作戦開始
クリスマス祭まであと6日。
あと6日でもしかしたら私の望むような展開になるのかもしれない。
だから頑張ってアピールするのだ。頑張れ自分。
お、さっそく前方に荒木発見。今日はいつもより一本はやい電車に乗れたので荒木と同じ電車に乗れた。このチャンスを逃さないように、挨拶をしてみることにした。珠洲に「頑張れ」と言われて余計に頑張れる気がしてきた。
「おはよー」
なるべく、普通に自然な感じで挨拶をしてみた。
しかし荒木は私を少し見つめて視線をそらして、挨拶を返してくれない。
私はすぐに珠洲のところへ戻った。
「どうだった?」
「スルーされたんだけど・・・」
「へ?どうして」
「わからない」
どんどん荒木と私たちの距離は離れていく。
このまま、一生近づくことのないかもしれないと思うと怖い。
挨拶作戦は失敗に終わった。
そんなわけでショッキングすぎて授業も集中できずこっそりケータイをいじっていたら
いきなりメールがきて、驚いた。
「もー、びっくりするじゃん。」
とつぶやいて、差出人を確認すると
「荒木・・・!?」
震える手でメールを開く。もしかして朝のことかな?怒っていたらどうしよう?と一瞬思って目を閉じたがメールを見たい気持ちには勝てなかった。
メールの内容は単純だった。
『放課後、午後5時に生徒会室で。』
授業終了後、このメールをすぐに珠洲に見せた。
「もしかしたら、いい話かもよ」
「だったらいいけど・・・」
「絶対行ったほうがいいよ」
「分かった」
今日に限って時が過ぎていくのが遅く感じられる。
あぁ、放課後が待ち遠しい。