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愛する婚約者に恋人がいた  作者: もも


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8/16

お読みいただきありがとうございます。

 ローザリアは再び湯に入れられ磨かれていた。朝からの疲れがほどけていくようで気持ちがいい。メイド達が心を込めて選んだ扇情的な夜着を着せられ夫婦の寝室に入った。

両親が使っていたところを綺麗に直した。両隣はお互いの部屋になっていた。

まだ爵位を譲られたわけではないが両親の部屋は二階に移動した。ローザリア達は三階である。



ドアを叩く音がした。

「開けていい?」

愛しい人の声がした。

「どうぞ入って」

まだ乾ききっていない髪のサイラスが白いシルクのシャツとパンツで入って来た。ボタンが二つ留まっていないので胸板が見える。色気がだだ漏れになっていた。


落ち着くために二人で檸檬の入った水を飲んだ。軽食や軽いワインが用意してある。


「そういえばお腹が空いたわ、少し食べましょう」


「そうだね、挨拶で緊張したよ」


「これからよろしくね、サイラスが一緒にいてくれると安心だわ」


「こちらこそよろしくリア。君と結婚できて幸せだ」


そっと唇を合わせた。

「なんて色っぽい夜着なんだろう、微妙に透けてるじゃないか」

「メイド達が選んでくれたの、どうかしら」

「綺麗だよ」



キスは止まらなくなり髪から額に頬、目尻から唇に戻ってきた。軽く触れてから角度を変えて何度もされ深くなっていった。ローザリアは気持ちが良くなりすぎて身体の力が抜けてきた。



夜着を脱がせ裸体を目にしたサイラスは綺麗過ぎる身体に理性を忘れ、全身にキスをしていった。ローザリアは甘すぎた。自分だけのものになった花嫁を出来るだけ優しく抱こうと誓った。


「ああ、愛してるよリア、一生君だけに愛を捧げる」


「愛してるわ、サイラス」



二人の初夜は甘く激しい熱に溶けていった。





☆☆☆☆☆




 結婚から二年経ちローザリアは懐妊した。一年目は二人だけの生活を楽しみたいと話し合って避妊していたが、後継ぎを作ることが後継としての役目であり二人とも子供が好きだった。


一週間ほど気持ちの悪さや食欲が落ちていたローザリアは、二ヶ月前から月の物が無いことに気が付き医者を呼んで貰った。サイラスは妻の具合が心配で仕事に行きたがらなかったが、早目に帰って来てねというローザリアのおねだりで仕方なく出かけて行った。


その日早目に帰ったサイラスはおめでたの報告に泣いて喜んだ。


「僕が父親になるんだね、夢みたいだ。ありがとう、リア。産まれるまで安心はできないね、大事にしないと。仕事は辞めるよ、執務に専念する」


「あのね、直ぐに産まれるわけでもないから執務は出来るわ」


「お腹が大きくなるんだよ、立っているのも座っているのも大変になるんだ。生まれたら身体を大切にしないといけない。執務は僕がやるから安心して」



丁度心配してローザリアの所にやって来た両親がやれやれという顔で二人を見た。

「生まれるまでに徐々に執務をサイラス君にしてもらうようにしたらどうかな。ローザリアが出来ない時期は確かにあるんだ。確認はさせてもらうが」


過保護で甘い旦那様を納得させるには諦める他はないと思ったローザリアだった。



 懐妊が分かるまでは慰問で孤児院に行っていた。大勢の子が寄ってきて懐いてくれ、行くときにはシェフにクッキーを沢山焼いてもらい手土産にした。

ローザリアは本の読み聞かせや刺繍の仕方を教え、サイラスは剣を教えていた。



心配症のサイラスはローザリアが病原菌を貰ってはいけないと言い張るので、慰問は暫く我慢することになった。


お菓子や寄付はこれまで通りだ。そのまま伝えるのは流石に失礼だと思ったローザリアは仕事が忙しくなったためと院長に言付けていた。




待望の赤ん坊が生まれ両伯爵家は喜びに沸いた。男の子だった。名前はダニエルと名づけられ愛情を惜しみなく与えられて育つ事となった。



ダニエルは両家のアイドルになった。社交の季節が大変だった。おもちゃを山ほど馬車に積んだ義父母が訪れるのだ。


甘やかし過ぎは碌な大人にならないとサイラスが注意してくれたので、本や楽器に替わった。




オズモンドも初めての甥が可愛いらしくダニエルの眠っている様子や抱き上げると声を上げて笑う所を見に来た。サイラスは

「兄上も結婚なさったら良いのです。子供は可愛いでしょう」

と親のような事を言って嫌な顔をされていた。


「私がどれだけ女性が苦手か知っているだろう、ダニエルの弟か妹が出来れば養子に来てくれれば良いよ。独身でいるつもりだから」


「ずっと一人でいるのですか?呆れますね」


「良いんだ、ダニエルが癒しだから」



オズモンドは好々爺の様な事を言った。仕事が忙しいだろうに暇を見つけてダニエルに会いに来るのだ。

社交界では氷の貴公子と呼ばれているオズモンドのデレデレぶりを知っているのは我が屋敷の者だけだった。



ダニエルがよちよち歩きをするようになるとローザリアの後を追うようになった。「かあしゃ、まって」と言うダニエルを抱きしめてしまうことが何度あっただろうか。可愛いが過ぎて堪らなくなった。


膝に乗せて絵本を読んだり庭を散歩するだけで、時間が過ぎるのがあっという間だった。あまり外にばかりいると疲れるので、子供部屋に戻ると侍女が飲み物やおやつを用意してくれた。ダニエルが昼寝をすると乳母が見ていてくれた。


サイラスはそんな母子の様子を幸せそうに見つめていた。

そんな時、執務を全て替わっておいて良かったと思った。

ダニエルとの時間は朝食の時と夕食の時と彼が眠くなる前の少しの時間だ。

抱っこをしたり絵本を読んでやったりする。

抱いている身体が温かくなってくるとだいたい眠っている。子供部屋に連れていき乳母に目を離さないように言ってから執務に戻るのだ。



サイラスはこの穏やかな日常が幸せだった。愛おしく美しい妻と可愛い息子という宝物が身近にあることを噛み締めていた。


ダニエルが眠ってからの夫婦の時間が濃厚な事は言うまでもない。







読んでいただいているだけでも嬉しいのに、良いねやブックマークをくださった皆様ありがとうございます。感謝しかありません。

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