再びの急展開
すみませんでしたぁ!!(ヤケクソ気味)
書いても面白みが無いものしか出来なくてしばらく進みませんでした!多分ある程度面白みが戻ってきたので(主観)再開したいと思います!!
そんな訳で現在秋人の家の前である。家に帰るのがめんどくさかったのでこっそり『閃雷』で移動した。索敵と合わせればそうそう目撃されないから便利だな。
『いくら索敵があるからと油断なさらないでくださいよ?』
分かってるよ⋯⋯吸血鬼騒動に巻き込まれた発端は俺の不注意だし。人の目に映るような所は通らないし、万が一目撃されるような場所はなるべく止まらないようにしてるから。
さて、前の通り⋯⋯インターホンをポチッと。
『おう、来たか隆二。鍵空いてるから上がっていいぞー』
「あいよー」
前回とは違い、気楽に家に上がる。すると、秋人が玄関に歩いてきていた。
「いやお前ここまで来るなら先に開ければいいじゃねぇか」
「あ、そうだな⋯⋯なんかつい」
そんなことを言いつつ、秋人の体を観察するが、特に変な物が生えてたりはしない。そういうスキルじゃないのか、それとも『触手』と同じように引っ込めたのか?
『私は既に確認してるのですが⋯⋯』
ライマに教えて貰ったら面白くねぇじゃん。
そういう訳で秋人のスキルが何なのか考えつつ、秋人の部屋に移動する。
「そういやお菓子ある?」
「たかる気満々かお前」
「こないだ弁当分けてやっただろ」
お前ちょくちょく肉系のおかずをかっさらって行きやがって。
「うっ、そういやそうだったな⋯⋯」
「それに比べたらお菓子の一つや二つくらい⋯⋯なぁ?」
「あー、そ、それよりも、俺が解放したスキルなんだがな⋯⋯」
あっこいつ露骨に話を逸らしやがった!まぁいいか⋯⋯
「どんなスキルなんだ?」
「⋯⋯先に言っとくが、引くなよ?」
え、なんだよその忠告不穏なんだけど。
「じゃあ見せるぞ⋯⋯そいっ」
「⋯⋯⋯⋯ぅゎ」
「引くなって言っただろ!?」
いやだって⋯⋯いきなり手のひらが「ミチミチミチッ」って音を立てながら開いて中から牙覗かせるって。やっぱ喰〇なのでは?
⋯⋯いやむしろホラゲーの敵みたいになってる。口にリボルバー六発打ち込んだら怯み取れそう。
とりあえずどんなスキルか見たしライマ、解説お願い。
『はい。こちらです』
――――――――――――――――――
『顎門』
自分の体の自由な場所に高い咬合力を持つ顎門を生成する。ただし、口に重ねて発動した場合以外ここから物を飲み込むことは不可能。
――――――――――――――――――
おおい、使い所の難しそうなスキルだなぁ⋯⋯少なくとも日常生活で役に立つ事はなさそう。ん?口に重ねて発動出来るのか。
「秋人、そのスキル口に重ねて使えるらしいぞ」
「ああ、知ってる。というか最初にそこに出たんだよ⋯⋯」
そう言うと、秋人の手のひらから顎門が消える。そして秋人が自分の口を開くと、そこには鋭い牙が生えていた。
「うおお、すげぇ⋯⋯口のなか怪我しそうだな」
「正直、喋りづらい」
だろうね?
で、秋人は口を元に戻すと、経緯を話し始めた。
「昨日の夜、俺は親父経由で何故か鶏のささみを貰ってな、折角だから料理して食うことにしたんだが⋯⋯」
「が?」
「すじ取るの忘れててくっそ噛み切りづらくなったんだよ」
ただの馬鹿じゃねぇか。切る時に気づけ。
「そんな時、急に歯に違和感がしたと思ったらいとも簡単にすじが切れてな⋯⋯確認してみたら牙が生えていた、という訳なんだ」
「なんちゅー間抜けなスキルの発動確認⋯⋯」
発見理由:ささみのすじが噛み切れなかったから。
『まあ、マスターの場合私の解放理由が「階段から転げ落ちたから」なのですが』
人のこと全く笑えなかったわちくしょう。
――――――――――――――――――
とりあえずスキルの詳細について秋人に教えた後、予想通り「宿題⋯⋯見せてくんね?」と言ってきた。
「お前、教えてくれって電話では言ってたじゃねぇか」
「いや、こんなのただめんどくさいだけじゃん⋯⋯」
「気持ちは分かるが⋯⋯お前だけ楽させるのは癪だ」
お前もやれよ。俺もやったんだからさ?
「⋯⋯やっぱそう言うよなぁ⋯⋯仕方ねぇ、頑張るか」
「んじゃ、長期戦になるだろうしお菓子持ってきて」
「蒸し返すんじゃねぇよ!?」
俺達がそうこう言いつつ宿題を始める準備をし始めた、その時だった。
『⋯⋯!マスター、高速でこちらへ向かってくる人物が!しかも、『吸血鬼』持ちです!』
ホワッツ!?このタイミングで!?どっちだ!?
『黒須様の後方からです!!』
秋人の後ろにはベランダに続く出窓がある。そちらの方を見やると、屋根の上を飛びつつ、こちらに近づいてくる人影が見えた。
『更に、この吸血鬼の持つスキルは⋯⋯『憑依』です!』
⋯⋯何?
その言葉を聞き、俺の頭は急激に冷えていく。
『憑依』持ちの吸血鬼ってことは⋯⋯美佳子の体を乗っ取ってたアイツで間違いないよな?何故ここに来た?まさか、秋人を狙って?
俺は立ち上がり、どのスキルもすぐに使えるよう心構えをする。
「お、おいおい、どうした隆二」
「⋯⋯吸血鬼が来てる、お前は下がっててくれ」
「マジでかっ」
俺の警告に秋人はササッと後方に下がった⋯⋯いや待て。
「なんで触手出してるんだよ」
「え?なんか出来るかなって⋯⋯」
「絶対役に立たねぇから大人しくしとけ!!」
俺が秋人に怒鳴ったと同時に、窓をガシャン!!と音を立て割りながら、『憑依』吸血鬼が侵入して来た。
「うちの窓がっ!?」
「後で直してやるから!」
なんでお前緊張感無いんだよ!
で、侵入して来た吸血鬼だが⋯⋯
「これでやっと⋯⋯っ!?」
何か言いかけてたが俺の顔を見て、顔を思いっきり青ざめさせた。
「な、ななななななんでり、りりり竜が」
⋯⋯そのままその場でガクガク震え始めてしまった。あれ?構えた意味無し?
「⋯⋯おい隆二。こいつに何したんだ?」
「え?いや、こいつ自体には何も⋯⋯」
『憑依』解除された時点でこいつ隅っこでじっとしてたし。
やった事といえば目の前で他の奴らをビルの8階からぶっ飛ばしたり片っ端から容赦なく叩き潰したりした程度で⋯⋯すいません、思いっきりやらかしてますね。そりゃ青ざめるよ。
「う、うう⋯⋯死ぬんだぁ、私ここで死ぬんだぁ⋯⋯」
だからこの反応も当然と言えば当然なんだが⋯⋯
「いや、何もする気は無いから落ち着けって⋯⋯」
別に俺今怒ってないし。
正直に言えば次会ったら殴るって決めてたから顔面パンチしてやろうかと思っていたが、ここまで怯えられたらその気も失せるし⋯⋯
そう思って声をかけたのだが、
「なんで私ばっかり⋯⋯こんな目に⋯⋯ぐすん」
俺の声が届いていないようで何もかも諦めたような表情でその場に体育座りでうずくまってしまった。
「⋯⋯えーと、どうしようこいつ」
「俺に聞かれても困るって」
いたたまれなくなって俺が秋人に訊ねてみるも、至極もっともな返事が帰ってきた。
『⋯⋯付近に他のスキル保持者が向かってくる様子はありませんね』
良かった、これでまた別の奴が飛んできてるとかだったら俺の処理能力が追いつかなくなる所だった。
『既に追いついてませんよね?』
ゆっくり考える時間があるから大丈夫だろ。
「⋯⋯あれ?この人寝て⋯⋯いや、気絶した?」
「えっ?」
秋人の言葉を聞いて確認してみれば、確かに膝に顔を埋めたまま気絶しているようだ。そんなにビビってたのか⋯⋯?
⋯⋯いきなり飛んできて勝手にビビって勝手に気絶して⋯⋯いったい何がしたかったんだこいつは。
『マスターがいた事があまりにも想定外だったんでしょうね』
それだけは言われなくともよく分かった。
「よく分からんがとりあえず窓直してくれ」
秋人よ、お前はお前でマイペースだな。金とってやろうか?
――――――――――――――――――
流石に即座に起こしたりするのは鬼畜なので『憑依』持ちの吸血鬼を秋人のベッドの上に寝かせ、起きるまで放置して宿題を教える事にした。
「えーと?言われた通りに計算したのに答えと違うんだけど」
「は?何処だ?⋯⋯あっ、お前-途中で消えてるじゃねぇか!」
「あっ⋯⋯クソ!書き直しかぁ⋯⋯」
あーあー、5列くらい計算式書き直しだな。お疲れ。
そんなこんなで宿題を進め、二時間くらい経った頃。
「⋯⋯あれ?生きてる?」
ベッドの方からそんな声が聞こえてきた。
見れば、まだボーッとしているようで、俺を視界に収めても反応を示さない。
「⋯⋯⋯⋯」
俺はまた気絶されたりするのも嫌だったのでそ〜っとその場から離れ、廊下へと避難した。
「え、おい隆二!?なんで俺を置いてくんだよ!」
『いやほら、俺がいると怖がらせるからさ、事情を秋人に聞いてもらおうと思って⋯⋯』
「こいつ、直接脳内に⋯⋯!?」
『念話』でドア越しに話しかけたら、そんな返答が帰ってきた。⋯⋯やっぱお前余裕あるだろ?
『危なくなったら助けるから、俺の代わりに事情を聞いてくれないか?』
「分かったよ⋯⋯貸し1つな」
『頼んだぞ!』
そういうことになったので、秋人が俺の代わりに吸血鬼から事情を聞くことになった。
「ゴホン、あー⋯⋯ちょっといいか?」
「⋯⋯はっ!?な、何?ていうかあなた誰!?」
秋人が声をかけると、正気に戻って騒ぎ始める。いやこれ正気に戻ってるのか?
「誰ってのは俺のセリフなんだけどなぁ⋯⋯いきなり窓割ってはいってきたのはアンタだろ?」
「窓⋯⋯あ、竜は!?さっき居たはずなのに⋯⋯」
「アンタにまた気絶されたら困るからって理由で別の部屋にいるよ。危害を加えたりはしないから、安心して欲しい」
「⋯⋯夢では、無かったかぁ⋯⋯」
どうも夢だと思いたかったらしい。そこまで拒否られると俺もちょっと悲しくなってくる。
「えっと、大丈夫か?」
「⋯⋯大丈夫じゃないなー⋯⋯もう一回寝ちゃダメかな?」
『ダメです』
「ダメだってよ」
「だよね、知ってた」
諦めたようにはぁ⋯⋯と深いため息をついたのが聞こえた。
とりあえず現実を受け止めて落ち着いたようだし⋯⋯
『早速なんで窓ぶち破ってまでここに突っ込んできたのか聞いてくれ』
「あいよー⋯⋯とりあえず一つ質問していいか?」
「はいはいどうぞー、何が聞きたいんですかねー?」
そいつが投げやり気味に答えるのが聞こえてくる。もうちょっとやる気出してくれない?
「めっちゃ目が死んでる⋯⋯ええと、なんでここに窓ぶち破って来たんだ?」
「言わなきゃダメかな⋯⋯?」
『ダメです』
「ダメだってよ」
「だよね、知ってた」
諦めたようにはぁ⋯⋯と深いため息を⋯⋯ってデジャブ。
「まぁ、いきなり人の家の窓割って入ってきて説明も無しってのは俺もどうかと思う」
「うっ⋯⋯それは、ごめんなさい。私が悪いです、マジすいませんでした」
「じゃあ、教えてくれるな?」
「どうせ拒否権も無いだろうし⋯⋯はい、教えます」
秋人のリアル言いくるめで大して時間もかけずに話を進めることが出来た。
さて、吸血鬼の動向も知りたいから、有力な情報が出てくるといいんだけど。情報次第ではぶん殴るのをやめてデコピンにしてやろう。
『そもそも殴る気は失せたのでは?』
一度決めた事を翻すのはカッコ悪いだろ?
『その言葉を使う場所を間違えてますよ、勉強し直してください』
辛辣ぅ⋯⋯
おおおおままままけけけけ
――――――――――――
「ううぅ⋯⋯逃がしちゃいましたぁ⋯⋯」
「ありゃ、岩田班長のテンション戻っちゃった」
「スピード出しすぎて1周回ったんだと思うからそっとしといて」
――――――――――――
スキル
変化無し