表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Do you love Alice?   作者: _(:D ゆあ 」∠)_
××――White Rabbit,Cheshire Cat 彼女を惑わす世界へ誘う
1/67

  ねえアリス?

 

うっそうとした木々の間。灰色のフードを頭から深くかぶった青年が、近くの木に『wonderland』と書かれた矢印の看板を掛けていく。


「また、新しい『アリス』が来るの?」


 13個目の看板を掛けた時、ピンク色の猫耳をつけた、白スーツの忌々しい猫が声をかけてきた。誰の飼い猫でもなくなった、シニカルな笑みを浮かべる猫が。


「…………」

「えー? 何々無視? ちょっとそれは酷いんじゃなーい?」


 僕が無視をしていると、彼がフードを引っ張ってきた。その反動で、さらりと僕の白いうさ耳が垂れる。

 紅い目を細めて睨むと、彼は苦笑いをして僕に近づく。ピンク色のふわふわの耳が楽しそうにピコピコ揺れている。いくら僕が彼を嫌っても嫌っても、彼は何故――、僕に近づいてくる。


「……近づかないでください、チェシャ猫」

「えー。それは無理ー。君がまだ前回の『ゲーム』から抜け出していないみたいだからさー。手伝ってあげようと思って」


 水色の看板を手に取った彼に、僕は拳銃を向ける。

 そのせいで看板がバラバラと落ちてしまった。かきん、と音がして一部が欠ける。


「…………エシル」

「お、やっと俺の名前呼んでくれたね。でもその拳銃は感動しないなぁ。君、俺と銃で勝ったことなんてないじゃないか」

「何も持っていないくせに何を言っているんですか」

「うーん……どうしようかねェ……」


 肩をすくめて、彼が胸ポケットから猫缶を取り出した。この場にそぐ合わないものの登場に、手に力を込める。


「それで何をしようと言うんですか」

「うーん、何だろうね。生憎俺は今、拳銃もナイフも剣も持っていない。武器といったらこの猫缶ぐらいだしー……それに、もう彼女が来るころなんじゃない?」


 ざわざわと、木が凪いでいる。歓迎をしているのか、悲しんでいるのか。僕には見当はつかない。それでも……僕の心が凪いでいる理由はなんとなくだが分かった。


「俺は最初から彼女と会うのはルール違反だから、行くよ。じゃあね、アビ。また」


 僕の名前を言いながら、彼は足音を立てずに去って行く。

 彼女を殺したであろう右手をひらひらと振りながら。


「……アリス…………」


 心の中で僕に笑顔を向けている少女の名前をぽつりと呟き、血が出るまで唇を噛んだ。








 ――ねえ『アリス』。今回の貴女はどんな人なのかな。

 きっとまた、いつもみたいに不思議そうな顔で俺を見つめてくるんだろうね。

 そして問う。「どうやったら帰れるの?」って。

 その時は、逆に問いかけるんだ、俺が。「君の帰る所は何処?」って。


 ……貴女の帰る所はたくさんあるけど、俺の帰る所はないんだよ。

 俺は、ただの飼い猫(・・・)。だから、「貴方のそばが帰る場所よ」なんて――、


「きっと貴女を、殺しちゃうから」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ