憤怒と悔恨の協奏曲
お待たせして申しわけございません⋯⋯テスト終わったはいいのですが、疲れきっていたのでやる気が戻ってくるのに時間がかかりました。
なんかいまいち文章にもキレがない気がします⋯⋯
それでも私が書きたい場面の為に、頑張って書き続けていこうと思います。
⋯⋯テストの点数大丈夫かなぁ⋯⋯
⋯⋯人質?
美佳子が、人質?
『おい!それは確かなのか!?』
『ああ、写真まで見せてきやがった、間違いねぇよ!!』
何故?何故美佳子が人質になっているんだ?俺と美佳子の関係なんていつ⋯⋯
いや、そうか。そんなもの見れば親しいと分かる。
少し前には共に家から登校した。帰りも一緒に帰ったりもしたし、恋人かどうかはともかく、少し見ることが出来れば親しい仲であることくらいは理解出来る。
⋯⋯俺の存在を知り、すぐに情報を集めようとしたなら、容易に知り得たことだろう。
いくらなんでも俺の情報を隠すのは高野家も難しいだろう。ならば俺の事が知られていても不思議では無い。
何で美佳子が人質になったのか?そんなの、答えは決まりきっていてた。
「俺の、せいで⋯⋯⋯⋯」
俺が。俺がもっと気をつけていれば。俺が相手からしたらどれほど厄介な存在か⋯⋯それに気づけていれば。
『マスター⋯⋯』
ライマが心配そうな声音で話しかけてくる。いつもならその気遣いは有難いものだった。だが、今の俺は。
「ライマ⋯⋯何で気づかなかったんだ⋯⋯」
『っ⋯⋯』
「お前がもっと気を配るよう言ってくれれば!こんな事にはならなかっただろう!?サポートがお前の役目だって言うなら、どうにか出来ただろ!!全部お前が⋯⋯!!」
あまりにも、醜い言葉を吐いた。自分のことを棚に上げて。全ての責任を押し付けようとした。
「⋯⋯ぜん、ぶ⋯⋯⋯⋯」
ああ、クソッタレめ。
「⋯⋯ごめん、ライマのせいじゃないよな⋯⋯」
『⋯⋯いえ、私の落ち度です。より深く、物事を想定しておくべきでした』
「⋯⋯とりあえず、一旦家に帰ろう。ここじゃ、落ち着けないから」
俺は暗い気持ちを抱えたまま、一度家へと向かった。
――――――――――――――――――
⋯⋯うん、良く考えれば俺が後悔とかする必要全く無かったな!どう考えても吸血鬼共が悪い!!
『えぇ⋯⋯開き直るんですか⋯⋯?』
だってそうじゃん?そもそもあいつらから手を出しておいてさ?反撃されたら人質取って脅してくるって⋯⋯舐めてんの?竜さん舐めちゃってます?
宜しい。ならば戦争だ。
『やはり戦争か⋯⋯いつ出発する?私も同行しよう』
仁美院!って語呂悪いなおい!
『あの、急にパロネタ始めないでください。無理にでもテンション上げたいのは分かりますが⋯⋯』
なんだよライマ。仕方ないだろ?ふざけてないと今の俺、ガチギレかガチ泣きすんぞ。
あ、三号、その吸血鬼共、来いって言ってたらしいけど場所はどこ?
『ああ、そいつらの本拠地らしい。場所は後で高野家族長から送られてくると思う』
ほー?俺を本拠地に招くとは、余程自信があると見える。
それと、場所送ってくれるって事は、高野家は誘いに乗ることに賛成なのか?
『いや、反対されたんだが⋯⋯押し切った』
具体的には「罠なので危険だ」と言われたが「邪魔すんなぶちのめすぞ」と言ったら引いてくれたらしい。話せば分かってくれるんだね!
『⋯⋯⋯⋯』
おいなんか突っ込めよライマ。
『理不尽では!?いくらなんでも頭がおかしくなってません?⋯⋯いえ、元からでしたか?』
唐突に辛辣!?なんかお前の毒舌は久しぶりに聞いたな⋯⋯
『お望みとあらば常に毒舌になりますが⋯⋯』
いらねぇよ俺はドMじゃねぇんだ!
『あー、すまん、報告を続けていいか?高野家に関しては、説得は出来たが陽菜がついて行くことになった』
何故に!?絶対役立たずだろ!てか一人で来いって言われたじゃねぇか!!
『本人の希望もあったらしくて⋯⋯戦闘面では頼りになるし、何気に隠密活動は得意らしい。その辺は普段とは別にして頼りにしていいそうだ』
ホントかねぇ⋯⋯まあ、多分一人でどうにかなるし大丈夫だろ。
それで、時間の指定はあったか?
『今夜、十二時丁度だそうだ。夜中に全員を動員する予定なんだろうな』
なるほどね⋯⋯昼なら楽だったんだが仕方ない。
俺を排除したいのか、俺を裏切らせたいのか、どっちか知らないが⋯⋯どちらにせよ、だ。
「奴らが何に手を出したのか⋯⋯身をもって教えてやる」
奴らが俺だけに、高野家だけに手を出してくるようだったならまだ良かった。ただ俺は防衛と誘拐作戦だけを行うつもりだった。不必要な暴力を振るうつもりは無かった。
だが奴らは美佳子に手を出した。本来関係の無いはずなのに。
そのせいで俺は今、憤怒と罪悪感が混ざり合った、やり場のない衝動に苛まれている。
なら、これは原因である吸血鬼共にぶつけるしかないだろう。
俺が竜だと知って手を出したんだろう?なら⋯⋯
「逆鱗があることくらい、当然知ってるよな?」
あいつらはそれに触れたんだ。完膚なきまでに、叩き潰してやるよ。
――――――――――――――――――
とりあえず、12時になる前に陽菜と合流し、どう動くかを話し合うことにした。
集合場所は近場の公園、時刻は夜10時くらい。基本的に子供が集まるような所なのでこの時刻にはほぼ誰もいない。
「あ、大葉さーん!」
公園にやってきた俺を見て、陽菜はぶんぶんと手を振る。
⋯⋯やっぱり頼りになるとは思えないんだが。
「事情は聞きました!大葉さんの彼女がピンチなんですね?微力ながらお手伝いさせていただきます!」
いやそんな気合い入れられても。
「俺はお前を連れていきたくないんだが?」
「大丈夫です!こっそり着いていきますので!」
そういう問題じゃねぇってんだよ。
「お前が万が一見つかったりしたら、あいつらの一人で来いって条件に反したことで美佳子の身に何されるか分かんないだろ」
仁美みたいに『閃雷』で瞬間移動とか出来る訳じゃないんだし。
「そこまで言うのでしたら⋯⋯敷地内に入らないところまで着いていきます!」
「それくらいなら⋯⋯まあ、いいか」
多分相手側も敷地広いから外で待機してもあんまり意味はないとは思うが。
あとは⋯⋯そうだ、間違って同士討ちとかしないように一応紹介しとこう。
「あと、今回は俺の方にもう一人協力者がいる」
「そうなのです?」
「ああ。お前も最近一度顔合わせてる」
という訳で、仁美、カモーンヌ。
そう呼ぶと、俺の隣に『閃雷』で仁美が飛んできた。
あの、近すぎ。ちょっとバチって来たんですが。
『あ、すまん』
ったく気をつけろよなー。
「⋯⋯あの、顔見えないんですけど」
なんだって?って仁美、何故フルフェイスヘルメットを被ってるんだよ。
「近場にTFSPの構成員らしき人物がいたものでな。念の為に被っておいた」
「あーなるほど⋯⋯吸血鬼騒ぎで警戒強めてんのかね?まぁとりあえずこの辺は平気だから脱いでどうぞ」
そう言うと、仁美がヘルメットを脱ぐ。それを見て陽菜は⋯⋯
「⋯⋯誰でしたっけ?」
「うーんこれは予想外!」
まさか仁美の顔すら覚えてないとはね!本当にこいつ大丈夫かな!?
『もう彼女はそういったものだと諦めましょう。一々突っ込むだけ無駄です。』
⋯⋯それもそうだな⋯⋯
「あーもういいや⋯⋯こいつは俺の仲間で、鈴木仁美だ。こいつと鉢合わせても間違って攻撃とかしたりしないように」
「なるほど、了解です!」
うん。それだけしっかりと覚えといてくれればいいから。
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現在、11時半。俺達は行動方針を決めた後、奴らの本拠地の近くまで来ていた。
で、その本拠地だが⋯⋯
「本当にそこで合ってるのか⋯⋯?」
「はい!間違いないです!」
まあうん、その本拠地自体は普通にビルだ。TFSP日本支部程ではないが立派そうなビルだな。うん。
だが、周辺にはタトゥーが入ったり傷だらけだったりでヤバげな奴らがウヨウヨいて、窓ガラスが所々割れていて、門番みたいに黒服の男が二人入り口付近に立っている。
⋯⋯なんか色々と噛み合ってなさそうな「マフィア」イメージだなおい!?ってか、こいつら全員吸血鬼なん?
『⋯⋯確認しました。全員、『吸血鬼』持ちです』
そっかぁ⋯⋯人数は?
『確認出来るのは98人ですね。』
うっわ⋯⋯めっちゃいる⋯⋯バトロワ出来るじゃねぇか。
「⋯⋯そう言えば、敵の吸血鬼の家名は?」
「えーっと確か⋯⋯東堂ファミリーですね!」
ファミリーって言っちゃってるし。やっぱりマフィアなんじゃねぇの?
あ、黒服の奴ら腰に拳銃ぶら下げてやがる。どこで手に入れたんだか⋯⋯
「さてと⋯⋯」
こうして眺めていても埒が明かない。もうそろそろ時間になるし、しょうがないから⋯⋯行くとするか。
「陽菜、ここで待ってろ。仁美、合図したらサポートを頼む」
「え、真正面から行くんです!?」
変なことして美佳子の身が何かあったらいけないからな。
「⋯⋯気をつけろよ、くれぐれも油断だけはするな」
「おう。じゃあ、行ってくる」
そして俺は奴らの本拠地へ向けて足を踏み出した。
おまけ⋯⋯おまけ?
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TFSP日本支部にて
支部長「それじゃあ、頼むわねぇ?」
??「ああ!アタシに任せときな!!」
なにやら動いていた。
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新キャラじゃないのでご安心を。