第十四話 醜態
前回
首領Д/道成寺太:武装戦隊・狼ノ牙のリーダー。岬守航達の訓練成果を視察。
椿陽子:岬守航達の中に紛れていた内通者。首領Дの娘で道成寺陰斗の双子の姉。
道成寺陰斗:首領Дの息子で椿陽子の双子の弟。体調を崩し姉と共に退避。
土生十司暁:狼ノ牙最高幹部『八卦衆』の一人。ダイダラス・改で岬守航達を追う。
仁志旗蓮:八卦衆の一人。忽然と姿を消す。
航達一行:超級為動機神体『ミロクサーヌ・改』にて脱出を開始。
武装戦隊・狼ノ牙:航に各施設を滅茶苦茶に破壊され、大打撃を負う。
超級為動機神体『ダイダラス・改』:ミロクサーヌ・改と並ぶもう一機の為動機神体。土生に搭乗され、航達を追う。
神聖大日本皇國碧森州にて、武装戦隊・狼ノ牙八卦衆の一人、仁志旗蓮は騒動のあった場所から一人離れ、隠れて電話をかけている。
「もしもし、根尾さんですか?」
『仁志旗、どうした。彼らの無事は確認できたのか?』
「それが、想定外の事態になりまして……。」
彼は三年前に日本国の皇奏手国家公安委員長から狼ノ牙に送り込まれたスパイである。
極めて優秀な男で、潜入者として完璧に立ち回り、最高幹部までスピード出世していたのだ。
『わかった、どの道お前はもう離脱しろ。後はこちらで引き受ける。』
「承知しました。では速やかにそちらと合流します。」
仁志旗は通話相手の根尾弓矢にそう告げ、電話を切って空を仰いだ。
⦿⦿⦿
「巌手支部! 宮柵支部! 福嶼支部! 応答しろ、屋渡だ!」
屋渡倫駆郎は電話端末に向かって怒鳴り上げる。
液晶画面には三人の男が分割で映し出された。
『同志屋渡、何事ですか?』
『何を慌てているのです?』
『本日は首領Дとの面会では?』
「今そっちにミロクサーヌ・改が向かっている! そいつは裏切り者だ! 土生が追い付けるように足止めしろ!」
『な、なにを言っているんですか?』
『超級為動機神体を、我々が止めろ?』
『我々には壱級以上の為動機神体も操縦士も与えられていないんですよ?』
「回転翼機が有るだろうが! そいつを飛ばして体で止めろ!」
『は⁉ アンタ頭おかしいのか⁉』
『そんなことで止まるわけないでしょう!』
『我々に犬死にしろと⁉』
屋渡は状況に追い詰められて完全に常軌を逸していた。
通話相手の言い分は彼に全く届かない。
「五月蠅い! あれを手に入れるのにどれだけ同志が犠牲になったと思ってる‼ つべこべ言わずにやれ! 死んでも止めるんだ‼」
余りにも余りな命令を出す屋渡の醜態を、扇小夜こと水徒端早辺子は心の中で冷笑していた。
いい気味だ、この男はもう終わる。
後は屋渡の失脚に自分が巻き込まれぬよう立ち回り、八卦衆に抜擢されるよう努めるのみ。――彼女はこれからのことを考え始めていた。
「くそっ! どいつもこいつも根性無しばかりか! 革命への覚悟がまるでなってない!」
屋渡は電話を床に叩き付けて壊してしまった。
「屋渡様、何をなさいますか。物に当たるのはお止しください。」
「なぁにぃ~……?」
早辺子の言葉に激高した屋渡が、眉間に皺を寄せ怒りに満ちた表情で足早に早辺子に迫る。
「お前のせいだろうが!」
一切加減の無い力任せの平手が早辺子の頬を打ち据えた。
「お前が! 岬守に! 余計な! 口出しを‼ お前の! せいで! 俺はぁッ‼」
屋渡は早辺子の髪を鷲掴みにして何度も彼女を揺さぶった。
ふと、彼女の電話がけたたましく振動音を鳴らし始めた。
彼女はそれを取り出し、電話の主を確認する。
「土生様です。」
「出ろ!」
屋渡は早辺子を突き放して言い放った。
「もしもし、はい……、はい、畏まりました。屋渡様、土生様が代われと……。」
土生十司暁が早辺子に電話を掛けた理由は、屋渡と話すためであった。
間の悪いことに、屋渡の電話は彼自身がついさっき叩き壊してしまったので繋がらなくなっていたのだ。
「寄越せ!」
屋渡は早辺子から強引に電話を奪い取った。
「土生か、何の用だ。」
『何って、先程首領Дからお前の尻拭いを仰せつかったから連絡を取ろうと思ったんだよ。しかし、お前の電話が繋がらないのはどういうことだ?』
「こちらで色々あって使えなくなった。それより、俺の尻拭いとは何だ。貴様真っ先にあの場を放棄しただろうが!」
『何だ今度は俺に責任転嫁するのか? あの場に残って何が出来た? 察するにどうせ成す術無くまんまと逃がしたんだろう。あの場で即座に追いかける判断をしたことに、寧ろ感謝して欲しいな。』
「チッ……!」
屋渡は苛立ちを抑えられず歩き回っている。
そしてそれは、電話越しにも伝わるようだ。
『まあ落ち着け。為動機神体については完全に俺の土俵だ。一つ貸しと言うことで取り戻してやるから大船に乗った気でいろ。』
「追い着けるのか?」
『いや、それは無理だな。知っての通り奴らのミロクサーヌは高機動型、俺のダイダラスは重火装型だ。六人も乗っていれば加速度は出し切れんだろうが、それでも俺の目算では離されんように追い縋るのがやっとだろう。』
「無理で済むか! 俺はこれに失敗すれば降格を言い渡される! お前だけが頼りなんだぞ!」
電話口から土生の溜息が漏れ聞こえて来た。
『だから落ち着け。何も追い着く必要は無い。どうせ奴らはそう長くあれを動かせはせん。お前、東瀛丸はいつ飲ませた?』
土生のこの言葉で、屋渡は自分たちの優位に気が付いた。
そして勝利を確信し、普段の嗜虐心に満ちた歪んだ笑みを浮かべる。
「そうか! ははは、そうだった。俺としたことが忘れていた!」
『そうだ。東瀛丸の効果は四週間しか持たない。つまり奴らは間もなく神為を使えなくなり、ミロクサーヌ・改は停止せざるを得なくなる。』
「確か緊急停止機能が作動し、自動で地上に降りて扉が開くのだったな。だが奴らはそれを知らん! 吠え面を見られないのが残念だ、ククク……。」
これこそが、いつか早辺子が岬守航に話していた東瀛丸最大の弱点である。
だが勿論この件は対策済みで、早辺子は航に七人分、あと一回分の東瀛丸七錠を持たせている。
屋渡と土生は知る由もない。
『ダイダラスならミロクサーヌを運搬できる。奴らはどうする? 殺すか?』
「一緒に来た五人は生かすも殺すも好きにしろ。だが操縦者の餓鬼は生かして連れて来い。奴だけは俺が直々に嬲り殺しにしてやらねば気が済まん。」
『お前のことだ、そう言うだろうと思った。まあ任せておくがいい。』
「吉報を待つ。頼んだぞ、同志土生。」
電話が切られた。
「ふふ、ククク……。ハハハハハハハ!」
狂喜する屋渡のおどろおどろしい高笑いが青空に響き渡る。
そんな中、早辺子は自分の計画に土生の干渉が影響しないことを何度もシミュレートして自分に言い聞かせていた。
大丈夫、加速は出せずとも最高速度はミロクサーヌの方が上。
いくら追いかけられようとも引き離せる。
当初の予定通り、埼珠辺りの山中に放棄して内部を破壊すれば、もう治せない。
そうなれば屋渡は失脚せざるを得ないし、彼らも二・三日歩けば統京に辿り着ける。
計画に支障はない、筈……。――早辺子は何度も成功の確実性を反芻していた。
「喜べ、扇! 愛しの岬守様と再会できるぞ!」
屋渡の彼女を見る目は邪悪に淀んでいる。
おそらく岬守航をどのように甚振ってやろうかと色々と想像を巡らせて今からその瞬間を心待ちにしているのだろう。
「本当にそう上手く行きますか? 大勢運んでいるとは言え、最高速度でも負けているのに……。」
早辺子はそんな屋渡の期待に水を差してやりたくなった。
そんな彼女に屋渡は、いつかの様に下衆の勘繰りを巡らせる。
「必死に守った想い人が今度こそ終わりとあっては、心中穏やかではあるまいな。まず、ミロクサーヌ・改は加速能力、最高速度共に強化してあるが、今の奴らにはどちらも発揮できん。」
「存じ上げております。加速能力は言わずもがな、最高速度を維持するにも、操縦者の精神に強い負担がかかる。」
「意識が機体と同調しているからな。岬守の神為量では速度により流れ込んでくる大量の視覚情報、空気圧に耐えられまい。」
「それでも、安全に最高速度を出せるよう一般のミロクサーヌは設計されているはずですよ。ですから、そこまでは彼にも出せるのでは?」
早辺子の言葉に、屋渡は凡そその表情筋に可能であろう最大限の歪んだ笑みを作り上げた。
「そうか、お前は知らんのだな。土生の『ダイダラス・改』は一般のミロクサーヌと同じ最高速度を出せる。」
「何ですって⁉」
思わず声を張り上げてしまった早辺子は、「はっ。」と手で口を抑える。
屋渡はそんな彼女を見て満足げに目を細めた。
「さあて、恐らくすぐにケリは付く。その時は、いつかの続きと洒落込もうじゃないか。公転館はあの莫迦に壊されてしまったから、今度は俺の借り切っている宿部屋へと案内しよう。今から楽しみだなあ!」
節榑立った手が早辺子の頬を力いっぱい掴む。
「まずはあの餓鬼を半殺しにしてやる! そして瀕死の岬守の目の前でお前を犯しながら、奴が死に行く様を楽しんでやるぞ! その時はあんな程度で済むと思うなよ! しっかりとこの事態の責任を取らせてやるからなぁッ!」
屋渡は早辺子を突き飛ばし、再び高笑いを轟かせた。
転倒してしまった早辺子は下を向いて航の身を案じている。
岬守様、岬守様……!
嗚呼どうか、どうか神々よ……。
大日本の神々よ、どうかあの御方をお助け下さい。
彼は優しい人です。
そして大和男子に相応しい強い心をお持ちです。
どうか……!――早辺子は必死に祈っていた。
と、その時屋渡の持つ早辺子の電話が鳴った。
屋渡は相手が首領Дであることを確認し、電話に出た。
「もしもし、首領Дですか?」
『……何故、君が扇君の電話に出るのかね?』
電話越しの声は呆れているようにも怒っているようにも聞こえた。
屋渡は慌てふためき、何とか取り繕おうとする。
「ち、違うんです。これは……!」
『どうでもいいから早く扇君に代わり給え。君に用は無い!』
「は、はい只今!」
早辺子は屋渡からぶっきら棒に差し出された電話を受け取ると、首領からの指示を頷きながら聞いた。
「畏まりました。すぐそちらに向かいます。はい、はい。では、後程。はい、失礼致します。」
早辺子は電話を切り、ふうっ、と一つ溜息を吐いた。
屋渡は不安げに彼女を見つめている。
「首領は何と?」
「首領Дの運転手を仰せつかりました。巌手支部から回転翼機に乗って帰るのだそうです。碧森支部のものは破壊されてしまいましたからね。」
「何?」
屋渡は怪訝な表情を浮かべる。
「待て、仁志旗の運転で来たのではないのか。そう言えば奴は何処にいる? いつの間にか姿が見えなくなっているじゃないか。」
「はい、行方不明のようですね。」
「行方不明? 何だそれは? 土生は追いかける為だったが、あいつは本当に逃げたのか? 信じられん奴だ!」
憤慨する屋渡を尻目に、早辺子はこの場から立ち去ろうとする。
「待て、何処へ行くんだ!」
「ですから、首領を磐手まで送り届けます。」
「何だと⁉ 電話はどうするんだ! どうやって土生や首領と連絡しろと?」
自ら癇癪で壊しておいて、この発言。
余りの身勝手さに、流石の早辺子も堪忍袋の緒が切れた。
「自業自得でしょう! 首領の命令ですので、御自身でどうにかなさってください。巌手支部が貴方の無茶な命令を捨て置けば良いですね!」
早辺子はそれだけ告げると、足早に去っていった。
「待て! 扇、待ってくれぇぇ~ッッ!」
屋渡の叫びは届かない。
ただ虚しく、破壊し尽くされた格納庫から大空に響き渡るのみである。
⦿⦿
「首領Д、この度は誠に申し訳ございませんでした。」
格納庫へ向かうシャッター口に停められた車の前で、早辺子は首領Д、道成寺太に深々と頭を下げ、謝罪した。
「君が気に病むことではないよ。君はただ、屋渡君の指示に従っただけだろう?」
首領Дに彼女の責任を追及するつもりは無いようだ。
ここへ来るまでの間、娘の椿陽子から大方の事情を聞いたからである。
「扇さんが屋渡さんのやり方に口を挟むのも当然だね。あいつ、無茶苦茶だよ! 初日から変なこと言い出して、耳を疑ったね!」
「恐縮です。それと陽子お嬢様には今まで大変失礼致しました。四方や首領Дの御令嬢だとは露知らず……。」
早辺子の言葉に、椿はばつが悪い様子で目を背けた。
「娘、と言っても離婚した元妻に引き取られて以来中々会えなかったのだがね。お陰であまり父親として慕ってはくれないのだよ。熱心に説得して、最近やっと革命に協力してもらえるようになった。」
「然様でございますか……。」
早辺子は道成寺家の家庭事情をこれ以上詮索することは避けるべきだと判断した。
「屋渡様は元々、戦士としての純粋な戦闘力を評価されて八卦衆に選ばれた、と聞き及んでおりますが……。」
「そうだね。彼は、我輩と一人を除いては、狼ノ牙でも随一の実力者なのだよ。」
「一人?」
気になる言葉だった。
その一人というのは、もしやと思わずにはいられない。
しかし、間の悪いことに彼女がそれを首領Дに問おうとした正にその時、首領Дの電話が振動した。
「おや、電子伝言……。誰だ? 知らない番号だね。」
彼は内容を確認すると、途端に不機嫌になった。
「屋渡君は電話を紛失したのかね、全く……。」
メッセージの内容は、暫定での新しい連絡先を伝えるものだった。
同じ内容が早辺子の電話にも送信されていた。
「どうなさるのかと思いましたが、どうやらどなたかの電話を拝借することにしたようですね。私も危ないところだった、というわけですか……。」
「ああ、やはりそれで君の電話に彼が出たのかね。どうやら強いからと彼を甘やかしすぎたようだ。これは今回の結果が振るわなかった場合、本当に今の地位は剥奪すべきかな?」
首領Дのこの言葉を聞き、早辺子は内心ほくそ笑んだ。
屋渡が失脚すれば、八卦衆への道も開ける。
だが、もしこの場で姉の情報を引き出すことに成功すれば、最早その必要すら無い。
「そう言えば、首領Д。先ほどのお言葉で一つ気になることが……。」
「ん? 何だね?」
「首領以外にも、屋渡様に先んじる強さの者が組織にいたとは、初耳です。」
「ああ……。」
彼は溜息を吐いた。
「そうだね。もう良いだろう、道すがら話すとしようか。運転、お願いするよ。」
「畏まりました。」
いよいよ姉のことが聞けるかもしれない。――早辺子は胸の高鳴りを必死に抑えつつ、運転席に乗り込んだ。
⦿⦿⦿
岬守航は焦っていた。
追手の存在に気が付いたのだ。
「くそっ、引き離せない……。」
航は肌感覚でわかっていた。
これ以上速度を出すと自分の身が持たない。
だが、後方の敵も同じ速度で追ってきているので、このままでは乗り捨てる時に減速するとすぐ追い付かれる。
瞬間、航の第六感が警告を発する。
そして刹那の後、前方に突如障害物が現れた。
「うおぉっ⁉」
三機の回転翼機が進路を塞いだのだ。
航はこれをとっさに回避したが、機体に急激な動きをさせてしまったため、操縦室内に悲鳴が響き渡った。
「すまん、大丈夫か?」
「あっぶねえな! 何だよ今のヘリ!」
「虻球磨、よくヘリだってわかったな。」
虻球磨新兒と虎駕憲進は二人ともディスプレイの表示を頼りに障害物を見たが、それをヘリだと認識できる動体視力を持っていたのは新兒のみだった。
久住双葉と三日月由奈にはそもそも何が起きたのかわからなかったようだ。
「変な構造だぜ。前席の方がむしろ何が起きたかまるでわかりゃしねえ……。」
「折野、絶対に左の玉は触るなよ。感覚がリンクして傷に響くだろうからな。」
隣の折野菱に忠告したその時、航はとんでもない事実に気が付いた。
「何てこった……。あの野郎、ヘリを突っ切りやがったな! 距離が縮まってる!」
さらに、背中に突き刺さりヒリ付く害意。
航は思わず再度回避行動を取った。
光の筋が後方から前方に向かって伸びる。
一筋、二筋と、敵機の攻撃をギリギリのところで躱し続ける。
「距離が詰まって、狙いを付けられるようになったのか!」
戦うしかないのか……?――航は後方の四人、そして隣の折野に負担が掛かることを懸念して覚悟を決めかねていた。
その時、後ろから明後日の方向に光線が伸び、前方で爆炎が上がった。
何事かと驚いた航の疑問はすぐに解決することになる。
飛行する目下に、敵機のレーザーで焼き払われた住宅街が過ったのである。
「野郎……!」
航には、これが挑発だとわかっていた。
だが、平然と民間人を虐殺する敵を、放っておくわけにはいかない。
「悪いみんな。少しの間、僕に命を預けてくれ‼」
航はミロクサーヌ・改を旋回させ、後方のダイダラス・改に向かって飛ばした。
⦿
土生十司暁は目の前の目標の動きに感心した。
「咄嗟に回転翼機を躱すとは、やるじゃないか。だが愚かだな。」
土生のダイダラス・改は回転翼機三機を平然と撃墜し、この障害を通過するタイムラグの分だけ距離を縮めた。
「屋渡の指示だな? 酷い命令だが役には立ったぞ。そして、今の動き……。ただ停止したところを回収するより、真っ向勝負で墜としてみたくなった!」
碧森支部の代替部品は破壊されたが、まだ本部には備品が残っている。
最悪、制御系が無事ならばここで墜としてしまっても回収すれば修繕できる。
そういう思惑から、土生はどうにかミロクサーヌ・改を自分との戦いに向かわせようと挑発を繰り返した。
「チッ、器用に避けやがる……。だが、首領Дの話では激情の男だという。これならばどうだ!」
土生の殺意が無辜の民が住まう集落へと向けられた。
そしてその破壊を目の当たりにしたと思しき目標は、旋回して自身に向かってきた。
「ははは、そう来なくっちゃなァ! 組織じゃ実戦が無くて退屈していたところだ! 武装戦隊・狼ノ牙の撃墜王、土生十司暁とダイダラス・改の力、冥途の土産にとくと拝ませてやる!」
13:55、両機は碧森支部より南方約2000粁、栃樹州の山岳地帯上空にて激突する。
⦿⦿⦿
武装戦隊・狼ノ牙、碧森支部、有人工場施設。
人を殺すわけにはいかない岬守航が、唯一破壊を避けたのがここである。
しかし今、この場所は夥しい血に染まっていた。
突如飛んで来た伸縮自在の槍に9人もの人間が貫通され、死亡した。
更にその後飛んで来た人間は、抗議の声を上げる者も、悲鳴を上げて逃げ惑う者も纏めてその場に居た者を皆殺しにしてしまったのだ。
犠牲者総数、86名。
その中の大部分は、自分たちが何者に手を貸していたのか一切知らず終いの者達であった。
これは正に、血に飢えた悪魔の所業である。
「これで電話は手に入った。そしてこいつらは岬守に虐殺された体で処理すればいい……。」
殺戮を行った男、屋渡倫駆郎は血まみれの電話をポケットに仕舞い込む。
そして本来の持ち主と思しき男の死体を蹴り飛ばした。
「愚かな子供たちよ……。親と同じ夢を共に見られないなら、死ね!」
屋渡は狂気に満ちた眼で闇を睨んでいた。
・首領Д/道成寺 太
皇紀2635年(西暦1975年) 4月29日生
身長 190糎
体重 81瓩
血液型 O
脱走寸前連続更新中
次回更新は、10月10日㈯




