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マリア、母に怒られる

残念ながら夢オチではないです。


目が覚めてもゴリラだった。

分かってはいたが、もしかしたら夢かも、と期待してしまった分だけツラい。


とはいえ、鏡をよく見れば前世より顔の彫りは深くなっているし目も大きくクリッとした目になっている。

更に言うと身体の大きさと比べて小顔に感じる。

毛も社会人してた頃のボサボサパサパサな感じでなく滑らか艶やかな綺麗な毛並みをしている。



あれ?私結構イケてるのでは?


貴族家なので細かい事は使用人たちがやってくれるし、顔はイケてるとなると唯一の欠点は喋れない事くらいだ。


ちょっと気持ちが上向きになって来た私は早速メイドを呼んでクローゼットに仕舞い込んであった服を渡し、身振り手振りで服を着せるように伝えた。


「えぇ!?これシャロン、じゃなかった私に着ろって言うんですか!?サイズが大き過ぎます!」


とかなんとか言うようなまったくもって察しの悪いメイドだったのでゴリラのパワーを見せてやろうかとも思ったが精神的には大人なので根気強く伝え、無事服を着せて貰えた。


ゴリラでも令嬢なので身嗜みは大事なのだ。側仕えをしているシャロンというメイドの反応を見るにこれまでは全裸で過ごしていたようだが、私は恥を知る人間なのでこれからは服を着るのだ!



ちなみに靴は少し小さかったので、こちらは後日靴職人に採寸して貰って作り直してもらうことになった。


着飾った私が自室を出て廊下を歩いているとすれ違う使用人たちが皆、


「マリア様が服を着てる!」

「おお!ようやくマリア様が服を!」


と感動したり驚いたりしていた。


一瞬、ゴリラ様と聴き間違えたが私の被害妄想だった。


そんな事もありつつ食堂に着いた私は昼食を頂いていた。


最初、ゴリラの握力が強い事を忘れてカップの取っ手を壊してしまったが、今はなんとか普通に食事出来ている。


前世で学んだテーブルマナーを思い出しながらナイフとフォークを使って肉を切り分けながら食べていると両親と続いて弟が食堂に入って来た。


「おや?マリアは珍しくここで食事をしているんだね?」


と父親のティルソンは言い、母親のカトリーナは


「あら、ようやく服を着てくれたのね。嬉しいわ。」


と朗らかに笑っていた。その笑顔はザ・お母様と言った美しさでメスゴリラの私でも惚れそうなほどだ。


尚、弟のブレナンは


「ナイフとフォークを使ってる……嘘でしょ。」


と言って固まっていた。


三者三様の反応を見せつつも私たちは楽しく食事をした。


そして食事の後、お母様によって入学までにしっかり貴族としての振る舞いを身に付ける事と言い渡され、入学の直前まで鬼の猛特訓が始まることになるのであった。


振る舞いについて言われた理由は私が服を着始めたことでも食堂で食事をしたことでもナイフとフォークを使った事でもない。

ただただこの家の家長であるお父様を差し置いて先に食事を始めるとは何事かという事をやんわりおっとりけれども有無を言わせぬ迫力で怒られたからだ。


ゴリラでも母には勝てない、と私はひとつ学んだ。

現代人の感覚だとついやってしまいそうだなぁと思いながら書きました。というか、私は基本いつもお父さんより先に食べてた気がします。

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