表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
003  作者: Nora_
18/27

18.『駄目』

読む自己ー

 部屋が一際大きいということもあって凛の部屋で寝てもらうことになった。

 言い出しっぺは彼女なんだしこれくらいの我慢はしてもらわなければならないだろう。

 で、今日も葉が作ってくれた美味しいご飯を食べて適当に風呂に入らせてもらうことに。


「温かいな……」


 ホットコーヒーと違って全身を温めてくれる風呂というのは大好きだ。

 何度も言うがここは安地で1人でいられる心地の良い空間だ。


「た……かはし」

「あ、どうした?」

「あとで部屋に行っていい?」

「おう、でもまあ明日も学校あるし22時になったら帰れよ」


 現在の時刻は20時か、いつもなら彼女を家に送ったくらいだなと俺は内心で呟く。

 用もあるだろうし俺も勉強を少ししたいので早々に出ることにした。

 歯も磨いてから部屋に帰って少ししてから彼女がやってくる。


「どうした?」

「えと……名前……」

「高橋言だ」

「違うしっ、名前でまた呼んでよ」

「別に良いけど。それで唯、それだけか?」


 名前呼びを要求するくらいならわざわざ部屋を指定した意味がない。

 これはまだ何かあるなと考えていると、彼女が俺の手を握りながら言った。


「げ、げ、言……」

「ぶっ、ははははは! 名前呼ぶくらいで何緊張しているんだよっ」

「う、うるさいっ」


 手は離すよう促して机に向き直る。


「テスト勉強?」

「ああ、もう少しだろ?」

「……言ってどれくらいの順位?」

「そうだな、真ん中くらいだな」


 一生懸命やってそれなのは悲しいが、赤点でなければそれでいい。

 

「同じ部屋だしあいつに教えてもらえよ、優秀少女だからな」

「胸とかも?」

「ああ、あれはやばいな」


 服越しだったのに柔らかさが凄く分かった。

 ドキドキしたし初めて揉みたい……なんて思ったのも確かだ。


「……ばか」

「いやいや、やばいだろ? お、お前が1番分かって……嘘ですごめんなさい!」

「どうせないしっ、もういい!」


 臆病な少女は1度信頼すると甘えたがるものだが、だから逆に怒った時は面倒くさくなる存在だと俺は知っている……だって茜がそうだったからだ。

 俺だって幼馴染なのにいっつも蓮の後ろに隠れてこっちを怖がっていたことを思い出す。

 まあ仕方ない、だって幼稚園の頃から既に蓮に嫉妬を抱いていたからな。

 女の子はそういうのに敏感っていうし、汚い俺に恐れていたのだろう。

 そして怖くない存在だとアピールし続けて何とかなったものの、今度はよく怒ってくるようになってまた困惑するという毎日だった。

 中学の時はより酷くなって本能で悟ったのかもしれない、だから距離を置いたんだと予想している。

 1階に行こうとすると凛がやってきた。


「胸のことについて言うなんて最低ね」


 いきなりな口撃、それでも彼女が味方するほうが惨めな気持ちになるのではないだろうか。


「凛、勉強教えてくれよ」

「話を逸らすのも最低だけれど、仕方ないわね」

「そう、仕方ないことだ!」


 唯に胸がないものテストがすぐ近くにあることも事実なのだから。


「……あなた字汚いわね」

「だよな……」


 やっていたプリントを見て俺と彼女の気分が暗くなる。

 彼女は呆れた表情を浮かべ「やる気あるの?」と聞いてきた。

 一応これでも頑張ろうとして赤点を取ったことはない。

 中間と期末を乗り越え、しかし流石に楽観視はできなくて。

 彼女が家にいるなら丁度良いと思ったのだが、まあ1人でも問題はないかと改めた。

 だって勉強を教えてもらうということはこうして距離が近くなるし、何かを返さなければならなくなる。

 ところが残念、俺のセンスでは何をすれば彼女が喜ぶのかまるで分からないのだ。


「やっぱり1人でやるよ、お前は唯に教えてやってくれ」


 いちいち順位を聞いてくるということは恐らく……彼女もバスケ馬鹿なのだろうと想像ができる。

 まあもう1人のバスケ馬鹿はテストもそつなくこなしていたがな。


「他人に教えれば教えるほど理解も深まるでしょう、毎日1時間だけ付き合ってあげる」

「あ……その格好でか?」


 暖房によって温かい家だからかかなり大きい長袖を着ているだけの彼女。

 着込むのは嫌いな上に身軽でいたいからと家ではいつもこうしているらしいが……。


「私の格好になんて意識向けていないで、早くやりましょう」


 まあせっかく付き合ってくれるならと頑張ることにした。

 具体的に言えないのがもどかしいが、彼女の説明は分かりやすくすぐに終了がやってくる。

 んっと伸びをして彼女を見ると疲れているようだったので許可を貰ってから肩でも揉んでやることに。


「あんまり無理するなよ?」

「……あなたがそれを言うの?」

「まあそうだけど」


 沈黙が俺らを包む。

 それでも心地の良さすら感じていて、とにかく一生懸命彼女の肩を揉んでやった。


「……もういいわ、早く寝なさい」


 10分くらい経過した頃、彼女が俺の腕を掴んで止める。


「凛、ありがとな」

「ええ……おやすみなさい」


 俺は広げた教科書とかを片付けてベットにダイブした。


「何だこの甘酸っぱい感じは!?」


 気恥ずかしくて悶えてベットを叩いて。

 いつもこんなことを蓮が容易にできるのかと考えたら凄いなとしか思えなくて。

 こんな日々がテストまで続いたとしたらいつかやらかしてしまいそうだ。

 明日が終わればテスト週間が始まる。

 唯がバスケできなくて泣きそうだなと考えつつ、布団に入って目を閉じたのだった。




「佐藤さん……凛さん!」

「えっ? ああ……ごめんなさい、分からないところがあった?」

「もう今日は終わりでいいよ……全然集中できないし……」

「そ、そう……」


 立ち上がって伸びをする。

 立ちくらみがしてうっと呻いていると浅見さんが支えてくれた。


「大丈夫?」

「ええ、最近あまり眠れてないのよ」

「え、それなのに同じ部屋で良いの?」

「当たり前じゃない」


 改めてお礼を言ってからベットに座った。

 眠れないからいつも勉強をしていたのだけれど、あまり集中できていないというのが実情だ。

 それでも……彼といる時だけは別な気がする。

 先程触れられた肩を触ると少し気恥ずかしさが込み上げてきた。

 触らせたのは初めてじゃないし肩を揉まれたのだって同じこと。

 だというのに凄く心地良くてされながら眠ってしまいたいくらいの魅力があった。


「……唯さん、あなた言君のことどう思っているの?」

「言のこと? ……良い子、優しい子、暖かい子…………子かな」

「……答えてくれてありがとう」


 お風呂に入ってくるわと言って部屋を出た。

 洗面所に行くと葉ちゃんが丁度出てきたところで少し話をする。


「葉ちゃん、今日もご飯美味しかったわ、いつもありがとう」

「ううんっ、美味しいって食べてくれるのが嬉しいから! ……それにしても、お兄ちゃんの周りにどんどん女の子が集まっていくね」

「そうね、いつも卑下しておきながら何だかんだで……お風呂入るわね」


 脱いでお風呂場へ。

 長い髪と体を洗って湯船に浸かる。

 追い焚きしてくれていたのか温かくてうとうと眠たくなってきて。


「……ぶ……あ、危ないわね」


 最悪の状態になりかねないのですぐに出ることにした。

 ちゃんと拭いて服を着てから歯を磨き洗面所を後にする。

 敢えて自分の部屋に帰らず彼の部屋にいくことに。


「あ……寝てる……」


 自分が今できていないことを簡単にしている彼が羨ましくなった。


「言君」


 揺さぶっても起きない、眠い、眠たい、転びたいという考えから私は――


「……ちょ、それは駄目だろ」


 寝ようとしたところに彼の声が聞こえてきて飛び上がりそうになった。

 ごめんなさいと謝って帰ろうとする私の腕を掴んで彼が止めてくる。


「どうしたんだ?」

「……最近あまり寝れてないのよ」

「ホームシックってやつか?」

「いいえ……そんなことはないわ」


 この家で暮らすようになってからすぐの時は全然普通に寝れていた。

 両親と仲良いわけではないし、何より提供してくれたベットが大きく柔らかかったから。

 寝れなかったのは寧ろ自分の家にいた時と言える。

 自分の部屋なんかなかったし床に直接寝転ぶしかなかった。

 痛くて寒くて彼を助けるというのを口実にして逃げたかっただけだと思う。


「仕方ねえな、じゃあ寝ろ」

「え?」

「……別に寝るだけだろ? それなら何も問題はない」


 彼はそう言って布団に入ってしまう。

 自分からしておいて言うのはおかしいけれど、彼もどこかおかしいと感じていた。

 土下座を要求した時もそう、怒るどころか本当にそれをして謝罪もしてくれて。

 炭酸をわざと出してきたのは嫌なところではあった。

 それでもこっちの身を心配してくれたりもしたわけだし、……とにかく眠いので入らせてもらう。


「……温かい」

「そりゃ足なんか出してりゃ寒いだろ」


 あ……なんかすぐに眠気がやってきてくれた。

 内心でありがとうと言いつつ、私は流れに身を任せた。

他の人さ、きちんと内容もあって盛り上がりもあって20万文字とか書いててさ

凄いよなって、閲覧数も2000倍とか3000倍くらいあってさ

凄えよまじ凄え、俺は語彙力ないのがやべえ。

だって次へ、次の話へって引き込まれる魅力があるもんなって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ