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第二王子殿下と踊っていたローザリアは
「マーガレットがいつもお世話になっているようだね。これからもよろしくね」
と話しかけられ恐縮してしまった。
「マーガレット様には私の方こそお世話になりっぱなしです」
「誤解が解けて良かったね」
「マーガレット様のおかげですわ」
(あ~これみんな筒抜けになってる。恥ずかしいけど諦めるしかないわ。助かったのは事実なのだから)
アルカイックスマイルで切り抜け王子様とのダンスを終えた。
直ぐにサイラスがやって来た。
「随分楽しそうだったね、何を話していたの?」
「マーガレット様をこれからもよろしくねっておっしゃったのよ。私の方がお世話になっているのにもったいないお言葉ですって言ったのだけど、緊張したわ」
「愛しい人僕と踊っていただけますか?」
「もちろん喜んで、マーガレット様お辛いだろうな、他の令嬢と踊られる殿下を見ないといけないのよ。私には無理」
「リアだけと踊ると誓うよ」
「殿下も踊られるのは今年だけよね、公爵家に婿入されるんだから」
「王家の都合は分からないけど、多分大丈夫じゃないかな。ダンスが終わったら帰ろう」
「もう?おじ様やおば様やお義兄様にご挨拶しなくちゃいけないでしょう」
「明日皆で食事をするんだから良いよ」
「ちゃんと挨拶してから帰りましょう、常識のない娘だと思われるのは嫌だわ」
「何を揉めてるの?」
「あっお義兄様ごきげんよう。この間はありがとうございました。ご家族の皆様にご挨拶をしたいというのに聞いてくれないのです」
「両親と兄を無視するな、心の狭い男だな。ローザリア嬢、一曲踊っていただいても?」
「勿論ですわ」
「踊ったら直ぐにサイラスの所へ連れて行くから待っていろ。貴族の仮面を着けろ。父上と母上が探していたぞ」
「すぐですよ、踊ったら帰ります」
「もうサイラスったら仕方のない人ね。この間はお世話になりました、おかげさまで上手く行きました。もう駄目だとばかり思っていましたので。明日のお食事会が楽しみですわ」
「あんなに感情を出すようになるなんて良かったね。ローザリアは笑っている顔が一番似合う」
「お義兄様がきっかけを作ってくださったからですわ」
「妬かなかったらもっと他にも考えるつもりだったから」
「えっ何か言われました?」
「なんでもないよ、また明日ね、楽しみにしているよ」
「はいお義兄様」
サイラスが直ぐに迎えに来た。
「リア帰ろう」
「もう仕方がないわね、帰りましょうか。お義兄様、お義父様とお義母様によろしくお伝えくださいませ。では失礼致します。あっマーガレット様だわ」
「ごきげんよう、ハウエル伯爵令息様方。ローザリア様、とても可愛らしいわ、素敵よ」
「ごきげんよう。マーガレット様こそお綺麗で素敵ですわ、ダンス素晴らしかったです、輝いていらっしゃいましたわ。お二人は私の憧れです。光栄にも殿下からこれからもよろしくと仰っていただきました」
「そうなのですね、サイラス様、ローザリア様をよろしくお願いしますね」
「もちろん一生をかけて大切にします」
「約束しましたわよ。まだ挨拶まわりが残っているので失礼しますね」
「「今日はお会いできて光栄でした」」
ハウエル伯爵令息達も挨拶を返した。
サイラスがこっそりと囁いた。
「早く帰ろう、リアをこれ以上見せたくない」
「何を言っているのかしら」
「思ったことは口に出さないといけないと学んだからね。社交はまだお義父様達にかなわないからリアを大切にしたいんだ」
「まあ嬉しい」
こんなに甘い雰囲気になるなんてあの時の私に教えてあげたいとローザリアは思った。
☆☆☆☆☆
時の経つのは早く結婚式当日になった。朝早くからローザリアはメイド達に磨かれていた。いい香りの湯に入れられ髪から身体、顔を丁寧にマッサージされた。
途中で果実水や軽食を食べて体力を補った。
ドレスは一年前から準備していた物だ。軽い総レースで出来ておりうっとりする程見事な出来栄えでローザリアを輝かせていた。ネックレスとイヤリングはダイヤモンドがサイラスから贈られ、幸せな花嫁を飾っていた。
サイラスは白のタキシードに襟に金色の刺繍の入った正装をしている。髪は全て後ろに流しているのではっきりとイケメン振りがわかった。
「凄く綺麗だよ、まさに女神だ」
「サイラスも素敵、絵本から出てきた王子様みたい」
式は王族が使う大教会を第二王子殿下の厚意で借りられた。伯爵家としては異例である。招待客にマーガレット様と殿下がいるせいだ。
これでダグラス伯爵家に箔が付いた形になる。ローザリアは感謝した。領地は益々発展するに違いない。
結婚式は厳かに執り行われ花嫁のブーケはマーガレット様が受け取られた。ブーケトスに成功されたマーガレット様は可愛らしい少女のようだった。
半年先に成婚の義が予定されている。第二王子殿下は臣籍降下され公爵家の婿に入られるのだ。
これから披露パーティーが伯爵家に場所を移して行われる。
マーガレット様達も少しだけお付き合いくださる予定になっている。
ローザリア達は屋敷に帰って着替え主賓に挨拶をした後、お世話になった方々に挨拶をすることになっていた。
殿下とマーガレット様に挨拶をしていつ帰られても良いようにした。なにせお二人は忙しいのだ。成婚の儀の打ち合わせや政務の合間を縫って来てくださったのだから。
ローザリア達に続き両家の両親が挨拶させていただいた。一番高貴な方に礼儀を尽くしたのでほっとしたがまだまだこれからだ。華やかな宴は夜通し続いた。
ローザリアは早目に退出してメイド達に磨かれることになった。初めての夜がこれから始まろうとしていた。
誤字報告ありがとうございました。感謝しております。訂正しました。