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幸せの後

続編です。楽しんで行ってください。

それから、数秒経っただろうか……

長いような短いような時を得て、今自分がとんでもないことをしていることに気が付いた。

彩葉から勢いよく離れて、全力で謝罪する。

「ご、ごごごめん!!!本当にゴメン!」

焦りまくっている俺に、彩葉が口を開く。

「そこで平然としてればカッコよかったよ?」

……アイツはなんとも思ってないのか。

安心した反面、寂しさも感じた。

……だが、彩葉が気にしていないなら、もうどうだっていい気がする。やられっぱなしも癪だ。 そう考えて、そう言葉を発した。

「もう……一回だ」

俺は彩葉を抱き寄せ、「……目、閉じて?」

わざと緊張させるように言った、

「え……あ」彩葉も珍しく戸惑っているようだ。

彩葉の顎に手を当て…………


……やってしまった。二回目をやってしまった。まさか、こんなことになるとはな。


しばらくして、彩葉は眠りに落ちた。

結局抱き締めていないといけないのには変わりないため、落ち着けないことこの上ない。

彩葉の寝顔を見て、微笑む。

彩葉の頬を撫で一息ついた後、

暗い部屋でスマホが光る。彩葉を起こさないよう、スマホに、手を伸ばして、確認する。

「……ッチ」思わず舌打ちが出てしまった。

この状況は確かに落ち着けないが、とても心地よく、楽しい。

だが、性懲りも無く……人間ってのは無様だ。

俺は静かに立ち上がった。

「ごめんな……彩葉」そう言葉を残して、玄関まで歩を進めた。

何があるのかは後からわかる事だ。


俺はとある裏路地で壁に背を預けた。力を抜き、目を閉じる。

「……良く、来たな」そんな声が響く。

ソイツは続けて言う「いつもいつも、感謝している」そんな奴に俺は、

「前置きは良い、内容を話せ」淡々と告げた。

それにそいつはニヤッと苦笑し、

「釣れないな……まぁいいか。いつも通り、

簡単な任務だ。ただ見つけた敵を無力化すればいい」

「それが簡単なのかは置いておくが、生死は?」

「……問わない。と言えど、お前は結局殺さないんだろうがな」

俺は軽く苦笑を浮かべて、頷いた。

……わざわざここに隠れているということは、絶賛張り込み中ってとこか。

俺はその場に座り込み裏路地の汚い壁へと背をつけた。少し目を瞑って落ち着く。

……いつも通り一瞬で終わらせればいい。

そこそこ時が過ぎただろうか、

そんな時、その時が来たる。

"ドゴォォン!!!"と爆発音が辺りへ響く、

俺はゆっくりと立ち上がり、裏路地を後にする。

俺の体内時計では今は……12時半ってとこか?

車通りの少ない今に爆音をたてけたたましく、走るいくつかの自動車に目をやる。

距離はそこそこある、明らかなスピード違反で走るその車の前に俺はおもむろにパーカーのポケットに手を突っ込んで立ちはだかる。

うっすらと迷惑なハイビームライトで照らせた頃、ヤツらは俺に気づく。

「なんだ!!お前は!!轢き殺すぞ!!」

そんな怒声と共に減速一つすることなく、俺に向かうその車体を 『俺は全力で蹴り飛ばした』

クルクルと周り回り飛ばされる車体を見上げて、ある言葉を紡ぐ。

「出て来いよ?低脳が」その言葉に、

「言葉選びが下手なんじゃないか?低脳くん?」

そう、すかさず返してくる。

俺は手で顔を覆い、指の間から敵を睨む、

「1分……持ってくれよ?」

その瞬間、俺の左目は紅に染まる。

「……!?」目を見開き、ヤツらは驚く、

「……っ痛ぇ」そう小さく言葉を零し、思わず

左目を抑える。

「どうした?厨二病か?」嘲ながら俺に言うヤツに、「はっ、ただ……少し眩しいんだよ」思ったことをくちにだす。

「眩しい?馬鹿かお前は?この深夜にか」

嘲笑をやめないその男……少し、世界の広さを教えてやろう。ポケットに突っ込んでいた、右手を取り出し、ゆっくりと伸ばす。

そうして、俺はニヤリと不気味な笑みを浮かべる。勢いよく指を弾き、子気味いい音が辺りに響き、そこに火花が散る。

そして、俺の手には一本のナイフが握られていた。そう、まるで魔法のように。

「な!?」目を見開くヤツら……そんなことよりあのハイビームライト、やめて欲しいな。

決して、俺には向けられていないそのライト、それでも俺には眩しいことこの上ない、

そうして俺は一歩強く踏み込んだ。

当たり前のように人間を超越した速度。

"メシャ……!"と瞬く間に車が破壊される。

……こうなっても、月明かりが眩しいが、少しくらい我慢するとしよう。

「俺の準備は、できた……覚悟はできてるな?」

そんな言葉を吐いた後、相手の有無を聞かず、俺は先頭の男を蹴り飛ばした。

……生憎、殺すつもりはないんでな。ナイフは飾りだ。

男は目を見開き声を張り上げる。

「お前……!さては『隻眼』だな!?」

……そういえばそう称されていたな。

「それは違うな俺はただの、ヒーローだ」

……もう、余計な会話はいい。適当に返答し、俺はナイフを握りしめた。

目を閉じる、また瞼を開けばと紅く光るその左目が勝利を確信させる。

「本当にこの能力……いや、脳力は強すぎるな」

そう呟き、少し本気を出した。


……あっという間に半殺しだ。

結局、一分ももってくれやしなかった。

「そりゃ、そうか」ただ、一人そう呟き、その場を後にする。

「終わったか……じゃ、後は俺が何とかする」

そう言うさっきの男、

「そういえば……」そんなことを言って俺に一つUSBを放り投げてくる。

「俺らの組織に呑気な休みは無いからな?」

そんな注意喚起を受けて、

……幼馴染とイチャついてる暇はねぇってか。

そんなことを一人思うのだった。


俺はただ一人夜道をゆっくりと歩き、彩葉の家へと歩を進めていた。

久しぶりに自分の事でも考えておこう。

まず、俺の今起きた任務だが、これは俺がとある能力……基脳力を得ていることが理由だ。

俺はこの脳力を理由にあの組織へと参加した。

……正義のヒーローにでもなりたかったのかもな。

そして、脳力だ。

恐らく、俺の脳力は理論上を可能にしている。

まず、人間は基本的……と言うより限りなく常に近く『脳』を10%も使っていない。

俺はそれを100%『以上』引き出せる。確証は無い。だが、現段階それが一番現実的なのだ。

別に、魔法や妖術的なのがありえないと思っている訳では無い。ただ、やはり俺という人間は何事も現実的に考えてしまうのだ。まぁ、この脳の影響もあるのだろうが。それに、明らかに全神経が超人化している。

虹彩が勝手に全開し、猫のように目が光る。俺が特殊なコンタクトを、つけなければ光はしないんだが、まぁ必要だから仕方ない。付けていないと失目するしな。そして、逆に自分の好きなように変体させられる。

例えば細胞を爬虫類の鱗のように固くしたり、

紫外線を視認したり、なんでもありだ。

つくづく存在してはいけないものだと感じる。

そんなことを考えながら、帰路を進んで行く。


しばらく歩いて行く、まだ彩葉の家は遠いが

後、十分もかからず着くだろう。

そんな時、街灯の着いた電柱に座り込む人影が見えた。……こんなところで。

寄り道はしたくないが、放っては置けない。

その影に近づき、声を掛ける。

「こんな時間に何してん……」だが、唖然した。

「い……いろ、は?」そこにはいろはの姿があった。

「……仁、くん……?」街灯の光で照らされ泣きそうな顔で俺を見つめているのが分かった。

「うおっ……!」俺を認識した瞬間に勢いよく

抱きつく彩葉……そうして口を開く。

「何処に……何処に、行ってたの?」悲しそうな声だった。

「少し、用事が……あってな」適当な返事だ、

彩葉がこんなにも泣きそうだと言うのに

「こんな……時間に?」どうしても、耐えられなくて、話題を逸らす。

「彩葉こそ、こんな時間に……どうしたんだ?」

だが、次の瞬間この質問を後悔する。

「仁くんを……探しに」

胸が強く傷んだ。ここまで俺を思ってくれているとは、これっぽっちも思っていなかった。

俺は何も彩葉に伝えられない、教えてやれない。ここまで俺を思ってくれるこの少女に。

俺はこの暗い暗い街灯の光の下、悲しむ彩葉をただ抱きしめることしか出来なかった。

ご視聴ありがとうございました。

今後の投稿もよろしくお願いします。

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