいか、ぷすりと肉に刺さる感覚の後に、ごりっと骨を通過する音がした。


「いやああああああぁぁぁっ!」


 再び叫んだ彼女は、鼓膜を震わせ、さらには破れさせる勢いで長い時間絞り出す。ひい、ひいと掠れる息で、何かを言う。聞き取れたのは「助けて」の四文字だけ。


「……何で……」


 抵抗する彼女を手で制し、何の感情もなくナイフを抜く俺を客観的に見ながら、言葉を紡いだ。断末魔の様な悲鳴を上げる彼女にその一言は聞こえない。ぱっくりと開いた口に返り血が入り込み、口の中を不快な味で埋め尽くす。


「消えろ、消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!」


 これは一体、誰の言葉だろうか。

 何度も何度もナイフを振り下ろす自分の腕を呆然と見ながら、訊いてみる。残念ながら例の『チェシャ猫』は笑い声しか発さなくなってしまい、会話ができない状態だ。


「……何で……何で何で何で何で何で何で何で何で何で……! 答えろよ、『チェシャ猫』!」


 一向に答えが返ってこない。と言う事は……、

 答えのない質問を自分がしているのか。『チェシャ猫』が本当に答えが分からないのか。それとも――、

 この行動は実は俺が望んだことで、『チェシャ猫』のモノではない、のか。

 すでに目の前の『アリス』は俺の知っている姿にとどまっていてはくれない。一層彼女のエプロンドレスの色の赤が目立つ。

 ぽた、とナイフから滴り落ちたものではない水の音が窓の外からして、思わずそちらに目をやった。どうやら雨が降り出しているらしい。

 雨は嫌いだ。猫は水が嫌いだから。


「……不味い」


 頬に付いた血を舐めると、すでに広がった鉄の味。


「…………何でこんなに不味いのさ、……アリス……」


 その問いかけは、からん、とナイフが手から滑り落ちた音にかき消された。




いやぁぁーっ!

兎に角叫んどきます、星野です←

遂にアリスさん死んじゃった……

しかも怖い。描写しすぎ←

今度ホラーでも書いてみようとひそかにたくらみ中(おい


そして、アリスさんが何処で死んだかあえて具体的に示していませんが、これはエシルがもう冷静じゃなかったと言う事ですので、ご了承ください><


猫さんお水嫌いなんですよね……?

そうでしたよね……?


そして、ユニーク1000超えました!

ありがとうございます><


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