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僕のメイドは魔王  作者: ゆかり
2/3

●02


「<<<蒸発!>>>」



 うん……。変化なし。


 少し、眩暈がする。


 もう一度、ステータスを確認すると、MPが1に減っているところを見ると発動は出来たようだ。


 しかし、花瓶の中身は起き上がれないのだから、確認のしようがない。


 このベビーベッドから飛び出して、花瓶の中を確認したいっ!


「あ~っ! う~っ! う~っ!」


 がちゃ!


 あっ、あの変なメイドが入って来た。


 だが、叫びは止めず、叫び続ける。


「あ~っ! あ~っ! あ~っ!」


 だが、メイドは哺乳瓶のちくびを僕の口に突っ込み、そのまま出ていった。


 腹が減ったのだと思ったのだろう……。


 赤ん坊は本当に不便だ!


 そして、暫くすると、またメイドが入って来た。


 いつもの如く、哺乳瓶でも取りに来たのだろう。


 はぁ~あ!


 ……、ストレスで死んでしまうぞ!!


 前世の記憶では、赤ん坊がハイハイできる迄8カ月は掛かると言うし、片言の言葉は10カ月は必要だと思い出した。長いっ! このまま耐えるしかないのか?


 案の定、メイドは哺乳瓶を口から抜き取った。


 早く、出て行けっ! 僕はもう寝る!


 すると、メイドは花瓶のところに行き、中を覗き込んでいた。


 ……そして、テーブルに哺乳瓶を置き、ニヤ付きながらこちらに近付いて来た。


 こわっ!!!


 袖から、何かを取り出そうとしていた。

 殺される~っ!!!


「オギャーっ!!! オギャーっ!!! オギャーっ!!!」


 袖から取り出したのは巻物だった。


 そして、何かを唱え出した。


 その魔法で僕を殺すつもりだなっ!!!


「オギャーっ!!! オギャーっ!!! オギャーっ!!!」


 唱え終わると、メイドは何事もなかったかのように部屋から出ていった。


 あのメイドは何だっ!!! 怖すぎるぞっ!!


 なぜ花瓶の中を見た! なぜニヤ付いた! なんの魔法を使ったんだ! 意味が分からない!


 はぁ~っ! 疲れる。精神的に良くないよ。寝よ。



 しかし、恐怖心からか良く寝れないんだが……。


 でもまだ昼なんだよな~。赤ん坊は寝る時間が短いのだ。


 それに、昼にはあのメイドが、またやって来る。


 メイドは朝昼晩とやって来ては哺乳瓶を僕の口に突っ込み、この世界の話をして出て行くのだ。


 そもそも、あの魔法はなんだったのか! 花瓶を覗いたのは偶然だとして……。


 ……げっ! もしかして、毒の魔法? 呪いの魔法? それを僕に掛けたのかっ?!!


 「ステータスオープン」。


 名前:ソルト・デストロイ

 性別:男

 年齢:0

 種族:人族

 状態:正常

 LV:1

 HP:3

 MP:5

 筋力:1

 耐久:2

 敏捷:1

 器用:4

 魔法:なし

 スキル:蒸発Lv1、鑑定Lv1

 称号:?????


 ふ~っ、状態は正常のままだ。


 んっ! 鑑定のスキルが増えとるっ!


 まてまてまて! どういう事だ!


 なぜあのメイドが僕に鑑定のスキルを与えた?


 あのメイドの行動を思い出そう。


 僕が泣き、メイドが入って来て、哺乳瓶を口に入れ出ていった。


 そして、また入って来て、花瓶を覗き、<鑑定スキル>をくれた。


 つまり、僕が「試したい」と叫んで、メイドが入って来て、ついでに哺乳瓶を口に入れ出ていった。


 そして、巻物を持って来て、花瓶を覗き、水が蒸発しているのを確認して、<鑑定スキル>をくれた。


 これ……、僕が言っている事を理解していないか? あのメイド。


 <鑑定スキル>は花瓶の中を僕が確認できるようにする為だ。そして、あのメイドは僕のステータスを見る<鑑定スキル>を持っているとすると辻褄が合う。


 よし、あのメイドに話しかけてみよう、そして、メイドを鑑定すればこのもやもやも解決する。


 その前に、試しに花瓶を鑑定してみよう。


『<<<鑑定!>>>』


 名前:花瓶(テスター作)

 年数:15年

 状態:良好


 名前:花(ジタン花)

 年数:0.01年

 状態:良好

 効能:粉末にすると疲労回復の効果(極小)


 うん、水の情報は表示されない。


 がちゃっ!


「あら、起きてたんですか? ソルト様」


 いつもの決まり文句だ。


 では、話し掛けてみるか……。


「だーあ、だーぁ、だー」


『お前の名前はなんていう?』


「あら、やっと話し掛けてくれましたね。私はメイドのミーシャです」


 メイドは胸に片手を当ててお辞儀をした。


「だー、だー、だーぁ」


『なぜ、僕の言葉が分かるのだ?』


「念話で話せるから、声に出さなくていいですわ」


『そっそうか! ではなぜ僕に鑑定のスキルをくれた?』


「スキルを与える時期になったからですわ」


『僕のステータスが見えるのか?』


「えぇ、鑑定のスキルを持ってますもの」


 やけに淡々と話すな、ロボットか?


「私はロボットではないです。私を鑑定してみて下さい」


 では、失礼して……。


『<<<鑑定!>>>』



 名前:ミーシャ

 性別:なし

 年齢:2658

 種族:ホムンクルス

 状態:正常

 LV:4983(+?)

 HP:209148983

 MP:3824233205

 筋力:98479

 耐久:2372945

 敏捷:83742934

 器用:38242

 魔法:????

 スキル:????

 称号:????


 ホムンクルス? いや他の数値も凄まじい。????ってなんだ? 僕の鑑定では見れないってやつか?


「私はホムンクルス。デストロイ家を守護する者です」


『デストロイ家って何だ?』


「デストロイ家は魔道具士の名門であり、この世界の魔道具の元を作った家柄です」


『そのデストロイ家と僕とはどんな関係なんだ?』


「デストロイ家を継ぐ条件は、異世界転生した者であり、デストロイ家の波動を持っている事が条件になります。それに該当するのがソルト様です」


 僕が異世界転生者だと知っていたのか……。



 ミーシャに聞いて分かった事は、僕の父は上級貴族だったが軍部の横領を調査していたが、途中で暗殺され、母は心労で僕を生むと亡くなったようだ。


 又、ホムンクルスとは人造人間の事であると教えられた。


 ミーシャは<検索スキル>でこの世界を検索、僕を探し当てこの場所に連れて来たのだという。


『僕はこれからどうなるんだ?』


「ソルト様は、現在、蒸発のスキルしか持っていません、これから優秀な魔道具士になって頂くためには、多くのスキルが必要になります。今後レベルを上げ、段階的にスキルを付与して行く事になります」


『直近では何をするんだ?』


「今のままですと身体的に不便なので、<歩行スキル>と<言語スキル>を付与します」


 そう言うと、ミーシャは袖から巻物を取出し、スキルを付与してくれた。


 前もって持っていた事から、ミーシャは<未来スキル>でも持っているのだろう。


 早速、ベビーベッドから飛び降り、着地成功!!


 <言語スキル>も問題なく使用出来る事を確認した。


 首が座っていないのも<歩行スキル>で、歩ける程の体力がついたので解決したようだ。


「で、ミーシャ、僕はこれから何をするんだ?」


「ソルト様には魔物と戦い、レベリングしてもらいます」


「はぁっ! 魔物と戦えと?!!」



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