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ムーンリバー学園入学式

王立ムーンリバー学園入学式当日。


侍女たちが止めるのも聞かず「娘の祝いの日くらいは私が準備してあげなきゃ!」と無理やり仕事を奪ったお母さまによって私は後頭部を梳かされていた。

私がゴリラじゃなければ麗しい母娘の触れ合いのひとときとして画になる構図だろう。

そんな下らないことを考えていると突然お母さまから声を掛けられる。


「あらあら、マリアちゃん悩み事かしら?」


「うほほう、ほほほ うほ ほうほほほ ほう ほう。(いえいえ、ただ下らない事を考えていただけです、すいません。)」


「そう?エドワード殿下がいらしてからずっと冴えない顔してたじゃない?」


「う、うほ ほほほう ほほほう うほうほう !?(うっ、そ、そんなことありませんわ!な、何をおっしゃるのお母さま!)」


いきなりとんでもないストレートパンチを食らい泡を吹きそうになった私だが、

プライベートな話題なのを察してか一応傍に控えていた侍女たちが空気を読んで部屋を出てくれた為なんとか無様な姿は見せずに済んだ。慌てふためくゴリラなんて恐ろしすぎるよ。


「ふふふ、若いのに素直じゃないわねぇ。良いじゃない婚約者なんだから殿下に恋しても。」


「お母さま!?恋なんて何をおっしゃりますの!?それに、私のようなゴリラでは王子と釣り合いませんわ!」


「マリアちゃんはお母さんに似て美人だと思うけど?それにね、恋する乙女はとっても美しいのよ?はい、出来た!ほら、鏡を御覧なさい。」


「えっ……?」


お母さまに言われて渋々見ないようにしていた鏡を見るとそこにはお母さまとお母さまに似たブロンドヘアーにお父様に似て少し吊り目な美しい少女が映っていた。


「これが、私?」


私が呆気に取られいたせいでガチャリというドアが開く音に過剰に反応してしまった。

音のする方を見るとお母さまの「出来た!」という声を聴いていたのか侍女たちがまた部屋へと戻って来ただけだった。


安堵して再び鏡を見ると鏡に映るのはゴリラの姿へと戻っていた。




その後どうやって入学式まで過ごしたのかは思い出せないが気付くと私は学園の講堂に居た。


講堂には試験を無事潜り抜けた優秀な少年少女たちとその親たちがズラリと並んで座っており、

教員たちはステージを守る警備員のように最前列に立って入学してくる新入生たちを見守っていた。


学園長の有難いお話や学年全体を監督する教員からの注意事項、生徒会からの今後のスケジュールについての通達があり、最後に入学生代表として“首席の”エドワード王子が壇上に立った。


「諸君も存じている通り、我が名はエドワード・エルフリック・アルフレッド・マイケル・トマス・ゲッペルゼア。このゲッペルゼア王国の第一王子である。だが、この身が学園にあるうちは皆と同じいち生徒だ。諸君と同じように授業を受け、訓練を行い、寝食を共にする事もあると思う。これから我々は身分を忘れ、ただ一人の学徒として学んでいかねばならない!何かを得るには庶民のものたちのように自分の力によってそれを成さねばならない!それにはまず我々が愚かであることを自覚しなければならない、わかっているつもりのものも知らぬものとして新たに学ばねばならない。騎士が何度も剣を振るうように愚直に学ばねばならん!そして、現状に満足することなく常に飢えを感じ貪欲に学ばねばならない!自らの剣を磨かぬ者に価値などないのだ!もしも、現状に満足し、愚かである事すら自覚出来ぬものがあるとすれば、その者は何も学ばぬままただ徒に時を過ごしただけの哀れな老人のようになってしまうだろう!我々はこの学園で我々自身を磨かねばならない!学ばねばならない!この学園の試験を通り抜けた者たちなら、我々なら何かを成せるはずだ!学び、磨け!以上を入学の挨拶とさせて頂く。」


王子は相変わらず美しく、そして儚げな見た目に関わらず力ある声と身振りで代表として挨拶を行っていた。

王子が演説を終えると場内はスタンディングオベーションだった。


その後、入学生たちは私も含め興奮冷めやらぬ様子で教科書などを受け取り、各々家族と共に学園を後にしたのだった。


年末の忙しさと体調不良で全然更新できなくてすいません。


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