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僕のメイドは魔王  作者: ゆかり
1/3

●01

 ……あれっ!! ここどこ??


 上には白い天井、僕はねっころがっているようだ……。


 仰向けに倒れたのか?


 ふと手を見て見ると。


 あれっ! ……手が……小さいぞ。


 あれっ! これっ! 赤ん坊じゃん!!!


「あうあう!!!」


 こ、これは何だ?!! 体がうごかん!! しかも凄い汗だぞ!!


 なんだ! なんだ! なんだ! 落ち着け! 落ち着け!


 さっきまでパソコンを打ち、休憩室に行き、自動販売機でジュースを飲み、椅子に座ったところで記憶が飛んでいるぞ!


 過労か? これは幻覚か?


 ーーーーーーそれはありえる。



 僕は36歳の雇われSEで、ブラック企業に出向し、多忙を極めていたのだ。


 周りのみんなが辞めて行き、人員も増えず仕事が僕に回され、納期に間に合わなくなれば「臨機応変に仕事をしろ」と怒鳴られ。


 残業が増えれば、「効率良く働け」と言われ、当初、30人のプロジェクトが10人になり、限界が来ていたのだ。


 それでも僕はもくもくと作業を続けた……、体力はあると過信していた……、精神が追い付かなかったみたいだ……、駄目だったか……。


 いや、それよりも今のこの現状を整理しないと……。


 ……、手が小さい、寝返りが打てない、言葉がままならないところを見る限り、赤ん坊は確かなようだ。


 それも、頭を持ち上げようとしても首が座らないので、生まれたばかりだと思われる。


 周りに格子が見え、布団の上にいてる事から寝ている場所はベビーベッドらしい。


 ん、誰か来たぞ。


「ソルト様、お目覚めですか?」


 目の前に知らない女性が覗き込んでいる。


 そして、哺乳瓶らしき物を袖から取出し、ちくびを口に無理矢理押し付けてきた。


 くっ苦しいっ!!!


 だらだらと口からミルクが溢れ、それをこの見知らない女性は布で拭き取る。


 それから頼みもしないのに、この世界の事を話し出した。


 そして、一通り話し終えたのか、出ていった。


 あれは、何だったんだ?


 容姿は前世で言えば、メイドの服装だ。



 そんな事が繰り返され、1月が経った。


 しかし、僕が会うのはこのメイドだけで、他の人とは誰も会っていない。


 もしかして、僕の両親はいないのか?


 メイドの話しはこの世界の話しだけで、身近な事は一切話さない。


 そもそもこのメイドは、赤ん坊の僕が理解しているのを、知っているかのように話すのだ。


 不思議なメイドだが、知識を与えてくれるのはありがたい。


 この世界は異世界のようだ。


 魔法絶対主義の世界であり、魔法は生活にかなりな部分、根づいている。


 人族、魔族、魔物等、多種族がそれぞれ国を持ち政治、経済を行っている。


 戦争が頻繁に起き、武力は魔法がメインだ。


 高名な魔法士が国にいれば、それだけで抑止力になる。


 各国は魔法士を育てるのに力を注ぎ、地位、権力、高給を与え他国に引き抜かれないようにしている。


 僕の前世で言えば、この世界は中世時代あたりなようだ。


 メイドによれば、僕にも魔法が使えると。


 そして、「ステータスオープン」と心の中で唱えると発動すると言った。


 「ステータスオープン」と心で唱える。


 名前:ソルト・デストロイ

 性別:男

 年齢:0

 種族:人族

 状態:正常

 LV:1

 HP:3

 MP:5

 筋力:1

 耐久:2

 敏捷:1

 器用:4

 魔法:なし

 スキル:蒸発Lv1

 称号:?????


 この世界では「ソルト・デストロイ」が僕の名前か……。


 ?????とは何だ? そして、この<スキル:蒸発>とは何だ?


 前世では蒸発って<水が蒸発>するとかになるんだけど……。


 まさか<女房が蒸発>とかだと、どんなスキルなんだ? 僕は未婚だから関係ないけど……。


 前世で読んだ事のあるラノベのように、このスキルを唱えれば発動するのか?


 この赤ん坊のままでは試す事は出来るのか?

 試したい! 試したい! 試したい!


 なんせ、赤ん坊は暇過ぎて狂いそうになるのだ。


 暇つぶしになるなら、なんでもいいのだ。


 だが、寝がえりも打てなくて、どうしようもない状況だ。


 部屋を目でキョロキョロと見渡せば、部屋の隅のテーブルの上に花瓶があり一輪挿しになっており、壁には絵が飾られており、タンスが1つあるだけだ。


 よし! あの、花瓶の中の水を蒸発させてみよう。



「<<<蒸発!>>>」



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