告白
帰りのSHRが終わると同時に私はダッシュで生徒会室に向かった。
私が急いでいる様子を見て廊下ですれ違う人々が、わざわざ自分のために道をあけてくれるのでありがたかった。
走っている最中に、心臓が尋常じゃないぐらい速く動いていた。
速く走ったせいじゃないということはよくわかっている。
でもさ、しょうがないでしょ?はやる気持ちって抑えようがないし。
生徒会室には、もう荒木がいた。いすに腰掛けて、ぼんやりと外を見ていた。
なんだかその背中が悲しげに見え痛々しくて、声がかけづらかった。
しばらくすると、荒木は私がいるのに気づき、立ち上がった。
「おう・・・来たか」
「うん」
「いそがしいのに、ごめんな」
今の荒木には朝に感じたあの冷たさが見受けられなかった。
「大丈夫だから。それでさ、本題は?」
心臓のこの高鳴りが荒木まで聞こえてしまいそうで怖い。
はやく決着をつけたい、そしてこの場から去りたい。
「お前、ちょっとは落ち着けよ。あせりすぎだぞ」
「あせってないもん」
「ちゃんと気持ちを落ち着かせて、そしたら俺の言いたいことも分かると思うんだ」
そこで私は深呼吸を数回おこなった。ちょっとは落ち着いたかも?
「さぁ、話してくださいな」
荒木はしばらく真剣な顔をして黙り込んだが、口を開いた。
「俺さ、お前のこと好きなんだと思う。・・・恋愛対象として」
「!?」
「お前が俺のこと好いていてくれてるのも分かっている」
「なんで?」
「生徒総会前の生徒会室で、会ったときにお前が狸寝入りしている俺に向かって…」
「えっ・・・寝てなかったの?」
まさか、全部知ってるのか!?私がやったこと。
「悪かったな」
「まぁ確かに私もあんたのこと、好きだし」
また心拍数が上がってきている。
なんなんだろう。こんなこと経験したこと無いからすごく変。
でも、なんか好きな人と分かり合えるっていいね。
しかし、荒木は私の一言を聞いて顔をしかめた。
そして冷たくいいのけた。
「だからといって悪いが付き合うことはできない」
と。