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Do you love Alice?   作者: _(:D ゆあ 」∠)_
Ⅴ――Cheshire Cat 好き、時々紅
25/67

1 曖昧、あいまい、I my

昨日更新できなくてごめんなさい……;;

そして今回、ふざけているのかと言われてもいいほど短いです;;

ああ、ワードでは一ページ超えたのにぃぃ……!


「チェシャ猫さん」


 ハートの城の門の前。双子たちとイグをからかって遊んでいると、近くの茂みからきらりと金髪が光った。

 続いて、赤を基調とされたエプロンドレスの端が視界に入り、俺の体温はすう、と爪先から逃げて行った。

 本能で上がる手を無理やり押さえつけ、すう、と口で呼吸をした。


「あ、アリスだね、ディー」

「僕達と遊びに来たのかな、ダム」

「そうだといいね、ディー」

「遊びたいもんね、ダム」


 わくわくと瞳を輝かせる双子に、見えない尻尾をふるふると振って歓迎するイグ。その様子を見て、『チェシャ猫』は無理やり笑う。


「こんにちは、アリス」


 目を糸のように細く、口を三日月型に歪ませろ。笑え、笑え笑え笑え笑え嗤え。

 俺は、『チェシャ猫』だから。

 

「“何しに来たの?”」


 ――今すぐ帰ってくれ。

 表面の仮面が、台詞を紡ぐ。本心でもない言葉が口から出てきたのに、驚きもしない自分が滑稽で仕方がない。


「うーん、なんとなくチェシャ猫さんに会いたいな、と思って」

「“わあ、嬉しいなー”」


 ――アビはどうしたんだよ。

 ……ねえ、俺は上手く『チェシャ猫』に成り切れてる? アリス、ほら楽しそうに笑ってよ。裏の俺なんて気にしないで、何も気が付いていないような表情を浮かべて、ほら。


「ねえ、これから街に遊びに行かない?」

「えー、俺達とも遊ぼうよ」

「それに、もうすぐ日が暮れちゃうよ?」

「……仕方ないですよディーダム。今日は諦めましょうか」

「じゃあ行きましょう? チェシャ猫さん」


 ――黙れ。


「……“うん”」


 嗚呼、俺が消えていく。この女といると『チェシャ猫』の青年しかいなくなる。俺はエシル。――じゃあ『チェシャ猫』は?

 彼も、俺。……否、彼が、――俺。

 心の中のエシルの叫びは、『チェシャ猫』には届かない。いつから俺は『チェシャ猫』で、いつからエシルではなくなったのだろう。


「……チェシャ猫さん?」


 心配そうにアリスが顔を覗きこんできた。ぱちぱちと長い、金色のまつげを揺らして心配そうに瞬き。

 アビはどうしたんだよ、何て言える関係じゃない。アビとは少しだけ喋るだけで、『白ウサギ』と特別仲がいいなんて言うルールは聞いたことはない。

 だから――、だからこう言ってしまったのだろうか。


「……じゃあ、早く行こうか」


 タイムマシンがあるとしたら、戻りたいのはこの時。彼女の手を引いて、優雅にエスコートして、街に爪先を向けたその時。

 初めて後悔と言う感情が植えついた、この時――。







 ――死んでも戻りたい、何て言ったら、君は嗤うだろうか。銀色の髪を小さく揺らして、何処かほっとするような毒舌を吐きながら。


 ……そんな事、切り出せる関係だったら良かったのに。


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