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番外編:年末スペシャル?

こちら、番外編となっております。本編には全く影響がありませんので、興味無い方は読み飛ばしてどうぞ。


「いやー、今年も今日で終わりだな」


家でみかんの皮を剥きながら、俺は呟く。


「そうだな⋯⋯時が経つのは早いものだ」


その言葉に同じくみかんを食べていた仁美が反応する。


なお、みかんを食べてはいるがコタツに入っている訳でない。うちにコタツ無いんだよなぁ⋯⋯



ところでさ、ライマ。


『はい、なんでしょうか?あ、みかんは揉むと甘くなるそうですよ』

「その迷信みかんのだっけ?」


ってそうじゃねぇよ。


「⋯⋯いつの間に年末になったんだっけ!?まだ夏休みも入ってなかった筈なんだが!?」

「は?」

『はい?』


おかしいじゃん!?俺、秋人の家に向かってなかった?


「⋯⋯はぁ、まったく⋯⋯しっかりしろ。今日は大晦日だろう?」

『仁美様の言う通りです。本日は12/31ですよ?』

「んんー?」


いやそんな筈は⋯⋯じゃあ夏休み何してたよ俺。


「それは⋯⋯む?」

『これは⋯⋯記憶が欠落しているのでしょうか?』


まさかの時間飛ばし展開!?もしや何者かのスキルの影響か!?


「そうだ、メールとか見れば⋯⋯」


えーと⋯⋯あ、美佳子と雨宮と陽菜からメールが来てる?



美佳子

『ねぇ、明日一緒に初詣に行かない?』

雨宮

『明日どうせ暇でしょ?どっか遊びに行きましょ』

陽菜

『もし宜しければ、明日、高野家に来ていただけませんか?子供達も喜ぶと思いますので⋯⋯』



「⋯⋯なんだこの引っ張りだこ状態は!!」

「これは⋯⋯選択肢でルート分岐しそうだな。気をつけて選択するといい」

「ギャルゲーみたいに言うんじゃねぇよ!?」

『⋯⋯いえ、それより⋯⋯マスター、履歴を見てください』


え?⋯⋯なんだこれ?


「別の女子と海行ったり映画見たり⋯⋯おっ、これは修羅場ってるのか?楽しそうじゃないか」

「だからギャルゲーの主人公かよ!?」


さっきから身に覚えが無いんだよ!!


『⋯⋯間違いなく何らかのスキルの影響でしょう。マスターのスキルは増加してませんし、他人のスキルで間違いありません』


年末まで時が経ってる筈なのに一つも増えてないのか。まあ、スキルの影響なら仕方ない⋯⋯


⋯⋯けど流石にいきなりギャルゲーの主人公なんて出来るはずが無いからさっさと解決して元に戻さねぇと!俺の精神が終わる!


現在時刻は午前九時⋯⋯今から活動すれば明日までにはどうにか出来るはずだ!


『国外に原因がいた場合どうしようもないと思いますが』


気合いでどうにかするんだよ!!



――――――――――――――――――



「つーか『錬成』も強化されてねぇじゃねぇか⋯⋯」


やっぱり時間経って無いじゃないか。


そうボヤキつつ、俺は今、どこかの中学校の屋上に立っている。


『とりあえず九州、四国はざっと探しましたが成果0でしたね』


スキル持ちだからライマの索敵に一瞬でも引っかかればいいんだけどなぁ。


しかし『分体』なら出し入れすることで『聖光』の制限突破できると気づいたのは我ながら冴えてたと思う。お陰で『閃雷』の負担をほぼ無視して飛び回れている。


「しゃあねぇ、次だ⋯⋯!」


どこの誰だか知らねぇが、時を飛ばすとかめんどくせぇことしやがって⋯⋯!


⋯⋯あれ、時を飛ばしたんなら戻せるという保証も無いのでは?


『あっ⋯⋯』


⋯⋯考えないことにしよう!!次ぃ!!



――――――――――――――――――



そんなこんなで本州も全て探索し終えたのだが⋯⋯


「ぜー⋯⋯ぜー⋯⋯」

『成果0ですね⋯⋯』


レアなスキルはくっそ沢山見つけたんだが⋯⋯『斬体』とか『支援』とか『英雄(ヒーロー)』だとか⋯⋯


なのに肝心の原因らしきスキルが無い。


「国内は残るは北海道か⋯⋯」

『そこに原因がいると良いのですが⋯⋯』

「そうだな」


ライマの言葉に同意しつつ、短い休息を終え、北海道へ向かおうとする⋯⋯その直前。






「その必要は無いよ。原因は、私だから」






「⋯⋯っ!?」


思わず声のした方向に振り返ると、そこには⋯⋯


「美佳子⋯⋯?」


そう、美佳子が佇んでいた。


「原因⋯⋯?どういうことだ?」


状況を理解できないまま、俺は美佳子に訊ねる。


「説明は難しいんだけれどね⋯⋯」


美佳子は困ったように笑いながらそう言う。


「えーっとね⋯⋯なんか知らない少年がいきなり現れたと思ったら、『年末だしなんかやりたいことありません?』って聞いてきて⋯⋯」


そこで気づく。美佳子は、赤い振袖を着ていた。


「別に年末でもなんでも無いって言ったんだけど⋯⋯『いやほらリアルタイム的には年末ですので⋯⋯では、年末とか元旦にやりたい事は?』って」

「⋯⋯⋯⋯」

「私は、寝起きだったから⋯⋯夢かな?って思って。その⋯⋯」


そこで美佳子は言葉を切ると、


「隆二君に⋯⋯着物姿を、見せたいな⋯⋯って、そう、言ったの」


恥ずかしそうに少し俯きつつ、呟いた。


⋯⋯顔真っ赤じゃん。


「そ、そしたら⋯⋯『カーッ!お熱いこったなぁ!いいぜその願い叶えたらァ!』って言って⋯⋯気づいたら、大晦日になってたの⋯⋯」


その少年が何者かはすげー気になるけどとりあえず⋯⋯


「⋯⋯その振袖、めっちゃ似合ってるよ」

「えっ!?そ、そうかな⋯⋯?」

「おう、超可愛い。食べちゃいたいくらい」

「そ、そそそんなに!?」


うん!グッジョブ謎の少年!


そんな感じで俺は美佳子を褒め殺していたのだが⋯⋯


『あの、マスター。八坂様は何故今ここに来れたのでしょうか?』


なんだよライマ。今美佳子が顔から湯気を出し始めてめっちゃ可愛いんだぞ。


『しかし、このままにしておくと⋯⋯』


⋯⋯まぁ、そうだな。原因をわかんないままにしておくのは良くないか。


「あー⋯⋯そう言えば美佳子はなんでここに?」

「ふえ⋯⋯?えっとそれは⋯⋯あっ」


何その不穏な「あっ」は。


「その⋯⋯さっきの少年がこの時間になって現れたと思ったら⋯⋯『ネタ書ききらないから他の二人と一緒に転送させますね』とかよく分からないこと言って⋯⋯気づいたらここに」


⋯⋯んー?他の二人?


『⋯⋯あ、マスター。後ろに二人反応がありますね。索敵を忘れてました』


サラッと致命的なミスやらかしやがったなてめぇ!?


そう脳内でツッコミつつ後ろをバッと振り向くと⋯⋯


「あ、やっとこっち気づいたわね。はー口から砂糖吐きそうだったわ」

「あの⋯⋯えっと、恋人同士が仲が良いのはいい事だと思いますよ?」


うんざりした表情の雨宮と、僅かに頬を赤く染めた陽菜がいた。


「お、お前らいつからここに⋯⋯!?」

「美佳子って子が自分が原因って言ったあたりからね」

「ほぼ最初っからじゃねぇか!?」

「えぇ。だから困ってたのよ、目の前でいきなりラブコメが始まって、どうすればいいのかしらって。隣の子と一緒にね」


そう言って陽菜の頭に手を置く雨宮。


「む、年下扱いしないでください、私は17歳ですよ」

「はいはい、17歳なら⋯⋯え?17?」

「あ、それ多分本当だぞ」

「うっそぉ⋯⋯」

「年上なのですから敬ってくださいよ?」

「はいはいアホの子アホの子」

「その話はやめてください!?」


俺らがギャーギャー騒いでいると。後ろからゾッとするようなオーラを感じた。


「隆二君⋯⋯?私を放置して楽しそうだね⋯⋯?」

「ヒエッ」


振り向くと美佳子が冷たい笑みを浮かべながら極寒オーラを発していた。


「いやいやほら!まさかコイツらも来てるとか思わなかったからさ!」

「ちょっと大葉。コイツらって何よ」

「ややこしくなるから黙ってろ!」


ていうかこのオーラをもう一度この身に受けることになるとは思わなかったぞ!?


「その子は私、会ったこと無かったよね⋯⋯仲、良さそうだね?」

「友人だから!女子の友達がいてもおかしくないだろ!?」


俺が美佳子の対応に困っていると⋯⋯



『あー、すみません。そろそろ、時間です』



「「「『え?』」」」


ライマ含め、全員がその声を聞いたのか、疑問の声を上げる。


直後、急に意識が遠のき始める。最後に視界に入った美佳子の振袖姿を見て、やっぱり可愛いなと思い、意識が途切れた。



――――――――――――――――――



『⋯⋯スター。マスター!』

「んあっ!?」


ふと気づくと、自宅のマンションのすぐ側で突っ立っていた。


『どうされたのですか?急に呆然として』

「え?いや⋯⋯特に何も無いが⋯⋯」


えーと⋯⋯あ、そうだ、秋人の家にスキル確認しに行くんだった。


俺は歩き始めつつ、ふと、思ったことを訊ねる。


「なあライマ」

『なんでしょう?』

「美佳子が振袖着たら、絶対可愛いよな?」

『⋯⋯惚気ですか?』

「⋯⋯まあ、そうなのかな?」

『はぁ⋯⋯客観的に見ても、そうだと思いますよ』

「⋯⋯うん、そうだよな!」

『⋯⋯なんなんですか一体⋯⋯?』


困惑するライマを他所に、俺はなんとなく上機嫌なのだった。




〔⋯⋯ネタ、考えとけば良かったですかね〕

「年末だから投稿したいっていきなり書き始めたんだしどうしようもないだろ。というか年末だからって投稿したいならハロウィンとかクリスマスとかもあっただろ」

〔その時は忙しかったんです⋯⋯〕

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