8 What collar do you like?
ピンク足す紫イコール変態という数式が成り立っている私としては、行きたくない。非常に窓を開ける気が失せた。
思わず立ち止まり、顎に手を当てて考える。
でも待てよ? まだアイツだって決まったわけじゃない。もしかしたら、今日ののどかな気温のせいで頭がパラダイス状態になったこの国の住人や、紅茶一色に染まったアットがピンクと紫色の服を着ていたのかもしれないし。それに、もし正体が例の欲情変態猫だとしても、彼は基本何でもそつなくこなすと聞いたことがある。だから、半径一メートル以内に入れさせなければ意外と役に立つんじゃない?
「……一か八かだよね……」
窓を開けるという選択の方に揺れる天秤。急かすようにがたがたとより一層揺れる窓。
「……えーい!」
葛藤の結果、開けてしまおうと言う決断に至った私は、視線を微妙に逸らしながら鍵を開ける。かちゃり、という軽快な音がして鍵が開き、すぐにガラりと開いた。
「アーリースっ!」
ふわりと香るほのかな薔薇の香りに、時折紫色の交じったピンク色の髪。とにかくそれだけ認識した私は、思い切り抱き着いてきたその人物を「べりっ」と剥がし、その顔の中央に向かって拳を突き上げた。
「離れろピンク紫メッシュ髪白スーツロン毛チャラ男欲情変態発情期中猫ッ!」
息も吸わずに言い放つ。達成感のせいがスピードはやや落ちたものの、瞬きをする暇もなく向かってきたグーパンに、エシルは避けることしかできなかったようだ。
ふ、避けることなど分かり切っているのだよ。
私の攻撃を避けるのに必死だったエシルのがら空きのお腹に向かい、回し蹴りをする。……そういえば、初めて会った時もこれやったかも。
「アリス、暴力反対だよ!」
渾身の一撃を腕で受け止め、顔をしかめながらエシルが叫ぶ。随分と切羽詰まっているみたいだけど、私、そんな強いのかな?
もしそうだったら女の子の欠片もないなぁ、と思いながら足を下ろした私の手首をつかみ、エシルがぐいっと捻る。
「痛い痛い痛い、何すんのぼけぇーっ!」
「いやあ、アリスが攻撃してきたんだよ? それに、自分強いとか思わないようにね。猪突猛進して木端微塵に砕けるタイプでしょ、貴方」
よ、四字熟語がいっぱい……?
首を傾げると、ぱ、と手を離してくれた。強く捻られたと思ったのに痣一つついていないのが憎たらしい。
ずきずきとまだ鈍く痺れる手首をさすりながら、涙目で「で、何しに来たのよ」と睨む。
「えっとねー。アットをからかいに来たんだけど、アリスがキッチンで何か重そうなものを廊下に運び出してたのが窓から見えたから、手伝いに来た」
きっとオア君を運んだ時に見られていたんだろう。……まあ、重くはなかったんだけどね……。ああ、悲しくなってきた。
へー、と笑いながら爪先を見た私の様子を「なんだか悲しそうな顔してるけど、大丈夫?」と訊いてくる。
「大丈夫大丈夫。……で、今スコーン作ってるんだけど、手伝ってくれる?」
「…………スコーン?」
あえて明るく言った私の言葉を、エシルがオウム返しする。声は普段よりも一オクターブ低く、ふざけた様なへらへら笑いも含まれていない。
「エシル?」
気分が悪そうに口元に手を当て、病人のように顔色の悪い彼の顔を覗くと、眉は顰めてはいるものの、珍しく恐怖にひきつっていた。
そこまでスコーンが嫌いなのかと思ったものの、昨日のお茶会では普通に食べていた。いや、寧ろ好んで食べていた。と言う事は、名前を聞くの嫌いな食べ物という訳ではないだろう。
口元の手をすっと外したエシルは、私が駆け寄るとにこりと弱弱しく笑った。それから唇を強く噛む。ほんの数秒もしないうちに血が滲んでいた。
「……ゴメン、お手洗い借りる」
短くそれだけいい、ふらふらとキッチンを出て行った。彼の通った後を、数拍おいて白い薄力粉が舞い上がった。
「……エシル……?」
ふわふわとゆっくり落ちていく粉をぼんやりと眺めながら、自然に彼の名前が口の間を割って、出て行った。
はい、今日部活がミーティングだけでテンションMaxの星野です(≧∇≦)ノ
普段は使わない顔文字を使っています。
自分でも不思議ww
いやぁー、エシル君「スコーン」は大丈夫だけど「アリス+スコーン作り」はNGなようですね←
スコーンが嫌いとはけしからん(´・д・`)バーカ
そして「え? 主人公って誰だっけ?」状態の私←
分かる人は教えてくだs((
さて、明日も学校だ……(-д-;)
中学生なんだから土曜ぐらい休みにさせろー><




