表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Do you love Alice?   作者: _(:D ゆあ 」∠)_
Ⅲ――Alice Fromm敵地にて
15/67

4 きみの一部を

 街に遊びに行く……?

 しかもこいつ(変態)と一緒に……? しかもしかも二人きりで……?

 暫く首を傾げていると、「それはオッケーと言う意味で取るからね」と一方的に切り上げられる。

 ちょっと待って! 私行くなんて言ってないわよ!

 反論しようと口を開けた途端に、元気に手を振ってから、猫のように忽然と姿を消した。


「……何アイツ……」


 さっきまでエシルがいた場所を睨みつけてから、くるりとイグの方を向く。途中ディーダムの姿が目に入ったけど、あの二人は斧を振り回して遊んでいる。


「じゃあ本人たちもいなくなったことだし、あの二人の事を教えてくれないかしら」


 銃弾を弾いたために剣にできた傷を確かめていたイグは、私の言葉に肩を揺らした。よほどアビの事が怖いのか……。


「さっきまで言いたげだったのに何よその反応。いいわよもう吐いちゃいなさい。吐いたら楽になる」

「何で僕はこんなに攻められているんでしょうかね……」


 涙目になったイグを一睨みして、「早く!」と急かす。慌てて剣を腰に仕舞い、敬礼をしながらイグが戸惑いながらも言葉を紡いだ。


「えっと……あの二人、昔は仲が良かったんです」


 出てきたのは意外な一言。目を丸くしながらも続きを待つ。


「……でも今は仲が悪いです」

「そのようね。見てれば……ううん、見なくても分かるわ、雰囲気で。……で? 理由は?」

「それは……」


 まだ言い渋るイグのお腹にグーでパンチを入れる。完全な不意打ちだったため、避けきれずに「うぐっ!?」と濁点だらけの悲鳴を上げる。


「……アリス、酷いです……」


 お腹を押さえて涙目で反論してくるイグ。雨に打たれている捨て犬のような瞳に罪悪感が湧いてくるも、いちいち謝っていたら話がそれる。首を振って感情を追い出し、「ほら早く。もう一回入れるわよ?」と濁声で言う。


「分かりましたよ……。それで、白ウサギさんとチェシャ猫の仲が悪い理由でしたね。それは、前回の『アリス』と今はいなくなってしまったキャラクター、『侯爵夫人』が関係しています」

「……『侯爵夫人』……?」


 聞き覚えのないキャラクター名をオウム返ししてみる。すごく優雅そうな名前。


「はい。彼女の役目はチェシャ猫の飼い主で街中の赤子をあやすことでした。料理がすごく苦手で、スープすらロクに作れない。魚とカエルの従者がいたと思います。彼らは何をしているんでしょうかね……」

「ってちょっと待って!」


 遠い目をし始めたイグの視線を手で遮る。思い出に浸ってる場合じゃないわよ。


「何でその人はいないの?」

「それは……、彼が殺したからです」


 彼。

 しっかりとした名前は出てこなかったが、私にはそれが誰の事か分かった。


「殺したんです。何度も、何度も。この世界は一人が死ぬとその代わりの人物を創り上げる。なので一人殺しただけではキャラクターが消えることはありませんが……。彼は、『侯爵夫人』と言うキャラクターが消えるまで、彼女たちを虐殺し続けたんです。何度も何度も、何十人も何百人も何千人も」


 現実味のない一言に頭が真っ白になった時、左右から声が聞こえた。


「へー。俺らそんなこと知らなかったよ。ねえディー」

「そうだね。猫ちゃんが誰かを殺し続けてることは噂では聞いていたけど。ねえダム」


 斧を振り回すのに飽きたのか、ディーダムが私たちを囲むようにして立っていた。


「それで、猫ちゃんは最後まで殺したの? 俺すごく気になるよ」

「早く続き、イグ」


 双子に急かされ苦笑いを浮かべたイグは、思い出すように顎に手を当てる。


「……確か最後の『侯爵夫人』は彼が殺したんじゃないと思いますよ。彼が殺したのは、

確か……。前回の『アリス』だと」


 彼の口から出た人物の名前に、私は驚いて声が出なかった。


「えー? 何でぇー?」

「あの二人仲が良かった方だよね」

「むしろ怪しい関係だったよね、ディー」

「夜の街二人で歩いてたの見たよね、ダム」


 私の代わりに双子がイグの服の裾を引っ張りながら訊く。


「僕もよくは分かりませんが……。彼女は結構な悪女だったと聞いています。白ウサギさんと仲良さそうにしていましたし」


 アビと……?

 まさか、前回の『アリス』を巡っての戦いとか?

 私の馬鹿な考えが伝わったのか、「三角関係と言う事ではなさそうでしたよ」と教えてくれる。


「僕も知っているのはここまでです。それと……、あまり関わらない方がいいですよ。何度も言うように、親近感が愛情に変わることだってあるんですから」


 忠告をするように人差し指を立ってイグが言う。

 分かってるけど……。

 私は、何故かあの二人の事が心配だった。




 ――その理由は、今の私にはまだ知らないこと。




テスト前の為これから29日まで更新できません><

お詫びのため今日は二回更新です←


どうか見捨てないでください……


ps、お気に入り小説登録ありがとうございます

感想で報告していただくとなおうれしいです^^

そして評価、評価をお願いしまs((


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ